夏に色とりどりの花を咲かせるムクゲは庭木としても人気のある植物です。生育が多勢な樹木で、剪定を行わないと樹高約3~4mまで育つこともあります。


この記事で剪定方法や時期について詳しくご紹介します。
ムクゲの剪定時期は12~3月と9月
落葉樹であるムクゲは、12~3月の剪定をメインに、必要に応じて9月にも不要な枝を切りましょう。
12~3月:樹高を調整し、枝ぶりを整理する
12~3月はムクゲの休眠期にあたるため、比較的強い剪定にも耐えることができます。ムクゲが高く育ちすぎないように芯止めをして、残りの枝も芯止めした高さに合わせて切り落としましょう。
また、混みあった枝やひこばえなども取り除き、春になって葉が出てきた時に木の内部まで日光が入りこむようにします。
9月:不要な枝を間引く
9月には、木の内部で混みあっている枝や上に伸びすぎている枝、古い枝などを軽く間引きます。花が終わったころに古い枝を切り落としておくと、新しい枝の生長を促すことができます。
ムクゲの花後剪定の方法(9月)
ムクゲの剪定タイミングは「花が咲き終わった後」と「冬」の2回です。花後の剪定は以下の手順で行いましょう。
- 枯れた枝や不要な枝をつけ根から切る
- バランスを見ながら混み合った枝を間引く
- 古い枝を切り戻して更新する
①枯れた枝や不要な枝をつけ根から切る
枯れた枝や樹形を乱す不要な枝を剪定して取り除きましょう。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
②バランスを見ながら混み合った枝を間引く
不要な枝を一通り切り落としたら、木全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。具体的なバランスのとり方は以下が目安です。
- 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
- 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする
「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら進めましょう。
③古い枝を切り戻して更新する
ムクゲは新しく伸びた枝に花がつくので、古い枝は切り取って更新し、新しい枝の伸長を促しましょう。
樹高が高くなった株も、このタイミングで好みの高さに切り戻して大丈夫です。
ムクゲの冬剪定の方法(12~3月)
ムクゲが葉を落として休眠期に入る冬は、以下の手順で強めの剪定を行います。
- 主幹を芯止めして高さを保つ
- 主幹以外の枝も高さをそろえて切り戻す
- バランスを見ながら混み合った枝を間引く
- ひこばえを切る
①主幹を芯止めして高さを保つ
ムクゲは樹勢が強く、何もせず放置しているとどんどん高く伸びていきます。
芯となる幹を決め、管理しやすい高さまで切り戻す「芯止め」を行います。
ムクゲは強剪定に耐えるエネルギーがあり、比較的ダメージが少ない時期でもあるので、深く切り戻しても大丈夫です。
②主幹以外の枝も高さをそろえて切り戻す
芯止めを行った主幹以外の残りの枝も、主幹の高さにそろえて切り戻します。
切り戻すときは外芽の上で切り、新しい枝が自然な方向に伸びるように促しましょう。
今年伸びた枝をつけ根近くまで切り戻すと、新しい枝が伸び、翌年花を咲かせます。
③バランスを見ながら混み合った枝を間引く
花後の剪定でも行うように、全体のバランスを見ながら、枝が混み合った部分を間引いて透かします。
冬は葉が落ちているので、枝の伸びている方向がわかりやすいです。樹形を乱す生え方をしている枝は根元から切り落としましょう。
④ひこばえを切る
株立ち樹形が基本のムクゲは、ひこばえが出やすい樹種です。
見つけたら地際から切り取って、養分を取られないようにしましょう。
ムクゲを剪定するときの注意点
ムクゲの剪定を行う際に気を付けないといけない注意点は2つあります。
ヤゴの対処をする
地面の根っこ付近から上へ向かって伸びている枝をヤゴと言います。
ヤゴは春~秋にかけて生えやすく、木の栄養を奪ってしまいます。
