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ムラサキカタバミの特徴を解説!駆除方法やクローバーとの違いも紹介

最終更新日: 2021年04月19日

ムラサキカタバミはカタバミ科の多年草です。紫色のかわいらしい花とクローバーのような葉をつけるのが特徴で、5月~7月ごろになると花を咲かせ始めます。

「ムラサキカタバミってどんな花?」「いつの間にか庭に生えていたけど駆除するべき?」という方のために、この記事ではムラサキカタバミの特徴や花言葉、駆除方法やクローバーとの見分け方を紹介します。

ムラサキカタバミの特徴

花を咲かせるムラサキカタバミ

植物名 ムラサキカタバミ
学名 Oxalis corymbosa
科名 / 属名 カタバミ科 / カタバミ属
原産地 南アメリカ
開花期 5月~7月
花の色 紫、ピンク
草丈 10~30cm
特性 多年草、日当たりの良い肥沃な土地を好む

ムラサキカタバミは、カタバミ科カタバミ属の多年草です。日本では関東から西日本エリアに広く生息し、日当たりの良い肥沃な土地を好みます。

原産地は南アメリカで草丈は10~30cmほど。春~初夏にかけて姿を現す野草です。

紫色やピンク色の花を付ける多年草

ムラサキカタバミの花のアップ写真
ムラサキカタバミの花

ムラサキカタバミは春になると幅2~4cmほどのハート型の葉を茂らせ、初夏にかけて淡い紫色やピンク色の花を付けるのが大きな特徴です。見た目は可憐ですが繁殖力が非常に強く、駆除がやっかいな雑草です。

カタバミには観賞用として人気のある園芸品種もあり、「オキザリス」として広く流通しています。

850種類あるカタバミの一種

ムラサキカタバミが属している「カタバミ」は、中南米や南アフリカを原産として世界に広く分布している植物。その種類はなんと約850種類にものぼります。

種類によって花の色や葉の枚数が異なり、開花時期も春から夏のタイプと秋から冬に咲くものに分かれます。

夜になると眠るように花を閉じる

夜に花を閉じるムラサキカタバミ
夜に花を閉じるムラサキカタバミ

ムラサキカタバミの花は夜になると、眠るように花びらを閉じます。そして翌日の朝になると、まるで目覚めるかのように花びらをまた開くのです。

なお花びらを閉じる際には、葉も半分に折りたたむようにして閉じていきます。

小さな大根のような太い根

ムラサキカタバミは直径2ミリほどの小さな球根をたくさんつけるのが特徴です。また場合によってはこれらの根が生長し、まるで小さな大根のように育つこともあります。

またムラサキカタバミは種子ではなく、根に形成される「木子(きご)」を媒介にしてどんどんと繁殖していきます。そのため除草の際には根をしっかりと処理することが大切です。

クローバーに似た葉

ムラサキカタバミの葉
ムラサキカタバミの葉
クローバーの葉
クローバーの葉

ムラサキカタバミは「クローバー」によく似た形の葉をつけます。どちらも三つ葉や四つ葉で這うように茂るので、見分け方を知らないと間違えてしまうかもしれません。

ムラサキカタバミとクローバーは、葉の形と模様の有無で見分けられます

ムラサキカタバミ
  • 葉がハート型
  • 葉の模様なし
クローバー
  • 葉が楕円型
  • 葉先にくぼみがある
  • 葉に白い模様あり

クローバーの葉には模様が入らないこともあるため、細かな形状を見るのが一番確実な見分け方といえるでしょう。

花言葉は「心の輝き」

ムラサキカタバミの花言葉には「心の輝き」「喜び」などがあります。「心の輝き」はカタバミが仏具や真鍮の鏡などを磨くために用いられ、「鏡草」とも呼ばれたことに由来しています。

