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ナンジャモンジャの木ヒトツバタゴを育てよう!花が咲かない原因は?

最終更新日: 2022年04月22日

ヒトツバタゴは絶滅危惧種ってほんと?

ヒトツバタゴは絶滅危惧種です。国および一部の県では天然記念物として指定されています。

ヒトツバタゴの花言葉は?

ヒトツバタゴの花言葉は「清廉」です。

基本情報

植物名 ヒトツバタゴ
学名 Chionanthus retusus
科名 / 属名 モクセイ科ヒトツバタゴ属
原産地 中国福建省
鑑賞期 5月
花色
樹高 15~25m
特性 絶滅危惧種、寒さにも暑さにも強い、隔離分布

栽培カレンダー

ヒトツバタゴ 栽培カレンダー

ヒトツバタゴとは【別名、地域、花言葉、アメリカヒトツバタゴ】

ヒトツバタゴ

ヒトツバタゴはモクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉高木です。開花時には雪が積もったような美しい白い花を咲せるヒトツバタゴは、どのような樹木なのでしょうか。

ヒトツバタゴの別名

ヒトツバタゴは「ナンジャモンジャ」の別名で広く知られています。「ナンジャモンジャ」とは、植物学的には特定の植物名ではなく、どんな種類の木か分からない場合に使われた呼び名です。そのためクスノキやカツラ、ニレも「ナンジャモンジャ」と呼ばれ、代表格とされるのがヒトツバタゴです。

ヒトツバタゴは「一つ葉のタゴ」を表します。「タゴ」とは同じモクセイ科の樹木である「トネリコ」の別名です。ヒトツバタゴとトネリコは開花時の様子や樹形がよく似ています。トネリコが複葉であることに対しヒトツバタゴは単葉であることから、このような名前が付きました。

自生地域が限られていて珍しい

日本国内の自生地域は、長野県・岐阜県・愛知県にまたがる「木曽川流域」と長崎県の「対馬市」であり、限られたエリアのみで自生します。植物学的にはとても珍しい、ピンポイントな隔離分布である点が大きな特徴となります。

ヒトツバタゴは希少種としても有名です。環境省が発行するレッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に指定されているほか、国および一部の県では天然記念物として指定されています

自生のものは希少種ですが、栽培されているものは日本国内でも街路樹や庭木として多く見られます。

花言葉は「清廉」

ヒトツバタゴの花言葉は「清廉」です。清廉潔白という四字熟語からも分かるように、清く正しいことを示す花言葉は、花が真っ白に色付くヒトツバタゴにぴったりですね。

アメリカヒトツバタゴとの違いは?

ヒトツバタゴ属には、ヒトツバタゴとアメリカヒトツバタゴの2種類が存在します。アメリカヒトツバタゴは、北アメリカに分布するヒトツバタゴのことで、ヒトツバタゴとは異なる点がいくつかあります

大きく異なるのは樹高です。ヒトツバタゴは15m~25mと、比較的大きく成長します。これに対してアメリカヒトツバタゴは、10mほどにしか成長しません。

花と葉も異なります。アメリカヒトツバタゴの葉は、ヒトツバタゴの葉に比べて大きく、花びらも細くて長いです。

アメリカヒトツバタゴは、木が幼いうちから花を付けます。ヒトツバタゴは、成木になり花が付くまで約10年かかるとも言われているので、早く花を見たい場合はアメリカヒトツバタゴがオススメです。

見た目の特徴【花、葉、実、似ている木】

ヒトツバタゴの開花時期は5月頃です。真っ白い小花が乱れ咲く様子は初夏の青空に映え、見るものを爽やかな気持ちにさせるでしょう。ここではヒトツバタゴの花や葉、果実、似ている木について詳しく紹介します。

花の特徴

ヒトツバタゴの花

ヒトツバタゴは、5月になり開花の時期を迎えると一斉に真っ白な花を咲かせます。花びらは深く4つに裂けており、長さは約1.5~2.5cmです。かすかな甘い香りとともに、庭を彩ってくれます。