樹形を乱す原因になるので、見つけたら取り除いてください。
種類を確認してから剪定をする
ムクゲには様々な種類があり、それぞれ適した剪定方法が違います。
剪定前に、自分の植えているムクゲの品種を確認し、その特性に合わせた剪定を心がけましょう。
一重咲き品種
- 特徴:シンプルな花弁構造
- 剪定方法:軽めの剪定が良い
- 注意点:花芽は前年の枝に形成されるため、花後すぐの剪定は控える
- ポイント:樹形維持のための透かし剪定を中心に行う
八重咲き品種
- 特徴:ふんわりと重なり合う花弁
- 剪定方法:やや強めの剪定が可能
- ポイント:花芽更新のため、冬季に思い切った切り詰め剪定をおすすめ
- ポイント:樹形を小さくしたい場合に適している
斑入り品種
- 特徴:葉に模様や色むらがある
- 剪定方法:慎重で丁寧な剪定が必要
- ポイント:弱い枝が多いため、軽めの剪定が良い
大輪系品種
- 特徴:大きな花を咲かせる
- 剪定方法:やや控えめな剪定が良い
- 注意点:花芽を傷つけないよう注意する
- ポイント:樹勢を維持する程度の剪定を行う
小型品種
- 特徴:大きくならなく成長が緩やか
- 剪定方法:最小限の剪定だけを行う
- ポイント:自然な樹形を活かす
- ポイント:形崩れを防ぐ程度で行う
ムクゲの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
ムクゲのお手入れ方法
ムクゲは比較的丈夫な植物で育てやすい植物ですが、水やりや肥料を適切に管理することでより健康的に育てることができます。
しっかりと確認しておきましょう。
水やり
ムクゲは乾燥や水不足に弱いので、こまめな観察が必要ですが水やりの頻度はそれほど多くありません。
水やりの頻度
- 春から夏:週に2~3回(極度に乾燥しているとき)
- 秋から冬:原則不要(降雨のみ)
水やりのポイント
- 根元から30cm程度の範囲に均一に与える
- 朝か夕方の涼しい時間帯に行う
水やり時の注意点
- 水のはねが葉に当たらないよう注意する
- 根元に水が溜まらないよう注意する
肥料
多くは必要ありませんが、タイミングごとに肥料を与えることで花つきを良くしてくれるので、良ければ参考にしてください。
施肥の時期と頻度
- 植え付け時(12~3月):基肥
- 開花時期(7~9月):追肥
- 冬(12~1月):寒肥
肥料の種類
- 基肥:腐葉土をベースに適宜土壌改良材を混ぜ込む
- 追肥:緩効性化成肥料
- 寒肥:固形の油かすなどの有機質の入った肥料
施肥時の注意点
- 根元から50cm程度の範囲に均一に散布する
- 肥料を直接根に触れさせない
- 施肥後は軽く土と混ぜて水やりをする
ムクゲの病気・害虫対策
ムクゲは害虫がつきやすい植物です。
特にハダニやアブラムシが付きやすいので注意が必要です。
害虫:ハダニ
ハダニは、葉の裏側に生息する非常に小さくて肉眼では見えづらいクモ状の害虫です。
乾燥した場所を好むので湿度管理をしてあげることが予防に繋がります。
どの害虫に対してもそうですが、定期的な観察と通気性を確保することで防ぐことができますよ。
自身だけでのムクゲの管理が不安な場合は業者に依頼するのもおすすめです。
害虫:アブラムシ
アブラムシは、ムクゲの新芽や若い枝に特に多く発生する微小な害虫で、早期発見が大事です非常に小さくて見えづらいですが、植物の樹液を吸い取ってムクゲを弱らせます。
水で洗い流したり天然の殺虫剤などで撃退できます。
病気:褐斑(かっぱん)病
褐斑病はムクゲに最も多く発生する真菌性病害の一つで、植物の樹勢に影響を与える病気です。
湿度が高く通気性の悪い環境で発生しやすく、葉の表面に小さな褐色の斑点が出現し、病気が進行すると葉全体が褐色になり、枯れ落ちてしまいます。
間引きを行い通気性を良くすること、症状が現れた枝葉は切り落とすことが大事になってきます。
ムクゲの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
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