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春を呼ぶラナンキュラスを鉢植えで育てよう。栽培環境とポイント

最終更新日: 2022年07月26日

ラナンキュラスはガーデニングで人気のある球根植物の1つです。育てやすく、春にきれいでインパクトのある花を咲かせてくれます。

ラナンキュラスの花言葉や育て方のほか、豊富な品種もご紹介します。

春を華やかに彩るラナンキュラス

ラナンキュラス

ラナンキュラスはキンポウゲ科の球根植物です。

写真のように、華やかで見ごたえのある花を咲かせてくれます。

植物名 ラナンキュラス
学名 Ranunculus asiaticus
科名 / 属名 キンポウゲ科 /キンポウゲ(ラナンキュラス)属
原産地 西アジア~ヨーロッパ
開花期 4月~6月
花の色 ピンク、オレンジ、黄色、赤、紫、色など
草丈 30~50cm

開花時期

通常は秋に植え、寒い冬を越すと開花します。

夏になると休眠期に入りますが、4月の開花から6月までは華やかな花で目を楽しませてくれるでしょう。

見た目の特徴

バラのように花びらを円形状に咲かせ、淡いピンクや黄色といった明るい色をまとうのがラナンキュラスの特徴です。

アネモネのように花の中心が盛り上がって咲く「アネモネ咲き」、フリルのような花びらが幾重にも重なる「ポンポン咲き」など、咲き方も豊富です。

球根植物にしては1球に付く花数が多く、比較的手がかからない性質から、ガーデニング愛好家に人気があります。

豊富な品種

ラナンキュラス(キンポウゲ)属の植物は世界中に500種以上あります。

その中でも一般的に「ラナンキュラス」と呼ばれ出回っているのは、ラナンキュラス・アシアティクスという品種が改良された園芸品種です。

楽しみ方

ラナンキュラスの目立つ大きな花は、切り花や花束、アレンジメントなどさまざまな楽しみ方があります。

切り花のラナンキュラスは、気温が下がる11月頃に花屋で見かけるようになります。3月が流通のピークです。

名前の由来

名前の由来は葉っぱの形にあります。ラテン語でカエルは「rana(ラナ)」と呼び、葉っぱがカエルの足に似ている様子からラナンキュラスと名付けられました。

ラナンキュラスの花言葉

ラナンキュラスの花言葉は「とても魅力的」「華やかな魅力」「純潔」などです。

また、ラナンキュラスは花の色によって異なる花言葉が存在します。

「あなたは魅力に満ちている」
「幸福」
「純潔」
ピンク 「飾らない美しさ」
オレンジ 「秘密主義」
黄色 「優しい心遣い」
「お祝い」

ラナンキュラスは華やかで花束にもぴったりな植物です。プレゼントに選ぶ際には、花言葉を気にして選んでみるのもいいかもしれませんね。

ラナンキュラスの育て方【栽培環境】

ラナンキュラス

ラナンキュラスを育てるためには、まず適切な栽培環境を準備することが大切です。ラナンキュラスがよく育つために必要な条件を見ていきましょう。

日当たり・適温

原種のラナンキュラスは湿地帯に育ちますが、園芸用の品種は湿気を好みません。日当たりや風通しのよい環境で育てましょう。

水分の多い場所で育てると害虫が付きやすくなり、球根がダメになってしまいます。雨が球根に直接当たると腐る場合もあるため、栽培する場所に注意が必要です。

ラナンキュラスは寒気に当たる時期に花芽が育ちますが、冷たい風に当たり続けると株が傷んでしまいます。冬場の気温が0℃を下回る日がある地域では、室内で冬越しさせた方がよいでしょう。

ただ室内では15〜20℃が生育適温となるため、暖房のたきすぎには注意しなければなりません。

用土

ラナンキュラスを育てる鉢植えには、水はけがよく有機物が多く含まれている土が向いています。ある程度は水持ちもある赤玉土やバーミキュライト、腐葉土がよいでしょう。

赤玉土と腐葉土を混ぜたものに、有機石灰やリン酸が含まれる緩効性の化成肥料を加えます。酸性土でなければ市販の培養土でもよいでしょう。

ラナンキュラスの育て方【購入~日々のお手入れ】

ラナンキュラス(ピンクとオレンジ)

