この記事では、ペンタスの育て方やお手入れの方法、ペンタスとの寄せ植えに適した花を紹介します。
ペンタスの寄せ植えに適した花は?
ペンタスと一緒に植える花は「ニチニチソウ」「千日紅」「ポーチュラカ」「アメリカンブルー」などがおすすめです。記事内でそれぞれの写真も掲載しています。
ペンタスは屋外で冬越しできる?
ペンタスは寒さに弱く体感温度が5℃前後なので、日本国内では基本的に屋外で冬越しするのが難しいです。確実に冬越しさせたい場合、11月頃までには鉢植えを室内に移動させ、日の当たる窓際などに置いておきましょう。花壇や庭の地面に植えている場合は鉢への植え替えが必要です。
ペンタスってどんな植物?
ペンタスは春から秋にかけて、園芸店や公園の花壇でよく見かける植物です。
アフリカや中東が原産で、本来は常緑の多年草ですが、日本の気候では冬に枯れてしまうので一年草として扱われることが多いです。和名は「クササンタンカ(草山丹花)」といいます。
その星型の花びらから、流れ星に願い事をする様子を連想して「願い事」「希望がかなう」というロマンチックな花言葉がつけられました。
ペンタスの特徴
植物名 | ペンタス |
学名 | Pentas lanceolata |
科名 / 属名 | アカネ科 / ペンタス属 |
原産地 | 熱帯アフリカ |
開花期 | 5月~10月 |
花の色 | 白・ピンク・赤・紫 |
草丈 | 30~50cm |
特性 | 耐暑性、乾燥に強い、開花期が長い、日本では一年草 |
ペンタスは開花期が長く、国内では5~10月にかけて咲き続けます。熱帯原産の植物なので、暑さに負けず夏の間も繰り返し花を咲かせることが特徴です。
草丈は30cn~1.5m程度で、本来は成長して低木になりますが、園芸店では小型のまま成熟するように改良された品種が多く出回っています。
一年草として花壇に植える場合は、小さいまま枯れることが多いですが、鉢植えで育てて越冬させる場合は大きく育てられるでしょう。花色も豊富にあり、花壇におすすめです。
星型の小さい花は、さまざまな色の種類がある
ペンタスは星型の小さな花が寄り集まって咲きます。ギリシア語で数字の5を意味する「pente(ペンテ)」が名前の由来とされます。
花の1つ1つは小さいですが、満開時には寄り集まってこんもりと傘のように咲くので、大きな株になると見応えがあるでしょう。
存在感を主張し過ぎないので、他の植物との相性も良く、寄せ植えの材料としても活躍してくれます。八重咲きの品種もあり、選び方次第で様々な表情を楽しめるでしょう。
ペンタスの花色は白・ピンク・赤・紫などのバリエーションがあり、品種によって異なります。同じピンクでも、淡い色から濃い色までバラエティーが豊かで、色味の違いを楽しめるところも魅力です。
他の植物と寄せ植えしても良いですが、花色の豊かさを生かし、ペンタスだけの花壇を作っても、華やかな雰囲気を楽しめるでしょう。
ペンタスに毒性はある?
ペンタスには毒性はありません。エディブルフラワー(食用花)として使われることもあります。
一方よく似た花に「サンタンカモドキ」がありますが、こちらは強い毒性を持つ植物です。
ペンタスを長く楽しむお手入れのコツ【植え替え、剪定、花がら摘み】
ペンタスは置き場所や水やりの方法さえ間違っていなければ、旺盛に花を咲かせてくれます。園芸の初心者でもそれほど苦労せずに育てられますが、見応えのある姿に育てるには、お手入れのコツをおさえておきたいところです。
植え替えは1~2年に1回
ペンタスが育ち、鉢がせまくなったら1~2年に1回は植え替えをしましょう。
環境さえ合っていればよく成長するので、小さな鉢で育てていると、すぐに根が詰まってしまいます。根詰まりをした状態では、水分や養分を十分に吸い上げられません。また植え替えには土をリフレッシュさせる目的もあります。
植え替えに適した時期は、成長が旺盛になる手前の「5月頃」です。伸び過ぎた根や傷んだ根を切り、枝も伸び過ぎている部分があれば切り落とします。植え替える前に根を切った量に合わせて、枝や葉も落とすことが基本です。
株の大きさに合った鉢を選び「新しい用土」を使用しましょう。古い用土を使用すると、病気の原因となることがあります。
剪定は枝の伸び加減でやり方を変えて
ペンタスの剪定は成長期に行います。気温が高い時期は旺盛に枝葉を伸ばすので、込み入っている枝や葉を落とし、風通しを良くしてあげましょう。他にも伸び過ぎている枝を発見したら、株姿を整えるために切り落とします。
室内で越冬させる場合、10月頃に「20~30cm」くらいの大きさまで切り戻しましょう。大きな株だと室内で育てる際に場所の問題がありますが、コンパクトな株姿に整えれば、管理が簡単です。
花がら摘みをして長く花を咲かせよう
ペンタスはたくさんの花を次々に咲かせます。咲き終わってしおれた花(花がら)は、見つけたら放っておかずに摘み取ってあげましょう。
