紫陽花は丈夫な植物なので、初心者でも育てやすい点が特徴です。しかし萎れてきたり、葉が変色したりしてきた場合には、病気や害虫が原因かもしれません。紫陽花で要注意な病気や害虫とともに、有効な対策とおすすめの殺菌剤を紹介します。
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紫陽花(あじさい)は比較的丈夫な植物
「ガクアジサイ」を品種改良して誕生した「紫陽花」は、梅雨時にきれいな花色が楽しめる植物です。丸い実のような部分が「花弁」で、花びらのような部分は「萼片(がくへん)」です。
ここでは紫陽花の特徴と、基本の手入れ方法について解説します。
繁殖力が強く寒さにも強い
紫陽花は耐寒性があるため、地植えでも栽培可能な落葉低木です。鉢植えは11月までならば屋外で育てられます。本格的な寒さが訪れる11~2月までのあいだは、葉が落ちて枯れたような状態になりますが、休眠期なので心配は不要です。
休眠期は、6月に花を咲かせるための花芽を木の内部で育てています。紫陽花はひとつの花に雄しべと雌しべを持つ両性花です。繁殖力が強く広い場所に植えれば、どんどん大きく成長します。
花色は青・紫・ピンク・ライトグリーンなどカラーが豊富です。自らの花粉で受粉をするため、毎年同じ花を咲かせて梅雨時の庭を鮮やかに彩ります。
手入れは基本的に水だけでOK
紫陽花の手入れは鉢植え・地植えともに、基本的には水やりだけでOKです。鉢植えの場合は季節を問わず、表面の土が白っぽく乾いてきたら鉢底から水が流れるまで、たっぷりと水やりしましょう。
またベランダなどの屋外に置いている鉢植えは、屋内よりも乾燥しやすいのでこまめに土の状態をチェックし、乾燥しているようならば水を与えてください。
地植えでは植え付けの際、たっぷりと水やりをし、そのあとの水やりは不要です。ただし何日も雨が降らず、土が乾燥してしまっている場合には、適宜水やりします。
注意点は「水の注ぎ方」です。勢いよく水を与えると、枝元の土を掘り起こしたり、根を傷つけたりする危険性があります。注ぎ口はシャワー状のものを選び、ダメージを与えないように気をつけましょう。
紫陽花を襲う代表的な病気は
どんなに丈夫な植物でも、病気にかからないとは限りません。紫陽花の元気がなくなってきたら、早めに原因を見つけて対処することが大切です。ここでは紫陽花を襲う代表的な3つの病気について解説します。
葉の表面に白い粉状 うどんこ病
温度が高くなく乾燥している時期に、葉の表面が白い粉のようなものに覆われていたら、「うどんこ病」かもしれません。うどんこ病の原因は「カビ」です。カビの胞子が風によって運ばれて、植物に付着して発生します。
発症初期はうっすら白くなる程度ですが、徐々に白色が濃くなり、うどんこをまぶしたように葉の表面が白くなっていく病気です。
カビ菌に葉の表面を覆われると、光合成の阻害や栄養不足になり成長不良を起こします。最悪の場合には植物が枯れてしまうこともあるので、早めの対処が必要です。
紫陽花はうどんこ病にかかると、葉の表面に白いカビが付着したあとに黒く変色します。発生した部分の葉をそのまま放置していると、胞子がほかの葉に付着して感染が拡大してしまうので、すぐに取り除きましょう。
葉や枝に黒く丸い病斑 炭疽病
「炭疽(たんそ)病」はうどんこ病と同じくカビが原因の病気です。風によってカビの胞子が運ばれ、葉や枝といった植物のあらゆる場所に付着して発病します。22~23度の気温下で発生しやすい病気です。
発症すると丸くて黒い小さな斑点ができます。中心部が灰白色になり、徐々に病斑は拡大すると、葉穴が開いたり葉先から枯れたりといった症状があらわれます。
菌は葉の表面だけでなく、組織内部に侵入して紫陽花の栄養分を奪いながら増殖していくので、発見したらすぐに切り取りましょう。
花全体や一部が緑色に 葉化病
「葉化病」は「ファイトプラズマ」と呼ばれる植物病原細菌が原因で発病します。主な特徴は萼片や花弁の葉化です。花がいつまでも緑色で色づかない場合には、葉化病を疑いましょう。
放置していると、虫が媒介して感染が拡大してしまいます。一度感染すると治らないので、株自体を除去しなくてはなりません。感染した株から挿し木をすると、葉化病が増殖する原因になるため、病気の疑いがある株の枝を使用しないようにしましょう。
紫陽花の病気に有効な対策は
紫陽花を病気から守るためには、栽培環境の見直しと予防策を講じましょう。それでも病気にかかってしまったら、病気の原因に合わせた薬剤の使用も効果的です。ここでは紫陽花の病気に有効な対策について解説します。
日当たりや風通しなど栽培環境を見直す
紫陽花は水やりさえすれば丈夫に育ってくれますが、栽培環境が悪いと病気にかかりやすくなってしまうので注意しましょう。
紫陽花は耐陰性があります。しかし日当たりや風通しの良い場所で育てることで、湿気が多いと発症しやすい「うどんこ病」や「炭疽病」といった、カビが原因の病気にはかかりにくくなります。
鉢植え・地植えともに最低でも半日以上、日が当たる風通しの良い場所で管理してください。ただし直射日光など強い日差しに当てると葉焼けを起こしてしまうので避けましょう。
