カシノキ(樫の木)は、ナラ・カシなどブナ科コナラ属の総称で、 庭木としてはシラカシやアラカシ、ウバメガシが人気です。
大きく成長しすぎてしまうので、一年に2回程度は剪定が必要な樹木です。
この記事では、剪定の時期とカシノキの種類ごとの剪定方法についてまとめてみました。
カシノキの剪定時期は5~7月と10~11月の年2回
カシノキは比較的丈夫な木ですので、真夏以外は剪定をすることが可能ですが、おすすめの時期としては、5~7月と10~11月の年2回です。
生長が早い樹木ですので、5~7月は強剪定、10~11月は透かし剪定を行うのがベストです。
剪定のタイミングとして、真夏・真冬の時期はカシノキを弱らせてしまう可能性があるので、この時期だけは避けるようにしましょう。
カシノキの剪定に必要な道具
カシノキの剪定に必要な道具を紹介します。
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しましょう。
普通の軍手ですと剪定中に枝や葉が刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
カシノキの枝を切断するための専用ハサミで、片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっています。
植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができ、高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
サイズは色々あるので手の大きさ、左手用など自分にあったものを選びましょう。
植木バサミ
普通のハサミと同じような形をしています。
刃先が細く、小回りが利くため、込み入ったところにも入りやすいです。
細かい枝や最後の仕上げに使用します。
剪定ノコギリ
剪定バサミでは切れないような直径2cm以上の太さの枝を切るのに使います。
通常の木工用ノコギリとは異なり、刃が引く方向にのみ鋭利に切れる一方向切断刃が特徴です。
脚立
脚立は背の高い樹木を剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚を使いましょう。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
カシノキの太い枝の剪定後の切り口に塗ることで病気や菌から守ることができます。
保護剤を塗ることを忘れると病気や菌が侵入し、多大なダメージを受ける可能性があるので、清潔なハケ等で塗りましょう。
カシノキの剪定方法
カシノキは生長が早いので、一年に2回の剪定はほぼ必要不可欠です。
剪定方法をしっかり守って、自身の理想とするカシノキの姿を目指しましょう。
基本の剪定は間引き(透かし剪定)
間引き(透かし剪定)は、カシノキの成長と美しい樹形を維持するための重要な剪定作業です。
混み合って生えている枝や枯れた枝、おかしな方向に生えている枝などの不要枝を、根元から丁寧に切り落としていきます。
間引きを行うことで、カシノキの内部まで日光が十分に届くようになり、葉や枝の光合成がしっかり行われるようになり、健康的な生長が望めます。
さらに、風通しが良くなることで、樹木の葉や枝が素早く乾燥し、湿気による病気のリスクを大幅に減らせます。
加えて、不要な枝を取り除くことで、栄養分が健全な枝や新芽に効率的に行き渡るようになるので、全体的な樹勢の強化に努めましょう。
高さを出したくないときは切り戻しと芯止め
カシノキの切り戻しは、樹木の形状と成長をコントロールするために必要な剪定作業で、長く伸びすぎた枝や、樹形のバランスを崩している枝が対象になります。
枝を半分程度の位置から丁寧に切り落としすることで、切断面から新たな枝が分岐して成長し、見事な枝ぶりになります。
カシノキは生長が早いため、数年で4~5m、数十年も経つと20mを超えることもあり、高さを出したくない場合は、切り戻した後に主幹を切る芯止めを行うと良いでしょう。
芯止めは高さのコントロールができますが、与えるダメージも大きいので若木の間は避けておくのが無難です。
単幹と棒ガシの剪定方法の違い
棒ガシは、アラカシと呼ばれている樹種を株立ちにして、短めの枝葉をつけて仕立てたものです。
単幹仕立てと棒ガシ仕立てでは、それぞれ剪定方法が少し違います。
単幹仕立ての剪定の目的は、樹木の内部に日光と風通しをよくすることです。
まず、枝と枝の間を適度に間引き、樹冠全体に均等に日光が当たるようにしましょう。
さらに、理想的な樹形の二等辺三角形になるよう、枝を整えてください。
棒ガシ仕立ては、下部の枝を徹底的に取り除きましょう。
基本的には長方形(二等辺三角形に近い形の場合も)を維持し、透かし剪定または刈り込みによって緻密で均一な樹形を作ってください。
両方の剪定スタイルには、それぞれ実用的な目的があり、庭園や景観に応じて適切な方法を選択することが重要です。
単幹仕立ては自然で柔らかな印象を、棒ガシ仕立ては人工的で整形された印象を与えるため、自身の理想に合わせて選択しましょう。
カシノキを剪定するときの注意点
カシノキを剪定するときの注意点は下記の通りです。
三つ葉透かしをする
カシノキは内芽(何本かの枝からなる株の幹側に向いている芽)の先で切り詰めてしまうのはNGとしています。
何故かと言うと、内芽の先で切り詰めることで立枝が発生しやすくなり、枝が混み合ってしまうからです。
そのため、剪定方法として「三つ葉透かし」を行うのがおすすめです。
三つ葉透かしは、ひとつの枝に葉を三枚残す方法で、それ以外は切り詰めていきましょう。
寒さに弱いので剪定時期には注意する
カシノキは丈夫な樹木なので剪定時期がいつでも良いと思われがちですが、ウバメガシなどの種類は寒さに弱く剪定時期に注意する必要があります。
寒い時期に剪定をすると枯れてしまう原因になるので、12~2月の間は剪定を行わないようにしましょう。
主なカシノキの種類
カシノキといってもいろいろな種類があります。
その中でも代表的な3種類を紹介します。
シラカシ