花がらを放置しておくとそのうち種がつくられて養分がとられ、花を咲かせる期間が短くなってしまいます。定期的に花がら摘みをすることで脇芽の発達がうながされ、花数も増えます。
また、枯れた花がらを放置しておくと見た目が悪いだけでなく、病気の原因にもなるので注意しましょう。
ペンタスの栽培環境
ペンタスはもともと熱帯アフリカがルーツの植物です。気候の異なる日本ではどのような環境で育てるのが適しているのか、確かめてから育てましょう。
日当たりと風通しがよい場所
ペンタスの栽培に適しているのは、日当たりがよく風通しのよい場所です。
日当たりが良くない場所で育てると、花があまり付かなかったり、茎がヒョロヒョロと伸びる「徒長(とちょう)」という状態になったりすることがあります。
鉢植えの場合、真夏のコンクリートの地面には直接置かず、プランタースタンドや鉢置きなどを使って鉢を地面から離してあげましょう。
用土は水はけの良いものを準備
ペンタスは湿度に弱い植物です。多湿の環境では弱ってしまうため、水はけが良い用土を準備しましょう。
水持ちのよさとのバランスを考えて適切な用土を選ぶ必要があります。知識があまりない場合、市販の「草花用培養土」を使用すると確実です。
自分でブレンドしたい場合、赤玉土(小粒)6割、腐葉土3割、パーライト1割で配合しましょう。
ペンタスの育て方【植え付け、水やり、肥料、冬越し】
前述の通り、ペンタスは熱帯の環境には強いものの、日本では気を付けて育てないとうまくきれいな花を咲かせられないことがあります。栽培
植え付け・種まき
ペンタスを種から育てるのは難しく、時間がかかります。手軽に花を楽しみたい場合は、苗を購入して植えつけましょう。
植え付けに適した時期は5~8月頃です。
苗から広がって成長するので、複数の苗を植える場合は30cmほど距離をあけるのがポイントです。
種から育てたい場合は、気温が20度を超える5月頃が適しています。
水やりは土の状態を見ながら
ペンタスの水やりは、土壌が過湿状態にならないよう、土が乾いているのを確認してから新たに水をやるのがポイントです。
土がじめじめした状態が続くと、根腐れを起こしてしまうので注意しなければなりません。
とはいえ、花が咲く時期は水切れを起こしやすいので、放置しすぎないように水やりをしましょう。
置き場所にもよりますが、夏は水切れしやすいため、朝と夕に土の状態をチェックすることがおすすめです。高温期に水切れさせると萎れてしまいます。
肥料は開花時期にほどこして栄養補給
ペンタスは次々とたくさんの花を咲かせるため、開花時期に追肥して栄養補給をします。ただし真夏は高温多湿になるので、株への負担を考えて肥料を与えるのは避けた方がよいでしょう。
真夏を除いた開花期には、月に2回程度、水やりの代わりに液肥を与えましょう。葉・花・根を健康的に育ててくれる「窒素・リン酸・カリ」のバランスが取れた固形肥料を、月に1回与えても構いません。
多くの花を咲かせてくれるので、肥料をついつい多めに与えたくなってしまうかもしれませんが、肥料が多すぎても枯れる原因になるため、規定量を守ることが大事です。
冬越しさせるには室内で管理を
ペンタスは本来多年草の植物ですが、冬の寒さに弱く、日本での越冬は難しいため、日本では一年草として扱われています。
ペンタスを冬越しさせたい場合は、寒さが本格化する11月頃までに室内に鉢植えを移動させましょう。窓際などの日光が当たる場所で、気温が5度を下回らないように管理すれば、冬を越すことができます。
冬でも温暖な地域であれば屋外でも越冬できる可能性はありますが、1日の最低気温が5℃を下回る場合はやはり屋内で冬越しをしたほうが確実でしょう。
ペンタスの増やし方【挿し芽】
ペンタスを増やしたい場合、挿し芽がおすすめです。植物の枝先を切って土に挿して増やす方法のことで、親株と同じ性質を持つ子株に育ちます。
挿し芽に適した時期は5~9月頃です。ただし発芽にはたくさんの水分が必要なので、水分の蒸発が激しい真夏は適していません。湿度と気温の高い時期が最もうまくいきます。
ペンタスを挿し芽で増やす方法
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たまにこぼれ種から開花することも
ペンタスが咲き終わった後の花がらをそのままにしておくと、種がつくられます。周辺の地面に落ちたこぼれ種から発芽し、翌シーズンに新たなペンタスの花が咲くことも。
こぼれ種から開花したペンタスの株は小さいことが多いです。大規模に増やしたいのであれば、やはり挿し芽のほうがおすすめです。
ペンタスは比較的病害虫に強い
育て方が間違っていなければ、比較的病害虫が発生しにくく強い植物です。
とはいえペンタスが嫌う湿気が多く風通しの悪い場所に置いておくと、病害虫の被害に遭うリスクは高くなります。
