細い木に黄色くてふわふわの花をつけるパールアカシア。アカシア類の中で比較的小さなサイズであることから、庭木や植木で人気があります。
パールアカシアは高く成長する割に細く倒れやすいという特徴があり、剪定や支柱でうまく対処しなければいけません。また、パールアカシアは水やりにも注意が必要。
少し難易度が高い植物ですが、しっかりと手入れしてあげることで、美しい花を咲かせますよ。
ここではパールアカシアの特徴や育て方・普段の管理方法などを解説。ガーデニングを楽しむために知っておいてほしいことを紹介していきます。
パールアカシアの特徴・育てる前に確認すべき基礎知識
はこのようなふわふわの黄色い花を咲かせます。原産国はオーストラリアで、マメ科の常緑樹です。オーストラリアでは国花になっていますね。
丸い葉っぱは少し起毛しており、白っぽく見えることが特徴。成長は非常に早く、何の手入れもしなければ3m程度まで伸びてしまいます。
パールアカシアは鉢植えでも地植えでも栽培可能な品種。特に心配すべき病気はなく「格段に難しい」と感じる手入れ作業もありません。ただし、風に倒れやすいという弱点があるうえに水の適切な管理が必要です。
ガーデニングの難易度としては中級程度ですが、風や水など注意すべきことをしっかりと対処すれば、美しい花を楽しめますよ。
常緑樹で年中白っぽくて丸い葉を楽しめます。根が浅く30年ほどで腐朽して倒れやすくなるため、剪定で高さを管理しておきましょう。
1つ注意すべきことは、アレルギーについてです。パールアカシアの花粉は、日本でアレルゲン物質(アレルギーの原因物質)として指定されています。花粉症を持っている方には影響が大きいため、購入前にアカシアのアレルギーがないかの検査をしておきましょう。
また、あまり高く成長させてしまうと周囲に花粉が飛びやすくなります。心配な方は、樹高を高くしすぎないよう管理するのがおすすめです。
パールアカシアを栽培するのに必要なものや環境
パールアカシアは暖かい国が原産ですので、日当たり・風通しともに良好な場所を好みます。できるだけ日光が当たる、湿度の低い場所に植えるのがおすすめです。
パールアカシアの栽培環境について詳しく見ていきましょう。
気温や湿度
耐暑性は高い方で、40度を超える日でも大丈夫。湿度がパールアカシアに与える影響もほぼありません。
冬は-5度までなら、特に対応は必要ありません。雪や霜にも耐えますが、葉が少々霜焼けしたように黒っぽくなってしまうことがあるので注意が必要。それを避けるには寒冷紗(カーテンのようなもの)をかぶせるか、冬は日当たりの良い室内で育てましょう。
ただし、冬場に室内で育てるときは、暖房の風が直接あたると水切れを起こして枯れてしまいます。エアコンやストーブの風は直接当たらないように注意しましょう。
関東以西であれば地植えでも冬越しができます。北海道・東北地方では場所にもよりますが、鉢植えで移動できるようにすると育てやすいですよ。
水やり
パールアカシアの難易度が少々高くなっているのは、水やりに注意が必要だからです。水切れを起こしやすい植物のため、ちょっとした不注意で枯れてしまうことがあります。
葉がカラカラになる・茶色く変色するなどの変化が見られたら、水が足りていないサインです。
対処法としては、土から溢れるくらいにたっぷりと水をやってください。植え方や季節によって水やりの頻度が変わりますので、それぞれに分けて紹介しますね。
庭植えの場合は乾燥時のみ水やりをする
庭植えの場合、水やりは次のような頻度がおすすめです。
- 植え付け後や植え替え後:毎日やる
- 根付いたあと:自然の降雨に任せてOK
ただし、雨が降らない期間が長くなったときや夏場で乾燥しがちなときには、朝か夕方にたっぷりと水やりをしてください。