ラナンキュラスを育てるためにはまず球根か花苗を購入し、植えるところから始まります。水やりの頻度から夏越し・冬越しのポイントまでおさえておきましょう。

購入

ラナンキュラスを育てるには、球根か花苗を購入して植えます。

初心者は、苗の鉢植えを購入するのがおすすめです。苗は10月頃から出回りはじめ、1~3月に流通のピークを迎えるので、花屋やネット通販を探してみましょう。

苗は葉の枚数が多く株の太さが十分にあるものを選ぶとよいです。生育が十分で芽吹いている苗なら、花をつけやすくなります。

また、春にはすでに花がついた鉢植えも売られています。すでに花が咲いているものを買えば、より管理もかんたんです。

植え付け

苗の場合

ラナンキュラスを鉢植えに植え付けるのは、秋から冬にかけての時期です。寒い地域なら少し早めの10月上旬〜11月中旬暖かい地域なら1カ月ほど後がよいでしょう。

植え付けに必要なもの
  • 鉢底ネット
  • 鉢底石
植え付けの方法
  1. 自分でブレンドした用土や市販の培養土を湿らせておく。
  2. 鉢底石で固定したネットの上から入れる。高さは1/3程度が目安。
  3. 鉢の中心あたりに球根が来るように苗をセットし、周囲を土で埋める。
  4. 植え付け後は水をやり日なたで管理する。

球根の場合

球根の植え付けは、土の温度や水分量が下がる11月~12月が適期です。

まだ暑い時期に植えてしまうと、乾いた球根が地面の中で急激に水分を吸収して腐ってしまう恐れがあります。

きちんと適期に植え付ける際にも、植え付け前には球根にゆっくり吸水させてあげる処理が必要です。湿らせたバーミキュライトなどの上に並べ、7~10日かけて吸水させましょう。

球根の具体的な植え付け方法は分球・植え付けの手順をご覧ください。(クリックするとページ内へジャンプします)

水やり

根腐れを起こさないように、水やりは土が完全に乾いてから行うのがおすすめです。葉や花びらを避けて、株元にたっぷりと水をかけます。

休眠している夏は水やりの必要がありません。

冬場は温度差でラナンキュラスが弱らないよう、気温が高くない時間帯を見計らって水を与えます。頻度は1週間に1回が目安です。

夏越し・冬越し

夏は球根を掘り上げて、冷暗所で保管しましょう。

冬は外に植えたままにして大丈夫です。ラナンキュラスの花芽は寒さにあたることで形成されるので、戸外で管理しましょう。

ラナンキュラスの育て方【花後の作業】

ラナンキュラス(白と紫)

ラナンキュラスの花をより長く楽しむために、また次の年もきれいな花を咲かせるために、開花してから行うべき作業をご紹介します。

花がら摘み・剪定

花が咲き終わったら早めに花がらを摘み取ってあげると、日当たりと風通しがよくなり、病気を防ぐことができます。

また、花が咲き終わるたびに葉の付け根部分から剪定してあげましょうそうすると2週間もすれば次の新しい花が咲き、涼しい地域なら初夏まで開花を楽しめるでしょう。

水やりの注意ポイント

花が終わっても、葉が黄色く枯れるまでは水やりをし続けましょう。そうすると球根が太り、養分を蓄えることができます。

葉が完全に枯れたら、屋外の日陰で秋まで放置しましょう。この間は水やりを行わず、球根を乾燥させます。

掘り上げ・分球

ラナンキュラスは1度植えれば何年も開花を楽しむことができますが、何年も植えっぱなしにしていると、球根の中心部分が腐りやすくなってしまいます。

3年に1度ほどのペースで掘り返して、球根を分けてあげましょう。

ラナンキュラス【注意したい病害虫】

注意

ラナンキュラスを育てるにあたって、注意したい病気や害虫を紹介します。見つけ次第、すぐに対処しましょう。

害虫

ラナンキュラスに付く害虫は主に、「アブラムシ」「ハモグリバエ」の2種類です。

アブラムシは葉の裏側に付き、尿でベタベタにしてしまいます。カビやすす病を招く恐れもあるため、粒状の殺虫剤で駆除しましょう。

葉の裏に群生するアブラムシ
葉の裏についたアブラムシ

ハモグリバエは寄生すると幼虫が葉の内部を食べてしまい、葉に白い筋が通る被害が起こります。花の時期とも重なる3〜5月は特に注意し、液体殺虫剤で駆除しなければなりません。

ハモグリバエの被害
ハモグリバエの被害を受けた葉

病気

「うどんこ病」「灰色かび病」にも注意しましょう。

葉が白くなっている場合はうどんこ病、グレーのカビが生えているなら灰色かび病のサインです。

うどんこ病
うどんこ病にかかった葉
灰色かび病のバラ
灰色かび病のバラ

どちらも放置しておくと他の葉にまで被害が広がるため、見つけたら早めに摘み取って対処します。日当たりと風通しのよい場所に置くのが、病害虫を予防するコツです。

ラナンキュラスが枯れてしまう原因は?