具体的にはどんな病気や害虫のリスクがあるのか、見ていきましょう。
ペンタスがかかりやすい病気
ペンタスがかかる代表的な病気として、「灰色かび病」と「立枯病」があります。それぞれの症状と原因、病気を予防するためのポイントや対処法をまとめました。
灰色かび病
症状 | 淡褐色のしみができ、そこから枯れて灰色のかびに覆われる。 |
原因 | 土壌に住んでいる菌が葉や茎に付着して発病する。 |
予防法 | 土を跳ね上げないように丁寧に水やりをする。 湿気が多い環境で発生しやすくなるため、風通しが良い場所で管理する。 |
発病時の対処法 | 被害が少ないうちに変色した部分を取り除く。 |
立枯病
症状 | 下葉が変色し、どんどん枯れ込んでいく。 |
原因 | 土壌で繁殖し、最初に根が侵されて生育不良になる。 |
予防法 | 植え替えの際に「新しい用土」を使用する。 |
発病時の対処法 | 株を引き抜いて処分する。 |
ペンタスに付く虫
育てている環境によっては「アブラムシ」や「カイガラムシ」が付着することがあります。どちらも植物の汁を吸って成長する害虫なので、見付け次第、駆除しましょう。
数が少ない場合は1匹ずつ捕殺しますが、多い場合はスプレータイプの殺虫剤の使用が便利です。
カイガラムシの成虫は固い殻に覆われており、殺虫剤が効かない場合が多いため、使い古しの歯ブラシなどでこすり落としましょう。
ペンタスの代表的な品種
ペンタスにはさまざまな品種があります。それぞれの品種のなかにもさらに色のバリエーションがあり、形状と花色の違いによって多様な姿のペンタスが存在しています。見た目や育ち方から、自分のお好みのペンタスを選んでみましょう。
以下に代表的なペンタスの品種名と特徴をまとめました。
品種名 | 特徴 |
ライカ | 重なるように花びらをつける八重咲きのペンタス。さまざまな花色が存在しており、薄紫~水色をしたライカブルー、薄い桃色をしたライカピンク、ライカホワイトなどの淡い色合いをよく見かける。 |
パニックタワー | タワーという名の通り、背の高い高性ペンタス。赤やショッキングピンクなどくっきりした色合いの個体が多い。 |
グラフィティー | コンパクトなシルエットで、鉢植えでの栽培や寄せ植えにも向いている矮性品種。 |
バタフライ | 株張りがよく、大きく広がって咲くので、花壇に植えると華やかな印象。 |
ペンタスとの寄せ植えに適した花は?
ガーデニングをするからには、さまざまな種類の花と一緒に植えてハーモニーを楽しみたいという方も多いでしょう。
寄せ植えをするときには、好む栽培環境や開花の時期が近い植物をあわせるのがポイントです。
ペンタスとの寄せ植えにはどんな花が適しているのでしょうか?その特徴とともにご紹介します。
ペンタスとの寄せ植えに適した植物の特徴
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ニチニチソウ
白やさまざまな色合いのピンクの花をもつニチニチソウ。開花期が長く、夏の暑さのなかでも花を咲かせる植物として、ペンタスとの相性がよいです。
1つ1つの花の寿命は短く2~3日程度ですが、次々に新しい花を咲かせることから「日日草」という名がつきました。
千日紅
千日紅(センニチコウ)は小さな花びらが集まって小ぶりな球体の花を咲かせる植物です。ひかえめですらっとした外見で、一緒に植えた花を引き立ててくれます。
「千日紅」という名前の通り、開花期が長いことが特徴で、同じ由来をもつ「百日紅(サルスベリ)」よりも長く咲くことからこう名付けられたようです。
ポーチュラカ
カラフルな丸っこい花を咲かせるポーチュラカ。多肉質の葉と茎をもち、かわいらしい見た目が特徴です。
草丈が低いので、花壇や鉢植えでペンタスの手前に植えると根元をにぎやかにしてくれるでしょう。
アメリカンブルー
さわやかな青い花を咲かせるアメリカンブルー。その名の通り、アメリカ原産の植物で、日本には1980年代に広まりました。
白いペンタスとあわせて涼しげな雰囲気を演出するのがおすすめです。
ペンタスを育てて花壇を華やかにしよう
ペンタスの育て方や、寄せ植えのポイントは以下の通りです。
- 日当たりがよく、風通しの良い場所で育てる
- 過湿にならないよう、土が乾いたのを確認してから水やりをする
- 開花期を長く保つには定期的に花がら摘みをおこなう
- 寄せ植えをするときは、開花期が長く夏に強い花と一緒に植える
ペンタスの花1つ1つはとても小さいですが、寄り集まって咲くのでいくつか株を植えると花壇や鉢植えがとても華やかになります。
夏の暑さにも強く、水やりのタイミングに注意すれば比較的簡単に育てられるので、ぜひ栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。