ノリウツギはアジサイ科の落葉低木で、アジサイの仲間です。
ノリウツギとアジサイの違いは?
花の形状が、アジサイは手まり状なのに対しノリウツギは円錐形をしています。また開花時期もアジサイは6~7月、ノリウツギは7~9月という違いがあります。
ノリウツギの花芽はいつできる?
ノリウツギの花芽は毎年4月頃にできます。その年の春に新しく伸びた枝に花芽をつけるため、枝を剪定せずに放置しておくとどんどん花の位置が高くなってしまいます。
ノリウツギはアジサイの仲間
植物名 | ノリウツギ |
学名 |
Hydrangea paniculata
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科名 / 属名 | アジサイ科 / アジサイ属 |
原産地 | 日本 |
開花期 | 7月~9月 |
花の色 | 白、黄緑 |
樹高 | 2~3m |
特性 | 落葉性、耐寒性、育てやすい |
ノリウツギはアジサイ科アジサイ属の落葉低木で、アジサイの仲間です。
アジサイとは違って夏に花をつけることや、その可愛らしい姿から園芸用として人気の高い花木です。
ノリウツギの特徴
ノリウツギはアジサイの仲間で、とがった円錐型の花房をつけます。
花の色はやや黄色がかった白色で、葉っぱは鮮やかな緑色をしています。
半日陰でも育つうえに必要な手入れも少ないため、ガーデニング初心者にもおすすめの花木といえるでしょう。
ノリウツギという名前は、ウツギに見た目がよく似ていることと、昔は和紙をすくための糊としてノリウツギの樹液を使っていたことが由来です。漢字では「糊空木」と表記します。
また、根を使って喫煙具のパイプが作られることが知られています。
園芸品種は円すい状の花房が印象的
ノリウツギの園芸品種として広く流通している「ミナヅキ」や「ライムライト」などは、円すい状のこんもりとした花房をつけるのが特徴です。
また種類によっては、花色を徐々に変化させるグラデーションを楽しめることもあります。
アジサイとノリウツギの違い
アジサイとノリウツギは、どちらも同じような見た目をしています。特にアジサイの一種である「アナベル」とノリウツギはよく似ているので、見分け方は以下の違いを参考にしてください。
- 花の見た目
アジサイの花は全体的に小ぶりなのに比べ、ノリウツギの花は花房が大きめです。また、アジサイの花は手まり咲きやガク咲きのように丸い形をしていますが、ノリウツギの花は円錐状の形に集まって咲きます。
- 花の色の変化
アジサイもノリウツギも、花の色の変化を楽しめる品種があります。ただし、アジサイの花の色は土のpH値によって変わりますが、ノリウツギの花の色が土のpH値によって変化することはありません。
- 開花時期
アジサイは6~7月頃に開花しますが、ノリウツギの開花時期はもう少し遅く、7~9月頃です。
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葉の見た目(アナベルとノリウツギの違い)
ノリウツギの葉よりもアナベルの葉の方が丸みを帯びています。またアナベルの葉の付け根は緑色をしていますが、ノリウツギは葉の付け根が赤みを帯びています。
▽またアジサイとノリウツギは育て方も異なるので、アジサイの育て方が知りたい方はこちらをご覧ください。
花言葉は「臨機応変」
ノリウツギの花言葉は「臨機応変」です。
開花してから枯れるまでに、花の色を黄緑色から少しずつ変化させていく様子から名付けられました。
ノリウツギの人気品種7選
ノリウツギには様々な関連品種があり、それぞれで花の色や葉の形、サイズ感などが異なります。
例えば原種のノリウツギが素朴な印象の見た目なのに対し、園芸用の品種は装飾花が大きく華やかなものが多いです。
お気に入りの種類のものを見つけて、ガーデニングに取り入れてみてはいかがでしょうか。
ミナヅキ
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ミナヅキは「ピラミッドアジサイ」として広く流通している、ノリウツギの園芸品種です。
大きな扇状の花が特徴的で、白い花を咲かせます。また寒冷地では花の色をピンク色へと変化させ、鮮やかな色合いを発揮します。
見ごたえのある花をガーデニングに取り入れたい方におすすめです。
ライムライト
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ライムライトは緑の色味の花をつけるのが印象的なノリウツギの園芸品種です。
