常緑樹でたくさんの可愛い花を咲かせることから、大変人気があるビバーナム。特に「スノーボール」や「ティヌス」を育てたい方も多いのではないでしょうか?せっかく手に入れたのなら綺麗に花を咲かせ、健やかに育てたいですよね。
ビバーナムは強靭な植物で、正しく育てればきちんと綺麗な花を咲かせてくれます。ただし、開花時期の手入れや剪定では注意が必要なことも。
ここではビバーナムの特徴や手入れの方法など、育てて楽しむために知っておいてほしいことをすべて解説していきます。
基本的なことは、スノーボール・ティヌスで共通です(その他の種類も同じことが多い)。ぜひ参考にしてみてください。
ビバーナムの特徴や種類!知っておくべき基礎知識
ビバーナムはレンプクソウ科ガマズミ属の低木で、原産国は東アジアやヨーロッパ。育っても高さが1mから3m程度で、白い花がこんもりと大量に咲きます。
花が咲くのは4月~5月。花の色は白のみで、花冠が5つに分かれて開きます。花が終われば楕円形の果実が実り、秋になると美しい青紫色へと変化します。
暑さにも寒さにも強く、どこを切っても脇芽から新枝を伸ばしてくる生命力!冬でも枯れこまずに肉厚のしっかりした葉を茂らせてくれるため、お庭が寂しくなりません。心配するような病気もないので、ガーデニング初心者でも安心して育てられる花木と言えますね。
日当たりを好みますが、耐陰性もあるため日陰のお庭でも大丈夫です。基本的には庭植えが良いですが、刈込にもよく耐えるため生垣にも利用されます。もちろん鉢植えでもしっかりと育ちますよ。
ビバーナムには近縁種も含めると多くの種類があり、日本では15種類以上が自生しています。以下のような種類が有名ですね。
- スノーボール
- ダビディ
- ティヌス
- カールセファーラム
- コンパクタム
- オオデマリ
- ヤブデマリ(ビバーナム・プリカツム)
ではこの中でも特に人気の種類「スノーボール」「ティヌス」「オオデマリ」を簡単に紹介しますね。
スノーボール
スノーボールはこのような花が咲きます。咲き始めは淡い緑色で、しばらくすると白色へと変化します。
暑さや寒さに強く育てる場所を選びません。秋には葉が紅葉するため、花・実・葉と3回の変化を楽しめます。
アジサイに似ている種類で見分けが難しいですが、違いは開花時期と葉の形。スノーボールは春に白い花を咲かせ、アジサイは梅雨時期に色とりどりの花を咲かせます。スノーボールの葉は3つに割けたような形をしているのに対し、アジサイの葉は卵型です。
ティヌス
ティヌスはこのような花が咲きます。つぼみはピンク色ですが花は白く、実はブルーベリーに似ています。
香りも良いため、切り花アレンジによく利用されていますね。木の高さは1m程度から3m程度とさまざまです
オオデマリ
オオデマリはこのような花が咲きます。名前の通りに花が他の種類よりも大き目で、手毬のような形ですね。花は真っ白とピンク色があります。
他の種類に比べて寒さには弱いので、地植えより移動可能な鉢植えで育てることがおすすめです。
ビバーナムを育てるのに必要なものや環境(スノーボール/ティヌス)
種類は違いますが、スノーボールとティヌスを育てるのに必要な環境はほとんど同じです。頑丈で成長速度も速い植物ですので、ガーデニング初心者でも安心して育てられますよ。
水やりや肥料を与えるタイミング・用土など、ビバーナムを育てるのに必要な環境について見ていきましょう。
水やり
ビバーナムを地植えする場合には、自然の降雨で大丈夫です。ただし、夏場にかなり乾燥しているようであれば、夕方に水やりをしてください。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
土の表面が常に濡れた状態では根腐れを起こす可能性があります。手で土の表面に触れ、サラサラと乾いていたら水を与えてくださいね。
土と肥料
ビバーナムは幅広い土に適応できますが、基本的には腐植質で水はけのよい土を好みます。地植えや鉢植えの土は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたものを使いましょう。
