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ナツハゼは黒い実と夏の紅葉が楽しめる落葉低木!育て方や実の活用法を解説

最終更新日: 2024年06月28日

ナツハゼは黒い実と美しい花とつける、ブルーベリーの仲間の落葉低木です。またナツハゼの実には人の免疫力を高める効果があり、食べれば酸味の強い甘さも楽しむことができるでしょう。

秋でなく夏の時期に紅葉をみせてくれるのが特徴で、観賞用の庭木としての魅力も高く、植木に人気の高い植物です。

この記事ではナツハゼの特徴や育て方、実を美味しく食べるための方法を紹介していきます。

ナツハゼの栽培に適した環境は?

ナツハゼは、水はけがよい場所が栽培に適しています。西日が当たらない半日陰の場所だとなおよいでしょう。

ナツハゼを触るとかぶれる?

ナツハゼは触ってもかぶれません。触るとかぶれる「ハゼ」と名前が似ていますが、ナツハゼはツツジ科、ハゼはウルシ科と種類が異なります。

ナツハゼとは

ナツハゼ

ナツハゼは黒い実と赤みを帯びた美しい花、そして夏の紅葉が楽しめる落葉低木です。ナツハゼの基本情報や、その魅力を紹介していきます。

ナツハゼの特徴

植物名 ナツハゼ
学名 Vaccinium oldhamii
科名 / 属名 ツツジ科 / スノキ属
原産地 日本、朝鮮半島、中国中部
開花期 5月~6月
花の色 赤、黄緑
樹高 1~2m
特性 落葉性、耐寒性、実をつける

ナツハゼは東アジアが原産の植物で、日本国内でも全国各地に幅広く自生しています。ツツジ科に分類され「山ナスビ」の別名で呼ばれることもあります。

名前の由来は秋に紅葉する植物、ハゼノキから来ているようです。ナツハゼは秋ではなく夏に紅葉するため、「夏にハゼのような紅葉を見せる」が転じてナツハゼと名付けられました。

