芝生を自宅の庭に敷いている家庭は、比較的多いのではないでしょうか。きれいに整備された芝生の庭は美しいものですが、見栄えよく育てるには、除草剤を上手に使うことがポイントです。
「いつの間にか芝生が雑草だらけになってしまった・・・」「芝生に雑草が生えるのを予防したい!」そんな方のために、芝生の除草剤の特徴や撒く時期、撒き方のポイントやおすすめ商品などについて徹底紹介します。
まずは芝生の特徴を知ろう
庭一面に芝生が青々と広がる光景は、自宅にいながら自然を感じさせてくれます。芝生の手入れが行き届いていると、家の印象もよくなるでしょう。
芝生は「日本芝」と「西洋芝」の2種類に大別されます。芝生と上手に付き合うには、まずは芝生の特徴をよく知ることが大切です。
日本芝の特徴と種類
日本芝は暑さに強く、高温多湿な日本の環境に適しているのが特徴です。冬場は冬眠の時期にあたるため、色は茶色く変色し、枯れてしまいます。
日本芝のひとつである「野芝」は、山で自生することが多いことから、そう名づけられました。ゴルフコースのラフや、道路沿いに植えられることの多い品種です。
日本芝のなかでは最も寒さに強く、乾燥や病害虫にも強い丈夫さがあります。衝撃にも耐性があり、踏まれても負けない頑丈さは、レジャー施設などに向いています。
また「高麗芝」は、国内では馴染みの深い品種です。幅が細いうえに密度が高く生えるため、高麗芝の芝生はとてもきれいに仕上がります。中でも「姫高麗芝」は特に細い葉をしていて、とても美しい光景を生みます。
西洋芝の特徴と種類
「西洋芝」は、寒さに強い性質の品種です。北海道や東北といった、厳しい寒さを乗り越えなければならないエリアで、よく使われています。
暑い地方には適さず、関東から南で導入するには不向きです。寒冷地にあって、冬も鮮やかな緑を維持したいという人におすすめの品種といえるでしょう。
また西洋芝は「暖地型」と「寒地型」に分かれます。日本芝とよく似た性質なのが暖地型です。
暖地型は西洋芝の中では細い葉をしているのが特徴です。緑が鮮やかで踏み付けにも強い「バミューダグラス類」、暑さにも強く頑丈な点がゴルフ場などに向いている「ティフトン類」があります。
一方、特に寒冷地を好むものが寒地型です。根が浅く低刈りに強いため、ゴルフ場のグリーンに採用される「ベントグラス類」や、ゆっくりと成長し管理しやすく害虫にも強い「ブルーグラス類」があります。
芝生の除草剤の種類
「芝生に生えた雑草を処理したいけど、どのタイプの除草剤を選べばよいのかわからない・・・」そんな方のために、ここでは芝生の除草剤の種類と特徴を解説していきます。間違えて芝生を枯らしてしまわないためにも、目的に合った除草剤を選ぶようにするのが大切です。
雑草を予防する「土壌処理型」
「土壌処理型」の除草剤は、雑草の成長を予防するために使用します。
芝を敷く前に整備したい場所の土に用いて、雑草が育ちにくい環境を作ります。事前に対策することで、芝の合間から不要な草を生えにくくする効果を発揮するのです。
使用方法は、細かい粒状の薬剤を土の表面に撒き、芝生へと溶け込ませます。土からの水分や雨で溶けてゆるやかに地中へと浸透していくことで、徐々に効果を発揮していきます。
「これから芝生にチャレンジしたい」「きれいな状態の芝生をキープしたい」そんな方の雑草対策におすすめの除草剤です。
雑草をしっかり枯らす「茎葉処理型」
「茎葉(けいよう)処理型」は、すでに生えている雑草の除去に威力を発揮します。一般的な除草剤のイメージは、このタイプではないでしょうか。
茎葉処理型の除草剤は、雑草の葉や茎などの表面部分から成分が吸収されるのが特徴です。土壌に成分が落ちると不活性化する性質を持っているため、雑草の根からは吸収されません。
ほとんどが液状のタイプで、雑草が目立つ場所に撒いたり、噴霧したりして使用します。使い方が簡単で、即効性があるのも、うれしいポイントでしょう。
また雑草処理には効果的なものの、予防効果がない点には注意が必要です。
