美味しいナスをたくさん収穫するには、夏以降の手入れに注意が必要。特に更新剪定という作業が重要です。
- 美味しいナスの栽培方法が知りたい
- 更新剪定のやり方を知りたい
このような疑問を持つ方のために、ここではナスの育て方・普段の手入れ方法を徹底解説します。
ナスの栽培方法!種まきから収穫までの一連の流れ
春に種まき・植え付けをする
種まきは3月の後半~4月の前半頃に行いましょう。ビニール製の小さな植木鉢に4粒程度種をまきます。種から育てるのではなく苗を購入してくる場合には、5月くらいに植え付けるのがおすすめ。苗を植える土は、肥料をまいてよく耕しておくことが大切です。
本葉が2・3枚程度になったら、用意した畑やポットに植えてください。株と株の間は40cm~50cm程度離します。
また、植え付け後はすぐに仮支柱を1本立ててください。紐を使い苗と支柱を8の字にゆるく結びます。一番花が咲けば、支柱を増やしてがっしりと組んであげましょう。
土の乾燥や病気を予防するため、刈草(飼料用の草)を根元に敷いておくと効果的です。根元の表面を隠すことを、マルチングと呼びます
夏頃から秋にかけて徐々に収穫できるようになる
ある程度実が大きくなったら収穫していきます。余分な葉はどんどん取って風通しを良くし、病害虫を防ぎましょう。あまり大きく育てすぎると美味しく食べられなくなってしまうので、早めの収穫が大切です。
また、8月頃には更新剪定という作業をするのが一般的です。これにより、元気なナスをたくさん収穫できるようになります。
秋ナス収穫のために重要な「更新剪定」の方法
更新剪定とは、成長が衰えてしまった枝を回復させるために行う剪定のこと。
夏の暑さが本格的になってくると、枝や葉が増えて栄養が回らなくなってきます。また、病害虫にやられてしまうこともありますよね。そこでナスの更新剪定を行い、肥料を与えます。するとナスがしっかり休めて元気になり、秋には良質な実が収穫できるのです。
更新剪定は、暑さが厳しくなる8月に入ったら行います。「ナスの夏休み」と考えてください。
秋ナスを収穫したい場合は更新剪定が必須!
ナスは剪定をせずに放置すると、夏の終わりには弱って枯れてしまいます。夏場だけの収穫が目的であれば更新剪定は不要ですが、10月頃まで収穫を楽しみたいのであればしっかり行いましょう。
ただし、一枝一果法でナスを育てている場合は「更新剪定をしなくて済むことが多い」とされています。詳しくは後述しますが、この育て方自体がナスを疲れさせないためのものだからです。
更新剪定の方法!3段階の手順を解説
更新剪定は以下3段階の手順で行います。
- 枝を切る
- 根を切る
- 施肥をする
更新剪定の手順1:枝を切る
まずは中心の太い枝から伸びている枝を、1/3から半分ほどに切り落とします。このとき、病気や害虫などで傷んでいる葉も同時に切って綺麗にしておきましょう。既にナスがついている枝を切ってももちろん大丈夫。強めにばっさりと切ってしまいましょう。
更新剪定の手順2:根を切る
株元から30㎝程度離れたところに、シャベルを垂直に深く突きさして根を切ります。株周辺の2カ所(好きなところ)を根切りしましょう。
更新剪定の手順3:肥料を与える
シャベルで切った根のところに、土の隙間から液体肥料や化成肥料を入れ、周囲の土と軽く混ぜ合わせます。液体肥料は500倍に薄めたものを使い、化成肥料は30g程度を入れるのがおすすめです。
更新剪定を行ったら1カ月ほど実がなりません。枯れたわけではありませんので、水やりは忘れないようにしましょう。
更新剪定で失敗せず美味しいナスを収穫するコツは?
