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宿根ビオラの育て方!栽培スケジュール(開花や切り戻し時期)を確認!寄せ植えのコツも

最終更新日: 2022年05月23日

宿根ビオラは、ヨーロッパで生まれたビオラの交配品種。花色が豊富花つきも良く、冬から春先の庭を明るく彩ります。病害虫にも強いため比較的育てやすく、どんな庭にも合わせることができる人気のガーデニング植物です。

宿根ビオラの良さはビオラの仲間の中では比較的暑さに強く、適切に管理すれば毎年花を咲かせるところ。ただし夏越しには少々コツがいるため、正しい栽培方法を知っておくことが大切です。

この記事では宿根ビオラの栽培に適した環境作りから、具体的な育て方までを分かりやすく解説していきます。

宿根ビオラはどんな花?生態の特徴や基礎知識

ビオラ

宿根ビオラはスミレ科スミレ(ビオラ)属多年草。日本生まれのいわゆる「スミレ」の仲間ですが、ヨーロッパが原産の植物です。

なお宿根ビオラの「宿根」とは、根が残り次の年も花を咲かせる性質のこと。普通のビオラは夏に枯れる「一年草」ですが、宿根ビオラは適切に管理すれば夏を越せる「宿根草(多年草)」なのです。株を買い足すことなくビオラの可愛らしい花を毎年楽しめるのは嬉しいですよね。

宿根ビオラの大きさですが、草丈は低く10cm~20cmほど。花の直径は5cm弱で、控えめな中にも清楚な可愛らしさがあります。花や葉色のバリエーションは以下の通りです。

花色 紫・白・黄色・オレンジ色・ピンク・黒・青
葉色 緑・斑入り・黒(銅葉)

複色(何色かが合わさった花)の花も多く、品種の幅は数え切れないほど。様々な花色の中からお気に入りを見つける楽しさがあります。

宿根ビオラの栽培スケジュール!開花・剪定時期などを確認しよう

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
開花
種まき
植え付け
肥料
剪定

※関東以南の暖地・中間地を基準とした栽培スケジュールです。寒冷地の場合、開花期は3月~5月頃です。

涼しい気候が得意な植物で、冬~春にかけて長く開花します。一方で夏の暑さはかなり苦手。夏以外の時期のお手入れは簡単ですが、夏越しを考えると栽培難易度は中級者向けだと言えるでしょう。

宿根ビオラを栽培するのに適した環境とは?<生育期と夏期で栽培環境を変えよう>

ビオラ

宿根ビオラの花を毎年咲かせるための栽培環境を確認してみましょう。栽培場所や水やり・土作りについて解説します。宿根ビオラは生育期と夏の管理方法が異なるため、違いに注意して見ていきましょう。

生育気温や適した栽培場所<真夏の管理場所に注意>

耐寒性が高く耐暑性が低い宿根ビオラの生育温度は、5℃~20℃。冬の寒さにはめっぽう強く、関東以南では特別な冬越しの管理は不要です。寒冷地のみ厳寒期は霜が降りない場所に移動させましょう。

日向や半日陰の明るく風通しの良い場所で栽培するのが基本ですが、季節によって日当たりの加減を調節する必要があります。

生育期

※10月~5月

日向(半日陰でも可)
夏期

※6月~9月

半日陰(明るい日陰や木陰)

植木鉢の中の気温が上がりすぎないよう、夏は直射日光を避けることが何よりも重要です。素焼き鉢を選ぶと通気性が良くなり、夏でも涼しさを保てます。庭やベランダに日陰がない場合は、寒冷紗(薄く光を通す布)やよしず(葦のすだれ)をかけて日陰を作ってあげましょう。

水やり頻度<真夏はやや乾かし気味に>

生育期と夏の休眠期とで水やりの頻度を変えましょう。

生育期

※10月~5月

・土が完全に乾く前に水やりする

・鉢植えなら表面の土が乾いたら水やりする

夏期

※6月~9月

やや乾かし気味に管理する

・涼しい時間帯(朝7時頃までの早朝か午後日が落ちてから)に水やりする

宿根ビオラはジメジメした環境は苦手ですが過度な乾燥も好みません。土が乾いた状態が続くと、葉色の質感がチリチリと焼けた感じになって見た目が悪いうえ枯れやすくなります。

