サルスベリは、夏の終わりから秋にかけて美しい花を咲かせ、庭を彩る植物です。しかし剪定を怠ると枝が乱れ、翌年の花つきが悪くなることもあります。


この記事では、サルスベリの剪定時期や方法、不要な枝の見分け方について詳しく紹介します。
サルスベリの剪定時期は3~4月と10~11月
サルスベリの剪定は、新芽が伸び始める3月~4月と花期が終わった10月~11月ごろに行います。
3月~4月上旬:樹形を保ちつつ、新芽の伸びを促す
通常の落葉樹は、休眠期である冬が剪定に適した時期ですが、サルスベリは寒さにやや弱いので、暖かくなり始めてから新芽が芽吹く直前の時期に剪定を行います。
3月~4月上旬に、前年に花が咲いた枝や不要な枝を取り除いて、勢いの良い新芽を伸ばしましょう。
古い枝は毎年同じ場所で切ると、樹形をコンパクトに保ちつつ花も綺麗に咲かせられます。
10月中旬~11月中旬:不要な枝を間引き、樹形をまとめる
花期が終わった10月中旬~11月中旬には、混みあった枝や樹形から飛び出した枝を間引く剪定を行いましょう。木の内部の日当たりや風通しを確保しつつ、サルスベリの樹形を美しく整えることができます。
サルスベリの基本的な剪定方法
サルスベリは気温が上がり始めてから新芽の芽吹きが始まる前まで(3~4月上旬)に、以下の流れで剪定します。
多くの庭木は透かし剪定が中心ですが、サルスベリは花芽をつける新梢を伸ばすために、切り戻し剪定を主体に行います。
花が咲き終わった10月中旬~11月中旬には、②の不要枝の剪定をしましょう。
①前年に花が咲いた枝を切り戻す
サルスベリは4月頃から伸びた新しい枝の先端に花芽をつけ、その年の7月から順次花を咲かせます。
古い枝には花芽をつけないので、前年に花が咲いた枝の途中で切り戻し、花芽をつける新しい枝が出てくるように促しましょう。強く切り戻すほど、勢いの良い新梢が出て大きな花が咲きます。
毎年同じ位置で切るようにすれば、樹形やサイズをコンパクトに維持でき、毎年花を咲かせられます。
②枯れた枝や不要な枝を切る
枯れた枝や樹形を乱す不要な枝を剪定して取り除いておきましょう。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
サルスベリの場合、その年に伸びた徒長枝にも花芽がつくので、無理に切り落とす必要はありません。
また、サルスベリはひこばえや幹の下部からの胴吹き枝が出やすいです。残しておくと養分が奪われて主幹の生長を妨げてしまうので、見つけたら切り落としましょう。
③枝先のコブが大きくなったら切り落とす(数年に1回)
サルスベリの枝を毎年同じ場所で切り戻していると、枝先がコブ状に盛り上がってしまいます。
コブになった部分からはしっかりした枝が伸びなくなり、細かい枝がたくさん生えて花付きも悪くなります。
コブができてしまったら、すぐ下で枝を強く切り戻しましょう。その翌年は、伸びた枝をコブのあった位置よりも上で切り戻し、それ以降はその位置で切り戻すようにします。すると再び大きな花を咲かせるようになります。
④枝の切り口に癒合剤を塗る
病原菌や害虫が侵入しないように、剪定が終わったら枝の切り口に癒合剤を塗りましょう。断面のゴミを取り除いて、切り口全体に薄く均一に塗り広げます。
癒合剤を使ったほうが良いのは以下のケースです。
- 枝の切り口が大きいとき(直径3cm以上)
- 主幹から直接生えた枝や近い枝を切り落としたとき(3cm以内)
- 病気になりやすい木(サクラ、果樹など)
サルスベリは特にコブを切り落とした跡が大きな切り口になりやすいので、必ず癒合剤を塗ってケアしましょう。
基本的には自然にはがれ落ちるので、塗った後はそのままにしておいて大丈夫です。
サルスベリの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
サルスベリの枝をきれいに切るコツ
きれいに剪定するためには、枝の切り方や位置が重要です。サルスベリをきれいに剪定するポイントは、以下の通りです。
切りたい枝を握って垂直に力を入れる
枝を切るときは、ハサミを持っていない方の手で剪定対象の枝をしっかり握り、下方向に力を入れながら切るようにしましょう。こうすることでハサミとの摩擦が減り、スムーズに切断できます。
枝とハサミが密着しすぎると摩擦が増えて切りにくくなるため、切りにくいと感じた場合は意識してみてください。
外芽の上で剪定する
サルスベリの枝には「外芽」と「内芽」があります。このうち、内芽を残すと不自然な方向に伸びてしまうため、外芽の上で剪定するようにしましょう。
芽に近すぎる場所で切ると芽を傷つける可能性があるため、芽よりも5~10mm程度上の位置にハサミを入れて、芽の方向に沿って切るのがポイントです。
太い枝は少しずつ切断する
太い枝を切る場合、一気に根元から切り落とすと危険です。そのため、必ず段階的に切断するようにしましょう。まずは根元から少し先の部分の下側に半分ほど切り込みを入れ、その後、少し離れた箇所で枝の先端部分を上から切り落とします。
最後に根元から切り落とすことで、安定的に切断でき、樹形が整います。
サルスベリの剪定に関するよくある質問
最後に、サルスベリの剪定に関するよくある質問をまとめました。
サルスベリを剪定しないとどうなる?
剪定をしないまま育てると、無駄な枝葉にも栄養が分散してしまい、次の年に花がつきにくくなったり、病気になりやすくなったりしてしまいます。
つぼみや健康な枝に栄養が行き渡るよう、定期的に樹形を確認して剪定することが大切です。
サルスベリは花が終わった後に剪定が必要?
サルスベリは6〜9月頃に花が咲きます。早めに咲いた花のついた枝を軽く切り戻すと、再度開花する可能性があります。
ただし、花後の剪定は必須ではありませんので、必要に応じて行ってください。
サルスベリはどこを切るべき?
サルスベリの剪定は、前年に花を咲かせた枝の途中で切り戻しを行い、樹形を乱す枝が生えてきたら根元から切り落とします。毎年同じ場所で切り戻すようにすると、樹形をコンパクトに保てます。コブを作りたくない場合は、位置をずらして切り戻しましょう。
枝にできたコブはどうすれば良い?
繰り返し切り戻していた箇所がコブになってしまったら、コブのすぐ下で切り戻し、枝をあらためて伸ばしましょう。
伸びた枝を翌年切り戻すときは、元々コブのあった位置からずらし、10~15cmほど長めに残します。
サルスベリの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。庭に植えているサルスベリの場合、2~3mであることが多いので、1本あたり2,900~3,600円が目安です。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
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