開花してすぐはライムグリーンの花をつけ、次第に濃いグリーンへと徐々に色を変化させていきます。グリーンの色味の花は他の花と組み合わせても、ひと際大きな存在感を放ちます。
リトルライム
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リトルライムはライムライトの矮性型品種です。
ライムライトと同様にライムグリーンの花をつけますが、3分の1程度の大きさにしか育ちません。緑色のノリウツギを楽しみつつ、鉢植えでの栽培や庭の狭い箇所に彩りをプラスしたい方におすすめです。
ベビーレース
樹高:約90~120㎝
花の色:白 |
ベビーレースは1mほどの大きさに育つ、コンパクトさが魅力の品種です。
ノリウツギと比較しても小ぶりな花姿が印象的で、かわいらしい姿が特徴です。また茎が強く、白い花と鮮やかな濃緑の葉がハッキリとしたコントラストを見せてくれます。
小さいサイズ感で育てられるため、小ぶりな花姿を楽しみたい方や鉢植えで育てたい方におすすめです。
ダルマノリウツギ
ダルマノリウツギは数あるノリウツギの種類の中でも、最も小型の分類に入る品種です。
樹高は50cm~100cmほどで、ベビーレースよりもさらに小型に成長します。ガーデニングのワンポイントにノリウツギを取り入れたい方におすすめです。
バニラストロベリー
バニラストロベリーはピンクの花を咲かせるのが特徴の品種です。
咲き始めはバニラのような白色の花をつけ、その後次第にピンク色の花へと姿を変えていきます。
しかし地域によっては発色しにくいこともある点を理解しておきましょう。例えば暖かい地ではピンクになりづらく、秋に急に気温が下がる気候の方がピンクになりやすいです。
ピンクになったらラッキー、程度に捉えた方がよいかもしれません。
ファイヤーライト
ファイヤーライトは深みのあるピンク色の花をつける品種です。
株いっぱいに色味の深い花をつけるので、ガーデニングでも抜群の存在感を放つでしょう。ノリウツギをメインに捉え、ガーデニングの構成を考えていきたい方におすすめです。
リトルホイップ
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リトルホイップは、ノリウツギのなかでは小さい品種です。株全体に大きな円錐状の花を咲かせ、とても華やかな見た目をしています。夏に白い花をつけ、秋になると徐々に淡いピンク色に変化していきます。
ノリウツギを購入してから植え付けるまで
ノリウツギの植え付け・植え替えをするのに最適なのは、11月から3月にかけての葉が落ち始める時期です。
ポットの苗を買ってきたら、その年の冬が近づくまでは水切れに注意しながら管理します。
苗に対してポットが小さく、根が底から覗いている場合には、ひとまず一回り大きな鉢に移し、土を追加して管理しましょう。ノリウツギは、買った年の夏を上手に過ごせば、丈夫に育てることができます。
11月頃になったら、鉢や地面への正式な植え付けを行います。
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鉢植えの場合
ノリウツギは2~3mの大きさまで成長するため、鉢植えであれば7合サイズ以上の大きめの植木鉢をおすすめします。このタイミングで鉢土の底に緩効性肥料と化成肥料を入れておきましょう。
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地植えの場合
地植えであれば、植え穴の深さは30cmくらいが目安です。緩効性肥料と有機質肥料を土の3〜4割ほどの分量で入れ、よく混ぜあわせてから植え付け・植え替えを行います。
ノリウツギの育て方
ノリウツギの栽培カレンダー
育てるのに適した環境や水やりの方法など、ノリウツギの育て方を解説していきます。それぞれのポイントを抑えて、ノリウツギを健康的に育てましょう。
栽培環境
ノリウツギは日当たりのよい場所でよく育ちます。半日陰でも育てることは可能ですが、できるだけ午前中の時間に日光が当たるようにするとよいでしょう。
また風通し・水はけのよい環境を用意するのもポイントです。
また一方で、西日が直接当たる場所などで日光が強すぎると、葉焼けの原因になるので注意が必要です。
特に夏場は日よけをしたり、株元にビニールをかけてマルチングをしたり、鉢植えなら時間帯によって場所を移動させたりするなど、暑さ対策をしましょう。
水やり
アジサイ科のノリウツギは乾燥に弱いため、土の表面が乾いたら水を与えるようにします。特に鉢植えの場合は夏場の水切れが懸念されるため、こまめなチェックが大切です。