地植えの場合、肥料は1年に2回です。まずは1月~2月の間、次に花が咲き終わったタイミングですね。この時期に、固形の油かすやゆっくりと効果がでる緩効性肥料を株の周辺に埋め込みます。
鉢植えの場合は1年に3回です。2月~3月の春先、花が咲き終わった後、そして秋に緩効性肥料を与えてください。
気温や湿度
ビバーナムは耐暑性・耐寒性ともに高く、気温や湿度を気にする必要はありません。北海道から沖縄まで、日本ではどこでも大丈夫です。
日当たりの方が花つきは良いですが、半日陰でも十分に育ちます。
植える場所を選べるのであれば、日当たりが良い場所で水はけの良い土を使ってください。そうすれば花付きもよく、実もたくさんなりますよ。
ビバーナムの育て方・手入れ方法(スノーボール/ティヌス)
ビバーナムの手入れに必要な作業は以下の通りです。
日頃の手入れに関しても、スノーボールとティヌスでほとんど違いはありません。それぞれの作業内容を見ていきましょう。
ビバーナムの植え付け方
1年に2回、植え付け・植え替え時期が来ます。2月下旬~3月、そして花が終わった9月~11月です。
地植えの場合は、苗の2倍以上の穴を掘り、その土に3割程度の腐葉土や堆肥を混ぜ込んでからしっかりと苗を埋め込みます。根付くまでは倒れないように支柱が必要です。水をたっぷり与え、根と土を馴染ませるために棒のようなもので数回表面をつつきましょう。
鉢植えの場合には、苗よりも2回り程度大きな鉢に、鉢底ネットと石を敷いて植え付けます。土は赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたものを使い、日当たりの良い場所において水をたっぷりやってください。土は既に混ぜられた「配合土」が市販でありますので、利用しても良いですね。こちらも根付くまでは支柱で支えるようにしましょう。
また、鉢植えであれば根詰まりを起こすことがあります。その時には一回り大きな鉢に新しい用土を使って植え替えてくださいね。
ビバーナムの剪定方法や時期
剪定は「透かし剪定」がおすすめです。剪定ハサミを使って古い枝や伸びすぎた枝の付け根から切り落とす作業のことですね。
ビバーナムは自然樹形で綺麗に形が整う植物ですので、剪定も毎年必ず行うべきことではありません。しかし花芽が多く欲しいときには、脇芽を10個ほど残して剪定してみてください。花付きが多くなりますよ。
ビバーナムの剪定時期は、花が咲き終わったあとすぐのタイミングで行います。開花時期が4月~5月なので、剪定は5月~6月ごろにするのがおすすめです。
もしこの時期を逃してしまったら、剪定には注意が必要。夏には枝の先端に花芽がつくため、夏以降に剪定をすると翌春に花が楽しめなくなってしまいます。剪定時期を逃した場合は、伸びすぎた枝だけを間引くくらいにするのがおすすめです。
ビバーナムの増やし方
ビバーナムは挿し木で増やすことができます。挿し木を行うのは6月中旬~7月上旬が良いでしょう。
その年に伸びた枝を切り取り、挿し穂とします。枝の先端に花芽が合った場合は挿し木の負担になるので、カットしてしまいましょう。葉も2枚程度を残してあとはカット。切口から3㎝程度を「メネデール」という植物の活力剤に漬けて、発根を促すのがおすすめです。挿し木用の用土を準備し、3号ポット程度の大きさの鉢に挿しましょう。
挿し木開始から1週間程度は、明るい日陰で管理してください。水切れは厳禁です。培養土が乾くと発根促進が無意味になりますので、土が乾かないように水やりをします。
残した2枚程度の葉の様子をみながら、徐々に日向へと移動させます。1カ月程度で逆さにしてみて、根が回っていれば成功です。好きなところに植え替えてください。
ビバーナムが枯れる・花が付かない原因と対処法
大切に育ててきたビバーナムが枯れてしまったり、花がつかなかったりしたら嫌ですよね。では、何が原因でそのようなことが起こるのでしょうか?