ナツハゼの成長スピードは非常に遅く、あまり大きくならない木といえます。2mまで育つのにおおよそ15年かかります。

小さく可憐な花を咲かせる

ナツハゼの花
ナツハゼの花

ナツハゼは春の終わりの5~6月ごろになると、つりがね型の小さく可憐な花を咲かせます。

ナツハゼの花は、赤みを帯びた薄い黄緑色をしており、地面の方を向いて咲きます。大きさは5mmほどと小さく、連なって咲く可愛らしい姿が印象的です。

秋になると黒い実をつける

ナツハゼの実
ナツハゼの実

ナツハゼは夏の終わり頃から秋にかけて黒い果実を実らせます。

小さくて可愛らしい実をたくさんつける様子は、他の植栽にはないナツハゼならではの魅力といえるでしょう。

実は食べられるので、収穫の楽しみが増えるのもうれしいポイントです。味は甘酸っぱく、ジャムや果実酒にして食べてみるのも良いでしょう。

ナツハゼの効能

ナツハゼの代表的な効能は以下の通りです。

  • 目の疲労回復
  • 血液の浄化
  • 生活習慣病の改善
  • 免疫力の向上

ナツハゼの実には、アントシアニンなどのポリフェノール成分が含まれており、特に血液の浄化や目の疲労回復に効果を発揮します。

疲れ目の回復効果がある植物として代表的なのはブルーベリーですが、ブルーベリーも実はナツハゼと同じツツジ科です。

ナツハゼを和製ブルーベリーと呼ぶこともあります。ナツハゼに含まれるポリフェノールの量は、なんとブルーベリーの2~3倍の量に匹敵します。

ナツハゼはかぶれない植物

かぶれる植物として有名な「ハゼ」と名前は似ていますが、「ナツハゼ」は触ってもかぶれません。

ウルシ科の植物に含まれるウルシオールという成分がかぶれる原因です。ハゼはウルシ科であるのに対し、ナツハゼはツツジ科と属性が異なります。

花言葉は「飾らぬ美」

ナツハゼの花言葉は「飾らぬ美」です。ナツハゼは5mmほどの小さな花を咲かせ、まとまった数の花を密集してつけます。

それぞれの主張が激しくないものの、その姿には存在感があり、そよ風に揺れるような美しい姿を見せてくれるのが花言葉を連想させますね。

ナツハゼが庭木におすすめな3つの理由

紅葉するナツハゼ

ナツハゼは一年を通じて様々な姿を楽しませてくれることから、庭木としての人気も高いです。ナツハゼが庭木におすすめな3つの理由を紹介します。

【理由1】夏に紅葉が楽しめる

ナツハゼは夏になると葉が紅葉します。日差しがまぶしい夏の季節に赤い葉を鮮やかにつけるその様子は、庭に豊かなコントラストをもたらしてくれるでしょう。

8月を過ぎると葉は色あせてしまいますが、11月の深秋になると再び赤っぽくなります。年間を通じた葉の色の移り変わりが、庭の季節感を特徴的に演出します。

【理由2】育てやすいサイズ感

ナツハゼの樹高は1~2mほどで、そこまで大きくは育ちません。大きなシンボルツリーを植えたい方には少々物足りないサイズ感ですが、玄関先の小さなスペースに植えたい方には丁度良い大きさといえるでしょう。

自然的かつ印象的なくねり方をする樹形が、庭の景観を表情豊かに彩ります。

【理由3】メンテナンスが楽

ナツハゼは成長スピードがゆっくりで剪定などの手入れも簡単なため、メンテナンスしやすい植物です。また病害虫の心配もほとんどないため、安心して育てられるでしょう。

水やりも乾燥したとき以外は基本的に不要で、半日陰でもすくすくと育っていく力強さが魅力的です。

ナツハゼの育て方

ナツハゼの花

ナツハゼの栽培カレンダー

ナツハゼの栽培カレンダー

ここからはナツハゼの育て方を解説します。ナツハゼを育てるのに適した環境や育成場所、水のやり方や肥料の与え方をチェックして、紅葉や実の魅力を心ゆくままに楽しんでみてはいかがでしょうか。

【単幹/株立ち】苗から育てる

ナツハゼは苗から育てるのが一般的です。苗は通販サイトやホームセンターで販売されています。

ナツハゼの苗には、1本立ちの木である「単幹」と1つの株から複数の茎や枝が生えている「株立ち」の2種類があります。

ボリュームのあるナツハゼを育てたい人は、株立ちの苗がおすすめです。

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水はけをよくする

ナツハゼは水はけのよい場所を好み、自然に生えているナツハゼも傾きのある林によく自生しています。

そのため、自分の庭などでナツハゼを育てるときも、可能であれば傾斜をつくるとよいでしょう。雨が降っても地面を雨水が流れていくため、湿度を一定に保てるようになります。

西日が当たらない半日陰の場所に置く

ナツハゼは乾燥に強くありません。西日が強く当たる場所に植えると、乾燥で育ちが悪くなります。

ナツハゼを植える際は、午前中に日が当たり午後から日陰になるような半日陰の場所が理想です。

水やりと肥料は時期によって調節を

ナツハゼの水やりで気をつける点は、時期によって水を与える頻度を変えることです。基本的に頻繁な水やりの必要はありませんが、夏の暑い時期のみ注意が必要です。

この時期は土が乾きやすくなるため、ほかの季節よりもこまめに水を与えましょう。朝か夕方がベストなタイミングです。

またナツハゼに肥料を与える時期も、適したタイミングが存在します。開花が終わる6月頃と、1月~2月頃に与えるのがベストです。

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 ナツハゼが大きくならない場合は、緩効性肥料を少し与えてみてください。

植え付け/植え替えはタイミングが大事

ナツハゼの植え付けは9月~12月、もしくは3月が適期です。

根の部分が詰まるとナツハゼの成長を阻害してしまうため、植えた場所の狭さ次第では植え替え作業が必要になります。植え替えを行うときも、植え付けと同じ時期を選びましょう。

