クルメツツジは品種改良で生まれた、他のツツジよりも少し早い4〜5月頃にきれいな花を咲かせる植物です。どのような特徴を持つのかや、何のツツジをかけあわせた品種なのかなどの基本情報に加え、育て方・増やし方・害虫や病気対策などを紹介します。
クルメツツジの特徴
クルメツツジは小さな花をたくさんつけるのが特徴です。花つきが良いので、開花時期には美しい姿を楽しめます。
まずはクルメツツジが品種改良によって生まれた過程や、植物の特徴について解説します。
複数の品種をかけあわせてできたツツジ
クルメツツジはツツジ科ツツジ属の植物で日本原産です。漢字表記では「久留米躑躅」となり、名前通り九州地方の久留米にてつくられました。
江戸時代に品種改良で生まれ、元となったツツジが3種類あります。サタツツジ・ヤマツツジ・ミヤマキリシマというツツジをかけあわせて生まれたのがクルメツツジです。
坂本元蔵という方が品種改良を行ったといわれており、クルメツツジの学名にも「Rhododendron obtusum var. sakamotoi」と名前が入っています。
矮性で花が小さいのが特徴
クルメツツジの元となった3つのツツジは、どれも小ぶりなサイズの植物です。それらをかけあわせたできたクルメツツジも、同じように小さい花をつけます。
花自体は小さめですが、花つきが良く、開花時期にはひとつの株にたくさんの花が咲きます。花は赤・白・桃色など、鮮やかな色が多めです。
開花時期は春で、4〜5月にかけて満開になります。ほかのツツジよりも少し早く開花を迎えるため、ツツジを観賞しに行く際は見頃を逃さないよう気をつけましょう。
クルメツツジの花言葉
クルメツツジが持つ花言葉で代表的なものは、「恋の喜び」「燃える想い」「情熱」の3つです。ほかには「節度」などの花言葉もあります。
たくさんの花を咲かせる様子や、赤や桃色という花の色から、恋愛・情熱的といったイメージの花言葉になったと考えられます。恋人への贈り物としてもふさわしい花言葉です。
クルメツツジに限らず、ほかのツツジにもいえることですが、花の色によって花言葉が変化する場合もあるようです。赤色なら「恋の喜び」、白なら「初恋」という具合に、色のイメージから連想される言葉が使われています。
クルメツツジの生育に適した場所
クルメツツジをどのような場所で育てるかで、開花時期にきれいな花がつくかどうかが決まります。
どのくらい日光を当てれば良いか、庭に植えた場合と鉢植えの場合で好む環境は変わるのか、など育て方のコツを説明します。
日当たりが良い場所を好む
クルメツツジは日が当たらない、暗いところが苦手です。日当たりの良い場所で育ててあげましょう。
ただし日光が強すぎると葉っぱが乾燥してしまうため、当てすぎるのも問題です。理想は昼頃までは日当たりが良く、午後からは日陰になるような場所です。これを半日陰と呼びます。
ちょうど良い場所が見つからない場合は、せめて西日が強く当たる場所を避けて育てるようにしましょう。乾燥はクルメツツジに悪影響を及ぼすため、強い日差しによる乾燥を避ける必要があるからです。
庭植えの場合
庭に植えるときは、土の状態も重要です。土は酸性のものが良いとされ、目安はpH4.5〜5.5です。
ツツジは横に細く根を張る特徴を持ちます。そのため根腐れしやすいといわれており、水はけが良い場所を選ぶことも大切です。
また根が浅い特徴もあるので、植える際に深く掘りすぎてもよくありません。クルメツツジは根で呼吸するため、深くしすぎると呼吸を行えなくなります。
根の部分が、わずかに土から見えるくらいの浅さで植えると良いでしょう。
鉢植えの場合
鉢植えの場合も、庭植え同様に酸性の土を用意しましょう。「鹿沼土」という酸性の土が市販されているので、クルメツツジを鉢植えする場合はこれを使います。
しかし鹿沼土は栄養分が少なめです。別途肥料を与えなければならない点に注意しましょう。
鹿沼土を使って鉢植えする際は、植えてすぐ、鉢の底から水が漏れるくらい水やりを行います。
そのあと1週間ほどは、日陰で管理します。苗木が馴染んできてから日光に当てるようにして、土が乾燥したタイミングで適宜水を与えましょう。
クルメツツジの育て方