ただし夏の場合は根が弱っているので、根腐れを防ぐため水のやり過ぎには注意しましょう。とはいえ完全にカラカラ状態にするのはNG。毎日株の様子を確認しながら調整することが大切です。また涼しい時間帯に水やりする理由は、鉢の中の水が高温になって根が傷んでしまうのを防ぐためです。明らかに水切れでしおれている場合を除き、水やりは涼しい時間帯に行うことを徹底しましょう。

土作りの方法

宿根ビオラが好むのは腐葉土などの有機質に富み、水持ちと水はけの優れたアルカリ性用土です。市販の「パンジー・ビオラ用の土」を使用するのが最も確実です。

自分でブレンドする場合は「赤玉土6:腐葉土4」の土をベースに、堆肥・有機石灰を混ぜ込んでください。元肥として緩効性肥料も加えておきましょう。

宿根ビオラの育て方・栽培方法!

ビオラ

宿根ビオラの種まきから植え付けや、肝となる夏の管理方法、そして増やし方について解説します。特に夏の管理方法はしっかりと押さえておきましょう。適切に夏越しすることで、翌年以降さらに充実した株に成長していきます。

種まき・植え付け

宿根ビオラは市販の苗か種を購入して育てます。寒冷地以外は地植えにすると夏越しできない可能性が高いので、鉢植えで育てることをおすすめします

種まきの適期は、気温が20℃以下になる9月下旬~10月頃。10℃前後の寒さになると発芽しにくくなるため、適期を逃さないようにしましょう。十分に湿らせた用土にまんべんなく種をまき、薄く土をかけて土を乾かさないように管理すれば1週間程度で発芽します。種をまくときに分厚く土をかけすぎると発芽しにくくなるので注意しましょう。ビオラの仲間は発芽に日光が必要な「好光性」です。

生育に合わせて弱い苗を間引いていき、本葉が8枚程度になったら植木鉢に植え付けます。複数株植え付ける場合は、株間を10cm程度確保しましょう。

開花期に行う花がら摘み

「花がら」とは花がしおれてきた状態のこと。開花期が始まったら、花がらは放置せずこまめに取り除きましょう。

花がらを放置すると、病気や害虫の原因になるほか株の寿命も縮まります

夏の管理・切り戻し剪定

宿根ビオラを夏越しさせるには、開花後の切り戻し剪定が重要です。切り戻しすると、株にとって次のメリットがあります。

  • 株を蒸れにくくさせる
  • 葉からの蒸散(水分を放出すること)を抑える
  • 株を維持するのに必要な栄養が少なくなるため、弱っていても枯れにくくなる

切り戻し剪定に適した時期は、開花後である4月下旬~5月頃草丈が半分以下になるよう剪定します。株を全体的に小さくすることに加え、以下の葉も取り除くようにしてください。

  • 黄色くなった葉
  • 混み合っている(重なり合っている)部分の葉
  • 虫食いや変形などがある傷んだ葉

梅雨に入ると株がほとんど生育しなくなるため、徐々に水やり頻度を減らして肥料も中断します。枯れた下葉はこまめに取り除き、涼しい場所で管理しましょう。

宿根ビオラの増やし方

宿根ビオラを増やす方法は2種類あります。

  • 挿し芽

挿し芽で増やす方法

最初に以下のものを準備します。

  • 挿し芽用の培養土
  • 育苗トレー
  • 清潔で良く切れる剪定バサミ

挿し芽に適した時期は、宿根ビオラの生育が盛んな秋または春。勢い良く伸びていて健康な新芽を上から3~4節ほどのところでカットし、1時間程度「水揚げ(水を張った容器で茎から水を吸わせること)」をします。