地植えで2年以上が経過している株の場合は、水やりの必要は特にありません。雨が少なくて土の表面が乾いている場合には、たっぷりと水やりをするようにしましょう。
また冬は株が痛むのを防ぐために、水の量を減らすようにします。土が完全に乾くのを待ってから、少しだけ水やりをするようにしましょう。
用土
ノリウツギの栽培に使う土は、有機質が多くて水はけさえよければ、基本的にどのような土質のものでも構いません。
市販されている培養土、あるいは赤玉土と完熟腐葉土を混ぜたものなどを使いましょう。
肥料
肥料はノリウツギの根が休眠している時期に、即効性のないものを寒肥として与えてください。新芽・花芽の数が増えて、健やかに育ちます。
地植えなら1月に緩効性肥料と有機質肥料を、鉢植えであれば3月に緩効性肥料と化成肥料を与えるのがよいでしょう。
剪定
ノリウツギの剪定時期は10~3月です。
ノリウツギは、4月頃に花芽をつけ始めます。花芽を切り落としてしまわないよう、開花してから翌年花芽がつき始める3月頃までに剪定をしましょう。花の色の変化を十分に楽しんでから、剪定を始めるイメージです。
ノリウツギの切り戻し剪定は、花が咲いた枝を軽く切り戻し、咲かなかった枝は残しておくのがポイントです。
春に伸びた枝に花芽がつくため、古い枝を残しておくと、花が咲く位置が高くなってしまいます。そのため、剪定で切り戻しをすることが大切です。できれば毎年行いましょう。
注意するべき害虫や病気
ノリウツギには、目立った病気や害虫はありません。
そのため特別気にしなくても大丈夫ですが、他の植物を育てる際と同じように、ハダニやアブラムシには注意しましょう。
どちらの害虫も春ごろから発生して植物の葉っぱに群生し、栄養成分を吸い取ります。ノリウツギが弱る原因になったり、幼苗であれば枯れてしまったりする可能性があるため注意しましょう。
害虫は風通しの悪い場所で発生しやすいので、育てる場所を工夫したり、枝が密集しないように剪定を行ったりすることが予防につながります。
ノリウツギを増やしたいときの3つの方法
ノリウツギは次の3つの方法で増やすことが可能です。
- 挿し木
- 取り木
- 株分け
ノリウツギの株を増やして、たくさんの花に囲まれた庭づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。
【最も一般的】挿し木
ノリウツギの最も一般的な増やし方は「挿し木」です。
方法 |
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成功させるポイント |
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【時間はかかるが簡単】取り木
挿し木よりも時間はかかるものの、簡単にノリウツギを増やせる方法が「取り木」です。
取り木の場合、花は翌年から期待することができます。
方法 |
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成功させるポイント |
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【健康に育てるために】株分け
「株分け」とは、ノリウツギの子株と親株を切り離して、別の場所に植える方法です。
方法 |
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ノリウツギは大株になると、水はけが悪くなったり、養分を取り合うことで花付きが悪くなったりすることがあります。
このような事態を防ぐためにも、3〜4年を目安に株分けを行うとよいでしょう。
ノリウツギを育てて花を楽しもう!
ノリウツギは鉢植えでも地植えでも育てることができ、自宅で可愛らしい花を鑑賞するのにも最適な植物です。臨機応変の花言葉が示すように、色の移り変わりをゆっくりと楽しめるでしょう。
ほかの植物と比べて見ごろが遅いため、現在のガーデニングに変化を付けたいという人にもおすすめします。また注意すべき病害虫も少なく、増やし方も比較的簡単なので、園芸初心者にもぴったりです。
またガーデニングにバリエーションを増やしたい方は、宿根草の栽培もおすすめです。特別な手入れを必要とせず、毎年同じ時期に花を咲かせるので、ノリウツギとあわせて栽培を検討してみてはいかがでしょうか。
ノリウツギや様々な植物をガーデニングに取り入れて、理想の庭づくりを実現しましょう。