ミツモアメディア

マルチングはするべき?メリットやデメリット・マルチング材の種類や効果も解説

最終更新日: 2024年06月28日

マルチングとは、土の表面をビニールやバークチップなどのマルチング材で覆うことです。マルチングをすれば、土壌環境をよくしたり、植物の健康的な成長を促したりできます。

  • マルチングはするべき?
  • マルチングのやり方が分からない
  • マルチング材にはどんな種類があるの?

今回はそんな方のために、マルチングの効果やメリット・デメリット、マルチング材の種類からやり方まで徹底解説します。

マルチングは実施するのがおすすめ

マルチング

マルチングとは、野菜や果物、花、観葉植物などを育てるときに、土の表面をビニールなどで覆うことです。マルチングを行うと、植物の成長を促したり、土壌の環境を良い状態に保つことができます。

植物の健康的な成長につながる

マルチングは植物を植えた土の表面をビニールなどのマルチング材で覆うことです。株元の土を覆うことで、植物の健康的な成長を促したり、土が腐食するのを防いだりする効果があります。

また土が崩れたり害虫がついたりするのも防ぐため、育てている間の管理の手間を減らしてくれるでしょう。

マルチングで使う素材には、ビニールや木材、小石、わらなど、さまざまな種類があります。一見すると地味な作業ですが、健康な植物を育てたい方にはぜひ活用してほしい手法です。

おしゃれに見せる目的でも人気

マルチングをおしゃれなインテリアとして活用している人もいます。部屋に観葉植物があるなら、土をマルチング材で覆ってみてはいかがでしょうか。

例えば、マルチング剤の種類によって、次のような演出が生み出せます。

  • 木材系:ナチュラル感、リラックス感
  • 石材系:清潔感、モダン

木材のマルチング材を使えばナチュラルでリラックスした雰囲気に、天然石で作られた玉石や化粧石などのマルチング材なら、清潔感やモダンな雰囲気を演出できます。

植物の成長を促したいときはもちろん、部屋の模様替えや雰囲気を変えたいときには、おしゃれなマルチング材を取り入れてみましょう。

マルチングを行う5つのメリット

マルチングした作物

マルチングには多くのメリットが存在します。ここでは主な6つのメリットについて解説します。マルチングをすれば、植物のお手入れが格段に楽になりますよ。

雑草の繁殖を防ぐ

マルチングは雑草の発生を防ぐことに役立ちます。土の表面を物理的に覆っているため、雑草の種が風で飛んできても土につかず根付きません。もし種が土に落ちたとしても、マルチングにより太陽光が妨げられるため育ちにくいのです。

雑草が発生しにくくなれば、草むしりの負担を減らせます。「植物を育てたいけど、なるべく手間をかけたくない」という方こそ、マルチングを検討しましょう。

土の乾燥を防ぐ

マルチングは土の乾燥を防ぐ効果もあります。特に真夏の暑くなる時期には効果を大きく実感できるでしょう。

マルチング材によって地面に蓋がされている状態になるため、水分が蒸発しようとしても空気中へと逃げていきません。そのため、土壌の湿度をある程度一定に保つことができるのです。

土壌の乾燥を守ることは、高温と乾燥から根を守ることにもつながります。

病害虫の発生を防ぐ

マルチングは害虫の発生を防ぐ効果があります。風に乗ってきたり飛んできたりした害虫から土を守るのです。土に害虫がつきづらくなれば、植物が病気になるリスクも減らせます。

例えば、葉を食べてしまうアブラムシは代表的な害虫です。このアブラムシは太陽光の反射を嫌う性質があります。シルバーのマルチフィルムで土を覆うことで、害虫の忌避効果が期待できるでしょう。

