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もみじの種類と見分け方とは?紅葉の仕組みや育てるポイントも解説

最終更新日: 2021年06月21日

もみじの魅力は何といっても秋の紅葉です。もみじの鮮やかな色合いは、見る人に四季の変化を感じさせます。この記事では、もみじを庭でも育てたいと考えている人に向けて、種類や育てかたのコツをまとめました。参考に育ててみてはいかがでしょうか。

もみじとは?

もみじ

もみじといっても、その種類はひとつではありません。細かくは後述しますが、実に多様な品種が各地に生息しているほか、園芸用にさまざまな品種が作られているのです。

もみじを育てるにあたって、まずは基本的な概要について押さえておきましょう。

紅葉する樹木の総称

「もみじ」は、紅葉する樹木全般を指す総称です。人の手の形をしたような小さな葉をした木を思い浮かべる方は多いかもしれませんが、それだけが「もみじ」ではないのです。

例えば「イロハモミジ」は品種を示す固有名詞ですが、もみじという言葉は、数ある種類全体を示す一般名詞になります。

語源は、かつて反物を染めるために植物から色素を抽出する際に、色が水中へと染み出す様子を表す「もみづ」にあるといわれています。そこには、水の中でさまざまな色が絡み合う美麗さがありました。

秋を迎えると、山間が赤や橙(だいだい)色、黄色など数多くの色が複雑に交差し、実にきれいな景色になります。その様子を描写する言葉として、もみづを用いて「もみじ」というようになったのです。

植物学的にはカエデと同じ

紅葉する樹木の総称が「もみじ」だと説明しましたが、これらは基本的にカエデ属に分類されます。植物学的に見ると、もみじとカエデ(楓)は同じ種類といえるのです。

かつて「もみづ」を語源に表現されていた時代にあっては、もみじという品種は存在していません。その当時は、いわば、山を紅葉させる木々全体がカエデであったともいえます。

現代においても、最も大きなカエデ属という枠の中に、もみじが位置づいているという理解が適切です。具体的に一例を示せば、ハウチワカエデやイタヤカエデとオオモミジは、同じ分類になります。

英語での表現からも、もみじがカエデの一種であることがうかがえます。maple(メープル)はカエデ属全体を指し示す単語ですが、もみじについてはJapanese maple(日本のカエデ)と記すのです。

もみじの花言葉

もみじは、いくつかの花言葉を備えています。そのどれもが、特徴と実にマッチしたものです。

「大切な思い出」は、もみじを代表する花言葉として知られています。秋にさまざまに色づくもみじと、それらが織りなす美しい景色は、人の心に深く訴えかけるものです。記憶に刻まれる風景が生んだ言葉といえます。

「美しい変化」も、いかにももみじに相応しい花言葉です。生き生きとした緑から赤やオレンジ色、黄色と多様な移り変わりを見せる特性に由来しています。

「遠慮」も、もみじの花言葉に並んでいるもののひとつです。色とりどりの紅葉はとても大きな存在感を発揮しますが、秋以外の時期はそれほど強い主張をしません。緑の葉を付け、控えめに花を咲かせる姿からもたらされた花言葉といえるでしょう。

もみじの種類と見分け方を知ろう

もみじ

もみじは、大きく3種類に分かれています。そして、それぞれにまた、いくつもの品種が属しているのです。

イロハモミジ

鮮やか金色イロハモミジ

「イロハモミジ」は、秋の山々を彩る紅葉の代名詞的な存在といえます。国内で最も良く目にする種類です。

ムクロジ科カエデ属にある本種は、葉が3~7に裂かれています。「いろはにほへと」と七つ数えながら裂いて遊ぶこともあったことから名づけられた名称です。

福島県を境にした本州の西側で広く生息し、四国から九州にかけて広範囲に分布しています。成長しても樹高はほとんど10m未満の小高木で、標高の高くない山に自生しているケースが多いもみじです。

西日本を中心に、関東近郊に至るまで、その姿を楽しめるスポットは数多くあります。中でも国内きっての紅葉の名所とされる京都には、毎年たくさんの観光客が訪れるエリアです。