悩む女性

「ラナンキュラスの元気がない、枯れてしまいそう…」そんな時は、栽培環境や日々のお手入れを見直してみましょう。

元気なラナンキュラスを楽しむためにも、以下の原因を疑ってみてくださいね。

根詰まり

根詰まりを起こすと葉が黄色くなったり、花が咲かなくなったりしてしまいます。一番花のつぼみが出たら、一回り大きな鉢に植え替えましょう。

水切れ・過湿

水やりの頻度が適切でないとラナンキュラスは枯れてしまいます。

水切れすると花びらや葉がしおれてきてしまい、水をあげすぎると茎や葉が弱り、草姿が乱れて病気になりやすくなってしまいます。

ラナンキュラスの増やし方

ラナンキュラス 

ラナンキュラスの増やし方には、主に分球と種まきの2つの方法があります。それぞれ時期と方法を解説するので、挑戦してみてくださいね。

分球

  • 分球の時期

5月中旬~6月中旬

  • 分球の手順

  1. 夏前に葉が茶色くなったタイミングで、球根を掘り上げる。
  2. 球根の付け根の部分から茎を折る。
  3. 絡まった根の太い部分が折れないように、球根を手で切り分ける。
  4. 球根についた土を水で洗い流し、風通しのよい日陰で3日ほど干す。
  5. 乾いたらネット袋などに入れて風通しのよい日陰に吊るし、植え付けまで保管する。
  • 植え付けの手順

  1. 鉢植えの場合は、ポットに土を入れて肥料を混ぜる。地植えの場合は、植え付ける2週間前には土をつくっておく。
  2. 複数植える場合は12~20cmほど間隔をあけて、深さ2~3cmの穴を掘る。
  3. 穴に球根を植え、土をかぶせる。
  4. 土が乾かないように水やりをする。

種まき

  • 種の収穫時期・種まきの時期

種の収穫時期:開花の1~2か月後(4~7月あたり)

種まきの時期:9月中旬から10月中旬

  • 種を採る手順

  1. 花を放置して種を採ったら、日に当てて乾燥させる。
  2. 乾いた種を保存用紙袋に入れ、それをさらに密閉保存容器に入れる。
  3. 冷蔵庫で種まきの時期まで保管しておく。
  • 種をまく手順

  1. 種をまく前に、水を濡らしたティッシュなどに挟んで吸水させておく。
  2. 鉢植えの場合は、ポットに土を入れて肥料を混ぜる。地植えの場合は、植え付ける2週間前には土をつくっておく。
  3. 保管しておいた種を10粒ほど、重ならないようにまく。
  4. 種の上に薄く土をかぶせ、風に飛ばされないようにする。
  5. 日陰に置き、土が乾かないように水をやる。
  6. 2~3週間ほどで発芽するので、発芽したら徐々に日に当てる。
  7. 本葉が4~5枚ほど出たら、鉢や花壇に植え替える。

ラナンキュラスの品種

ラナンキュラスは色だけでなく、咲き方の種類も豊富です。中には変わり咲きする品種もあります。

アシアティクス

ラナンキュラスの原種として知られています。花弁が5枚の一重咲きで、現在よく知られているラナンキュラスとは大分違う見た目をしていますが、今では貴重な品種です。

草丈は30~50cmほどで、さまざまな花色があります。

ラックス

花びらにツヤがあり、日に当たるとキラキラ輝きます。

ラックスはほかの品種よりも耐寒性があるため、冬のあいだも植えっぱなしで大丈夫です。

シャルロット

ラナンキュラス シャルロット

ひらひらとした花びらが幾重にも重なって咲く、アネモネ咲きの品種です。

ほかの品種よりも大きな花を咲かせます。

フェスティバルビアンコ

写真のように、花の中心から葉が出るユニークな品種です。

一風変わったラナンキュラスが楽しみたい方はこちらがおすすめ。

ラナンキュラスを鉢植えで楽しもう

ラナンキュラス(オレンジ)

ラナンキュラスは春をきれいな花で彩る球根植物です。豊富なバリエーションがあるため、庭先や室内の雰囲気に合わせて好みの品種を選べます。

育てるのは比較的かんたんですが、温度管理や湿度には気を配りましょう。水はけのよい土を用意して土が乾いた頃に水やりをします。

球根と苗どちらからでも育てられますが、ラナンキュラスが初めてなら苗が向いているでしょう。扱いに慣れるためにも苗の鉢植えから始めた方が安心です。

▽ラナンキュラスと一緒に育てる宿根草を探すなら、こちらの記事もご覧ください。

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