シラカシは、白っぽい樹皮が特徴的な品種で、高木として知られ庭園や公園でよく植えられています。
葉は濃い緑色で革質、裏面は毛が生え、独特の質感を持っています。
成長が比較的早く、樹高15メートルほどまで育つこともあり、風格のある景観が人気ですよ。
アラカシ
アラカシは荒々しい葉の質感から名付けられた常緑広葉樹で、山地から里山まで幅広い環境で育っています。
葉の縁には鋸歯があり、力強く野性的な感じがあり、自然な景観作りや和風庭園に最適な樹木と言われています。
台風や寒さに強く、品質維持も比較的簡単で、カシノキ初心者からの人気も根強いです。
棒ガシ
棒ガシは、人の手によって丁寧に剪定され、直線的で整った形状を持つカシノキの仕立て方です。
主にアラカシやシラカシなどを用いて、生垣などの境界線として利用されている方が多いです。
剪定によって、樹木の下枝を取り除き、幹を見せながら、長方形や二等辺三角形の形状に仕立てられます。
カシノキのお手入れ方法
カシノキは比較的丈夫な樹木ですが、水やりや肥料などあったタイミングで与えないと枯れてしまう原因になるので注意が必要です。
水やり
植え付けたら基本的に水やりは必要なく、降雨のみで充分立派に成長することができます。
過剰に水やりをすることで、根腐れしたり傷めてしまう原因になるので、夏場の乾燥がひどいときや、雨がずっと降らないときのみ水やりを行ってください。
肥料
カシノキは寒さに弱いので、2月頃に油かす、腐葉土、堆肥などを混ぜてあげるとより良いです。
また、9月頃に追肥料として、化成肥料を与えるのもおすすめです。
日当たり
カシノキは、日光があまり当たらない場所や寒い場所でも比較的健康に育ってくれます。
日陰や日向などの場所に関係なく育てやすいスペースがある場所で育てましょう。
植え付け
カシノキは丈夫で育ちやすいですが、植え付け時期を間違えると枯れやすくなります。
植え付け時は基本的に5~6月に、広めのスペースを確保して行うようにしましょう。
5~6月の時期が難しい場合、真夏だけは避けて植え付けを行ってくださいね。
また、植え付け前に水はけのよい土であるかどうかを確認しとくのも大事なポイントです。
カシノキの病気・害虫対策
カシノキがかかりやすい病気や海中について紹介します。
病気:すす病
すす病は、主に湿度が高く、通気性の悪い環境で発生しやすい真菌性の病気です。
葉の表面に黒や灰色の煤(すす)のような汚れが広がり、葉の光合成を妨げ、カシノキの健康に深刻な影響を与えます。
症状
- 葉の表面に黒や灰色の薄い膜が広がる
- 葉の色が暗くなり光沢が失われる
- 葉の成長が遅くなる
- 重症になると葉が早期に落下する
予防
- カシノキ周辺の通気性を改善する
- 過度の湿気を避ける
- 定期的な剪定で日光を十分に当てる
- 水やりは朝か夕方に行う
- 樹木間の間隔を確保する
対策
- 感染した葉は速やかに取り除く
- 殺菌剤や抗真菌剤を使用する
病気:うどんこ病
うどんこ病は白いカビのような粉状の病原体が葉を覆い、カシノキの栄養吸収を妨げます。
特に春から初夏にかけて発生しやすく、湿度が低く、昼夜の気温差が大きい環境で繁殖します。
症状
- 葉の表面に白い粉状の膜が広がる
- 葉が変形したり縮んだりする
- 葉の色が黄色や茶色に変色する
- 葉の光合成能力が低下する
予防
- 十分な日光と通気性を確保する
- 樹木の密集を避ける
- 過度の窒素肥料の使用は控える
- 水やりは根元に行い、葉に水滴がつかないようにする
- 適度な湿度管理を行う
対策
- 感染した葉は速やかに取り除く
- 硫黄系の殺菌剤を使用する
害虫:イラガ
イラガは、カシノキの葉を大量に食べ尽くす厄介な害虫です。
幼虫は集団で行動し、葉を急速に食べ尽くすため、短期間で深刻なダメージを与える可能性があります。
症状
- 葉に不規則な穴が開く
- 葉が骨格状になるほど食べられる
- 幼虫は集団で活動し急速に広がる
- カシノキの栄養吸収と光合成に大きな影響を与える
予防
- カシノキ周辺の衛生管理を徹底する
- フェロモントラップを設置する
- 健康的な樹木環境を維持する
対策
- 手作業で幼虫を取り除く
- 生物学的農薬(BT剤)を使用する
- 化学的殺虫剤を適切に使用する
- 被害を受けた枝や葉は速やかに剪定する
害虫:テッポウムシ
テッポウムシは、カシノキの枝や幹に穴を開け、樹木の内部に巣を作る害虫です。
木の内部に侵入して栄養を吸収するため、長期的に健康を脅かします。
症状
- 枝や幹に小さな穴を開ける
- 樹木の内部に侵入して栄養を吸収する
- 木材を弱めて構造的な損傷を与える
- カシノキの寿命を大幅に縮める可能性がある
予防
- カシノキの健康状態を定期的に確認する
- 傷ついた部分や弱った枝を早期に処理する
- 適切な肥料管理を行う
- 過度のストレスを与えないようにする
対策
- 被害を受けた枝や幹は速やかに剪定する
- 専門的な薬剤処理を行う
業者にカシノキの剪定を依頼する場合の費用相場
カシノキの剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
樹木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決定します。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
剪定金額の目安は、以下の通りです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
---|---|
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
5m以上 | 16,000円~ |
作業時間別の目安料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
時間 | 料金 |
---|---|
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
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