剪定で失敗せずに美味しいナスを収穫するには、コツがあります。それは以下の2つです。
- 思い切って大胆にカットすること
- 根のカットも忘れないこと
特に初めてナスを栽培するという方は「ここまで切ってしまっていいの?枯れない?」と心配になり、枝先を整えるだけで終わってしまうことがあります。しかしそれでは、株は元気になりません。全体を半分程度にするくらいのイメージで、勢いよく切り落としていきましょう。
そして、忘れてはいけないのが根切りです。一般的な剪定では根を切らないので忘れてしまいがちですが、株を若返らせるためには大切な作業です。伸びた根を切断して肥料を与えてあげましょう。
ナスの普段の手入れ(水やり・肥料・整枝)
ナス栽培中に必要な手入れには、以下のような作業があります。
- 水やり
- 施肥
- 仕立てと整枝
- 摘心・切り戻し(一枝一果法)
水やり
普段は土の表面が乾いてから水やりをすればOK。一回の量をたっぷりと、プランターであれば底から水が流れ出るくらいがおすすめです。
ナスの植え付けから2週間後くらいまでは、土が乾かないように細心の注意が必要です。また、気温が上がってきて成長が早まると、ナスは大量の水を必要とします。朝と夕方それぞれにたっぷりと水やりをしてください。
施肥
ナスの栽培では、水やりと施肥が重要なポイントです。植え付け後3週間程度に最初の追肥をして、その後は2週間おきに行っていきます。
化成肥料は土1Lに対し1gを、2週間ごとに1回根の先端に与えます。液体肥料は1週間に1回、水の代わりに与えてください。
ナスに肥料が十分足りているかどうかは、ナスの花を観察すれば判断できます。ナスは1つの花に雌しべと雄しべがあります。中心にある白い1本が雌しべ、その周囲にある黄色いものが雄しべです。
白い雌しべが黄色い雄しべよりも長くなっていれば、肥料が十分だということ。しかし反対に白い雌しべが黄色の中に埋もれて見えなくなっている場合、肥料が足りていない証拠です。花をみて白い雌しべが短くて見えないようなら、すぐに追肥してください。
仕立てと整枝
ナスがしっかり育つように、仕立てと整枝は必須です。ナスの形を整える作業のことですね。
一番花が咲いたら、その花の下にある側枝2本だけを残し、他の脇芽はすべて取ってしまいましょう。このように主枝1本と側枝2本(左右1本ずつ)で形作ることを「3本仕立て」と呼びます。2本仕立てという方法もあり、その場合は主枝とそのすぐ下の側枝1本だけを残してあとはすべて取ってしまいます。一般的なのは3本仕立てのほうです。
また、ナスは3本の支柱で支えるのがおすすめです。主枝に平行してまっすぐ立てた支柱1本と、斜めに立てた支柱2本を交差させ、交差点を紐で結びます。それぞれの支柱と枝を紐で8の字に結びましょう。斜めに立てた支柱は、側枝が伸びたときに支えるためのものです。
支柱は太さ2cm、長さ150cmくらいのものを使うのがおすすめですよ。
摘心・切り戻し(一枝一果法)
ナスの栽培方法でおすすめなのは「一枝一果法」。これは1本の枝に1個の実しかつけさせない方法です。
主枝から出た脇芽に実がついたら、その実より先を切ってしまいます(=摘心)。こうすることで、脇芽が成長できなくなり、1つ残した実に栄養が集中します。これによって大きく瑞々しいナスができるというわけですね。その枝に残したナスを収穫したら、その脇芽は切ってしまいましょう(=切り戻し)。
一枝一果法の大切なポイントは以下の3点です。