鉢植え場合は土の表面が乾いたら水やりをする
鉢植えで育てる場合には、水切れを起こす可能性が高いため、様子をしっかりと見ておく必要があります。
- 春~秋:土の表面が乾いたら、土から溢れるくらいに水をやる
- 冬:土が乾いたのを確認した2日後くらいに、土から溢れるくらいに水をやる
鉢植えで水を与えたあと、鉢の受け皿にたまった水は捨ててくださいね。
土や肥料
パールアカシアは水はけの良い土を好みます。土を少し掘ってみて湿り気がある場所には、植えないようにしましょう。
また、基本的に肥料を与えずとも十分に育ちますが、花つきを良くさせたい方は緩効性肥料を与えてください。肥料は開花後の5月~6月くらいに施します。
パールアカシアの育て方・普段の手入れ方法
庭植えと鉢植えそれぞれのやり方を紹介します。
パールアカシアの植え付け!支柱で倒れるのを防止しよう
パールアカシアの植え付けや植え替えに適しているのは3月以降の春です。
庭植えの場合には、日当たりが良く水はけの良い場所に30cm程度の穴を掘ります。堀った土に腐葉土を混ぜ、ある程度穴に埋め戻してから苗を植えてください。
このとき、支柱を立てて苗を固定してあげましょう。パールアカシアは成長が早く、どんどん真上へと伸びるので、どうしても風から受ける影響が大きくなりがち。台風のような日には、すぐに倒れてしまいます。
そのため、植え付けたあとの支柱は必須。しっかりと樹を支えるようにしてください。
鉢植えの場合は、まず苗の倍くらいの大きさの鉢を用意します。鉢底ネットと鉢底石を入れ、培養土と赤玉土を半々程度に混ぜた土を鉢の半分くらいまで入れます。苗を入れて残りの土をかけ、終わったらたっぷりと水を与えましょう。鉢植えで育てる場合には鉢の大きさが大切。必ず大きめの鉢を用意してくださいね。
鉢植えの場合は、大きく育ってきたら支柱を立てて支えてあげるのがおすすめです。
パールアカシアの植え替え(鉢植えのみ必要)
鉢植えで育てるなら、植え替えも必要です。パールアカシアの成長は早く、根がどんどん伸びて根詰まりを起こしてしまいます。土の水はけが悪くなってきたり、鉢の底から根が出てきたりしたら、早めに植え替えをしましょう。
ただし、あまり頻繁に植え替えを行うとパールアカシアが弱ってしまいます。そのため、最初に大きめの鉢を用意して、植え替え頻度を少なくするのがおすすめです。
パールアカシアの剪定方法や時期
パールアカシアは花が終わったら、できるだけ早く剪定をしてください。遅くとも7月までに剪定を終わらせておきましょう。夏以降に剪定をすると、花芽も落としてしまうので注意してくださいね。
庭植えの場合、放置しているとすぐに3mくらいの高さになってしまいます。そのため、特に風の強い場所に植えている方は毎年剪定して小さく育てるのがおすすめ。人間の背丈くらいでまとまるように剪定をすれば、外からの視線を遮れますし、窓から花や葉を楽しめますよ。
パールアカシアの増やし方
パールアカシアは実生(みしょう)で増やせます。実生というのは、種子から苗を育てる方法。花が咲き終わったあと、マメ科特有の鞘に入った種子ができますので、それを採取しておきましょう。
種は発芽しやすいように、鞘から出して熱湯に一晩つけておきます。その後腐葉土を混ぜた土に植え、根付くまでは水やりをこまめにしてください。
また、アカシアの種類は挿し木でも増やすことができます。梅雨時期に剪定した枝をとっておき、数時間水につけたあと挿し木用の土に挿して、水やりをしましょう。根付くまでは明るい日陰におき、その後日当たりの良い場所へ移動させます。
パールアカシアが枯れる原因と対処法
