ルドベキアは夏から秋にかけて長く花を咲かせ、そのあざやかな花色で目を楽しませてくれる植物。タカオやプレーリー・サンなど多くの種類があり、ガーデナーたちに人気の花ですね。
ここではルドベキアの花を美しく咲かせるための育て方やコツ・注意点などを紹介します。
ルドベキアとは?生態と特徴
基本情報
植物名 | ルドベキア |
学名 | Rudbeckia |
科名 / 属名 | キク科 / ルドベキア属(オオハンゴンソウ属) |
原産地 | 北アメリカ |
開花期 | 7月~10月 |
花の色 | 黄色、茶色、えんじ色など |
草丈 | 40~150cm |
特性 | 耐暑性、開花期が長い、病害虫に強い |
ルドベキアの栽培カレンダー
ルドベキアは夏から秋にかけて咲くキク科の花です。真夏の暑さをものともせず花を咲かせるだけあって、とても丈夫で育てやすい植物です。
多くの品種があり、原産地の北アメリカには30種類程度が自生しています。品種ごとに花色の特徴も異なり、ぱきっとした黄色からオレンジがかった黄色、茶色やえんじ色と、さまざまなバリエーションがあります。
いずれも華やかな見た目で、ルドベキアを植えると庭がにぎやかな印象になるでしょう。
品種によって冬越しができるものとできないものがありますが、1年の成長サイクルはだいたい同じです。
一年草と多年草(宿根草)がある
ルドベキアには、1年のうちに発芽から開花までのサイクルを終える一年草と、複数年にわたって花を咲かせる多年草(宿根草)の品種があります。
一年草は管理がかんたんでガーデニング初心者にも扱いやすいです。一方で宿根草のルドベキアは、生育環境に気を付ければ、冬越しをして長期間にわたって花を楽しむことが可能です。
ルドベキア以外にもガーデニングに適したさまざまな宿根草があるので、以下の記事も参考にしてみてください。
名前の由来と花言葉
ルドベキアの由来はスウェーデンの植物学者オルフ・ルドベック氏にちなんでおり、彼の教え子であった植物学者のカール・フォン・リンネ氏によって命名されました。
ルドベキアの花言葉は「あなたを見つめる」「正義」「公平」「正しい選択」「強い精神力」など多くあります。「正義」「公平」といった花言葉は、名前の由来となったルドベック氏の公明正大な性格がもとになっているようです。
ルドベキアを育てる準備【環境、土づくり、植え付け】
新たにルドベキアを育てるときは、まずルドベキアの栽培に適した環境をととのえなくてはなりません。
ルドベキアが好む温度や日照、土壌について解説します。
適切な栽培環境
ルドベキアは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。
夏の直射日光にも耐えてぐんぐん成長するため、多少西日があたる場所でも問題ありません。逆に日当たりが悪い場所で育てると花付きが悪くなってしまいます。
耐暑性があり、真夏の暑さには耐えますが、寒さにはあまり強くないので、宿根草タイプのルドベキアを育てる際には注意が必要です。
土づくり
ルドベキアは水はけがよく、肥沃な土壌を好みます。
地植えの場合は庭土に腐葉土を混ぜ、緩効性肥料をまくとよいです。
自分で用土をつくる場合は「赤玉土(中粒):腐葉土:ピートモス」をだいたい5:3:2で配合したものに、緩効性肥料を元肥として適量加えましょう。
植え付け
ルドベキアの植え付けに適した時期は4~5月です。
種をまいた場合は、種まき用黒ポットの底まで根が回ったタイミングが植え付けの頃合いです。すでに開花済みの株を購入した場合には、すぐに植え付けをしましょう。
地植えの場合
腐葉土や元肥を混ぜ込んでつくった土壌に、苗ポットよりも一回り大きな穴を掘り、土がついたまま植え替えましょう。
複数植える場合には、株同士の間隔を30㎝程度あけてくださいね。植え付けた後はたっぷり水やりをします。
鉢植えの場合
苗ポットよりふた回りほど大きな鉢を用意してください。鉢に鉢底ネットを敷き、軽石を入れてから用土を鉢の半分程度まで入れます。
