夏に色とりどりの花を咲かせるムクゲは庭木としても人気のある植物。
ハイビスカスと同じフヨウ属で、寒さにも暑さにも強いため育てやすいのが特徴です。
ムクゲは生育が多勢な樹木で、剪定を行わないと樹高約3~4mまで育つこともあります。
生長しすぎると全体の樹形が乱れ、葉も生い茂るため環境的にも良くなく、キレイな花を咲かすことができません。
この記事で剪定方法や時期について詳しくご紹介しますね。
ムクゲの剪定時期は12~3月と9月
ムクゲの剪定が最適な時期は落葉後の12~3月です。
この時期は木が休眠期に入るため、剪定のストレスに強く、翌春の新芽の成長を促進してくれます。
不要な枝が多く生えてきた場合は、9月にも追加で剪定を行うことをおすすめします。
基本は落葉後の12~3月に剪定
上記でも記載したように、この時期はムクゲが休眠期に入るので、剪定のダメージがムクゲ全体に行き渡りにくく、最小限に抑えることができます。
また、ムクゲは春先から伸びた枝に花芽をつけ、夏に花を咲かせる植物です。
そのため冬の時期に剪定をすることで、間違えて花芽を切る心配がなくなります。
剪定した枝は挿し木にも使用することができます。
挿し木は3~4月頃が適期なので、それまでに大切に保管しましょう。
不要な枝が増えたら9月も剪定
花が咲き終わった後の9月頃は、不要な枝や枯れ枝を処理する透かし剪定(間引き)を行うのがおすすめです。
透かし剪定を行うことで、日当たりや風通しを良くし、ムクゲの生長を促します。
ムクゲの剪定に必要な道具
ムクゲの剪定に必要な道具をそれぞれ紹介します。
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しておきましょう。
普通の軍手ですと剪定中にトゲやささくれが刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
剪定バサミは枝や植物の枝を切断するための専用ハサミです。
片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっているため、植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができます。
高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
植木バサミ
普通のハサミと同じような形をしています。
刃先が細く、小回りが利くため、込み入ったところにも入りやすいです。
細かい枝や最後の仕上げに使用します。
剪定バサミでは切れないような枝を切るのに使います。
通常の木工用ノコギリとは異なり、刃が引く方向にのみ鋭利に切れる一方向切断刃が特徴です。
脚立
脚立は背の高いムクゲを剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚が使われます。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
剪定後のケアに必要です。
太い枝を剪定した後は、切り口の治りが遅く傷口から病気が入りやすくなっているので、癒合剤があると良いです。
癒合剤は清潔なハケ等で塗りましょう。
ムクゲの剪定方法
ムクゲの剪定は、時期や目的によって方法が異なります。それぞれのポイントをしっかり意識して剪定しましょう。
基本は透かし剪定を行う
透かし剪定(間引き)は、現状の樹形を維持しつつ、混み合った枝や不要な枝を間引いて切り取る方法です。
透かし剪定を行うと、風通しや日当たりが良くなるので病害虫が発生しにくい環境、風通しや日当たりの良い状態を保つことができます。
また、余分な枝を切り取ることで栄養分が無駄なく行き渡り、新芽の発育も良くなります。
透かし剪定の手順
- 仕上がりのイメージを考える
- 不要枝を切る(下記画像参照)
- 長い枝を切り取り、樹形を整える
- 細かい枝を切るなどして全体のバランスを整える
枝を切るときは枝の分岐点の付け根で切ることを意識しましょう。
また、新芽は1m程度伸びるので、自身でお好みの長さにしたい場合は、その長さを意識すると良いです。
小さく育てたい場合は切り詰め剪定を行う
切り詰め剪定は、ムクゲを小さく育てたい場合におすすめの方法です。
ムクゲは放っておくと樹高が4mを超えます。
樹形を小さくしたり、大きさを維持するために、伸びすぎた枝葉を短く切ります。
伸びすぎた枝は、枝の付け根近くまで切り落としてください。
大きく育ちすぎたムクゲは、太い枝を中心に切って全体の樹形を小さくしましょう。
剪定ノコギリを使用し、枝の付け根から分かれ目の箇所を目安に切ってください。
このとき、切り口は斜めになるように切り落としてくださいね。
また切った後は必ず癒合剤を切り口に塗りましょう。
ムクゲを剪定するときの注意点
ムクゲの剪定を行う際に気を付けないといけない注意点は2つあります。
ヤゴの対処をする
地面の根っこ付近から上へ向かって伸びている枝をヤゴと言います。
ヤゴは春~秋にかけて生えやすく、木の栄養を奪ってしまいます。