重曹や食酢をスプレーする
うどんこ病や炭疽病にかかってしまった場合、初期段階であれば「重曹」や「食酢」を水で薄めたものを発症部分にスプレーすれば回復する可能性があります。また重曹や食酢は薬剤ほど植物にダメージを与えません。
重曹は焼き菓子のふくらまし粉として、また焦げつき汚れを除去するためによく使われますが、アルカリ性でカビ菌を死滅させる効果もあります。食酢には酢酸が含まれているため、抗菌・殺菌効果が期待できます。
重曹1gと水500~1,000mlもしくは食酢1~3mlと水350mlを、スプレーボトルに入れてよく混ぜ合わせれば完成です。カビが発生している部分に直接スプレーして様子をみてみましょう。
殺菌剤や殺虫剤を活用する
症状が悪化している場合には、殺菌剤や殺虫剤を活用しましょう。殺菌剤は主に以下の3種類に分類されます。
- 予防殺菌剤:植物に付着している菌や、風で飛来してきた菌を死滅させて、さらに予防効果も期待できる薬剤
- 治療殺菌剤:葉から薬剤が内部に浸透し、植物内部に侵入した菌を死滅させる薬剤
- 殺虫殺菌剤:殺菌効果に加えて、殺虫効果も発揮する薬剤
予防殺菌剤は植物の体内に侵入してしまった菌には効果がありません。内部の菌を死滅させたい場合には、治療殺菌剤がおすすめです。
また植物は病気だけでなく、害虫被害を受けることもあります。殺菌と殺虫が同時にできる殺菌殺虫剤は、狭い範囲の散布に最適です。ただし薬剤によって、適用病害虫が異なるので事前に確認しましょう。
病気だけでなく害虫にも注意が必要
どんな植物にも害虫が付着する危険性はあります。害虫は葉を食べるだけでなく、成長不良や病気の発生原因にもなるため、見つけたらすぐに駆除しなくてはなりません。ここでは紫陽花で注意すべき害虫とその被害について解説します。
害虫は紫陽花の病気の原因にもなる
紫陽花を購入する際には害虫が付着していないか、よくチェックしてから購入しましょう。ウイルスを持った害虫が付着していると、それが感染源となって購入した株だけでなく、ほかの植物にまで病気が伝染してしまうかもしれません。
また害虫によって食害を受けた葉は、光合成を阻害されて成長不良を起こします。害虫を見つけたら割り箸などで取り除くか、アブラムシなど小さい場合には殺虫剤で退治しましょう。
要注意の害虫とは
紫陽花で注意すべき害虫は以下のとおりです。
- ハダニ:葉裏に付着して葉の養分を吸い取る。葉の表裏に葉水をすることが有効。
- アザミウマ:薄黄色の細長い害虫。花粉だけでなく葉や茎を食害。殺虫剤や反射シートが防除に有効。
- アジサイハバチ:春から初夏にかけて発生するハバチの幼虫で葉・花・蕾に食害を受ける。割り箸などで除去するか、殺虫剤の散布が有効。
- コウモリガの幼虫:大きくなると50~ 80mmになり、枝の中に侵入して食害する。食害された枝は枝ごと取り除く。薬剤もしくは捕殺が有効。
紫陽花の病気に効果的な殺菌剤はこれ
育てている紫陽花が病気になってしまったら、なるべく早く殺菌剤を使って対処しましょう。ここからは効果的な殺菌剤を3商品紹介します。
住友化学園芸「ベニカXネクストスプレー」
- 還元澱粉糖化物:アブラムシとハダニへの防除効果成分
- クロチアニジン:浸透移行性で雨に濡れても殺虫効果が持続
- ピリダリル:ハスモンヨトウなど大きな幼虫への防除効果成分
- ペルメトリン:害虫への殺菌効果をすばやく発揮
- マンデストロビン:浸透移行性で雨に濡れても病気の予防と治療効果が持続
紫陽花だけでなく野菜にも使えます。化学防除成分と物理防除成分の両方からすばやく殺虫して、殺菌や予防効果も期待できます。うどんこ病のほか灰色かび病・黒星病・菌核病にも有効です。
住友化学園芸「ベニカXファインスプレー」
クロチアニジンとフェンプロパトリンの殺虫成分によって、すばやい殺虫効果と持続性が実現した薬剤です。また殺菌成分であるメパニピリムを配合しており、葉裏まで薬液が浸透して、病原菌の侵入を防ぎながら予防もできます。
またボトルを逆さにしてのスプレーに対応しています。葉裏に潜むハダニやアブラムシへの殺虫や発生予防も手軽に行える点が特徴です。
住友化学園芸「兼商モレスタン水和剤」
またうどんこ病以外にも、ハダニやホコリダニ、コナジラミなどの害虫を殺虫する効果もあります。
粉末タイプの薬剤を希釈する際には、粉末が目に入らないようにゴーグルを着用し、手袋で皮膚を保護してから作業をはじめましょう。
紫陽花の病気は早めの対処が重要
紫陽花の基本的な手入れは水やりだけです。しかし水やりだけでは、病気や害虫までは防除できません。普段からこまめに葉の状態をチェックして、何かトラブルが発生したら、すぐに原因を突き止めましょう。
病気にかかっても初期段階ならばほとんどの場合、薬剤を使用すれば回復可能です。落ち葉などを放置していると、害虫が発生しやすい環境となるので、落ち葉拾いも忘れてはいけません。害虫は発見次第、捕殺もしくは殺虫スプレーで駆除しましょう。
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