福岡県の博多にある日本庭園・楽水園のイロハモミジも有名です。関東地区なら、高尾山や箱根大涌谷、東京都文京区の小石川後楽園も知られています。

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ヤマモミジ

ヤマモミジの若葉

イロハモミジ同様、ムクロジ科カエデ属にある「ヤマモミジ」は、葉の形状もとても似ています。

見分けるポイントは2点です。まず、葉が裂ける数に注目します。イロハモミジが3~7であるのに対して、ヤマモミジは7もしくは9裂です。

2つめは大きさで、直径5cm程度であるイロハモミジと比べ、ヤマモミジは直径8cm程度と大きいことを覚えておきましょう。

東北地方に広がり、北海道をはじめ青森県から福井県など、雪が深いエリアでも丈夫に育ちます。寒暖差の大きさが、本種の葉の色づきを良くするのです。

ヤマモジミの素晴らしさに触れるなら、何といっても中尊寺をおすすめします。世界遺産にも登録されており、参道沿いや経蔵周辺を息を飲むほど素晴らしい紅葉で囲む光景は圧巻です。

札幌の円山公園、秋田の三途川渓谷、山梨県の福士川渓谷でも、本種の美しい姿を堪能できます。

関連記事:ヤマモミジの育て方と注意点。紅葉だけでなく、花や新緑も楽しめる|ミツモア

オオモミジ

オオモミジ

イロハモミジの変種である「オオモミジ」は太平洋側に生息している品種で、比較的標高が高い場所で自生しています。

先に説明した2種、イロハモミジやヤマモミジよりも葉が大きいのが特徴的です。10cmほどに育つ葉は5~9裂で、規則的に鋸歯が並んだ姿をしています。

整然と並ぶ鋸状の葉の縁(ふち)は、近くで見るととても趣深い印象です。そのため、園芸品種として高い人気を博しており、多くの自治体が公園での植栽に採用したり、多数の家庭での庭木に利用されたりしています。

関連記事:オオモミジの葉や木の特徴・育て方!普段の手入れや剪定方法も徹底解説!|ミツモア

イロハモミジ系の種類

富士山と紅葉

もみじにはイロハモジミ、ヤマモミジ、オオモモジの3種類があると説明してきましたが、それぞれにまたいくつもの品種が属しています。

それらについて掘り下げていくことにしましょう。まずは、イロハモミジ系の3品種です。

デショウジョウ

デショウジョウ

名前を聞いただけではもみじに思えないような、風変わりな名称をしているもみじです。その名の由来は、語り継がれてきた架空の動物にあります。

猩々(しょうじょう)とは、真っ赤な毛に包まれた、想像上の生き物です。もみじの葉が春に芽吹くと真っ赤に色づくため、イメージを重ね合わせて命名されたといわれています。

葉の縁(ふち)全体に、鋸歯を思わせる深いギザギザが見られ、春には赤く染まりますが夏は爽やかな緑色となって、秋になるとまた赤く紅葉します。

サンゴカク

サンゴカク

デショウジョウに並び、不思議な名称を持った品種です。冬を迎えると枝を赤く染めるため、真っ赤な枝がぎっしりと並ぶ光景がまるで珊瑚のごとく見えることから、そのように呼ばれています。

落葉樹の多くは、一般的に冬になると葉が枯れ落ちます。そのため、落葉樹が目立つ公園や庭はどこか寂し気な雰囲気になってしまうのです。

しかし、冬に鮮やかな赤をまとうサンゴカクの存在があれば、独特な雰囲気を生み、他の品種にはない光景が浮かんできます。

春になると芽吹く新芽はすっきりとした黄緑で、夏の葉は生き生きとした緑になります。そして秋になれば、橙色や黄色へと紅葉するのです。

カツラモミジ

多くの場合、樹木は、緑色をした新芽の葉を付けます。しかしカツラモミジは、美しい赤色を織り交ぜた縁の葉になるのです。

緑色と赤色の2色が鮮やかなコントラストやグラデーションを生み、その結果、鑑賞した際に奥行きのあるビジュアルとなります。

じっくりと眺めていたいと感じる人は多く、それゆえ庭木として人気の高い品種です。夏の緑から秋の紅葉へと変化する流れも、見事に季節感を感じさせてくれます。

葉を縁取るギザギザは、一つ一つの切れ込みの深さに特徴があります。メリハリの効いた葉縁(ようえん)も、カツラモミジの美観を高める要素となっているのです。

ヤマモミジ系の種類

ヤマモミジ

続いて、ヤマモミジ系の品種を3つ紹介します。どれも独特の美しさを備えており、庭木としても活躍するものです。

タムケヤマ

京都永観堂、タムケヤマの紅葉

赤く芽吹く新芽の葉を付ける本種は、伸びた枝が放物線状に下に向かう枝垂れの品種です。その色と形状から、ベニシダレ(紅枝垂れ)という別称もあります。

葉には葉縁のキリコミが見られ、キザギザが見てとれやすい特徴によって、見た目の立体感が生まれている品種です。

枝垂れ梅にも共通することですが、枝がしなやかに垂れ下がっている光景は、何ともいえない風情を感じさせます。日本の風景にもマッチする形状であることから、日本庭園でも大いに活躍する品種といえるでしょう。