水や肥料の与え方にも、コツがあります。適切な肥料を、ツツジが栄養分を必要としている時期に与えることで、元気に育ち、美しいな花を咲かせてくれるのです。
ここからは、育て方のポイントを見ていきましょう。
水やりは乾燥しないように
水やりのポイントは、乾燥に気をつけて季節ごとに回数を調節することです。土の状態を確認せずに年間を通して同じペースで水を上げ続けてしまうと、最悪の場合には枯れてしまいます。
鉢植えの場合、冬は土が乾燥しきっていなければ特に水やりは必要ありません。しかし夏は乾燥しやすい季節のため、朝と夕方に1回ずつ水を与えた方が良いでしょう。春や秋は少し頻度を落とし、1日に1回ほどで問題ありません。
庭植えの場合は雨によって乾燥しにくいため、夏以外の水やりは基本的に不要と考えて良いでしょう。しかし何日も雨が降らなかった場合は、土の乾燥具合を確認し、適宜水やりを行ってください。
肥料は油かすがおすすめ
クルメツツジに肥料を与える際は、油かすなど、緩効性の肥料が有効です。ホームセンターや園芸店などのほか、ネット通販でも購入できます。
肥料を与えるタイミングは、花が咲き終わったあとと、秋から冬にかけての年2回が適切です。4〜5月の開花時期に合わせて、最初は5月の中旬から下旬に与えます。2回目は9月頃に与えましょう。
肥料は大事ですが、与えすぎてもよくありません。株元から30cmほどの距離をとって与えるのがポイントです。
クルメツツジの手入れ方法
クルメツツジを鉢植えで育てる場合、適宜植え替えが必要です。ここからはクルメツツジを元気に育てるコツや、挿し木での増やし方についてなど紹介します。
鉢植えの場合2年に1回植え替える
植物の成長とともに鉢の大きさも変わるため、定期的な植え替えが必要です。植え替えで土を新しくすると、溜まった老廃物もリセットできます。
クルメツツジの場合、目安としては2年に1度のペースで植え替えを行うと良いでしょう。時期は春、もしくは秋に植え替えます。
植え替えの際も、植え付け時と同じように、浅めに掘って植え替えましょう。土を落としておくのも忘れないようにしてください。
1人で植え替え作業を行うのが難しい場合は、プロに依頼することもできますよ。
挿し木で増やせる
増やしたい植物の一部を切り取り、根を生やす方法を挿し木と呼びます。クルメツツジを増やしたい場合は、この挿し木を行うのが一般的です。
やり方は、まず新しい枝を切って、ついている葉っぱを数枚だけ残して残りを取ります。このとき切る枝の長さは、短くて5cmほど、長くても10cm以内が理想です。
切った枝はいきなり土に挿すのではなく、水に挿します。1日ほど水に挿して十分に水分を吸収させたら、土へ挿します。土は清潔で水はけの良いものを使用しましょう。
挿し木用の土などが市販されているため、それらを利用すると簡単です。強い風が当たらない場所で、土を乾かさないように注意しながら水を与えれば、根が伸びてくれます。
クルメツツジの剪定時期と方法
クルメツツジの樹形をきれいに保つには、必要に応じた剪定が必要です。剪定を行わなくても元気に成長する場合がほとんどではありますが、適宜行うことで見た目をより美しく整えられます。
ここからはクルメツツジの剪定方法について解説します。
剪定の時期に気を付ける
クルメツツジは剪定しやすく、ある程度おおざっぱに切ってしまっても構いません。葉っぱも大きく刈って風通しを良くすると良いでしょう。
気をつけなければいけないのは、剪定を行う時期です。クルメツツジの花が咲き終わった直後に行うのが基本であることを覚えておきましょう。
そこから数ヶ月以上経過してしまうと、次の年に咲かせる花の準備を始めてしまうため、最悪の場合には開花を妨げてしまいます。
5月中に開花が終わった場合、遅くとも6月までには剪定を終わらせておくのがベストです。ただし軽い手入れレベルであればその時期以外に行っても問題ありません。
剪定方法
クルメツツジの剪定は、株を丸くしていくイメージで形を整えます。最初に完成形を頭で描いておくと失敗しにくくなります。道具は一般のハサミではなく剪定用のハサミを使いましょう。
何から切れば良いか分からない場合は、まず枯れ枝や混み合って重なっている枝から切っていくと失敗せずに済みます。それでも怖いときは、少し切るごとに距離を取り、形をチェックしながら作業すると整いやすくなります。