- 主枝は切らず、脇芽のみを切る
- 脇芽を切る際は実より先にある葉を1枚残し、その先を切り落とす
- 実の収穫後の切り戻しも同様に、葉を1枚残してその先を切り落とす
主枝は絶対に切らず、脇芽を切り落としましょう。また脇芽を切る際は、実の先にある葉を1枚残しておくのが一般的です。
一枝一果法は頻繁に切り戻し(剪定)をしていきますので、他の栽培方法に比べてナスが疲れません。そのため夏場の更新剪定は不要と言われています。しかしながら、一枝一果法で栽培していても更新剪定をしている方は多数。一枝一果法の切り戻しだけだと、どうしても元気のないナスになってしまうこともあるからです。
特に暖かい地域(関東以西)でナスを栽培する場合は、一枝一果法であっても更新剪定をするのがおすすめ。暖かい地域では収穫可能期間が長いため、更新剪定で株を元気にさせると秋ナスの収穫量が増えるからです。
逆に北海道や東北のような「暖かい時期が短い土地」では、更新剪定をしても株の回復を待つ時間がありません。そのような地域では更新剪定はせず、一枝一果法で暑い時期にどんどん収穫していきましょう。
ちなみに、摘心と切り戻しはどちらも枝を切ることです。しかし切る場所が異なります。
- 摘心(てきしん):脇芽の実を残し、その先の部分を切る
- 切り戻し:実の収穫後に、主枝から出た側枝(脇芽)を切る
ナスをプランターで家庭菜園する場合のポイント
家庭菜園でプランターを使ってナスを育てる場合でも、植え付け・仕立て・整枝など栽培の基本的な流れは同じです。ただし、プランターならではのポイントが3つありますので紹介しますね。
- できるだけ大きなプランターで育てること
- 元気な苗を選ぶこと(苗を植える場合)
- 植え付け後にはたっぷりと水やりをすること
プランター栽培のポイント①大きなプランターで育てる
できるだけ大きなプランターを用意してください。深さ30㎝、長さ60cm、奥行25cmくらいで容量が30Lあるものがおすすめ。そのくらいの大きさと深さがあれば、同時に2株を育てられるうえに秋ナスの収穫も望めますよ。
プランター栽培のポイント②元気な苗を選ぶ
プランターを使って市販の苗でナスを育てようと考えているときには、できるだけ元気な苗を選びましょう。弱い苗ではすぐに枯れてしまうことがあります。
元気な良い苗の特徴は、以下の通りです。
- 葉が大きく厚みがあって色が濃い
- 全体的にがっしりとしている
- 茎が太い
- 傷がない
- 病害虫のあとがない
プランター栽培のポイント③植え付け後は水やりをたっぷりとする
植え付け後は、プランターの下から水が出てくるくらいまで水やりをしましょう。
ちなみに、プランターへの植え付けは以下の手順で行います。
- プランターの底が隠れる程度に鉢底石を入れる
- プランターの淵から3㎝程度下になるまで、用土を入れる
- 土の表面をならしてから苗を仮置きし、その場所に根鉢がすっぽりと入るくらいに穴をあける
- 苗と植穴にたっぷりと水をしみこませてから植え付け、プランターの下から水が出てくるくらいまで水やりをする
ナスを育てるのに適した環境
ナスを育てるために知っておくべき特徴や生態について解説していきます。
ナスはナス科ナス属の植物で、インドが原産国です。夏から秋にかけて開花し、紫色の花を下向きに咲かせることが特徴。ナスの実は黒紫色が一般的で、その93%が水分でできています。他の野菜に比べて低カロリーなのが嬉しいですね。
ナスを栽培するのに適した環境は?