アオシダレモミジ

アオシダレモミジ

タムケヤマ同様、枝垂れが特徴的な品種です。一般的なもみじと比べて、とても低い位置に葉が付く性質があります。

葉の形状も独特で、葉の縁に見られるギザギザはとても荒く、かつ深い切れ込みがあることが特徴です。それらの影響で、力強さを感じさせる見た目となっています。

名称の冒頭に青色が冠されていることから分かるとおり、春に芽吹く新芽はとてもきれいな緑色です。冬を終え、自然界にエネルギーが生まれてくることを象徴するかのような姿は目を引きます。

シギタツサワ

シギタツサワ

本種の名前を聞いて、あまり耳に馴染みがないと感じる人もいるでしょう。公設の公園などを見ても、あまり植栽されていない品種です。

その理由は、小高木の中でも小柄な点にあります。見映えなどの観点から、公共の公園などでは採用される機会が少ないようです。

しかし、育ちすぎない点が評価され、近年ではシンボルツリーとして用いられることが増えてきました。玄関先にたたずむ本種が、春には緑の葉を茂らせ秋には紅葉すると、住宅の景観をとても向上させてくれるでしょう。

その他もみじの種類

もみじの落ち葉を踏み歩く人の足元

すでに紹介した種類以外にも、魅力的なもみじの品種はたくさんあります。栽培におすすめの品種について、さらに見ていきましょう。

ノムラモミジ

ノムラモミジ

多くの樹木は、春に緑の葉を付けるものです。緑が茂る姿からは、木々や草花が一斉に活動を活発にさせる生命力を感じられます。

対して、本種の特徴は、春に赤い新芽を付けることです。他の樹木が見せる瑞々しい緑に混ざった赤い芽は、眺める景色の中で効果的なアクセントになります。その分、存在感を示す品種です。

春・夏・秋と季節が移るとき、たいていの色の変化は、緑から赤に変わります。しかし本種では、赤から緑、そして紅葉へと変化するので、多様な姿を目にできるでしょう。

関連記事:春にも赤い葉が楽しめるノムラモミジ|育て方や剪定方法・普段の手入れ方法も解説|ミツモア

サトウカエデ

サトウカエデ

漢字で表すと「砂糖楓」となる本種は、メープルシロップがふんだんに採取できることがその名の由来です。北米を原産地としており、カナダの国旗に用いられている葉が本種にあたります。

アメリカやカナダで自生するものは、樹高が30~40mにまで達することもあるほどのサイズです。一方で、国内に生息し、あるいは栽培に用いるものは、その他のもみじ同様に10m程度の高さで成長が止まります。

北米では樹液採取が盛んに行われる品種ですが、日本ではそのような用途で用いられることはまずありません。街路樹としての活用が、ほとんどだといえます。

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イタヤカエデ

イタヤカエデ花咲く

国内では北海道や秋田で自生する品種です。朝鮮半島やサハリン、アムール地方といった、ユーラシア大陸の東側にあたる地域で生息しています。

北海道ではエゾイタヤ、その他にもイタギ、ツタモミジ、トキワカエデなどといった数多くの呼び名もあることも特徴です。

本種の葉には、葉の縁(ふち)にギザギザがありません。そのため、しなやかな印象を与えるビジュアルです。

秋になると黄色味に紅葉する点も特徴といえます。秋の夜空に黄色の葉が重なり、きらめく星のようにも見える情景は、とても幻想的です。

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もみじの種類の選び方

もみじ

もみじは種類が多すぎて、どれを選ぶべきか迷ってしまう人もいます。そこで、選定する際のポイントについて説明しましょう。

葉の色合いから選ぶ

一口に「紅葉」といっても、葉が浮かべる色は品種によって実にさまざまです。葉の色合いで選ぶ人は、とてもたくさんいます。

もみじの楽しみ方は季節にごとに異なりますが、秋の紅葉を最も楽しみにしている人は多いでしょう。深い赤色をしているものもあれば、明るい橙色の葉もあります。透明感のある黄色になる葉を付ける品種もあるでしょう。

紅葉の時期だけでなく、春から夏にかけての葉の色も多様です。明るい黄緑だったり、深みのある濃い緑であったりとそれぞれ異なります。

葉の形から選ぶ

もみじは、種類によって葉の形が異なります。そして、葉の形に次第で、樹木全体のイメージも違ってくるのです。

もみじを特徴づけているものに、葉の切れ込みがあります。その数が品種によって異なることはすでに説明しましたが、見たときの印象が良いタイプを選ぶことはとても有効です。

