株分けの際に用意する道具は?
ハサミ、根かき、殺菌剤(癒合剤)、軍手、ゴーグルといったものを用意するとよいでしょう。詳しくは記事内で解説しています。
株分けの手順は?
1.株分けする植物を土から取り出す、2.株を分割する、3.それぞれの株を鉢か地面に植える、4.水をあげてしばらく日陰に置いておく、といった手順で株分けすることができます。
ハサミ、根かき、殺菌剤(癒合剤)、軍手、ゴーグルといったものを用意するとよいでしょう。詳しくは記事内で解説しています。
1.株分けする植物を土から取り出す、2.株を分割する、3.それぞれの株を鉢か地面に植える、4.水をあげてしばらく日陰に置いておく、といった手順で株分けすることができます。
「株分け」は、成長した宿根草をいくつかに分けて増やす方法のひとつです。
具体的にどんな方法なのでしょうか?
「株分け」とは先述したとおり、宿根草(1年で枯れず、毎年花を咲かせる植物のこと)を増やす方法のひとつです。大体3~4年に1度必要で、親株から根や茎を切り離して、別の場所で成長させます。
植物を増やす方法は株分けのほかに「種まき」「挿し木」「取り木」などがあります。また、球根植物の株分けは「分球」と呼ばれることもあります。
株分けは枝から切る挿し木と違って根ごと分割するため、終わった後の根付きがよいのが特徴です。
①植物を増やす
野菜や果物であれば、収穫量も増えるので嬉しいですよね。株分けは根をつけたまま行えるので、他の方法と比べて失敗が少ない繁殖方法です。コツさえつかめば、初心者でも簡単にできますよ。
②植物を若返らせる
植物は大きく成長すると根が養分を取り合ったり、葉が密集して風通しが悪くなったりします。大株をそのままにしておくと、葉や花に元気がなくなってしまうのです。株分けをしてひとつの大きさを小さくすることで、風通しや日当たりがよくなって植物の若返りを促せます。
株分けができるのは地中に根や地下茎があり、根から芽を出す種類に限られます。観葉植物ならどの品種でもできるわけではないため、注意しましょう。シダ類やヤシ類であれば可能と考えて問題ありません。
株分けが向いている植物、株分けが可能な植物の代表は、以下のような種類です。(青文字はクリックすると、その植物についての記事にジャンプします)
樹木 |
など |
草花 |
など |
観葉植物 |
など |
一口にハーブといっても、様々な種類があります。繁殖方法として株分けが向いているものもあれば、挿し木が向いているものも。
株分けが向いているのは、セリ科・イネ科のハーブや、ミント類です。具体的には、以下のような種類が挙げられます。
|
株分けに適した時期は、植物によって異なります。上の図はガーデニングに人気の植物の株分け時期をカレンダーにまとめたものです。
栽培している植物があてはまる人は参考にしてくださいね。ここでは、株分けの時期や、株分けが必要だと判断するタイミングを解説していきます。
株分けを行うのに適した時期は基本的に、暖かくなり始め植物が活気づく、春以降に行うのがおすすめです。だいたい植え替えと同時期に行います。日本の標準的な気候であれば、5〜9月の間なら多くの観葉植物で問題ありません。
真冬や真夏は避けましょう。株分けは植物にとってとても体力を消耗するので、回復力や根付きが悪くなる真夏や真冬に株分けを行うと、植物にダメージを与えてしまいます。
植物の分類ごとの株分け時期は、以下の表を参考にしてください。
分類 | 株分けに適した時期 |
常緑樹 | 春と秋の2回 |
落葉樹 | 春(2月下旬~6月)
秋(9月~10月) |
草花 | 春(2月~6月中旬)
秋(9月~10月) 春咲きの草花は秋に、秋咲きは翌年の春に行います。 |
観葉植物 | 3月下旬~7月中旬
根詰まりを起こしたり、水はけが悪くなったら行います。 |
株分けは、植物が育ちすぎてきたなと感じたタイミングで行います。
株分けができるのは、十分に成長した大きな成株のみ。枝や芽の少ない幼苗は、株分けすることはできません。
株分けができるサインは以下のようなときです。
間引く必要がない成長途中の株を分けてしまうと、育ちが悪くなってしまうので注意が必要です。株分けはあくまでも育ちすぎた植物に行うものと覚えておきましょう。
株分けをする前に準備するものは以下のとおりです。もちろん小さな植物であればなくても株分け作業はできますが、大事な植木を枯らさないためにも一通りそろえた方が安心です。