ナスは寒さや乾燥に弱く、以下のような環境に適しています。
- 栽培時期:5月~10月
- 栽培適温:15度~28度
ナスは日当たり良好の場所を好みます。地植えでもプランターでも、できるだけ日当たりの良いところで育てましょう。日当たりがよくない場所で育てると、花付き・実付きともに悪くなってしまいます。
そして風通しの良さも大切。ナスの葉は大きく何枚も茂るため、風通しが悪くなりやすいです。風通しの悪さは病害虫発生の原因となるので、定期的に葉の状態をチェックして間引きましょう。
ナス栽培中に発生するトラブル・病害虫
ナスの栽培では、育成不良や病害虫によるトラブルが起こることがあります。症状・原因・対策を紹介しますね。
生育不良ナス
よくある生育不良ナスは、以下の通りです。
- 石ナス
- つやなし果
- 双子ナス
- へん平果
- 舌出し果
石ナス
実の皮が固く、見た目に光沢がないナスができれば「石ナス」です。原因は受精不良で、花が咲く前や咲いた直後の低温、もしくは極端な高温によるものです。温度管理に注意すれば防げますが、確実に防止をしたいときはホルモン処理を行いましょう。
ホルモン処理とは、オーキシンと呼ばれる植物ホルモンを使って着果させる処理のことです。「トマトトーン」という市販商品があり、これを50倍に薄めて吹きかけるのが有効です。
つやなし果
実の皮にツヤがなく、固くなってしまった状態。梅雨明けにこのような症状が見られたら「つやなし果」の可能性が高いです。原因は水不足で、特に開花から15日程度経過したときに、水が足りないと起こりやすいので注意してください。十分に水やりをすれば防止可能です。
双子ナス・へん平果・舌出し果など
これらは実の形が変わってしまう育成不良。低温や、過剰な肥料などによって栄養過剰になってしまうことが原因です。
気温が低いときには根元にマルチングを行い、苗を低温から守ってあげるのがおすすめです。また、肥料のあげすぎにも注意。肥料は「多ければ良い」というわけではありません。適量を守りましょう。
ナスがかかりやすい病気
ナスには多くの病気の危険性があります。特に多いのは以下3つの病気です。
- うどんこ病
- 青枯れ病
- 半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)
うどんこ病
葉の表面に白い粉のようなカビが生える有名な病気です。カビの胞子が風によって運ばれ、伝染します。
発病した葉は切り取って処分し、炭酸水素カリウムを主成分とする薬剤を散布しましょう。うどん粉病対策の薬剤は「カリグリーン」というものが有名です。
普段の日当たり・風通しを良くすることで予防できます。
青枯れ病
元気だったのに急に青みを残して(葉は緑色のまま)枯れてしまう病気です。
原因は土壌汚染によって、土の中にいる細菌が根の傷から侵入すること。青枯れ病に効く薬剤はないため、病気が発生したら株ごと抜きとって焼却処分します。支柱もしっかりと洗い、天日干ししてください。水はけをよくすることが予防策として有効です。
半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)
株の片側の葉や枝のみがしおれてしまう病気です。カビによる土壌病で、放置すれば全体に回って株が枯れてしまいます。原因はカビの一種である糸状菌(しじょうきん)が、根の傷から侵入すること。
発病株は根ごと全部抜き取り、焼却処分しましょう。土壌は農薬を使って消毒します。おすすめは「GFベンレート水和剤」。カビ性の病気に効果があります。
ナスにつきやすい害虫
ナスの栽培中に特に気を付けるべき害虫は、次の3つです。
- カメムシ
- チャノホコリダニ
- テントウムシダマシ
カメムシ
カメムシは六角形のような形をした緑色または褐色の昆虫です。別名はヘクサムシ。触ると悪臭を出すのでこう呼ばれます。新芽や花・実に寄生し、縮ませたり奇形にさせたりします。
見つけ次第駆除しましょう。素手で取るときは、ガムテープに付けて葉から離すのがおすすめ。薬剤を使う場合は「カメムシに有効」と書かれている商品を使いましょう。苗が小さいときは防虫ネットを使うことで予防できます。
チャノホコリダニ
ダニの一種で、葉の裏について成分を吸う害虫です。チャノホコリダニに吸われると、新芽は固くなり成長が止まってしまうこともあります。
チャノホコリダニは水に弱いため、葉裏に水を吹きかけることで対処します。定期的に葉裏にも散水することでかなりの予防効果が期待できますよ。
テントウムシダマシ
テントウ虫のような外見をしていますが、黒い斑点が28個と多いことで判別できるテントウムシダマシ。本名は「ニジュウヤホシテントウ」です。こちらも葉裏に寄生して吸汁します。
見つけ次第、手や割りばしなどで捕まえて駆除しましょう。テントウムシダマシは葉裏に卵を産みつけます。30粒程度の卵がついていないか、定期的に確認してみてください。
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