またマルチングは、病気の原因となる雨水などによる泥の跳ね返りも防げます。

温度変化から株を守る

マルチングを行えば、温度変化から株を守る効果も発揮します。地面を覆うことで土壌の温度を一定に保ち、急激な温度変化による植物へのダメージを抑えられるのです。

また土壌の保温効果により、冬場の急激な冷え込みから根を守る効果も期待できます。

用土や肥料の流出を防ぐ

マルチングは強い雨などで用土や肥料が流れていくのを防ぎます。また水たまりや傾斜の発生も防ぎ、植栽や作物周りの土壌が流されていく心配もありません。

マルチングのデメリット

マルチング

マルチングには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。改善策を知り、デメリットをカバーするのが大切です。

肥料を施しにくい

マルチングをすると、物理的に肥料を与えづらくなります。植物の近くにマルチシートが張られているため、肥料を与えにくいのです。必要以上に肥料を消費してしまうこともあるかもしれません。

マルチングをしながら肥料をあげるなら、ところどころに小さく切り込みを入れたり、くいで穴を開けておいたりするとよいでしょう。肥料の種類は液体タイプがおすすめです。

また、マルチングをする前に、長期間にわたり効果を発揮する元肥一発肥料を、多めに撒いておくという方法もあります。マルチング後の肥料やりは、事前の準備をいかに整えておくのかが大切です。

種類によっては害虫が発生する

バークチップやウッドチップなどのマルチング材を使用している場合、かえって害虫が発生するおそれがあります。

材質の特性上、水分を吸収しやすい傾向にあり、通気性が悪かったり水やりが多かったりすると湿度が過剰に高い環境を作ります。その結果、虫にとって生息しやすい環境となり、場合によっては害虫が住み着きやすい環境になってしまうのです。

風通しのよい場所で使用するように心がけ、水やりの際にはマルチング材の乾燥状態もチェックするようにしましょう。

マルチング材の種類

ウッドチップ

マルチングに使われる主な材料を6つ紹介します。それぞれにメリット・デメリットがあるため、おすすめの使い方も併せて見てきましょう。

家庭菜園に最適な「ビニール」

マルチング

家庭菜園にはビニール状のマルチングシートがおすすめです。土の風化や流出を防ぎ、土寄せをする効果があります。ビニールのマルチングシートは、黒・シルバー・透明などのカラーがあり、それぞれで強みや役割が異なります。

黒色
  • 太陽光を吸収する
  • 保温効果が高い
  • 遮光効果が高い
シルバー
  • 太陽の光を乱反射する
  • 害虫予防に効果的
透明
  • 保湿力が高い
  • 太陽光が土に伝わりやすい

一般的かつリーズナブルな黒のマルチングシートは、太陽光を吸収するのが特徴です。土の暖かさを保ちやすく、遮光効果で雑草を生えにくくします。

シルバーは太陽の光を乱反射するのが特徴です。光を嫌うアブラムシなどの害虫が発生するのを防ぎます。透明のマルチングシートは保湿力の高さが魅力です。太陽光の暖かさが土に伝わりやすく、1年を通して使いやすいでしょう。

木材の香りが魅力的な「ウッドチップ」

ウッドチップ

ウッドチップはスギやヒノキなどの木材を細かく砕いたマルチング材です。木材の香りが漂い、消臭効果も期待できます。また、ヒノキやスギなどの香りを嫌う害虫や微生物の発生を防ぐのも、ウッドチップのメリットです。

くわえて土の乾燥を防ぐ効果もあるため、乾燥により土が固まるのを防いでくれるでしょう。一方で、湿気には弱いので注意が必要です。気がつかないうちに、カビが発生するケースもあるので注意しましょう。

ウッドチップは経年劣化するため、数年ごとに新しいものへの交換が必要です。色合いが変わったり、地肌が見えてきたりしたら、新しいウッドチップを補充するタイミング。定期的な交換を心がけましょう。

大粒のサイズ感が特徴の「バークチップ」

バークチップ

バークチップは赤松や黒松などの樹皮を砕いて作られたマルチング剤です。またバークチップを発酵させて作られたバーク堆肥もマルチング剤として使用できます。

土の乾燥を防ぐ点や雑草対策に効果的な点はウッドチップと変わりませんが、一粒一粒が比較的大きなため、広範囲への使用に適しています。また土色と遜色ない色味をしているため、ガーデニングのシーンでも違和感なく溶け込んでくれるでしょう。