全体的に剪定する際は、シルエットを一回り小さくするように、上下の枝をバランス良く切り取りましょう。ある程度強めに剪定してしまったという場合も、気にしすぎる必要はありません。切ったところから新しい芽が生え、花がつきやすくなるためです。
剪定を自分で行うのが不安な場合や、なかなか剪定の時間がとれない場合は、剪定の経験が豊富なプロに依頼するのがおすすめです。
クルメツツジにつきやすい害虫
クルメツツジを育てていると、害虫の問題に悩まされることもあるでしょう。どのような害虫がつきやすく、またそれらの害虫にはどんな特徴があるのかなどを説明します。
ベニモンアオリンガ
特に注意すべき害虫が、ベニモンアオリンガです。主な活動時期は春になってすぐの頃で、クルメツツジのつぼみを食べてしまいます。つぼみの内側へ入り込み、芽を食べることもあるようです。
放置しておくと次の年に咲く花が大きく減ってしまうので、見つけたら殺虫剤などで対処しましょう。液剤タイプの殺虫剤が、安価なものであれば1,000円ほどで購入できます。
しかしひとつの薬剤ばかりを使い続けていると、ベニモンアオリンガが耐性をつけてしまうことがあります。そのため、粉末状の水和剤などパターンを変えてローテーションで使用するのがポイントです。
ツツジグンバイムシ
ツツジグンバイムシは開花が終わった6月頃から夏にかけて活動する、クルメツツジにとっての害虫です。葉っぱの裏に生息し、そこから汁を吸うため、被害に遭った葉っぱはしおれてしまいます。
対策としては、剪定時に風通しを良くしておくことで寄りつかないようにする、殺虫剤を使うなどがあります。
クルメツツジの剪定は6月までに終わらせる必要があるため、ツツジグンバイムシの活動前に剪定すれば、害虫予防にもなるでしょう。殺虫剤を使用する場合、スプレータイプのものを選ぶと葉の裏にも散布しやすく便利です。
クルメツツジがかかりやすい病気
せっかく手をかけて育てていても、病気にかかってしまったらきれいな花を楽しめなくなってしまいます。ツツジ科の植物がかかりやすい病気を知り、予防法やかかってしまった場合の対処法についても把握しておきましょう。
ウドンコ病
カビの菌が植物に移って、葉っぱが白くカビになってしまう病気が「ウドンコ病」です。クルメツツジはこのウドンコ病にかかりやすく、発症した場合は見た目の変化だけでなく、栄養不足によって枯れてしまう恐れもあります。
開花が終わってからと秋に発症しやすい病気で、乾燥を好む習性を持ちます。発症してすぐの段階であれば、重曹を水でうすめたスプレーなどで治療も可能です。
症状が進行してしまった場合、薬剤の使用も検討する必要があります。また被害の拡大を防ぐ目的で、発症した葉っぱを取る対処方もあります。
発症させないためには、乾燥を避け、水やりを怠らず、ある程度の湿度をキープさせることが大切です。
ツツジ類褐斑病
葉っぱに黒い斑点が現れ、変色してしまう病気が「ツツジ類褐斑病」です。進行すると葉っぱが落ちてしまい、さらに枝・根の部分も変色する恐れがあります。
対策としては、薬剤を散布して発症を防ぐ、発症した葉っぱを取り除くなどが挙げられます。
湿度が上がることで発症しやすくなる病気なので、水はけを良くし、湿度を一定に保つことが一番の予防策です。
クルメツツジを育ててみよう
日当たりや植え方、乾燥に気をつければ、クルメツツジを育てるのはそこまで難しくありません。病気・害虫には注意が必要ですが、発症した葉っぱの除去や薬剤での対応も可能です。
また数を増やすのも挿し木で比較的容易に行えますし、植え替えも頻繁に行う必要はありません。ガーデニング初心者にも向いているといえるでしょう。
小さく鮮やかな花を観賞したい方は、肥料や剪定の正しい知識を身につけ、ぜひ育ててみてはいかがでしょうか。
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クルメツツジをきれいに育てるためには、植え替えや剪定といった定期的なお手入れが必要になります。
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