ナツハゼの剪定方法

剪定道具

ナツハゼを剪定するとき、正しい剪定方法を把握しておくほか、病気や虫も確認しておく必要があります。一つずつ説明していきます。

剪定の仕方

ナツハゼは育つスピードが遅いです。そのため、剪定を頻繁に行う必要がなく、内側に伸びた枝や枯れた枝を切る程度で良いです。

ただしナツハゼの苗が小さい場合には、押さえておきたいポイントがあります。苗木が小さい1〜2年目の冬は、主幹の先を切りましょう。

こうすることで、新しく生えてくる枝がよりすくすくと育ちやすくなります。切る長さの目安は、15cmほどがよいでしょう。

ナツハゼ1~2年目の剪定方法の図解
ナツハゼ1~2年目の剪定ポイント

剪定時に病害虫のチェックを

ナツハゼを剪定する際には、カイガラムシという害虫が発生していないか、うどんこ病という病気にかかっていないかも確認してください。

カイガラムシ

カイガラムシ
カイガラムシ

ナツハゼを好む虫の代表が、カイガラムシです。サイズは、大きいもので10mmほどです。

植物に寄生すると幹や茎から栄養を吸い取ってしまいます。栄養を取られると、ナツハゼがしっかり育たず、枯れてしまう恐れもあるため注意が必要です。

カイガラムシの予防策は、風通しのよい場所にナツハゼを植え、虫が好まない環境を用意することです。それでも見つけた場合には、薬剤による駆除を行いましょう。

うどんこ病

うどんこ病
うどんこ病

風通しが悪い環境の場合、ナツハゼが病気にかかる危険性もあります。

特に気をつけるべきは「うどんこ病」と呼ばれる病気です。葉っぱに白色のカビが生えることで、ナツハゼの生育に悪影響が出てしまいます。

カイガラムシと同様に、風通しのよい場所で育てることが効果的です。もしうどんこ病にかかってしまった場合は、重曹をスプレーで吹きかけるとカビの増殖を抑えることができます。

ナツハゼの増やし方

ナツハゼ

ナツハゼの数をもっと増やして育てたい場合は、主に2つの方法があります。ここでは、その方法をくわしく紹介します。

挿し木で増やす方法

植物の一部を切り取って土に植えることを「挿し木」といいます。ナツハゼを増やすためには、この挿し木で増やす方法を用います。手順は以下の通りです。

挿し木の手順を説明している図解
挿し木の手順
  1. その年に伸びた枝を1本選び、斜めに切る
  2. 植物成長調整剤を入れた水に約1時間浸ける
  3. 鉢に入れた土を湿らせる
  4. 鉢に枝を挿す
  5. 枝が伸びてきたら植え替える

ナツハゼを挿し木で増やす場合は、6月頃に作業を行うとよいでしょう。

種まきで増やす方法

ナツハゼの種をまくことで、ナツハゼを増やす方法もあります。作業を行うタイミングは、春が訪れる前の3月頃がベストです。

種まきに使う種は、前年の秋に熟した実を収穫したときの実を使用します。果肉は水で洗い流し、種だけを取り出しましょう。手順は以下の通りです。

  1. 小粒の赤玉土の上に、ピートモスなどを敷いておく
  2. 種を赤玉土の上にまく
  3. 土が乾燥しないようこまめに水を与えて管理する

日光を充分に当てさせるために、種の上から土を被せないこともポイントです。

ナツハゼのおすすめの食べ方

ナツハゼ

ナツハゼは観賞ができるほか、食用としても多くの健康効果が期待できる優れた植物です。どのような食べ方ができるか、具体的に紹介していきます。

ジャムにする

ナツハゼを材料に用いて、ジャムが作れます。手順は以下の通りです。

  1. ナツハゼの実をよく水洗いする
  2. 鍋に実を入れ、中火で温める
  3. 砂糖を混ぜながら煮詰める

ジャムを作るときのコツは、好みに応じて砂糖の配分を調節することです。ナツハゼの実は人によっては酸味が強く感じられるため、多めに砂糖を入れてもよいでしょう。

味はブルーベリーに近く、ヨーグルトなどにかけて食べるとおいしく味わえるためおすすめです。

ナツハゼ酒を作る

お酒には果実酒といった種類がありますが、ナツハゼも果実酒として楽しめます。手順は以下の通りです。

  1. ナツハゼを瓶に詰める
  2. グラニュー糖あるいは氷砂糖を混ぜる
  3. ホワイトリカーを入れる

砂糖がちゃんと溶けるように、毎日ゆっくりと混ぜてあげることがポイントです。

漬け込む期間は3〜4カ月ほどあれば充分でしょう。酸味が心地よく、色は綺麗な紫色に仕上がります。

ナツハゼを育てて実と夏の紅葉を楽しもう

ナツハゼ

観賞用としても食用としても優れたナツハゼは、風通しのよい場所を選ぶことで健康に育ちます。またブルーベリーと同じツツジ科であるため、効能たっぷりのその実を味わうのもおすすめです。

必要に応じて剪定もしっかりと行い、丁寧に育てれば夏にはナツハゼの紅葉も楽しめるでしょう。