またヒトツバタゴは雌雄異株(しゆういしゅ)です。雌雄異株は単性花をつける植物のことを指し、雌花と雄花を別々の個体につけます。ただし、ヒトツバタゴには雌花のみを咲かせる「雌株」がありません

雄花だけが咲く「雄株」以外には、ひとつの株に雄花と雌花が咲く「両性株」があります

葉や実の特徴

ヒトツバタゴの葉

葉は3~12cmほどの卵形で茎を軸に葉っぱが向かい合う形(対生)に並びます。秋には葉が黄色く色付き、その後落葉します。

ヒトツバタゴの実

また花が咲いた後に受粉した樹木には、1cmほどの果実が実るのが特徴的です。雄株には実がならないため、果実がなるのは両性株のみです。

秋になると黒紫色に熟すヒトツバタゴの実は、食べることができません。鳥も食べないようです。目で見て楽しみましょう。

樹皮の特徴

ヒトツバタゴの樹皮

ヒトツバタゴの樹皮は灰褐色で、成長とともに縦方向に割れ目が入り、ゴツゴツとした見た目になります。

似ている木

ヒトツバタゴに似ている木として「トネリコ」があります。トネリコの別名「タゴ」がヒトツバタゴの名前の由来にもなったほど、白くて細長い花をや樹形が似ています。

ヒトツバタゴとトネリコの違いは葉です。トネリコの葉は、2枚以上の小葉から成る複葉である一方、ヒトツバタゴは単葉です。

トネリコの葉
トネリコの葉

ヒトツバタゴに適した栽培環境【置き場所、用土、乾燥対策】

ヒトツバタゴ

ヒトツバタゴに適した置き場所や用土は何なのでしょうか。ヒトツバタゴを健康に成長させるために必要不可欠な乾燥対策と共に紹介します。

日当たり・水はけが良く、広いスペースを確保しよう

ヒトツバタゴが好む置き場所は、日当たりと水はけの良い適湿地です。

またヒトツバタゴは成長ペースがゆっくりながらとても大きく育ちます。15〜25mほどの大きさに成長するので、庭に植える際には広いスペースが必要です

将来的に根や枝が建物・壁を圧迫する可能性もあるため、成長したときの状況をシミュレーションしながら植える場所を決めましょう。

用土は有機質に富むものを

用土は、有機質に富むものを用意してください。

庭の土に腐葉土や堆肥を混ぜてから植え付けると良いでしょう。

大きく成長する植物であるため地植えがオススメですが、もし鉢植えにするなら、赤玉土中粒2:腐葉土1の割合で配合した土を使用すると良いです。

乾燥対策をしっかりしよう

ヒトツバタゴは乾燥は苦手なので、夏場には特に注意が必要です。夏に根元が乾燥するようであれば、株元をビニールで覆うマルチングをして保湿しましょう

低木類や下草を植えて根締めを行うことによっても、乾燥を防ぐことができます。景観をよくする効果も期待でき、一石二鳥といえるでしょう。

関連記事:マルチングはするべき?メリットやデメリット・マルチング材の種類や効果も解説|ミツモア

ヒトツバタゴの育て方【植え付け、水やり、施肥、剪定、増やし方、病害虫】

ヒトツバタゴの紅葉

ヒトツバタゴは耐暑性・耐寒性がともに高いうえ、病害虫にも強い木です。基本的に育てやすい植物と言えるでしょう。ここではヒトツバタゴの育て方について解説します。

植え付けの適期と方法

ヒトツバタゴの植え付けの適期は、地植え・鉢植えともに落葉期である11~2月です。

地植えの場合、盛り土をして地面より1段高い場所に植えるとより成長しやすくなります。また植え付け後は直径16cm以上の支柱を必ずして、風による被害を防ぎましょう。植え付けから1年ほど経過し、根が張ってきたら支柱を取っても大丈夫です。

ヒトツバタゴは大きく成長する植物なので、鉢植えの場合は直径30cm以上の鉢に植え付けてください。根鉢の2~3倍の穴を掘って植え付けた後は、たっぷりと水を与えて乾燥を防ぎましょう。