またスペインやフランスで、カタバミは「ハレルヤ」と呼ばれているため、そこから「喜び」という花言葉が生まれたそうです。

これはキリスト教の復活祭に当たる春分の頃に、ちょうどカタバミが咲き始めることに由来するといわれています。

カタバミの名前の由来

ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミの名前の由来は「カタバミ」の漢字表記にヒントが隠されています。

またムラサキカタバミは鎌倉時代から家紋に用いられるなど、日本でも古くから親しまれてきました。

漢字での書き方と意味

カタバミの漢字表記は「片喰」「酢漿草」などさまざまです。

「片喰」という表記の由来は、葉っぱの片方が夜になると閉じてしまい、葉の半分が食べられたように見えることだといわれています。

一方で「酢漿草」とは、カタバミの葉や茎にシュウ酸が含まれており、食べると酸っぱい味がすることに由来します。

カタバミの属名の英語表記であるOxalis(オキザリス)にも「酸っぱい」という意味のギリシア語が含まれており、カタバミ属全般に共通する性質です。

中国ではよりわかりやすく「酸味草」と書かれます。いずれの漢字表記にも、カタバミの特徴が示されているのです。

家紋などにも用いられる

カタバミは、鎌倉時代から家紋として用いられていました。一度根付くと除去が困難であるほどの強い繁殖力が「子孫繁栄」を想起させることから縁起の良い植物とされ、武家を中心に家紋として用いられたのです。

中には剣をカタバミと一緒にあしらい、武家らしさを強調した図案もありました。

また見た目が可憐なことから、家紋に限らず文様として好まれた歴史も。ムラサキカタバミは古くから人々に親しまれた植物だったようです。

ムラサキカタバミによく似た花

ムラサキカタバミ

様々な種類があるカタバミ科の植物ですが、ムラサキカタバミによく似た花があります。その姿は同じカタバミ科だけあって何ともそっくり。

それぞれの見分け方を知っておけば、外出先で新たな発見があるかもしれません。

イモカタバミ

イモカタバミ

イモカタバミは観賞用に栽培されることも多い、カタバミ科カタバミ属の多年草です。

ムラサキカタバミと見た目がよく似ていますが、イモカタバミは花の中心部が濃い紫色をしており、花びら中央の雄しべの葯が黄色といった点も異なります。

ベニカタバミ

ベニカタバミ

ベニカタバミもカタバミ科カタバミ属の多年草で、イモカタバミに似た色や形の花をつけます。

ベニカタバミは他のカタバミ類よりも小ぶりな葉をつけるのが特徴で、ムラサキカタバミやイモカタバミが2~4cmの葉をつけるのに対し、2cmほどの大きさしかありません。

また葉の切れ込みも浅く、クローバーの葉に近い形状をしています。

ムラサキカタバミは外来種

ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミは雑草として日本全国に生息していますが、元々は江戸時代に伝来した外来種でした。

今や在来種を駆逐する勢いの繁殖力に、生態系への悪影響も懸念されています。

江戸時代末期に日本へ伝わる

カタバミの中には在来種もありますが、ムラサキカタバミは江戸時代末期に日本に伝わった外来種です。

現在は雑草として日本各地に自生しているものの、元々は観賞用に持ち込まれた植物でした。

昭和の中期までは、観賞用の珍しい植物として栽培されていましたが、現在では、その繁殖力の強さゆえに、日本各地で雑草化してしまうほどに増えてしまいました。

生態系への悪影響が懸念される

ムラサキカタバミは、環境省に「要注意外来生物」と指定されています。繁殖力が強いため、生態系を壊す恐れがあるとされているのです。

鱗茎と呼ばれる地下茎を生やし、そこから更に小鱗茎をたくさん伸ばします。

この小鱗茎が地中の栄養を効率よく吸収するため、ムラサキカタバミの繁殖力を強めているのです。

ムラサキカタバミの駆除方法

ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミは地下茎による繁殖力が非常に高いため、一度繁殖してしまうと完璧な駆除が難しくなってしまいます。

