最終更新日: 2024年06月28日
ウンベラータの剪定はいつすべき?
4〜5月の暖かくなってくる時期に剪定をはじめ、遅くとも9月までには剪定を終えるとよいでしょう。
ウンベラータを剪定しないとどうなる?
剪定をしないと「見栄えが悪くなってしまう」「室内の空間を圧迫してしまう」といった恐れがあります。
ウンベラータの特徴と剪定をする理由
ウンベラータの特徴
植物名 | ウンベラータ |
学名 | Ficus umbellata |
科名 / 属名 | クワ科 / フィカス属 |
原産地 | 熱帯アフリカの低地 |
花の色 | 白 |
樹高 | 50cm~10m |
特性 | 耐暑性、白い樹液 |
ウンベラータは熱帯アフリカ原産の常緑樹高木で、日本国内では観葉植物として親しまれています。
成長が速く、放っておくと一気に樹高が高くなります。ただし熱帯原産なだけあって寒さには弱く、冬はあまり伸びません。
寒さには弱いですが日陰には強く、屋内でも充分に育つので、日当たりを気にする必要がなく育てやすい植物といえるでしょう。
ちなみにウンベラータ(umbellata)は日傘を意味する英語「umbella」が由来とされています。ウンベラータの葉っぱが傘のように大きく開く様子から連想されたようです。
伸びすぎを防ぐために剪定をする
ウンベラータは枝の伸びる速度が早く、切らずに放っておくと3m以上の高さに育つことも珍しくありません。
屋内で育てる場合、想像以上に早く高く伸びてしまい、空間を圧迫する恐れがあるので注意が必要です。天井に届く高さに育つこともあり、力強さを感じられる一方で、樹形が崩れてしまうデメリットもあります。
さらにウンベラータは成長に伴ってたくさんの枝が伸びます。それにより栄養が充分届かない枝が出てきたり、樹木内部の風通しが悪くなってしまったりするおそれもあります。
これらの理由から、ウンベラータを健康な状態に育てるには剪定が欠かせません。
ウンベラータの基本的な剪定方法
ウンベラータの基本的な剪定方法を解説します。成長が速い植物なので、できれば毎年こまめに基本の剪定を行ってあげると、きれいに樹形が保てるでしょう。
剪定する前に理想の形を考えよう
剪定をするときは、無計画に切るのではなく頭の中でしっかり理想の樹形をイメージしてから手を付けましょう。
ウンベラータはたくさん芽を出すので枝分かれが多く、そのままにしておくと縦に高くなるだけでなく横へも大きく広がります。シルエットが崩れきってしまうと、剪定の難易度も上がるので気をつけましょう。
なお、どのような形が理想かは、部屋の広さによって異なります。天井が低くて高さを出せない、広い部屋であれば横幅を広めに取りたいなど、部屋によってさまざまです。
混み合った枝や枯れた葉を切る
最初は切るべき枝がわからず戸惑ってしまうかもしれません。まずはすでに枯れかけている枝や、成長の妨げになるような混みあった枝を取り除くイメージで剪定を進めましょう。
具体的には、以下のような枝から切っていくとよいです。
- 枯れかけた枝や黄色くなっている葉
- 下向きに伸びている枝
- 交差して混み合っている枝
このような枝をあらかた取り除いたうえで、全体のバランスを見て必要のない枝があれば切り落とすという流れで進めましょう。
太い枝は切り口が大きく雑菌が入る心配があるので、剪定したあとに癒合剤を塗っておくと安心です。
剪定でウンベラータの樹形をY字にする方法
剪定に慣れてきたら、思い切って樹形を大きく整えてみたいと思うこともあるかもしれません。
樹形を変えるような大がかりな剪定をするときのポイントを解説します。
成長点の位置を見定めて剪定する
ウンベラータはメインの幹を切り落とすとその部分からY字に伸びていく性質がありますが、この仕組みについて詳しく解説します。
剪定すると、切った箇所のすぐ下にある成長点という部分から脇芽が出てきます。成長点は幹の節の上にある黒っぽい点です。
この成長点から出た脇芽が伸びて枝になるので、Y字に枝分かれさせたい場合は、脇芽を出したい2つの成長点の少し上で剪定しましょう。
幹の下の方で剪定するとどうなる?