原因を紹介する前にまず知っていただきたいのは、花が咲いたからといって必ず実がつくとは限らないということ。
そのため万が一実がつかなくても「枯れているのではないか?」と心配しすぎる必要はありません。ビバーナムに実がつかないのは生育環境によるところが多いです。木の成長に土の栄養分を使ってしまった結果である可能性が高いのです。
また、冬の寒さで枯れてしまうのではないかと心配する方もいるでしょう。しかしビバーナムは寒さにも強い植物で、特別な冬越し対策は不要です。そのため、枯れてしまったり花がつかなかったりする理由は他にあるのです。
以下に、考えられる原因と対処法を紹介します。
- 害虫
- 病気
- 根腐れ
原因1:害虫
ビバーナムにつく害虫では、「サンゴジュハムシ」や「カイガラムシ」がいます。
サンゴジュハムシは葉を食害する害虫で、柔らかい芽を集中して食べます。食害されれば葉は茶色く穴があき、見た目が非常に悪くなってしまうのです。小さな虫ですので発見が遅れることも多く、葉がボロボロになってしまうことも。葉に不規則な穴が開いている場合は、注意して観察してみてください。
サンゴジュハムシは見つけ次第、スプレー式の害虫駆除剤を使うのがおすすめです。
カイガラムシは樹液を吸う害虫で、植物を弱らせます。幼虫であれば農薬が効きますが、成虫になると農薬では効果がなくなります。発見したら、ブラシでこすり取ってください。植物からカイガラムシをこすり落としたら、その上で害虫駆除用薬剤を使いましょう。
カイガラムシを防止するには、風通しの良さが必要。剪定を行って風通しをよくしたり、鉢植えの場合には置き場所を変えたりしてみてください。
原因2:病気
ビバーナムは強い植物ですが、稀に「真菌感染症」や「寄生藻」の被害にあうことがあります。
真菌感染症にかかると、葉に斑点(赤色や茶色)が現れてしまいます。手入れとしては、変色した部分をすぐに取り除くこと。もしも感染領域が広い場合には、木に殺菌剤で処理を施しましょう。
寄生藻が出たときは、葉に隆起斑点が現れます。葉の表面に灰色や緑色、赤茶色などの斑点が現れたら注意。対処法は、減菌剪定ばさみを使って葉を剪定し、すべての切口に銅の殺菌剤を綿密に塗布することです。
また、水やりをするときには木の周辺の地面にも水をまきましょう。これで寄生藻を避けられますよ。
原因3:根腐れ
根腐れを起こしてしまった場合、ならたけもどき病が疑われます。これにかかってしまえば最終的に木全体が枯れ、木の撤去が必要になります。
この病気は木の根元付近の樹皮の下で白い真菌が発生し、どんどん根本から腐っていくものです。枯れる前に症状が現れない事もあり、気が付いたときには遅かったというケースも多々あります。白い糸状の菌糸が土や根本表面に目立つようになったら、すぐに木を撤去しましょう。
一度ならたけもどき病にかかった場所には、新しいビバーナムを植えないようにしてくださいね。
ビバーナムの費用・選び方(スノーボール/ティヌス)
ビバーナムは通信販売でも人気の植物。苗はおおむね900円前後で販売されています。
多く出回りだすのは11月~3月ごろ。通信販売では年中売られていますが、晩冬に購入して春までに受け付けることがおすすめです。
種類が多いですが共通して育てやすく、花や実が美しいビバーナム。香りが強い種類や小柄な種類もありますので、自分の好みで選んでくださいね。