ワイルドストロベリーは可愛らしい葉っぱと、食べられる実がなることで人気の植物。観賞用としても人気が高く、庭や室内に取り入れている方もたくさんいます。
ワイルドストロベリーの特徴 |
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ワイルドストロベリーは室内でも育てられる?
ワイルドストロベリーは暑さにも寒さにも強いですが、室内で育てることはあまりおすすめしません。室内で育てる場合には日当たりのよい窓際に置き、窓を開けてこまめに換気しましょう。
ワイルドストロベリーはいつ植える?
植え付けは春か秋に行います。種まきをする場合は、4~5月の春に行いましょう。
ワイルドストロベリーの育て方・管理方法
ワイルドストロベリーは名前に「ワイルド」と付くだけあって、頑丈で野性味あふれる植物です。
基本的には人が世話をする必要はなく勝手に増えていきますので、ガーデニング初心者にもおすすめの品種。
ただし何もしないと枯れたり、逆に増えすぎてしまったりします。ワイルドストロベリーならではの管理方法を見ていきましょう。
以下は年間の成長スケジュールです。ワイルドストロベリーは春から夏にかけて楽しむ植物。秋から冬は、株の手入れ時期になります。
※あとで詳しく述べますが、肥料は鉢植えの場合のみです。
▽こちらの動画では、ワイルドストロベリーの育て方を実演でわかりやすく解説してくれています。
日当たり
ワイルドストロベリーは暑さにも寒さにも強く、非常に育てやすい植物です。
そのためあまり場所を選ぶ必要もありません。コンクリートの隙間からも育つほどです。
日当たりが良いと花や実つきがよくなりますが、半日程度太陽光が当たれば栽培可能です。
ただし真夏の直射日光ではバテることもあるため、あまりに高温になる場合は半日ほど影で風通しの良い場所へ移しましょう。もしくは遮光を行ってください。
用土
用土は赤玉土と腐葉土を6:4程度で混ぜましょう。
またはホームセンターなどで販売されている草花用の培養土や、ハーブ用の土を使うのもおすすめ。しっかりと育ちます。
土が酸性だと育ちがあまり良くならないので、必要に応じてアルカリ性の石灰などをまいてください。
植え付け・植え替え
植え付けと植え替えは春か秋に行います。
株元が埋まってしまわない程度に浅く植え付け、根付くまでは乾燥させないようにしっかりと水やりを行いましょう。
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地植えの場合
地植えの植え替えは不要です。
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鉢植えの場合
鉢植えの場合は、毎年春か秋には植え替えをしましょう。鉢の中で根詰まりを起こすと、株が老化して花が咲かなくなるからです。取り出した根を慎重にほぐし、新しい用土を使って植え替えます。
水やりの量と頻度
暑さには強いものの乾燥には弱いため、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを行います。ただし常に土が湿っていると根が腐ってしまいます。
鉢植えの場合は受け皿に水がたまったままにしないでください。実や花に水が当たると傷みますので、水やりの時は株元に与えるようにしましょう。
葉が枯れつつあれば、水切れを起こしているサイン。毎日しっかり水やりを行ってください。
肥料のあげ方
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地植えの場合
ワイルドストロベリーを地植えする場合、施肥は不要です。痩せている土地でもしっかり育つので、肥料分が多い土地では逆に葉が大きくなりすぎて、見栄えが悪くなってしまうのです。
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鉢植えの場合
鉢植えの場合は、葉と実のつきをよくするために施肥を行いましょう。3月から5月、9月から11月の間に月に一度置き肥を行うか、月に3回程度液体肥料を土に差し込みます。
冬越し・夏越し
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冬
ワイルドストロベリーは暑さ・寒さには強く、特に寒さにはよく耐えます。そのため北海道のような寒冷地であっても冬越しに特別な準備は必要ありません。
冬は枯れて葉が茶色くなりますが、春になれば新しく新芽が出るので心配する必要はありません。
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夏
夏場は栽培環境のところで述べたように、あまりに直射日光が当たって気温が高くなるなら、半日影に移動させるか遮光してください。遮光ネットは100円ショップでも販売していますよ。
ワイルドストロベリーを室内で育てるには?
ワイルドストロベリーは頑丈な植物ですが、室内で育てるのはあまりおすすめしません。
暑さにも寒さにも強いですが、室内に置くと弱ってしまうことがあります。
しかしワイルドストロベリーは葉と実が小さくて可愛いので、鉢植えにして室内で育てている方が多くいるのも事実。
室内で育てる際に注意すべきなのは、水はけの良い土と日当たりです。用土にはハーブ用の土などを使い、できるだけ日当たりの良い窓辺で育てましょう。
エアコンの風に当たると乾燥してしまうので、できるだけ直接風が当たらない場所に置いてくださいね。
ワイルドストロベリーは増えすぎに注意!