「選択性除草剤」と「非選択性除草剤」が存在
茎葉処理型の除草剤は「選択性除草剤」と「非選択性除草剤」の2種類に大別されます。
選択性除草剤 | 芝生に影響はなく、雑草だけを枯らす |
非選択性除草剤 | 芝生も雑草もすべてを枯らす |
選択性除草剤は芝生に影響はなく、雑草だけを枯らすのが特徴です。「芝生を枯らさずに雑草だけを枯らしたい!」という方は、選択性除草剤を選ぶようにしましょう。「大事な芝生が枯れた・・・」なんてことにならないよう、製品表記を確認するのが大切です。
一方で非選択性除草剤は、芝生も雑草もすべてを枯らすのが特徴です。芝生を枯らす除草剤を探している方にはおすすめですが、雑草だけを枯らしたい場合は使用しないのが懸命でしょう。
もしも使用する際には、ハケなどを用いて除草剤が周囲に飛び散らないような注意が必要です。
芝生に除草剤を撒く時期
除草剤は薬剤なので、正しく使用することが芝生の健康のためにも大切です。雑草が気になるからといって、闇雲に使用してよいものではありません。
中でも除草剤を撒くタイミングは特に留意するべきポイントです。適切な時期に使用することを心がけましょう。
土壌処理型の使用時期は3月と9月
土壌処理型の除草剤は、1年に2回使用すると効果的です。
1回目は、3月中に撒いておきましょう。春になって雑草が発芽する前に処置しておくことが重要です。芽が出て草が伸び始めてしまってからでは、効果は半減してしまいます。
そして2回目は、9月頃を目途に使用しましょう。春から夏にかけて生長するためのエネルギーを蓄えた雑草は、秋以降にかけて休眠の準備に入ります。そのタイミングを狙って、除草剤で処置しておきましょう。翌春は新しい雑草が生えにくくなります。
茎葉処理型の使用時期は春~秋
既に伸びてしまった雑草に効果的な茎葉処理型の除草剤は、春から秋にかけて、草木の活動期に合わせて使用するようにしましょう。芝が瑞々しく茂る時期に、雑草が気になる部分に適宜使用します。
即効性があるため、早ければ数時間で除草効果が見られる場合もあります。数日経っても状況が改善しないようであれば、改めて撒いてみましょう。それでも取り除けない場合は、効き目が強力なタイプのものに変更することも一案です。
草の成長過程で大きな効果が期待できる一方、育ちきった草にはあまり効果が見られないこともあります。そのため、一通り成長を終えた冬場以降の使用は、あまり効果的とはいえません。
除草剤の撒き方3つのポイント
雑草はとても生命力が強いものです。そのため雑草を駆除する除草剤には、人に悪影響をもたらす可能性のある成分も含まれていますので、使用する際は注意が必要です。
また「ただ撒けばよい」というわけでもありません。効果的に撒くために、意識するべき点について知っておきましょう。
1.除草剤が使える安全な服装に着替える
強力な雑草を駆除する除草剤は、人体にも影響を与えるリスクがあります。そのため、除草剤の付着を抑えることができるように、なるべく安全な服装で作業することを心がけましょう。
まず腕や脚に除草剤がかかったとき、肌に直接触れないように長袖・長ズボンを着用することが大切です。皮膚に付着すると、ただれたり痛みを感じたりする可能性があります。また手指に染みて来ないように、ゴム手袋も必ず着けるようにしましょう。
液体タイプの使用時は、気化した薬剤を吸い込む危険性もあります。そのためマスクも忘れずに身に着けてください。目に入らないように、ゴーグルも用意しましょう。
こういったアイテムを身につけることは、除草剤そのものへの対策にもなりますが、害虫除けとしても有効です。庭での作業では、常に安全を保つことができる服装が基本だと考えてください。
2.除草剤はムラなく均一に撒く
土壌処理型・茎葉処理型の双方にいえることですが、撒く時はムラなく均一に行うようにしましょう。処理の甘い部分があると、そこからしぶとい雑草が生え、周囲に広がってしまいます。