ウンベラータは芽が出やすいので、健康な状態であればかなり下の木質化した部分で剪定しても発芽する可能性が高いです。
下の方で剪定した場合は、幹が地面に近い位置で枝分かれし、横に大きく広がった樹形になるでしょう。
ただし、太い幹を切るのはそれだけ植物の体力を消耗する行為です。元気のない個体や、こまめに剪定せずに放置していた個体をいきなりばっさり切ると、芽が出ないこともあるので注意しましょう。
ウンベラータの剪定に適した時期
ウンベラータの剪定に適した時期は成長期である春から秋にかけて、気温がだいたい20~30℃くらいの季節です。
4〜5月の暖かくなってくる時期に剪定をはじめ、遅くとも9月までには剪定を終えるとよいでしょう。
ウンベラータは寒さや乾燥に弱いので、冬に剪定を行うと枝を切ったダメージから回復できず、枯れてしまうおそれがあります。
ウンベラータの剪定に使う道具
切れ味のいい剪定バサミ
剪定バサミはネットショップでも購入可能で、2,000〜5,000円ほどで入手できます。
手や服を汚さないための手袋とエプロン
植物の剪定は、思っているよりも手や衣類が汚れることがあります。
ウンベラータの剪定では、切ったところから白い粘着性の樹液が出てくるので、ゴム手袋や軍手を装着して作業しましょう。
この樹液は衣類に付着するとなかなかとれません。さらに、肌につくとかぶれたりアレルギー反応を起こしたりする可能性もあります。
汚れてもよい長袖の服やかっぽうぎなどを着て作業をするとよいでしょう。
切り口を保護するための癒合剤
剪定したあとに切り口をそのままにしておくと、養分が流れてしまったり、雑菌が入り込んだりして植物が枯れる原因になります。切り口が大きい太い枝であればあるほど、癒合剤を使うことをおすすめします。
癒合剤はホームセンターなどで、1,000円以下で入手可能です。
ウンベラータの剪定の注意点
ウンベラータを剪定するときは、正しい剪定方法で行うと同時に、注意すべきポイントも把握しておきたいものです。どのような注意点があるかを見ていきましょう。
白い樹液は肌や衣類につかないように注意
ウンベラータは「ゴムの木」の仲間で、枝を切ると粘着性の白い樹液が出てきます。
この白い樹液は、衣類に付くとなかなか落とすことができません。もし服にくっついて固まってしまった場合は、揮発性のある油で取り除きましょう。
また「ゴムの木」という名の通り、白い樹液は天然ゴムの原料となるものです。特にラテックスアレルギーの人は樹液にふれることでアレルギー反応を起こす可能性があるので、軍手と長袖の服で肌を守りましょう。
病害虫が発生している可能性も
剪定のときには、ウンベラータに異変がないかしっかり観察しましょう。病気にかかっていたり、害虫がついていたりする可能性があるためです。
ウンベラータがかかりやすい病気は「うどんこ病」という、葉っぱ部分にうどんの粉のような白い斑点が現れる病気です。
うどんこ病にかかった葉っぱを見つけたときは、重曹を水で薄め、スプレーで噴射すると症状を抑えられます。もし効果が現れなかったときは、ほかの葉っぱに感染しないよう白くなった葉っぱを取り除きましょう。
またウンベラータにつきやすい害虫は、「ハダニ」と「カイガラムシ」の2つです。どちらも葉っぱに付着し、そこから栄養を吸収します。害虫は湿った空間を好むため、風通しをよくすることである程度予防できます。
ハダニやカイガラムシを見つけたときは、数が少なければ直接ブラシなどで取り払いましょう。払えないほど多くの虫がついてしまった際は殺虫剤で対応するしかありません。
剪定後は手入れをしっかりしよう
ウンベラータは剪定が重要な植物です。ただし剪定したから後は放置でよいかというと、そうではありません。剪定した後のケアも重要です。ウンベラータを剪定した後の管理方法について説明します。
剪定後も気温の高い場所で管理する
ウンベラータを剪定した後は、置き場所に気を配りましょう。秋までに剪定を済ませ、冬を迎えたらあたたかい場所に置きます。
例えば屋内であれば、窓の近くは気温が低くなるため、窓から少し離して管理するなどの方法があります。