パールアカシアは丈夫な樹木ですが、枯れてしまうケースもあります。ただし、寒さが原因で枯れることは滅多にありません。冬には落葉することもありますが、さほど心配しなくて大丈夫です。
パールアカシアが枯れる原因は主に水枯れ・害虫・病気です。では、順番に原因や対策を見ていきましょう。
原因1:水枯れ
パールアカシアを育てる上で難しいのは、水やりです。地植えであれば自然の降雨に任せますが、夏に土が乾燥したまま放置していると枯れてしまいます。鉢植えの場合は冬の水やりにも注意が必要です。
水不足になっていると葉がカラカラになり、茶色っぽく変色するためすぐに気が付くはずです。
「水枯れかな?」と思ったときは、その日から数日間たっぷりと水を与えてみてください。植物に何らかの変化があればまだ生きていますので、慎重に経緯を観察しながら水やりをしていきましょう。ただし変化があった場合でも、花が咲くまでに回復するには2年ほどかかると言われています。
原因2:害虫
パールアカシアはほとんど害虫がつくことはありませんが、皆無とも言えません。気を付けたい害虫は、カイガラムシ・コガネムシの幼虫・カミリキムシの幼虫です。
もし発見した場合は、以下のように対応してください。
- カイガラムシ・・・ブラシで取り除くか、専用の殺虫剤で駆除する。鉢植えであれば枝を間引きし、風通しの良い場所へ移動させる
- コガネムシの幼虫・・・周囲の土を掘って駆除するか、土用の殺虫剤で駆除する
- カミキリムシの幼虫・・・専用のスプレーで駆除し、日当たりと風通しの良い場所へ移動させる
また、これらの害虫が原因となってうどんこ病が発生する可能性もあります。最悪の場合には木が枯れてしまうので、日頃からよく観察するようにしてください。
原因3:病気
前述した害虫が原因で弱ってしまい、うどんこ病が発生することが稀にあります。うどんこ病とは、葉の表面に白いカビが生えてしまう病気のこと。
カビが生えた葉はちぎって土の中に埋め、パールアカシア全体に重曹を水で薄めて作ったスプレーをふりかけましょう。
重曹スプレーは自宅で簡単に作ることができます。重曹1gを空のスプレー容器に入れ、500mlの水を加えてよく振るだけ。うどんこ病を見つけたら、ぜひ作ってみてください。
パールアカシアの費用や選び方
パールアカシアの相場は1,000円から1,500円ほどです。インターネットの通信販売でも苗を買えますよ。
アカシアの種類は多く、日本で流通しているのはその一部だけです。とはいっても葉っぱの形や色、樹高などの違いがあります。風が強い地域の方や倒れるのが心配な方は、樹高が低いものを選ぶのがおすすめです。
パールアカシアとミモザの違いは?
パールアカシアとよく似ているため、間違えられやすい植物が「ミモザ」。上の写真はミモザの花です。日本ではこちらの方が有名かもしれませんね。しかしこの2つ、似てはいますが違う植物です。
パールアカシアはマメ科アカシア属ですが、ミモザはマメ科オジギソウ属。さらに花も、パールアカシアは黄色ですが、ミモザはピンク色のものもあります。
そして最もよく実感しやすい違いは、葉の反応でしょう。パールアカシアは葉に触れても変化はありませんが、ミモザは葉に手で触れると折りたたむように縮みます(オジギソウの一種だから)。よく見ると、葉の形も違いますよ。パールアカシアは丸みをおびていますが、ミモザの葉は細長いですね。
ただし非常に似ているため、一般的にはアカシア=ミモザという認識が定着しています。違いはほぼ分からないうえにそれぞれに亜種も多いです。アカシアの話をしていたらミモザのこと、ミモザのことを話していたらアカシアのことだったというケースもよくあるでしょう。手入れ方法も同じことが多いので、育てるときにもあまり違いはありません。