粒状タイプの除草剤散布には「散粒器」がおすすめ
液状タイプの除草剤散布には「噴霧器」がおすすめ
液状の除草剤をムラなく行き渡らせるなら「噴霧器」を利用するのがおすすめです。薬剤を霧状にして、均等に撒くことができる機材です。
一度に噴霧できる量やノズルの長さなど、数多くの機種があります。庭の広さや使う人の体格などに合わせてチョイスするとよいでしょう。
3.除草剤を撒くときは天気に注意する
除草剤を撒くときは、天気を気にすることも重要です。天候を無視して作業してしまうと、せっかく除草剤を撒いても効果が半減してしまうケースがあります。
土壌処理型は雨が降る前日の散布がおすすめ
土壌処理型の効果を高めるには、水分とともに地中に浸透させることが大切です。そのため、天気予報をチェックして、雨が降る前日を選んで撒くようにしましょう。
ただし雨量が多すぎる場合は、逆効果になることもあります。大量の雨によって、浸透する前に除草剤が流されてしまう可能性があるためです。
晴天や曇りが続き、なかなか雨が降らない時期に行いたい場合もあるでしょう。そういったときは、除草剤を撒いた後にたっぷりと水やりをしてください。浸透の手助けとなり、除草効果向上に期待できます。
茎葉処理型は風のない晴れた日の散布がおすすめ
茎葉処理型なら、風のないよく晴れた日に撒きましょう。このタイプの除草剤は、茎や葉から成分を取り込み、持続させることで効果が現れます。そのため、風や雨・湿気があると、薬剤が飛散したり、成分が落ちたりするので効率的とはいえません。
日本芝の手入れにおすすめの除草剤
除草剤を使うには、芝の品種にあったタイプを選ぶことが大切です。そこでまずは日本芝の手入れに適した除草剤について、厳選した3品を紹介します。
レインボー薬品 シバキープⅡ 粒剤 1.3kg
メヒシバやスズメノカタビラといったイネ科の雑草や、ヤハズソウなどの広葉雑草、クローバーやスギナを含む多年生広葉雑草まで、幅広く対応します。西洋芝は枯れてしまうので避けましょう。
雑草発生前から発生初期に使える除草剤です。不要な草は根から取り去る力がありながらも、芝生自体にはとても優しいのがポイントです。
使用から7~10日で効果が現れ始め、3カ月ほど効き目が持続します。長期間にわたって、芝を守ってくれる除草剤です。
保土谷UPL 芝生用除草剤 グリーンアージラン液剤 1L
撒いた後に地表で固まらず、地中に浸透すると比較的短時間で分解されるのが特徴です。それゆえ、土壌や水系を汚染する心配もありません。
春や秋の定期散布はもちろん、晩秋から初冬にかけての補正散布にも適した、オールマイティーな商品です。
フマキラー カダン 除草王シリーズ オールキラー粒剤 3kg
使用するタイミングは、雨上がりがおすすめです。地面に浸透してから2週間程度で雑草が枯れ始め、その後3~6カ月にわたって効果が持続するでしょう。
根に再起不能のダメージを与え、新たな雑草の成長を阻みます。20cm以上の長い草は短くカットしてから使うとよいでしょう。
日本芝と西洋芝に使えるおすすめの除草剤
続いて、日本芝と西洋芝の両方に使える除草剤を見てみましょう。数ある中から選りすぐった3商品を紹介します。
レインボー薬品 シバキープPro 顆粒水和剤 1.2g×2包
もちろん、シロツメクサやカタバミといった日本芝の中に発生しやすい雑草にも、しっかりと効果を発揮します。
除草剤の中には、高温や低温な環境では効果が低下するものもあります。本商品は気温が高くても低くても威力を保つ除草剤で、真夏の日光や真冬の寒気にさらされる全国のゴルフ場で採用されているのです。
丸和バイオケミカル MCPP液剤 500ml
使用後に薬剤が地中へと浸透し、短時間で威力を発揮しだします。土中に浸み込んで雑草への除草効果をもたらしたら、速やかに分解し、土壌に負荷を与えません。
散布直後に雨が降ると効果が下がってしまうので、よく天気を見極めて使用しましょう。また気温が10度以下になるような低温時も効果が下がります。寒い日に使用するのは避けるようにしましょう。