ウッドチップと比較して、害虫が発生しやすい点には注意が必要です。

古くから使われる「わら」

わらを使ったマルチング

わらは昔からマルチング材として使われてきました。わらの間に隙間ができるため空気が循環し、土の温度が上昇しすぎるのを防いでくれます。わらの厚さを調整することで土の温度調整がしやすいのもメリットです。気温の高い地域や夏に向いた素材といえるでしょう。

水はけがよいので湿気がこもりにくく、土や植物が傷むのを防いでくれるのも魅力です。また、わらは役目を終えた後、自然に腐食して土にかえります。養分となり植物の発育を促進すため、いちいち回収する必要もありません。

リーズナブルで入手しやすく、扱いやすいという点でも初心者におすすめのマルチング材です。

モダンな印象の「玉石・化粧石」

白玉石

玉石や化粧石などのマルチングストーンは、観葉植物の装飾などによく用いられるマルチング材です。ホワイトなどの色味で、他のマルチング材よりもモダンな印象を与えてくれるのが魅力的。

材質自体に重みがあるため、土埃を抑えたり、水やりや雨で土が流れにくくなったりする効果があります。

土壌にやさしい「腐葉土」

腐葉土

腐葉土は土壌改善によく用いられる補助用土です。マルチングに使用すれば、その土壌改善効果の恩恵を受けながら、通気性や保水性、保肥性を高められます。

土にすきこむことなく、表面に3~5cmの厚さでかけるだけで済むため、マルチングが簡単なのも嬉しいポイントです。また微生物の力によって分解され地中へと溶け込んでいくので、使用後のゴミも発生しません。

一方で、強い風が直接当たると流されて飛んでいってしまったり、ミミズやダンゴムシなどの虫が発生しやすくなる点には注意が必要です。

マルチングのやり方

ビニールを使ったマルチング

様々なマルチング材が存在しますが、ビニールを用いたマルチングは手順を追って張る必要があります。マルチング用のシートも販売されていますが、庭などの場所ではゴミ袋を使った代用方法もおすすめです。

ビニールマルチの手順

ウッドチップなどのマルチング材はまくだけで完了しますが、ビニールを使ったマルチングは手順を追って実施します。

マルチングの手順

  1. 育てる植物や場所の大きさにあったビニールを用意する
  2. 範囲に合わせてシートを敷く
  3. 土を被せたり押さえピンを使ったりして固定する
  4. 苗の間隔に沿ってハサミなどで穴を開けていく
  5. 開けた穴から苗を植えていく

ビニールは風で飛ばされやすいため、しっかりと固定しておくことが大切です。土を被せたり固定用のピンを使ったりして、しっかりと固定しておくようにしましょう。

注意点

マルチングを行う際にいくつかの注意点を意識しておくと、効果的に植栽の健康的な成長を促せます。

  • 肥料を施しにくくなるため、植え付け時にたっぷりと施しておく
  • 雨上がりなど、土に水分が多く含まれている状態で行う
  • 土の表面としっかりと密着させる
  • 水のやりすぎに注意する

マルチングをして表面を覆った後は、施肥や水やりの事情が変わってきます。特に水のやりすぎは根腐れを起こす原因にもなってしまうため、注意しましょう。

また長年マルチを続けた土壌は有機物の分解が進んでいます。マルチングの際に堆肥をたくさん混ぜ込んでおくのがおすすめです。

植物栽培にマルチングを活用しよう

マルチング

マルチングにはたくさんのメリットがあり、害虫が付くのを防止したり、きれいな土壌を維持したりする役割を果たします。素材によって特徴や効果が異なるため、環境や植物の種類によって使い分けることが重要です。

また、マルチングの実用的な効果だけではなく見た目にもこだわることで、観葉植物がよりおしゃれなインテリアになるでしょう。

マルチングを施す際にはひと手間かかりますが、長期的にみるとメリットの方が優勢です。ガーデニングや家庭菜園をしていたり、観葉植物を育てていたりするなら、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。