ムラサキカタバミが庭に生えた場合は、駆除を検討しましょう。

除草難易度が高い

ムラサキカタバミは、コンクリートの道路の間からでも生えてくるほど、生命力の強い植物です。庭や芝生にも生えやすい上、繁殖力が強いので一度生えると除草は困難でしょう。

カタバミの根は地中深くまで潜り込んでおり、枝分かれして地中にどんどんと広がる性質があります。そのため地中深くから除草しないと、再び根から発芽してまたその姿を地上に表してしまうのです。

除草剤を使った駆除方法

グリホエースPRO
グリホエースPRO

生命力の強いムラサキカタバミの駆除には、除草剤の使用がおすすめです。地中深くまで効果が届くグリホサート系の除草剤を選んで、根っこから除草するようにしましょう。

ムラサキカタバミに効果的な除草剤の使い方

  1. グリホサート系の除草剤を水で薄めて50~100倍に希釈する
  2. ジョウロまたは噴霧器で散布する

除草剤の成分が葉から浸透して根まで届き、1週間ほどで効果が表れ始めます。

またムラサキカタバミが生えている箇所に芝生がある場合は、一緒に枯らしてしまう可能性があるため、使用は避けるのが無難でしょう。

芝生がある場合におすすめの除草剤

丸和バイオケミカル MCPP液剤 500ml
丸和バイオケミカル MCPP液剤 500ml

庭に芝生が生えている場合は、MCPP溶剤タイプの除草剤を使用するのがおすすめです。日本芝と西洋芝 (ブルーグラス)に使用可能で、芝を枯らさずにムラサキカタバミに除草効果を届けられます。

庭の広さに応じて希釈し、十分に混ぜてから均一に散布するのがポイントです。

草むしりによる駆除方法

除草剤を使ったムラサキカタバミの駆除は効率的ですが、周辺の植栽への影響や健康被害の懸念も考えられます。除草剤の使用が不安な方は、シャベルを使用した根っこから引き抜く駆除方法を検討しましょう。

1回の作業では完全に処理しきれないため、日を置いて繰り返し作業を行うのが草むしりによる除草のコツです。

シャベルを使った草むしりの方法

  1. カタバミの根元にシャベルを入れる
  2. 土ごと大きくすくい上げる
  3. 土を崩さないように処分場所へ持っていく

シャベルを使った草むしりのポイントは、すくった土を落とさないようにすることです。

土と一緒に球根が地面に落ちてしまうと、その場所からムラサキカタバミが再発生する恐れがあるため、事前に処分場所を確保しておくとよいでしょう。

防草シートを使った予防もおすすめ

アストロ 防草シート
アストロ 防草シート

ムラサキカタバミの除草が完了したあとは、防草シートを使って再生を予防してみてはいかがでしょうか。生長するのに必要な日光を遮断して、繁殖するのを未然に防ぎます。

アストロ防草シートは強力な不織布を使用しており、耐久性に優れているだけでなく、雨水を通す透水性を兼ね備えています。

また日光の遮断率も96.7%と非常に高い性能を誇っており、ムラサキカタバミが再繁殖するのを徹底的にガードすることが可能です。

また、防草シートを敷いておくと風で運ばれた種が発芽するのも防ぐことができるので、庭を使わない季節の雑草予防にも役立ちます。

ムラサキカタバミの繁殖に要注意

ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミは春~初夏にかけてその姿を現す、カタバミ科の多年草です。

紫色の可憐な花が印象的なムラサキカタバミですが、庭に生えている際は注意が必要です。根から木子を生成して増えていくことから繁殖力が高く、庭に生えた際は駆除を検討するのがよいでしょう。

またムラサキカタバミは一度生えてしまうと普通に抜くだけでは駆除が難しいため、除草剤や防草シートの使用をおすすめします。

ムラサキカタバミと上手に付き合って、ガーデニングを楽しみましょう。