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クリスマスローズの育て方!綺麗な花を咲かせる管理方法や注意点を解説!

最終更新日: 2024年06月28日

クリスマスローズの基本情報

植物名 クリスマスローズ
学名 Helleborus
科名 / 属名 キンポウゲ科ヘレボルス属
原産地 ヨーロッパ、西アジア
耐寒性 強い
耐暑性 弱い
草丈・樹高 10~50cm
特性 常緑性、冬に開花、豊富な花色

クリスマスローズとは【茎による違い、花言葉、毒性】

白いクリスマスローズ

クリスマスローズは12月~4月に開花する、寒さに強い多年草です。ここではクリスマスローズの種類や花言葉、毒性について紹介します。

有茎種と無茎種の違い

クリスマスローズは種まきで増やしても花の色や形、模様が安定しないため、園芸品種がありません。このように多種多様なクリスマスローズですが、大きくは「有茎種」と「無茎種」の2つに分けられます。

有茎種:株元から伸びた太い茎に葉と花がつく

無茎種:葉と花が、株元から伸びた別々の茎につく

花言葉は「慰め」、「私を忘れないで」

クリスマスローズの花言葉の1つとして、「私を忘れないで」があります。これは、中世のヨーロッパで騎士が戦場に行く時、恋人にクリスマスローズを贈っていたことに由来しています。

他の花言葉は「慰め」です。これは、クリスマスローズの原種が持つ香りが人々の心を癒していたことに由来するとされています。

クリスマスローズの毒性

クリスマスローズには毒があり、直接触れると皮膚の炎症やただれを引き起こします。樹液だけではなく葉や花にも毒があるので、作業をする際は手袋をしたり、長袖のシャツを着たりして直接触れることを防ぎましょう。

また誤って口にすると、炎症や吐き気、めまいなどの症状を引き起こします。沢山摂取すると死に至る可能性もあります。お子さんやペットが間違って口にしないよう、届かない場所に置くなどして気を付けましょう。

クリスマスローズの選び方

白い花を咲かせるクリスマスローズ

クリスマスローズは、株によって花の色や形、模様が異なるのが特徴です。自分の好みに合った株を選べるよう、苗の種類や選ぶ時に注意するべきことなどについて紹介します。

苗の種類

クリスマスローズの苗は、大きく分けて3つの種類があります。

開花株 初花が咲いている状態で売られている苗。5~6号ポットが主流。
開花見込み株 シーズンを迎えると初花を咲かせる予定の苗。5~6号ポットが主流。
ポット株 1年以上育てたら開花する苗。2~3号ポットが主流。

すぐに花を鑑賞したい場合は、開花株や開花見込み株を購入しましょう。

苗を選ぶ時に注意するべきこと

クリスマスローズの苗を選ぶ時は、病気にかかっていないかを確認してください。花や葉に黒いしみや変色があるものや、縮れがあるものは、病気にかかっている可能性があります。長い間花を楽しむために、健康な苗を選びましょう。

また芽と葉の数は少なくても、芽が太くてしっかりしている苗を選ぶのがポイントです。芽が多くても、小さいと花がつかない可能性があります。

実生苗とメリクロン苗

クリスマスローズの苗には、実生苗(みしょうなえ)とメリクロン苗があります。

実生苗とは、植物を種から育てた苗のことです。クリスマスローズは種子ごとに花の色や形が異なるので、実生苗から好みの花を育てるためには開花株を購入しましょう

花が咲く前に選びたい場合は、メリクロン苗がオススメです。メリクロン苗は、オリジナル株から得た生長点(細胞分裂が盛んな部分)を、無菌状態で培養した苗です。固定した色や形の花が咲くので、自分好みの花を購入することができます。また無菌状態で育てられているため、病気にかかっている可能性が低く、安心です。

クリスマスローズに適した栽培環境【日当たり、用土】

ピンク色のクリスマスローズの花

クリスマスローズは暑さに弱く、25℃以上で休眠します。鉢植えにして季節ごとに適した場所に移動して育てましょう。

明るめの日陰で育てよう

鉢植え

鉢植えの場合は季節ごとに場所を移動させることがポイントです。クリスマスローズの成長期である10月~4月は、日当たりのよい場所で育てましょう

暖かくなってきた5月~9月は、遮光を行い、明るい半日陰で管理してください。直射日光に長時間当たると枯れてしまうことがあります。

また根腐れを防ぐため、梅雨どきなど、雨が続く場合は軒下などに移動してください。

地植え

地植えの場合は、水はけのよい明るい半日陰で育てましょう。休眠期である夏に直射日光を沢山浴びせるのは良くないです。暑さに強い植物を近くに植え、クリスマスローズを守る工夫をしましょう。

