ハナモモ(花桃)は花の観賞目的で改良されたモモで、ピンクや赤色の花を咲かせます。
食用としての果実は実りませんが、庭木として人気があります。
初心者でも育てやすいですが、剪定の時期や方法を間違えると花を咲かせることができません。
この記事ではハナモモの剪定時期から剪定のポイントをご紹介します。
ハナモモの剪定時期は3月下旬~4月と1~2月
ハナモモの剪定はキレイな花を咲かせるためには剪定が欠かせません。
基本の剪定は年に2回とされていますが、年に1回しか剪定を行うのが難しい場合は3月下旬~4月に剪定を行いましょう。
必ず剪定すべき時期は花後の3月下旬~4月頃
必ず剪定を行ってほしい時期は花が咲き終わった後の3月下旬~4月です。
ハナモモは花を咲き終えると新しい枝を伸ばし、その枝に翌年に咲く新しい花の芽をつけます。
枝が伸び始めてから剪定を行うと、花芽の成長が遅れて花を咲かせにくくなってしまうので、花が散ってから1ヶ月以内に剪定をするようにしましょう。
不要な枝があれば落葉後の1~2月頃
落葉後の1月から2月は木の休眠期にあたり、剪定によるダメージを抑えることができるので、不要な枝や枯れ枝を処理する間引きを行うのがおすすめです。
間引きを行うことで風通しや日当たりを良くすることができます。
花芽の付いた部分を切りすぎると花が咲かなくなるので、最低限に抑えるよう気を付けましょう。
ハナモモの剪定に必要な道具
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しておきましょう。
普通の軍手ですと剪定中にトゲやささくれが刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
剪定バサミは枝や植物の枝を切断するための専用ハサミです。
片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっているため、植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができます。
高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
植木バサミ
普通のハサミと同じような形をしています。
刃先が細く、小回りが利くため、込み入ったところにも入りやすいです。
細かい枝や最後の仕上げに使用します。
剪定バサミでは切れないような枝を切るのに使います。
通常の木工用ノコギリとは異なり、刃が引く方向にのみ鋭利に切れる一方向切断刃が特徴です。
脚立
脚立は背の高いハナモモを剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚が使われます。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
ハナモモは病気にかかりやすい植物なので剪定後のケアが大事です。
太い枝を剪定した後は、切り口の治りが遅く傷口から病気が入りやすくなっているので、癒合剤があると良いです。
癒合剤は清潔なハケ等で塗りましょう。
ハナモモの剪定方法
ハナモモの剪定には切り戻し剪定と間引き剪定の2種類があります。
翌年の花つきを良くする切り戻し剪定
切り戻し剪定は伸びている枝を途中で切って、形を整える剪定方法のことです。
花が咲き終わった後に枝を切り戻すと、枝の芽の数は減りますが、新しい枝(新梢)がより勢いよく伸びる特徴があります。
木の成長を促すことで、翌年の花つきに備えることができますよ。
枝の根元部分についている芽は枝になる予定の芽です。
それぞれの枝に2~3個残るように、目の少し上で枝を切り落としてあげましょう。
樹形を整える間引き剪定
間引き剪定(透かし剪定)とは、不要な枝を切り落とす剪定のことです。
密集している枝を切り落とすことで、風通しを良くし、太陽の光が気の内部まで届くようにします。
また、枯れた枝や病気になった枝を切り落とすことで病気や害虫の予防ができます。
不要な枝を付け根ぎりぎりでカットすることで、再び枝が伸びて樹形が乱れる原因を押さえることができますよ。
強剪定は行わない
強剪定は、樹木の枝や葉を切り整える方法です。
強剪定を行うことで樹木の健康的な成長を促したり、美しい見栄えを維持することができます。
春や冬に樹高を調整するために行われることが多いですが、ハナモモは樹齢を重ねていくと、樹勢が弱まります。
樹勢が弱まると、新しく伸びる予定の枝や葉の生長がゆるやかになり、強剪定で受けたダメージからの回復が遅れてしまいます。
極力、ハナモモの強剪定は行わないようにしましょう。
ハナモモのお手入れ方法
ハナモモは適切なケアをすることで、毎年キレイな花を咲かせてくれます。
それぞれの大切なポイントをご紹介します。
植え付け
ハナモモの植え付けは、将来の成長を左右する重要な作業です。
新しくハナモモを植えるときは以下のポイントに注意してください。
植え付け場所
- 十分な日光が当たる場所