ハサミ |
手で分けられないときは刃物を使います。 剪定バサミのような刃ではなく、ストレートな形状のものが切りやすいです。 株が大きい場合は、ナイフや剪定用ノコギリでも大丈夫です。 |
根かき |
根が硬く絡み合っているときに使う、根をほぐすための道具です。 古い根を取るのに役立ちます。 |
殺菌剤(癒合剤) |
切り分けた後の断面は雑菌が入りやすいので、切り口に塗ってあげるとよいです。 |
軍手やゴーグル |
植物によっては毒性の液が飛び出てくることもあるため、素手で触れたり目に入ったりしないように防備しておくと安心です。 |
株分け作業の一番の敵は、雑菌です。
道具に雑菌が付着していると植物が病気に感染し、枯れてしまう可能性があります。株分けをする前に道具をチェックして、汚れがあれば水洗いと殺菌・消毒をします。
また病気にかかった植物を株分けした際に、道具にウイルスが付着する場合もあります。複数の植物を同じ道具で株分けするときは、殺菌・消毒を間にはさんで感染を防ぎましょう。
殺菌・消毒にはアルコール消毒や熱いお湯をかける煮沸消毒、バーナーやライターで刃物をあぶる方法が有効です。アルコールは度数が70%以上のものを選びましょう。
園芸用品の消毒用として販売されている第三リン酸ナトリウムを水で薄め、刃物を漬けて消毒するのもおすすめです。
株分けの方法は以下のとおりです。
1.株分けする植物を土から取り出す |
鉢植えの場合は鉢から地植えの場合は周りを掘って株分けする植物を取り出します。
根本をしっかり持って、根を傷めないように丁寧に作業しましょう。 |
2.株を分割する |
根に付いている土を優しく払い落とし、伸びすぎていたり傷んでいたりする根は切り落とします。
残った根を広げ可能であれば手で、難しければナイフや園芸用のハサミで必要な数に分けていきます。 |
3.それぞれの株を鉢か地面に植える |
鉢植えの場合は最初に半分ほど土を入れ、植物をおいて高さを調節しながら土を根にかぶせていきます。
水がたまりやすいように根まわりの土は少し高く盛っておきましょう。 |
4.水をあげてしばらく日陰に置いておく |
株分け後は2~3週間ほどは日陰で管理しましょう。
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▽こちらの動画では、株分けの手順を実演しながら丁寧に解説してくれています。イメージがつかめない人はぜひ見てみてくださいね。
株分け直後の植物はとても弱った状態です。負担をかけないよう、2~3週間は日陰においてあげましょう。
過剰な水やりも根の発達を妨げるため控えましょう。鉢皿に水をためないように土の表面が乾いてから行うのがベストです。葉に水をかける「葉水」と呼ばれる水やりだけで十分な種類もあります。
根が安定したら、本来植物が必要とする日当たりの場所に移しましょう。水やりも通常通りの頻度に戻してOKです。
新しい葉や根が出てこない場合は、休ませる期間を長くして様子を見ます。
株分けはコツさえつかめば簡単に行うことができる繁殖方法ですが、もちろん失敗してしまう場合もあります。
しかし事前によくある失敗を知っておけば、事前に防ぐことができますよね。株分けを行う際は、以下の2つに注意しましょう!
株分けをする時に一番に気をつけなければいけないのが「時期」です。
株分けは植物にとって大変体力を使うので、真夏や真冬に行うと厳しい環境に耐えられずに枯れてしまいます。
必ず花が咲き終わった後や、植物の生長期に行うようにしましょう。
複雑に根が絡まっている植物を株分けするときは、丁寧にほどいてから株分けを行わないと枯れてしまいます。
ギボウシやシンビジュームのように根が複雑に伸びている植物でも、無理やり切り取るのではなく丁寧に根をほどいてから株分けをしましょう。
大きく成長した植物は、葉や根が密集して老化が進んでしまうケースが少なくありません。株分けができる種類の観葉植物なら、若々しく育てるためにも適切なタイミングでの株分けをおすすめします。
株分けは基本的な手順さえしっかりと押さえれば、園芸初心者でも簡単にできる作業です。
ただし植物にダメージを与えることもあるため、季節の見極めや道具の殺菌・消毒、株分け後の管理は慎重に行いましょう。