葉全体の大きさと切れ込みのバランスを見るのも、ひとつの方法でしょう。小ぶりながら切れ込みが深いと、とても可愛らしく感じられます。反対に、大きい葉で浅い切れ込みだと、ゆったりとした雰囲気を醸し出します。

葉縁のギザギザの有無にも、目を向けてみましょう。鋭利さを感じさせるほどの縁のギザギザは、逞しさをたたえています。一方で、ギザギザのないスマートな縁をした葉にただよう穏やかさが好みだという人もいるのです。

紅葉の季節から選ぶ

「春もみじ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。葉が紅葉するのは秋だという思い込みがある人は少なくありませんが、春に葉を赤くするもみじも人気があります。

多くの樹木では、春が芽吹きの季節です。新芽をある葉は、たいてい爽やかな黄緑色をしています。

ところが、春もみじといわれる品種たちは、春に赤い葉をつけるのです。緑の葉が茂る中でアクセントとなり、独特の存在感を示します。

色の変化の仕方にも注目しましょう。一般的には春・夏の緑から秋の紅葉に向かいます。春もみじでは、春には赤色の葉が茂り、夏になると青く染まり、そして秋を迎えるというように、移り変わる姿を楽しめるのです。

モミジを育てる前に

秋の禅林寺 (永観堂)の紅葉 ライトアップ 京都市左京区

育てたい品種のもみじが見つかったら、ここからは実際に育成するためのイメージを描いていきましょう。

適切に育てるためには、押さえておくべき重要なポイントがいくつかありますが、それらについて、具体的に掘り下げていくことにします。

日当たりが良く風通しの良い場所を好む

もみじは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。日照時間が長く、新鮮な空気が流れる場所を選んで植えましょう。

日があまり当たらないと、成長のスピードが遅くなりがちです。また、紅葉の季節を迎えても、美しい発色を見せてくれません。鮮やかに紅葉させるには、日を浴びる時間が長く、温暖差のある環境を意識する必要があります。

とはいえ、あまりに強い日射しを長時間浴びさせてしまうことも、水分不足を招く心配があります。乾燥すると葉が茶色くなることがあるため、真夏に1日中太陽にさらされるような場所は控えることが無難です。

植え付けは12~3月がおすすめ

苗木の植え付けをするならば、鉢植えにせよ地植えにせよ、12~3月が適しています。

鉢植えならば、苗よりも2回りほど大きめの鉢を用意しましょう。そこに草花用の培養土をいれ、植え付けます。その際に、根が腐っていたり傷んでいたりする部分は、きちんと切り詰めることが大切です。

地植えでは、できるだけ広めの空間を選んで植え付けます。穴を深めに掘って、掘り返した土に堆肥や腐葉土を混ぜ合わせて、用土を作りましょう。20cmほど埋め戻してから、そこに苗を植えます。

モミジの育て方

植え付けを終えると、もみじの成長を見守っていく段階に入ります。順調に、かつ健康に成長させられるように、育て方の基本について解説しましょう。

乾燥したら水やり

もみじのウィークポイントは、乾燥にとても弱い点です。常に土が水分で潤っているコンディションを維持するように心がけましょう。

地植えであれば、雨水が浸透した地中から水分を吸収できるため、頻繁に水やりをする必要はありません。それでも、土の乾燥が起こりやすい夏の季節には、時おり状態を見て、適宜水をあげるようにします。

鉢植えの場合は、こまめな水やりが必要です。1日に1回は、鉢底から水があふれ出るくらい十分にあげましょう。

肥料は4月ごろに

肥料を与えるならば、4月を目安に行いましょう。春を迎え、5月頃の開花に合わせて、養分を与えるのです。

それ以降になってしまうと、活動が活発化し、エネルギーを必要とする時期に栄養が不足してしまいます。勢い良く開花させるためにも、遅くならないようにしましょう。

木を大きく育てたいならば、9月にも肥料を与えます。紅葉など葉の変化に養分が必要なため、より大きく育てるならば幹のための栄養も十分に供給する必要があるからです。

鉢植えの場合は植え替えをしよう

地植えの場合、適切な環境で、適した土を使用していれば、よほどの事でない限り植え替えの必要はありません。しっかり根づき、順調に成長しているか日頃から確認してあげましょう。

鉢植えであれば、定期的に植え替えることをおすすめします。同じ環境で育て続けてしまうと、根詰まりしてしまう可能性があるからです。2〜3年に1度、3月頃を目安に行います。

