夾竹桃は丈夫で育てやすく、1年中緑を絶やさない常緑樹なので街路樹や公園に植えられています。夏から秋に可憐な花を付ける姿はとても美しいですが、樹木全体に毒があり素手で触ると危険です。夾竹桃の特徴と育て方のポイントを紹介します。


夾竹桃は自分でも剪定できるが毒性に注意
夾竹桃は「キョウチクトウ科キョウチクトウ属」の1年中緑の葉を付ける常緑樹です。
高過ぎず低過ぎない小高で、6〜9月頃には美しい花を咲かせます。花弁の色は白やピンク、黄色と可憐な印象です。
しかし見た目のきれいさとは裏腹に、夾竹桃は根から実まで、すべての部分に毒を持っています。栽培している土にも毒が含まれるほど、毒の威力は強力です。
一方で、大気汚染に強い植物としても知られています。公害の影響からほかの樹木が枯れてしまったなか、夾竹桃だけが耐えたことから街路樹によく利用されるようになりました。
毒の成分や症状
夾竹桃の持つ毒の主な成分は「オレアンドリン」や「ストロファンチン」です。夾竹桃の毒を含んでしまうのは、誤って葉や花が口の中に入り込んでしまったときですが、その場合以下のような症状が現れる危険性があります。
- 吐き気
- 嘔吐
- めまい
- 倦怠感
- 頻脈、不整脈
- 腹痛
- 下痢 など
場合によっては心臓停止といった重篤な症状を引き起こしかねません。とくに子どもやペットが触れそうな場所に夾竹桃があると危険です。
毒の強さはどれくらい?
夾竹桃の毒成分は非常に致死率が高いことで有名です。主に含まれる「オレアンドリン」の場合人間が死に至る量は「0.30mg/kg」で「成人で葉5枚~15枚」ほどの量で死亡するといわれています。
またあくまで致死量は目安であり、摂取量と被害の重さは比例しないのが怖いところです。少量しか含まなかったとしても、重い症状が引き起こる場合もあるといわれています。
青酸カリよりも強力な毒性物質は、夾竹桃の成長と共に量が変化するのが特徴です。なかでも美しい花を付ける開花期はとくに危険とされ、より一層夾竹桃の取り扱いに注意しなければなりません。
なお、切った枝は有毒な煙を出すため燃やせません。そのため草木ゴミでは回収してもらえないため、剪定枝の回収や処分方法は自治体への問い合わせが必要です。
毒を持つ部分
夾竹桃の毒は樹木の一部分だけではなく全体にあります。つまり、花、葉、枝、根、果実…夾竹桃の全部に毒が含まれるのです。根っこにも毒が含まれるため、夾竹桃が植えられている土も毒が含まれます。土から毒が抜けきるには1年はかかるようです。
また、夾竹桃の生木が燃えてしまうと有毒な煙が出ます。うっかり焚き木に利用して燃やしてしまうと非常に危険です。夾竹桃は公園にもよく植えられているため、子どもやペットが口に入れてしまわないよう気を付けましょう。
夾竹桃の剪定時期

夾竹桃の剪定は9月~10月中旬までに行います。
開花が夏頃から10月下旬頃までなので、開花時期の後半にあたる秋頃から剪定を始めて、花が枯れるまでに終わらせましょう。
夾竹桃の剪定方法
自然に任せて育つ夾竹桃でも、樹形を整えたり不要な枝が生え通気性が悪くなったりしないよう「剪定」は必要です。
夾竹桃の剪定は以下の手順で進めます。
①枝の本数を減らし、ひこばえを取り除く
まずは、古くなった枝や他の枝に絡んでいる枝、枯れた枝などを「根元から」切り落としましょう。
切り落とす枝の見分け方は以下の通りです。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
特に夾竹桃はひこばえが発生しやすいので、しっかりと切り落としましょう。
なお、夾竹桃を切るとき不意に茎から汁が飛んでくる可能性もあります。肌に付着したり、目鼻口に入り込んだりすると中毒症状を引き起こすかもしれません。
②飛び出している枝は整枝して樹形に合わせる
樹冠から飛び出した枝を、内部の枝の付け根の箇所から切ります。途中の箇所で切ると再び小枝が生えてきて、木の内部に光が当たらなくなってしまいます。
③株立ちになっていたら3~5本に整理
夾竹桃は萌芽力が強いため、1箇所に何本も生えてくるのが特徴のひとつです。そのままにすると株立ち状になり管理がしづらくなるため、3~5本ほど残して剪定しましょう。
夾竹桃の剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
夾竹桃を育てるときのポイント
夾竹桃は毒性にさえ気を付ければ、植えた後は自然の力に任せて育っていくため園芸初心者でも簡単に育成可能です。害虫もほとんどつきませんが、日照不足や湿気に気を付けましょう。
基本的には降水による雨水で十分なため、頻繁に水やりをする必要はありません。雨があまり降らないときに、土の表面が乾いたら水やりをするので十分です。枯れにくいという特性もありますが、有機肥料を与えるとより丈夫に育ちます。
夾竹桃の剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
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