ワイルドストロベリーは生命力が強く、放っておくとどんどん増えていきます。
増えすぎないよう、定期的に手入れをすることが重要です。
伸びすぎたランナーを切り落とそう
種類によっては、ランナーと呼ばれる茎のようなものが勢いよく伸びてくるものもいます。
このランナーは土に付くとそこから根を伸ばし、新しく株を作ります。花壇では全体を覆ってしまうほど横へ広がってしまうことも。ですからあまり範囲を広げたくない方はランナーを3本程度(株の更新用に)残して、あとは切り落とすのがおすすめですよ。
ランナーが出過ぎていると栄養が分散され、花付きや実付きにも影響するので注意してくださいね。
剪定をしよう
ワイルドストロベリーは草花なので、剪定とは「花茎切り」と「切り戻し」を意味します。
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春から夏場にかけて、果実がなったあとは収獲するたびに根から切り取りましょう。
また葉が茂って込み合っていると思われる株は、切り戻しで一度株元近くまで刈り込みます。そうすれば新葉が出て若返りますし、病気の予防にもなりますよ。
ワイルドストロベリーの収穫時期と実・葉の利用方法
ワイルドストロベリーは、実も葉も利用できるのが特徴の、コスパの良い植物です。ここでは収穫時期と、実や葉の活用方法を紹介します。
ワイルドストロベリーの収穫時期
ワイルドストロベリーの実(いわゆるイチゴ)は、4~7月頃にどんどん実をつけていきます。この時期か、9〜11月頃が実の収穫時期です。
白から赤く熟したら収穫しましょう。この時に葉も一緒に収穫するといろいろな楽しみ方ができますよ。
実の利用方法
実はそのまま食べることができますが、他のストロベリー品種に比べると甘さがないため、他のベリーと混ぜてジャムや果実酒にして楽しむのがよいでしょう。
葉の利用方法
ワイルドストロベリーは、実だけではなく葉も収穫して利用することができます。
葉は乾燥させてハーブティーにするのがおすすめ。
香りは残念ながらイチゴではなく番茶に近い香りですが、肝臓や腎臓、腹痛、下痢などに効果があります。美白効果もあるため、実や葉は化粧品にも利用されていますよ。鉄分やミネラルが多く含まれており、貧血気味の女性には特におすすめです。
ただし葉を使う時は完全に乾燥させるようにしてください。ワイルドストロベリーの葉は少しですが毒素があると言われており、完全に乾燥させることでそれがなくなるようです。
ワイルドストロベリーの増やし方
ワイルドストロベリーは株分けや種まき、ランナーを使って増やせます。
一番おすすめの方法は株分けです。株分けを行うことで、ワイルドストロベリーを増やせるだけでなく、株を若返らせることもでき、一石二鳥だからです。
また、品種によってはランナーが出ないものもあります。
増やし方①:株分け
株分けとは親株から根や茎を切り離して、別の場所で育てて増やすことです。
鉢植えの場合には、毎年春か秋に植え替えをする時に行うのが効率的です。
株をスコップなどでざっくり切り分け、根を丁寧にほどきます。
切り分けた株を庭の新しい場所や鉢に浅めに植え、しっかりと水やりをしてください。
▽株分けの詳しいやり方や準備するものはこちらの記事をご覧ください。
増やし方②:種まき
種まきの適期は春、4月と5月です。
すでに育てているワイルドストロベリーから種を収穫してまく場合は、熟した果実を放置して乾燥させてから収穫しましょう。乾燥した果実を手で揉んで種を取り、封筒などに入れて冷蔵庫の野菜室で保管しておきます。
種まきの方法 |
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増やし方③:ランナーの利用
ワイルドストロベリーの品種によっては、下図のようにランナーと呼ばれる細い茎のようなものが出てきます。
ランナーには子株ができ、これが土につけばやがて根を出して新しい株を作ります。
親株から出てきたランナーをそのまま土に埋めて育てることで、ワイルドベリーを増やせるのです。
ランナーを使って増やす方法 |
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ワイルドストロベリーの花が咲かない・実がならない原因は?