なお、植え替えをしてから剪定作業を行った場合は、日の当たらない場所で管理すると育ちやすくなるでしょう。日当たりが強い場所では乾燥しやすく、剪定時のダメージが回復しない恐れがあります。
成長期に肥料を与える
ウンベラータの成長期は春〜秋の間です。この間に肥料を与えることで、栄養が充分に補給されるでしょう。
肥料には、液体状と固形状の2種類があります。液体肥料は効き目が早く現れ、固形の肥料は持続力に秀でている特徴を持っています。
ウンベラータに与える肥料は、どちらを使用しても大丈夫です。液体肥料を使う場合は1カ月に2〜3回くらいが目安です。一方固形の肥料の場合は、1〜2カ月に1回程度を目安にしましょう。
ただし、既に鉢に植えられたウンベラータを購入したときなどは、肥料が土に含まれているケースがあります。この場合、肥料は与えなくて大丈夫です。
土の表面が乾いたら水やりを行う
ウンベラータに水を与えるタイミングは、季節によって異なります。
夏は毎日こまめな水やりが必要ですが、冬は数日間程度であれば間隔をあけても問題ありません。これは夏の方が乾きやすく、水分を必要とするためです。
水が足りているかどうかは、葉っぱの状態から判断します。葉っぱがしおれている様子であれば、水を与えましょう。
また、土の表面がどのくらい乾燥しているかも、水やりを行うかどうかの判断基準です。
与える水の量は、鉢の底から水が流れ出るくらいまでを目安にしましょう。多く与え過ぎると湿度が上がってカビの発生を招きますし、少なければ乾燥して成長の妨げとなります。
ウンベラータの剪定で出た枝葉の使い道
剪定で切った枝は、有効活用できるので捨てないでおきましょう。ここでは剪定時に出た枝に、どのような使い道があるかを紹介していきます。
挿し木をして増やす
植物の一部を切り、その部分を土に植えて株を増やす方法を「挿し木」といいます。ウンベラータは成長が早く、挿し木に向いている植物です。
挿し木を行う時期は、剪定と同じく春〜秋にかけての季節がよいでしょう。
挿し木の手順
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初心者には水挿しがおすすめ
挿し木がちょっと大変そうに思われる方には、水挿しがおすすめです。その名の通り水を入れた容器に枝を挿しておく方法で、植木鉢や土を用意する手間がなく気軽にできます。
水挿しの手順
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注意しておきたいのが、水挿しによって生やした根は土への挿し木と比べて吸水力が弱いことです。
しっかりと根付くまで少し時間がかかるため、土が乾かないようこまめに水やりを行いましょう。
お洒落なインテリアとして楽しむ
ウンベラータの剪定で切り落とした枝は、インテリアとして飾ることもできます。さまざまな容器に入れて、部屋を彩ってみましょう。
例えば、スタイリッシュな瓶に枝を入れてリビングに置くと、モダン風のおしゃれな飾りに早変わりします。またウッド調の容器に入れれば、カフェ風のナチュラルなテイストを演出してくれるでしょう。
枝を利用したインテリアは、和風・洋風どちらの雰囲気にもなじませることができるため、幅広く応用できます。
剪定で切った枝はすぐに捨ててしまわず、インテリアにおしゃれに取り入れてみましょう。
ウンベラータを剪定して美しい形を保とう
ウンベラータは成長が早いため、剪定が必要です。衛生面や景観面からも、伸びてきたときにはきちんと剪定し、健康的で美しい姿をキープさせましょう。
また剪定した後の枝や葉も捨ててしまうのではなく、挿し木で増やしたり、インテリアに有効活用したりするのがおすすめです。正しい剪定方法やタイミングを覚え、ウンベラータの剪定に挑戦してみましょう。
もし自分で切ってしまうのが不安な場合は、樹木の剪定のプロに依頼してみるという手段もあります。どこを切ったらどう伸びるかを把握しているので、育てたい方向性に合わせて樹形を整えてくれるでしょう。
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