石原バイオサイエンス シバゲンDF 20g入
雑草の発生時から初期における茎葉処理効果と、雑草発生前の土壌処理効果の双方を合わせ持っていることも、大きな特徴です。また、雑草への取り込みが早いので、使用後、4〜5日で刈込みができます。
本商品単体でも十分に威力を発揮しますが、アージラン液剤やザイトロンアミン液剤などの除草剤と組み合せることで、さらに防ぐのが難しい雑草対策に効果を高めることが期待できます。
効率よく手入れができるおすすめアイテム
除草剤の使用は、慣れないと手こずることもあります。そのため、できるだけ簡単に行いたいものでしょう。便利な道具を使えば、作業はグッと楽になります。除草剤を撒く際に役立つアイテムを駆使して雑草を効果的に除去しましょう。
肥料も一緒に撒ける除草剤
「レインボー薬品 シバキーププラスα 2kg」は、そのような願いに応えてくれるアイテムです。芝生に撒くだけで、除草と肥料の2つの働きをします。
チッソやリン酸、カリ、苦土を配合した本商品は、高い持続性も魅力です。肥料効果も雑草予防効果も、約3カ月間持続します。
また「トリアジフラム」という安全性の高い除草成分を配合しているため、子どもがいる方やペットを飼っている方にも安心です。
除草剤を均一に撒くのに便利な噴射器
「フルプラ ダイヤスプレー No.8740 プレッシャー式噴霧器」の最大の特徴は、噴射角度を80度まで変えることができる可動域の広さです。目標に焦点を合わせやすく、確実な散布をサポートします。
容量も4Lと、作業するにはちょうどよいサイズです。ハンドルロック式のため、使いやすい設計なのもうれしいポイントでしょう。
除草剤の浸透力をあげるアイテム
「丸和バイオケミカル 除草剤専用展着剤 サーファクタントWK 500ml」は、土壌の表面に広がるワックス層を溶かす効果があります。
そのため除草剤を撒く前に使用することで、雑草の除草や成長予防に効果を発揮する成分を、土壌にしっかりと浸透させることができるのです。
子供やペットへの影響について
子供やペットと暮らしながら、庭に芝生を敷いている家庭もあるでしょう。きれいに整備された芝生の上で、子供や動物が遊ぶ姿はとても素敵な光景です。
除草剤は雑草対策としてはとても有効ですが、大切な家族への影響は気がかりです。配慮すべき点などについて見てみましょう。
十分注意しながら使うことが大切
除草剤の使用時には、次のような注意が必要です。
- 体にかけない
- 皮膚につけない
- 散布したての場所には近づかない
生命力の強い雑草を取り除けるとあって、除草剤には強力な作用が備わっています。その成分には、時として、人体に悪影響を与えるものも含まれていることがあります。
家族の健康を考えるのであれば、植物だけに効果を発揮するタイプや、草を枯らし終えたら、土壌のなかの微生物や日光で不活化されるタイプのものがおすすめです。子供やペットへの影響を和らげて使うことができるでしょう。
子供やペットがいても安心の除草剤
アース製薬の「アースガーデン おうちの草コロリ スプレー」は、食品成分であるペラルゴン酸由来の除草剤です。とうもろこしやお茶に含まれる成分で、土壌に浸透すると速やかに分解を始め、環境に与える負荷が小さな点に特徴があります。
即効性があり、植物によっては早ければ5分で枯れ始めるほどの威力を備えています。持続性も高く、使用環境によっては効果が1.5カ月程継続するでしょう。
種にもしっかり働きかけ、発芽を抑制します。刺激臭などがなく、ほんのりとハーブの香りがただよう除草剤です。
除草剤を使って芝生を手入れしよう
美しく整った芝生は、見る人に爽やかなイメージを与えます。そして緑輝く芝生があると、家全体が気持ちのよい雰囲気に包まれるでしょう。
芝生をきれいな状態に維持するには、雑草の処理が不可欠といえます。除草剤を上手に使って、適切な手入れをしましょう。