そこにポットから取り出したルドベキアの苗を仮置きし、鉢のふちから2~3cmほど下までを目安に用土を足していきましょう。
最後に鉢底から流れ出すまでしっかり水を与えます。
ルドベキアの育て方【水やり、肥料、花がら摘み、切り戻し】
ルドベキアを植えてから枯れるまで、春から秋の育て方について解説します。
宿根草タイプは秋から冬にかけて枯れて休眠期に入るので、特段水やりなどをする必要はありません。
水やり
地植えの場合
根付いて葉がどんどん伸びだすまでは、水切れを起こさないように毎日水やりを行ってください。
一度しっかりと根を張ったら、下から上がってくる水を吸収できるのであまり頻繁に水やりをしなくても大丈夫です。ただし降雨が少なく乾燥しがちなときは、朝夕の涼しい時間帯に水やりをして補いましょう。
鉢植えの場合
地植えとちがって地面の水分を吸収できないので、こまめに水やりをする必要があります。
土の表面が乾いたら鉢底からあふれ出すまでたっぷり水やりをしましょう。葉がだらんとしおれつつあれば水が不足しているサインです。
真夏は気温の高い日中に水をやると、水温が上がって株にダメージを与えてしまいます。朝夕2回、涼しい時間帯の水やりを忘れないようにしましょう。
肥料
地植えの場合
ルドベキアを地植えした場合、基本的に追肥は必要ありません。元気がないなと思ったら緩効性肥料を少量与えます。
ただし品種が宿根草の場合は、冬越しをして再び花を咲かせる前に栄養補給が必要です。新芽が出る前に、緩効性肥料を株周りに埋め込んでください。
鉢植えの場合
鉢植えで育てている場合には、生育の勢いをみながら追肥をしてみましょう。4月から10月の生育期間中は、株の勢いを保つために2カ月に1回程度の割合で緩効性肥料を与えます。
咲き終わった花はこまめに花がら摘みを
ルドベキアは次から次へと開花するので、咲き終わった花は摘み取っていきましょう。花がら摘みを行う理由は主に以下の3点です。
- 種に養分がとられないように調整し、開花期間を長く楽しむため
- 枯れた花を取り除いて清潔に保ち、病害虫を予防するため
- 見た目をきれいに保つため
茎途中で二股に分かれて細い茎が伸び、その先頭に花が咲くので、切る時は花茎の二股にわかれている付け根にハサミを入れましょう。
草丈を低くしたい場合は切り戻し
8月頃にひととおり開花して姿が乱れてきたら、草丈の半分くらいまで全体を刈り込んでください。これを「切り戻し」と言います。
まだ花が咲いていても切り戻しをし、一度半分程度まで草丈を戻すことで株が元気になります。夏が終わればまた株が盛り返して勢いよく生育し始め、秋には花が楽しめますよ。
ただし夏場にもそのまま花を楽しみたい方は、無理に切り戻す必要はありません。一年草であれば放っておいても冬には株が終わってしまうので、トトなどの一年草ルドベキアを育てている方の中には「枯れるまで世話はせずにあえて放置する」という方もいます。
ルドベキアの増やし方【種まき、株分け】
ルドベキアの増やし方には、主に種まきと株分けの2つがあります。春には株分けをして近隣におすそわけする方も多いですよ。
種まき
ルドベキアの花が枯れた後には黒い芯が残ります。ある程度乾いたら切り取り、さらに乾燥させると黒くて小さな種が出てきます。これを土にまいて育てれば、翌年もルドベキアの開花を楽しむことが可能です。
種まきの適期は3月または9~10月で、春にまいても夏には花が咲きます。発芽に適した温度は20℃~25℃です。
ルドベキアの種まきの手順
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株分け
宿根草のルドベキアは、株分けによって増やすことも可能です。株分けの適期は4~5月です。
株を一度掘り上げ、ノコギリガマで切るか、スコップでざくっと切り分けてください。そのまま分割した株の植え替えを行いましょう。
それほど難しい作業ではないので、毎年株分けをしてどんどん増やすこともできます。
ルドベキアは冬越しできる?