土は水はけのよいものを

用土は水はけ、水もちのよいものを用意しましょう。赤玉土小粒4、軽石小粒3、腐葉土3の配合土などがオススメです。また酸度は、弱酸性から中性が望ましいです。

クリスマスローズの育て方【植え付け・植え替え、水やり、肥料】

クリスマスローズの種

ここからはクリスマスローズの植え替えや水やり、施肥の方法について説明します。季節によって方法が異なるので注意してください。

植え付け、植え替えの時期と方法

植え付け・植え替えは成長期の前である10月~1月が最適です。成長が早いので、3年に1度は1~2まわり大きな鉢に植え替えてください。

土が固くなって水を吸収しなかったり、鉢の底から根が飛び出ていたりする場合も、植え替えの目安です。手順は以下の通りです。

  1. 苗を鉢から取り出し、根に付いている土をほぐす。
  2. 黒く腐った根は清潔なハサミで切り落とす。
  3. 植え替えの前日は、手で持って軽く固まるくらい、土を湿らせる。
  4. 7号以上の鉢は、底に軽石を敷いてから鉢の1/3ほど土を入れる。6合以下の場合は、そのまま鉢の1/3ほど土を入れる。
  5. 下処理をした株を鉢の中心に置く。
  6. 株がぐらつかないように土を周りに入れる。
  7. 鉢の縁より2~3cm下まで土を入れる。
  8. 翌日の朝、鉢の底から流れ出るくらい、たっぷり水を与える。

水やりは時期と時間に注意

鉢植え

10月~4月はクリスマスローズの成長期なので、土が乾いたら鉢の底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。一方、5月~9月は気温が上昇し、休眠期に入ります。休眠期は吸水する力が弱まっており、水を与えすぎると根腐れを起こす可能性があるので要注意です。この時期はやや乾かし気味に管理しましょう。

地植え

何日も雨が降らない時を除いて、基本的に水やりをする必要はありません。

肥料について

肥料は地植え、鉢植え共に2度施します。1度目の施肥は生育期の初期にあたる10月です。緩効性の化学肥料を与えましょう。2度目の施肥は花期が終わった4月です。「美しい花をありがとう」という気持ちを込めて、お礼肥を施しましょう。

鉢植えの場合は栄養素が流れ出るので、これらの施肥の他に追肥を行う必要があります。10月から4月までは月に3回程、液体肥料を与えましょう。葉が黄色くなってたら肥料不足のサインです。注意深く観察するようにしてください。

なお5月~9月は肥料をあまり与えないようにしましょう。休眠期に入り栄養を必要としなくなったクリスマスローズに肥料を与えると、肥料やけを起こし、後の成長に悪影響を与える可能性があります。

クリスマスローズを長く楽しむためのお手入れ【古葉取り、花がら摘み】

黄色いクリスマスローズ

クリスマスローズは複数年にわたり花を楽しめる植物です。長く楽しむためには、古葉取りや花がら摘みを行う必要があります。

11月~12月には古葉取りをしよう

古い葉を取り除く作業を「古葉取り」と言います。「葉切り」とも呼ばれ、日当たりや風通しを良くするために行います。11月~12月に行うのが理想です。新芽が展開し始めたら古い葉をつけ根から切り取りましょう。

花がら摘みをして次の花に備えよう

「花がら摘み」とは、咲き終わってしおれた花を摘む作業のことです。花がら摘みは、不要な箇所に養分が取られることを防いでくれます。その結果、全体の花付きが良くなるうえ、株の寿命の消耗を抑えることができます。

花が色あせたり、雄しべが大きくなってきらた花がら摘みのサインです。種を採取しない場合は、花びらか雄しべのさやの部分だけを摘み取ります。種を取る場合は、種が成熟してから花がらを切り取ります。

最難関!夏越しのポイント

夏のすだれ

冬にクリスマスローズの花を楽しむには、夏越しを成功させる必要があります。夏越しで気を付けるべきことは以下の3点です。

①置き場所

直射日光に晒されないよう遮光を行い、明るい日陰に置くようにしましょう。初夏には遮光ネットや簾(すだれ)を準備し、植物との間を風が抜ける様にしてしっかり日を遮ってください。ネットは高い位置に張り、ネットと植物の間の風通しを良くしましょう。