- 風通しの良い環境
- 排水性が良い場所
- 他の樹木とは適度な距離を保つ
土壌
植え付けの約1週間前に、腐葉土や堆肥を2割程度穴を掘った土に混ぜておきましょう。
よく混ぜ合わせた後、そのまま少しの間置いておくことで、土壌の栄養状態が改善され、健康的な成長を促進できます。
水やり・肥料
ハナモモの健康的な成長には、適切な水やりの肥料の管理が大切です。
水やりのポイント
- 植えた直後は週2〜3回の水やりをする
- 7~9月中旬は朝か夕方の涼しい時間に水やりをする
- 地面に染み込むまでたっぷりと水を与える
肥料のポイント
- 2~3月の落葉期に与える
- 与えるのは緩効性化成肥料や有機質肥料のみ
- 若木のうちは9月にも同じ肥料を与える
ハナモモの病気・害虫対策
ハナモモは病気や害虫にかかりやすい植物です。特に病気が多いので注意する必要があります。
病気:縮葉(しゅくよう)病
縮葉病はハナモモにとって深刻な真菌性病害の一つで、春先の気温が低く、湿度が高くて通気性の悪い環境で蔓延しやすいです。
新葉が出てくるときに異常に肥厚し、縮んだ形状になっていて、葉の表面に水浸状の斑点や変形が現れます。
感染が進むと葉の色は淡い緑色から赤紫色に変化し、繰り返すことで樹勢が弱まり、開花しにくくなります。
間引きを行って通気性を確保すること、症状が出た葉は早めに取り除きましょう。
病気:黒星(くろぼし)病
黒星病は、ハナモモにとって深刻な真菌性病害の一つで、梅雨時や湿度の高い環境で特に蔓延しやすいです。
感染初期は葉の表面に小さな楕円形の斑点が現れ、進行すると葉が変色し、枯れ落ちることがあります。
落ちた葉をこまめに拾って処分、黒星病の症状が出ている葉は早めに取り除きましょう。
病気:灰星(はいぼし)病
灰星病は真菌性疾患で、開花期にかけて湿度が高く通気性の悪い環境で急速に蔓延します。
花の表面に灰色のカビを形成し、感染部位は褐色に変色して花腐れとなります。
症状がみられた花は速やかに取り除いてください。
病気:せん孔細菌病
せん孔細菌病は、細菌が原因で引き起こされる病気で、秋に感染した菌は越冬して春から夏に発生します。
感染初期は葉の表面に水浸状の小さな斑点が現れ、やがて褐色から黒褐色の円形の斑点に発展し、葉に穴を空けます。
発生初期に薬剤を散布して予防するのが大事です。
病気:うどんこ病
4月下旬~5月中旬に感染しやすい病気です。
高温多湿な環境で蔓延しやすく、白い粉状の病斑(カビ)が葉に発生するのが特徴です。
見た目の悪化に加え木の生長が止まったり、花が咲かなくなる可能性があります。
風通しを良くすること、殺菌剤をかけておくことで予防ができます。
ハナモモがうどんこ病にかかってしまった場合は、早めにうどんこ病の症状が出ている葉を取り除きましょう。
病気:すす病
春から秋にかけて発生する病気です。
アブラムシの分泌物が原因で、黒いすす状の病斑が葉の表面を中心に発生します。
発生した部分の光合成を阻害するため、見た目の悪化と共に生長を阻害します。
アブラムシを駆除すること、殺菌剤をかけておくことで予防ができます。
ハナモモがすす病にかかってしまった場合は、早めにすす病の症状が出ている葉を取り除きましょう。
害虫:アブラムシ
4~6月、9~10月中旬に発生しやすい害虫です。
新芽や葉の裏に集中的に発生して樹液を吸収するので生育を阻害します。
また、すす病の原因にもなります。
繁殖が旺盛なため、長期間効果が続く殺虫剤「ベストガード粒剤」の使用がおすすめです。
5月下旬~9月下旬に発生しやすい害虫です。
枝や幹に付着して樹液を吸収するため、生育を阻害します。
5~7月の時期に幼虫が現れたら「オルトラン水和剤」を撒く、成虫になっていたら、エアゾール剤の「カイガラムシエアゾール」を使うのがおすすめです。
業者にハナモモの剪定を依頼する場合の費用相場
一般的に庭木の剪定をプロに依頼する場合、費用の算出方法は日当制と単価制の2つのパターンがあります。
庭木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
日当制の費用相場
日当制は作業員の人数と作業時間に基づいて請求される方式です。
- 費用相場:作業員1人につき1.5〜3万円/日
- 具体的な要因:
- 桜の木の本数
- 木の大きさ
- 剪定の難易度
- 作業の複雑さ
単価制の費用相場
単価制は、ハナモモの木の本数や大きさによって価格が決定されます。
- 5m未満の低木・中木:1本あたり1〜1.5万円
- 生垣や植え込みの剪定:5㎡以内で1〜1.5万円
剪定料金の相場などの詳細は下記の記事を参考にしてください。
ハナモモの剪定に困ったらプロに依頼を
「初めて剪定するから不安」「ハナモモが病気にかかっているけど剪定して大丈夫なのかわからない」「大きくなりすぎて、一人では剪定できない」といった場合はプロに任せて剪定してもらうのがオススメです。
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