ルドベキアのうち一年草の品種は、1年のうちに発芽から開花、結実までのサイクルを終え、冬越しをすることはできません。
一方で宿根草のルドベキアの場合、一度開花期を終えると花は枯れてしまいますが、株自体はまだ生きており、次の春にはまた地面に眠っていた根から成長を始めます。
ルドベキアは耐暑性が強い代わりに寒さには強くないので、寒冷地で冬を越すのであれば株周辺にバークチップ(木の破片)や腐葉土などをかぶせる「マルチング」を行って寒さ対策をするとよいでしょう。
ルドベキアが枯れる原因と対処法
寿命以外で枯れてしまった場合、考えられるのは水不足や病害虫です。
夏場に枯れてしまった場合は一度土を落としてバケツに張った水につけ、バケツごとごみ袋をかぶせてカバーしてみましょう。成功率はあまり高くありませんが、水分を取り戻して再び生育を始めるケースもあります。
そして病害虫ではうどん粉病が考えられます。これについては後で詳しく対処法を述べますね。
ルドベキアの栽培で気を付けるべき病害虫
ルドベキアは基本的には病気や害虫に強い丈夫な植物です。
とはいえまれに被害を受けることがあるので、気を付けるべき害虫と病気について解説します。
害虫の種類と症状・対策
ルドベキアで気を付けるべき害虫は、アブラムシとハモグリバエです。
アブラムシ
3月から5月頃、新芽の時期に出てくる虫です。新芽や若い茎、葉の裏側などにくっついて吸汁をし株を弱らせます。水やりをする時に葉裏などをチェックし、見つけ次第駆除してください。
ハモグリバエ
ハモグリバエはエカキムシとも呼ばれるハエの幼虫です。1mmから2mm程度の小さな虫で、葉の中に潜り込んで内部を食い散らします。発生する時期は春の4月から秋の11月くらいまで、長期間に及びます。3月くらいに卵がふ化した場合、4月頃には葉の表面に白くうねうねとした線が出ますので、発見したらハモグリバエを疑ってください。
大量に発生すると葉が真っ白になってしまい、そこから枯れてしまうこともあります。見つけ次第葉ごと切り落としましょう。薬剤をまくのも効果的です。
「害虫が苦手」「大量発生してしまってどうしようもない」という方は、プロに害虫駆除を依頼するのも一つの手です。豊富な知識をもったプロに任せてお庭を守りましょう。
害虫駆除を依頼する際はぜひミツモアを利用してみてください。複数社から無料で見積もりを取れるので、比較して自分にピッタリなところを見つけられます。害虫被害や剪定に困ったらぜひ思い出してくださいね。
病気の種類と症状・対策
ルドベキアは病気にかかりにくい植物ですが、まれにうどん粉病を発症することがあります。感染するとうどんの粉のような白い模様が葉の表面に現れます。
うどんこ病が疑われるときは、感染している葉を取り除いた上で茂りすぎている葉を間引き、風通しをよくしてください。肥料の与えすぎはやめ、日が当たるようにしましょう。
ルドベキアの代表的な品種
ルドベキアには多くの品種があり、それぞれ花の色合いや大きさに特徴があります。品種によって一年草と宿根草に分かれているので、育てたい品種がどちらの種類なのか確認しておくとよいでしょう。
特に有名なのは一年草の「ヒルタ種」、宿根草の「フルギダ種」で、そこから多くの改良品種も生まれています。
ここではガーデニングで人気な品種や、繁殖しすぎて駆除の対象になっている品種など、いくつかのルドベキアを紹介します。
タカオ
タカオは北アメリカ原産の二年草で「ミツバオオハンゴンソウ」という和名を持っています。
よく出回っている品種で、ルドベキアといえばこれを想像する方も多いですね。花は3㎝程度の小輪で、黄色の花と黒褐色の花芯がかわいらしいです。
草丈が高くなる品種で、1m程度まで伸びることもありますが、切り戻しをすれば高さをおさえることができます。
ヒルタ
北アメリカ大陸に自生する一年草のルドベキアで、アラゲハンゴンソウという和名があります。
筒状花はこげ茶色、舌状花はオレンジがかった黄色で、ひまわりにも似た色合いです。
ルドベキアの中でも代表的な品種で、このヒルタ種から多くの改良品種がつくられています。
プレーリー・サン
ヒルタ種から作り出された多年草の品種。花の直径は10~15cmにもなり、ルドベキアの中では大輪の花を咲かせます。
淡い黄緑色の筒状花(花の真ん中)と、濃い黄色と薄黄色のグラデーションになった舌状花のコントラストが特徴的です。
チェリーブランデー
ヒルタ種の多年草ですが、短命なので一年草として扱われることもあるようです。
ルドベキアにはあざやかな黄色やオレンジ色の品種が多いですが、チェリーブランデーはシックなえんじ色で落ち着いた佇まいをしています。
トト
トトはヒルタ種の一年草ルドベキア。濃い黄色の少し幅広な花びらをつけます。
草丈が低めで花が大きいのが特徴で、鉢植えや地植え・プランターとどんな場所にも植え付けられます。ガーデニング初心者にもおすすめの品種です。
ラシニアタ
オオハンゴンソウ(大反魂草)という和名をもつ多年草で、くっきりした黄色の下がり気味な花びらが特徴的です。
1つの株から数千個の種がつくられ、こぼれ種からもどんどん増えていきます。もともと観賞用として輸入されたものの、繁殖力の強さから野生化し、従来の生態系への影響が懸念されています。
現在は特定外来生物に登録されて駆除の対象となっており、栽培することはできません。
ルドベキアを育てて夏の花壇を華やかにしよう
ルドベキアは真夏の暑い時期にも元気に花を咲かせる強い花です。病気や害虫にも強く、初心者でも育てやすい品種といえるでしょう。
生育旺盛で次から次へと開花するので、色鮮やかなたくさんの花が花壇を華やかに演出してくれます。
ぜひルドベキアを育ててみてはいかがでしょうか。