樹形を乱す原因になるので、見つけたら取り除いてください。
種類を確認してから剪定をする
ムクゲには様々な種類があり、それぞれ適した剪定方法が違います。
剪定前に、自分の植えているムクゲの品種を確認し、その特性に合わせた剪定を心がけましょう。
一重咲き品種
- 特徴:シンプルな花弁構造
- 剪定方法:軽めの剪定が良い
- 注意点:花芽は前年の枝に形成されるため、花後すぐの剪定は控える
- ポイント:樹形維持のための透かし剪定を中心に行う
八重咲き品種
- 特徴:ふんわりと重なり合う花弁
- 剪定方法:やや強めの剪定が可能
- ポイント:花芽更新のため、冬季に思い切った切り詰め剪定をおすすめ
- ポイント:樹形を小さくしたい場合に適している
斑入り品種
- 特徴:葉に模様や色むらがある
- 剪定方法:慎重で丁寧な剪定が必要
- ポイント:弱い枝が多いため、軽めの剪定が良い
大輪系品種
- 特徴:大きな花を咲かせる
- 剪定方法:やや控えめな剪定が良い
- 注意点:花芽を傷つけないよう注意する
- ポイント:樹勢を維持する程度の剪定を行う
小型品種
- 特徴:大きくならなく成長が緩やか
- 剪定方法:最小限の剪定だけを行う
- ポイント:自然な樹形を活かす
- ポイント:形崩れを防ぐ程度で行う
ムクゲのお手入れ方法
ムクゲは比較的丈夫な植物で育てやすい植物ですが、水やりや肥料を適切に管理することでより健康的に育てることができます。
しっかりと確認しておきましょう。
水やり
ムクゲは乾燥や水不足に弱いので、こまめな観察が必要ですが水やりの頻度はそれほど多くありません。
水やりの頻度
- 春から夏:週に2~3回(極度に乾燥しているとき)
- 秋から冬:原則不要(降雨のみ)
水やりのポイント
- 根元から30cm程度の範囲に均一に与える
- 朝か夕方の涼しい時間帯に行う
水やり時の注意点
- 水のはねが葉に当たらないよう注意する
- 根元に水が溜まらないよう注意する
肥料
多くは必要ありませんが、タイミングごとに肥料を与えることで花つきを良くしてくれるので、良ければ参考にしてください。
施肥の時期と頻度
- 植え付け時(12~3月):基肥
- 開花時期(7~9月):追肥
- 冬(12~1月):寒肥
肥料の種類
- 基肥:腐葉土をベースに適宜土壌改良材を混ぜ込む
- 追肥:緩効性化成肥料
- 寒肥:固形の油かすなどの有機質の入った肥料
施肥時の注意点
- 根元から50cm程度の範囲に均一に散布する
- 肥料を直接根に触れさせない
- 施肥後は軽く土と混ぜて水やりをする
ムクゲの病気・害虫対策
ムクゲは害虫がつきやすい植物です。
特にハダニやアブラムシが付きやすいので注意が必要です。
害虫:ハダニ
ハダニは、葉の裏側に生息する非常に小さくて肉眼では見えづらいクモ状の害虫です。
乾燥した場所を好むので湿度管理をしてあげることが予防に繋がります。
どの害虫に対してもそうですが、定期的な観察と通気性を確保することで防ぐことができますよ。
自身だけでのムクゲの管理が不安な場合は業者に依頼するのもおすすめです。
害虫:アブラムシ
アブラムシは、ムクゲの新芽や若い枝に特に多く発生する微小な害虫で、早期発見が大事です非常に小さくて見えづらいですが、植物の樹液を吸い取ってムクゲを弱らせます。
水で洗い流したり天然の殺虫剤などで撃退できます。
病気:褐斑(かっぱん)病
褐斑病はムクゲに最も多く発生する真菌性病害の一つで、植物の樹勢に影響を与える病気です。
湿度が高く通気性の悪い環境で発生しやすく、葉の表面に小さな褐色の斑点が出現し、病気が進行すると葉全体が褐色になり、枯れ落ちてしまいます。
間引きを行い通気性を良くすること、症状が現れた枝葉は切り落とすことが大事になってきます。
業者にムクゲの剪定を依頼する場合の費用相場
ムクゲの剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
庭木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決定されます。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
ムクゲの平均樹高は3~4mです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
作業時間による料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
作業時間別の目安料金
時間 | 料金 |
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
ムクゲの剪定に困ったらプロに依頼を
「ムクゲの剪定を調べてみたけど、一人でやるのは不安すぎる」「ムクゲにアブラムシがいっぱいついていても剪定できるのかわからない」「庭からムクゲがはみだしてしまった」といった場合はプロに任せて剪定してもらうのがオススメです。
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