培養土を入れた育苗トレーに、葉が触れ合わないほどの間隔を開けて芽を挿し込んでいきます。このとき、挿し芽の下葉は土に触れないように取り除いておきましょう。トレーを明るい日陰において、水を切らさないように2週間ほど管理すれば発根しますよ。

十分に発根して新芽が確認できた苗は、ポットや植木鉢に移して通常通り育てればOKです。

種を取って増やす方法<2年目以降の大きくなった苗で行うのがおすすめ>

宿根ビオラの種を取るのに適した時期は4月~5月。花が枯れると花の中心だった場所に種が入った実ができてきます。

採取のベストタイミングは、実が上を向いてうす茶色になった頃。あまり放置しすぎると、実が弾けて種が飛んでしまうので要注意です。

収穫した実を割ると、中に小さな種がたくさん入っています。種は紙袋などに入れて、種まきの適期まで冷暗所に保管しておきましょう。

宿根ビオラでおしゃれな寄せ植えを作るには?

宿根ビオラ

花色が豊富なビオラはコンテナの寄せ植えにぴったり。以下の3つのポイントを意識することで、おしゃれなビオラの寄せ植えが作れます。

  • テーマにする色を決め、コンテナ内の花色は3色以内にとどめる
  • 小さな花を手前に、草丈の高いものを奥側に配置する
  • アクセントとして、垂れ下がるリーフや直立する植物を入れる

植物の組み合わせを考えるのが難しい場合は、宿根ビオラだけで寄せ植えにすると簡単ですよ。その際はカラーリーフ(斑入りや黒葉など)を持つ品種を組み合わせるとおしゃれになります。

おすすめの宿根ビオラ品種を紹介!

宿根ビオラ

宿根ビオラ苗の価格はおよそ300円~500円程度。園芸店で苗を探すときは、葉色が良く新芽が確認できるものを購入しましょう。

なお宿根ビオラを買うときの注意点は、必ずしも宿根ビオラという名称で販売されている訳ではないという点です。ビオラはパンジーやスミレなど似た仲間が多く、見た目だけで宿根性かどうかを見極めることはできません。購入前には必ず「宿根性かどうか」を確認するようにしましょう。

次項からは、性質が強く初心者におすすめできる宿根ビオラの品種を2種類紹介します。

ビオラ・ラブラドリカ

黒葉を持つ宿根性のビオラです。野生種のスミレに近い植物なので、性質が強いのが特徴です。

花は小さめですがカラーリーフとしても魅力的ですよ。アクセントとして寄せ植えに活用するのがおすすめです。

ビオラ・ソロリア・フレックルズ

小さなドット模様が付いた、美しい青色の花を咲かせる宿根性のビオラです。

冬から咲く一般的なビオラに比べると開花期はやや遅め。春先に花を付けます。春の花々と共にコンテナで寄せ植えすると、爽やかな印象になりますよ。

宿根ビオラ栽培で注意したい病害虫

ビオラ

比較的性質の強い宿根ビオラですが、以下の病害虫が発生することがあります。通気性良く管理することと花がらを残さないことで、病害虫を予防しましょう。

害虫 主な発生時期 特徴
アブラムシ 集団で吸汁し、ウイルス病などの原因にもなる
ツマグロヒョウモン 春・秋 オレンジと黒のイモムシで、葉を大量に食害する
ナメクジ・カタツムリ 春~梅雨 葉や花を食害する

※這った跡の粘液が残る

いずれも見つけ次第早急に取り除きましょう。大量発生する場合は、対応する薬剤で駆除します。

病気 主な発生時期 特徴
灰色カビ病 冬・梅雨時期 葉や花に灰色のカビが広がり、ひどいと株全体が腐って枯れる
ウイルス病 葉などにモザイク斑点があらわれ、株が枯死する

カビ系の病気を防ぐには、蒸れさせないことが大切です。混み合っている葉は適宜剪定したり、冬は気温が上がる午前中に水やりをしたりすることで対策しましょう。

ウイルス病の主な原因はアブラムシです。発生してしまったら株ごと抜いて処分しましょう。使用した剪定ハサミなどは熱で殺菌し、二次感染を防ぎます。

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