水のやり方と施肥

地植え・鉢植えともに植え付けから2年未満の株には、土の表面が乾くごとにたっぷり水やりをしてください。

植え付けから2年以上経ちしっかりと根付いたら自然降雨だけでほぼOKですが、長く雨が降らず、乾燥している時には水を与えます。鉢植えの場合は、2年経過後も土の表面が乾いたら水をやることが必要です。

追肥はほとんど必要ありません。地植えの場合は、落葉期である1~2月に、寒肥として固形の油カスや鶏糞といった緩効性有機肥料を少々与える程度で大丈夫です。鉢植えであれば3月ごろに弛緩性化学肥料を与えましょう。

剪定方法

ヒトツバタゴは自然な樹形が美しく成長も緩やかです。そのため剪定はそれほど必要ありません。落葉期である1~2月に、間引き剪定をするくらいに留めましょう。

日当たりや風通しを妨げる箇所や、絡んだ枝や枯れた枝、不要な枝のみを切り落とします。その際には花芽を切り取らないように剪定することが、特に注意したいポイントです。

増やし方

ヒトツバタゴは挿し木で増やすことができます。挿し木とは、株の一部分を切り取り、発根させて増やす方法のことを指します。具体的な手順は以下の通りです。

  1. 新しく伸びた枝を約15cm、斜めに切り落とす
  2. 先端の葉を4~6枚残し、切り口を3時間ほど水に浸す
  3. 湿らせておいた挿し木用の土に挿す
  4. 明るい日陰で管理し、乾燥しないように水やりを続ける
  5. 3ヵ月ほど経ち、根付いたら植え付けたい場所に植え付ける

病害虫

病害虫の発生はほとんどありません。とても育てやすい木であるといえます。

花が咲かない原因とは?

ヒトツバタゴ

ヒトツバタゴのよくあるトラブルのひとつに「開花期なのに花が咲かない」ことが挙げられます。白い花を楽しみたくてこの木を選んだ人の場合は、特にガッカリするはずです。

花が咲かない原因について、3つの可能性を考えてみましょう。

花芽を剪定してしまっている

ヒトツバタゴは、冬の間に花芽を付けます。落葉期の剪定で花芽を一緒に切ってしまうと、花が咲かなかったり開花が少なかったりしてしまいます。剪定には十分な注意が必要です。

「どれが花芽か分からない」という場合には、落葉期ではなく開花が終わる5月下旬ごろに剪定を行うという手もあります。この時期はまだ枝に葉が付いているため、枝の形がつかみづらいかもしれませんが、込み合っている箇所を間引く程度の剪定であれば問題はないでしょう。

木が幼い

木が幼いことも花が咲かない原因の1つです。ヒトツバタゴは成長が非常にゆっくりで、幼木のうちはなかなか花芽を付けません。成木になり花を付けるまで約10年かかるともいわれ、根気よく待つ必要がある樹木です。

ただし近年は、幼木でも開花するように品種改良された「一才性(いっさいしょう)」も出回っています。この品種は、樹高30cmほどでも花を咲かせるので、早く開花を楽しみたい方にオススメです。また樹高がそれほど大きくならないのもこの品種の特徴です。

日照不足・肥料不足

また「幼木ではないのに花が咲かない」場合は、日照不足・肥料不足の可能性があります。枝葉を間引いて日当たりをよくしたり、花の成長を促す「リン酸」を含む肥料を与えてみたりしましょう。

ヒトツバタゴを育ててみよう

ヒトツバタゴ 実

ヒトツバタゴは5月頃が開花期で、雪のような真っ白な花を咲かせます。秋には黄葉と黒紫の果実も鑑賞できるのも魅力です。

比較的育てやすい植物で「日当たりをよくすること」「乾燥に弱いため適度に水やりをすること」「剪定の際に花芽を切り取らないこと」といった基本事項を守れば、簡単に育てることができます。

ぜひみなさんもヒトツバタゴを育て、綺麗な花や葉を楽しみましょう。

以下の記事では、庭木やグランドカバーにおすすめな植物を幅広く紹介しているので、参考にしてみてください。

関連記事:庭に植物を植えたい!おすすめの植物から庭づくりのコツまで解説|ミツモア