植え替えを控えた時期は、水やりを少なくし、鉢の土を乾燥気味にさせます。株を鉢から出したら丁寧に根鉢を崩し、不要な根を取り除きましょう。軽く根鉢をほぐすようにして、より大きく育てるならば大きいサイズの鉢に植え替えます。

モミジの手入れ方法

ヒトツバタゴの紅葉

基本的な栽培方法以外にも、実践すると効果的な作業があります。きれいなもみじを鑑賞できるように、有効な手入れの方法について解説しましょう。

モミジの増やし方

もみじを増やす場合、挿し木や種まきを実施します。はじめに、挿し木から説明しましょう。

挿し木をする時期は、6〜7月が適した時期です。春に成長した若い元気な枝を選び、10cm程度にカットします。その後、葉を3枚程残し、水を入れた器に1時間程度差しておくのです。

水を与えたら、枝葉の切断面に発根促進剤を塗ってから、園芸用の培養土を持った育苗トレイに差しておきます。発根したら黒ポットに植え替え、さらに大きく育ったら植えたい場所に定植です。

続いて種まきですが、11月頃に行います。もみじの実を採取し、乾かないうちに園芸用培養土が入った育苗トレイに種まきです。

春になって発芽したら、本葉が3枚程付いてから鉢上げします。ここでも乾燥に気を付けて、成長に合わせて鉢を増やしつつ育成しましょう。

剪定方法と時期

一般的な落葉樹は、葉を落とした冬の期間中であれば、いつ剪定してもかまいません。しかし、休眠期が限られたもじみの場合、1月には樹液が動いています。そのため、12月までに済ませる必要があるのです。

多くの品種のもみじは、樹形が左右対称を保って成長しません。幹も真っ直ぐ育たず、曲がりながら大きくなります。それゆえ、樹形を自然な状態に保ちつつ、透かす意識で剪定することがポイントです。

幹と競い合うほどの勢いがある立ち枝や内側に向かう逆さ枝、必要な枝を邪魔する絡み枝や地面から生えるひこばえなどは、根元から切ってしまいましょう。

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注意したい病害虫

注意すべきことにうどんこ病があります。白い粉状の異物が葉に付くもので、それがうどん粉に見えることから付いた病名です。

葉が黒いすすで覆われてしまうように見えるすす病、丸い病斑が葉に現れる炭疽病にも注意が求められます。

病気の多くは、枝が混み合い、絡み合った状態が原因です。風通しが悪くなることで病気を誘発するので、病気対策には間引き剪定が効果的です。

アブラムシやミノムシ、ケムシといった良く知られている害虫をはじめ、カイガラムシやアザミウマ、ハダニも発生します。木の成長を妨げるので、見つけたら早めに薬剤などで駆除しましょう。

うまく紅葉しないときは

新緑のもみじ 初夏の香嵐渓 【愛知県】

もみじの醍醐味は、何といっても紅葉です。丹精込めて育てても、美しく紅葉しなければ報われない思いを抱いてしまうことでしょう、

ここからは「うまく色づかないな」と感じたときに、考えられる原因について解説します。

紅葉の仕組み

「紅葉」とは読んで字のごとく、葉が赤く染まることです。紅葉がどのように起こるのか、今一度考えてみましょう。

もみじの葉が色を付けるのは、季節が移り変わることによるものです。それをより具体的にいえば、置かれている環境の温度や湿度が変化することで、葉の中にある成分が引き起こす科学反応だと説明できるのです。

色の変化に影響を与えるのは、アントシアニンという色素が作られるため。この色素が生成されることで、もみじは鮮やかに色づきます。

紅葉がキレイになる条件

きれいに紅葉するには、アントシアニンが葉の中で生成されることが大切だと紹介しましたが、ではどうやって色素を作ったら良いのでしょうか。

もみじの栽培でとても大切なことは、日当たりと風通しです。これは、木全体の成長に不可欠であると同時に、葉の色づき具合にも影響します。

もみじは寒暖差が大きいほどアントシアニンを生成し、化学反応が起こり、葉が色づきます。

昼はしっかりと日差しを受け、良い気流の中に身を置かせ、季節の変化をもみじが感じられる環境を整えることが、きれいな紅葉を実現するには大切なことなのです。

正しく育てて紅葉を楽しもう

もみじ

もみじの紅葉は、秋の風物詩ともいえるものです。鮮やかに色づいた姿は、見る者の心に訴えかける美しさがあります。

それだけに、もみじは家庭の庭で栽培する樹木としても人気です。正しい知識とやり方を身に附け、素晴らしい紅葉を楽しみましょう。