せっかく育てているワイルドストロベリーに花が咲かない場合、以下のことが考えられます。対処していきましょう。
原因①:老化
ワイルドストロベリーは植物ですので、年が経つと老化していきます。株は一般的に3~4年で花が付きづらくなり、5年くらいで突然枯れてしまうことが多いです。
特に鉢植えの場合、植え替えを行っていないと根詰まりから老化が早まり、花が咲かなくなります。
そうなってしまった場合は、その株は諦めて株分けやランナーで株の更新を行いましょう。子株を育てていけば、長い間ワイルドストロベリーが楽しめますよ。
原因②:水切れ
水が足りない状態も、ワイルドストロベリーの生育には良くありません。葉がしおれてきたらすぐに水をたっぷりやってください。
鉢の底からあふれる程度水をやり、夏場は朝晩の涼しい時に1日2回行いましょう。
原因③:ランナーが多い
ランナー(茎のようなもの)がたくさん出ている場合は栄養がそちらに分散してしまい、花や実に届かなくなります。
ランナーは3本程度残してあとは切り、花や実に栄養を回してあげるのがベストです。
原因④:虫による受粉ができていない
こちらは実がつかない原因です。
ワイルドストロベリは虫媒花といって、昆虫の媒介で受粉が行われる花です。そのため室内やマンションの高層階のベランダなど、虫のいない環境で育てていると受粉ができず、花が咲いても実が付きません。
虫による受粉ができないときには、綿棒などを使って人工受粉をしてあげる必要があります。
▽人工受粉の方法はこちらの動画が参考になりますよ。
ワイルドストロベリーの病害虫や食害
ワイルドストロベリーを育てる際、基本的に病気や害虫を気にする必要はありません。
次のような病気や害虫を見つけたら、その都度対処していきましょう。
【病気】灰色カビ病
灰色カビ病はボトリチス・シネレア菌によって起こる病気です。果実や根・茎などに淡褐色の病斑が出現し、灰色のカビで覆われます。
対処法 |
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予防法 | 日当たりの良い場所、風通しの良い場所へ移す |
【病気】うどんこ病
うどんこ病は湿気から来るカビが原因で起こります。葉の表面に白い斑点がつき、全体が枯れだしてしまう病気です。
対処法 | 症状が出たものを切り取って土に埋める |
予防法 | 日当たりの良い場所、風通しの良い場所へ移す |
【害虫】アブラムシ
アブラムシは新芽やつぼみについて吸汁し、植物を弱らせてしまいます。
対処法 |
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予防法 | 葉の裏に付くことが多いためよく観察する |
【害虫】ナメクジ
ナメクジは新芽やつぼみ、果実などを食べてしまいます。
対処法 | 見つけ次第駆除する |
【食害】鳥や虫に実を食べられる
ワイルドストロベリーは、実を虫や鳥に食べられてしまうことがあります。
予防法 | ネットなどをかぶせる |
ワイルドストロベリーの生態や特徴・種類
では最後にワイルドストロベリーの特徴についてまとめます。
科名/属名 | バラ科イチゴ属 |
形態 | 草花 |
草丈 | 10~20cm |
暑さ・寒さ | 強い |
花色 | 白 |
花言葉 | 「尊重と愛情」「清浄」「無邪気」 |
ワイルドストロベリーはバラ科イチゴ属で、ハーブの一種です。ヨーロッパでは幸運と愛を、アメリカでは奇跡を呼ぶといわれている縁起の良い植物。またキリスト教では正義の象徴とされています。
葉は綺麗な明るい若葉色、実が真っ赤に熟すなど見た目が非常に可愛らしいことから、ガーデナーたちに愛されています。
仕立て方によってグランドカバーやハンギングにも使える、用途の広い植物です。
特徴は実だけでなく葉も利用できること。ハーブティーにすれば消化作用が発揮され、胃腸炎や膀胱炎・リウマチ・関節炎などに効果があります。
ワイルドストロベリーの品種
ワイルドストロベリーは品種の多い植物ですが、代表的な系統は以下の通りです。
【エゾヘビイチゴ】
一般的なワイルドストロベリー。白い花が咲き、ランナーが出て地を這うように広がります。
【アレキサンドリア系】
斑入りのものや黄緑色のものがあります。個体によってランナーが出たり出なかったりしますが、多くはランナーが出ないタイプです。花が多く果実もつきやすいですが、茎がやわらかく折れやすいという点に注意が必要。アレキサンドリア系には「ゴールデンアレキサンドリア」などがあります。
【アルパイン系】
ランナーが出ない・花が咲きやすく果実が多いという特徴があります。名前に「アルパイン」が入っていればこの系統です。アルパイン系には「ホワイトワンダー・アルパイン」や「ミニョネット」などがあります。
【その他の品種】
他にも観賞用のワイルドストロベリーがあります。「白雪姫」や「赤頭巾ちゃん」といったものが有名。これらは花が咲いても実をつけないか、仮に実をつけても味がありません。