長く垂れ下がる小さな紫の花が上品な藤は、日本を代表する美しい花です。藤の花を楽しむためには適切な時期に正しい剪定することが大切です。


正しい藤の剪定の方法はどのようなものでしょうか?この記事では、藤の剪定のポイントを紹介します。
藤の剪定に適した時期
落葉樹である藤の剪定は、休眠期である11月下旬~3月にかけて行いましょう。また開花が終わってから翌年の花芽をつけるまでの5月下旬~6月にも、樹形を整える剪定を行うことで、翌年の花つきが良くなります。
5月下旬~6月:花芽を増やす夏の剪定
藤は4月下旬から5月上旬にかけて開花するため、花の見頃が終わった5月下旬~6月に花後の軽い剪定を行いましょう。次の花芽を付ける前に透かし剪定を行い、藤の樹幹内部の日当たりを良くしておくことで、翌年に咲く花芽がたくさん育ちます。
上に向かって伸びている枝や、樹幹の内部で内向きに生えている枝をつけ根で切り落とし、日当たりや風通しが良くなるように整えましょう。
11月下旬~3月:樹形を整える冬の剪定
藤は落葉樹のため、不要な枝を間引くメインの剪定は休眠期にあたる11月半ば〜3月に行います。枯れ枝や長く伸びすぎた枝、内向きの枝、地際から生えているひこばえをつけ根で切り、全体の樹形を整えましょう。
この時期は翌年4月中旬ごろに開花する花芽がついており、切り落とすと花付きが悪くなります。花芽を見分けて残しながら剪定をしましょう。花芽は葉芽よりも大きく、丸くふっくらとしています。
藤の夏剪定の方法
夏に藤を剪定する手順は以下の通りです。
①立ち上がる枝を切る
上に向かって立ち上がるように伸びる枝は樹冠を乱してしまいます。つけ根から切り落として形を整えましょう。樹幹の内部にある内向きの枝や立枝も切り、内部に光が入るようにします。
②長いつるを切って結ぶ
長いつるをつけ根から5~6芽ほど残して切ります。この位置より短く切るとより長いつるができて、花芽ができなくなることがあります。
また、長いつるは他の箇所に絡みつかないように先端を結んでおきましょう。
藤の冬剪定の方法
冬に藤を剪定する手順は以下の通りです。
①花芽を残して切る
枝の付け根にある花芽を3~4芽ほど残して切り取ります。ただし、短い枝は切らないようにしましょう。
②不要な枝や混み合った枝を根元から切って間引く
混みあった枝や内向きの枝をつけ根から切り取ります。枝が重ならないようにして、上に伸びる立枝もつけ根で切り取ってください。
切り落とす枝の見分け方は以下の通りです。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は地際で切り取る
③下枝をつけ根から切る
幹の途中から伸びた枝や、地面から出たひこばえは、つけ根から切り取ります。放置すると樹形が乱れてしまいます。
藤の剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
藤を剪定するときのポイント
藤を剪定する季節と目的が分かっても、実際に剪定するとなると「失敗したらどうしよう」と不安な気持ちになってしまうでしょう。そこで、実際に剪定するときに役立つ、藤の剪定で注意すべきポイントについて紹介します。
長い枝を切って花付きをよくする
剪定を行う目的は、花付きをよくすることです。花芽に十分な栄養が行き渡るようにするためには、枝を伸ばす必要がない部分や太く勢いよく伸びた部分を根元から切り落とすことが大切になります。
花芽は性質として短い枝の根に近い部分に発芽する傾向があるため、長すぎる枝は思い切って剪定していきましょう。
7~8月の剪定は避ける
夏の剪定が間に合わなかった場合でも、7月から8月の剪定は避けましょう。この時期に剪定をすると狂い咲きが起こってしまい、後々の生長に影響が出てしまうためです。
この時期の剪定は行わず、11月の冬剪定まで待ちましょう。
強剪定は花芽が栄養不足になることも
枯れ枝や長く伸びすぎた枝、花芽が付いていない枝を切り取ることを強剪定といいます。せっかくの栄養が花芽の形成に使われなくなるため、藤の強剪定は必ず冬に行い、必要な枝まで切りすぎないよう樹形のバランスを見ながら行いましょう。
特に花芽の形成期である夏場の剪定で大幅に枝を切り落としてしまうと、ダメージ回復に栄養を使ってしまい、花芽がつきにくくなってしまいます。
花後には「花がら摘み」も忘れずに
藤の花を美しく咲かせるために、忘れてはいけないのが「花がら摘み」です。
藤の花が咲き終わった頃に、枝にはしぼんだ花がらがたくさん付いています。この花がらをそのままにしておくと成長を続け、藤は実を作るために多くの栄養を使ってしまいます。
花がら摘みは難しい作業ではなく、葉を切らないように根元から2〜3芽を残して切り取ればOKです。たくさんの花が咲いた後、すべての花がらを取り除くのはたいへん骨が折れる作業ですが、花がらを見つけたら定期的に取り除くようにしましょう。
藤の剪定は難しい?
藤の剪定の時期や剪定方法を間違うと、翌年の花の咲き具合に影響します。
藤の剪定で最大のポイントは花芽を残すことです。そのために大切なのは、花芽がついた枝を見極めることに尽きます。見極めさえうまくいけば、藤の剪定は難しくありません。
藤の花芽と葉芽はどちらも同じような色をしたふくらみですが、花芽は葉芽に比べるとふっくらと丸みを帯びているのが特徴です。最初は分かりにくいかもしれませんが、夏ごろに花芽は大きくふくらんできます。よく観察すれば、見分けられるでしょう。
それでもどちらか見分ける自信がない場合には、剪定は控えめにして切りすぎないようにする方が無難です。
藤の剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
「ミツモア」では、地域で活躍する植木屋・庭師をかんたんに見つけられます。
「依頼内容」「希望の日程」「作業場所」などの質問に答えると、最大5社から自動であなたにカスタマイズされた見積もりが届きます。
見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
自動の見積もりをもらうだけなら無料でできるので、自宅の庭木の剪定料金を確認してみてはいかがでしょうか?