正しい場所に置いても鉢の温度が上がってしまう場合は、鉢の側面にアルミホイルを巻くことで改善できます

②水やり

夏はクリスマスローズの休眠期なので、吸水機能が衰えています。水の与えすぎに注意しましょう。

③肥料

夏は肥料を与えないでください。休眠期のクリスマスローズに肥料を与えると、肥料やけを起こしてしまい、悪影響です。

注意したい病害虫

紫色のクリスマスローズの花

クリスマスローズが枯れるとすれば、夏場の過度な水やりや直射日光に当ててしまったことの他に、病害虫の影響も考えられます。ここでは気を付けたい病害虫について説明しましょう。

クリスマスローズがかかりやすい病気

クリスマスローズがかかりやすい病気の1つに、灰色カビ病があります。カビが原因で葉や茎などが茶色く変色し、株自体が腐敗して枯れます。殺菌剤を塗布することで対処しましょう。

ブラックデスもクリスマスローズがかかりやすい病気です。ウイルスの感染によって株のさまざまな場所に黒い斑点ができ、最終的には枯れてしまいます。治療不能なので見つけ次第株を処分しましょう。またブラックデスは花茎切りをする際のハサミからも感染します。クリスマスローズの花茎を切る時には、1株ごとに剪定ハサミも消毒しましょう。

他にも、立枯病、べと病、軟腐病、モザイク病などにかかる可能性があります。症状と対処法は以下の通りです。

病名 症状 対処法
立枯病 カビの発生によって茎が褐色になって腐敗し細くなる。やがて枯死する。 腐敗している部位を切除する。
べと病 カビが発生し、葉に薄黄色の斑点が現れる。 症状が出た葉を摘み取る。
軟腐病 細菌が原因で、地上部はしおれ、地際は腐って溶けたようになる。腐敗した部分は悪臭を放つ。 症状が出た部分を抜き取り、処分する。
モザイク病 ウイルスによって、葉に濃淡のあるモザイク状のまだら模様が現れる。 発病した株を抜き取って処分する。

クリスマスローズにつく害虫

法を抑えて、大事なクリスマスローズを害虫から守りましょう。

ハダニ

ハダニは葉から栄養を吸汁、成長を阻害します。葉の裏側などを水で流す葉水を行いましょう。

ヨトウムシ

ヨトウムシは葉や茎を食べてしまいます。葉の裏を確認し、卵をみつけたら葉ごと除去しましょう。
「被害が深刻」「虫が苦手で対処できない」といった場合は、害虫駆除の専門家に依頼するのがおすすめです。確実に駆除してくれますよ。

クリスマスローズの増やし方【株分け、種まき】

クリスマスローズの花

クリスマスローズの栽培に慣れてきたら増やしてみませんか?一般的な挿し木などでは増やすことができないクリスマスローズの増やし方について説明します。

株分けで増やす

株分けの適期は10月から12月です。あまり細かく分けると生育が悪くなるので、気を付けましょう。手順は以下の通りです。

  1. 株を3~4芽ずつの株に分ける。
  2. 元々付いていた用土を落とし、新しい用土に植え替える。
  3. 1~2週間は風を避け、水やりは控えめにする。

種まきで増やす

株分けでは大量に増やすことが難しいので、大量に増やしたい場合は種まきによって増やしましょう。種まきは、5月頃に採取した種をすぐにまく「取りまき」と、種を保存しておいて秋にまく「秋まき」がありますが、クリスマスローズは「取りまき」がオススメです。手順は以下の通りです。

  1. 培養土を用意し、水をたっぷり与えておく。
  2. 種を重ならないように蒔く。
  3. 5mm~1cmほど土を被せる。
  4. 水をたっぷりとかける。
  5. 日陰に置き、極端に乾かさないように管理する。

春になると発芽します。3月に入ると本葉が出てくるので、1本ずつ3号ポットに鉢上げしてください。その後は通常の苗と同様に育てます。

クリスマスローズを育ててガーデニングを楽しもう

小さな白い花を咲かせるクリスマスローズ

クリスマスローズは育ててみないと花色や花の形がわからない特徴があります。美しい花をつけるだけでなく、育てるたびに新しい表情をみせてくれるのが、他の花木にはない魅力といえるでしょう。

またクリスマスローズは、ほかの植物の開花が少ない冬の時期に花を咲かせます。色合いが寂しくなってきた庭に鮮やかなコントラストをもたらし、庭を華やかに彩ります。

クリスマスローズをガーデニングに取り入れて、肌寒い冬にも花の移ろいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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