ムラサキカタバミは、かわいらしい花をつけますが、一度生えてしまうと駆除するのがとてもやっかいな雑草です。クローバーに似ているため、間違えている人もいるかもしれません。名前の由来や、見つけた場合の対処法や予防策などを紹介します。

ムラサキカタバミとは?
ムラサキカタバミは3〜4枚ほど葉を持つ、クローバーにも似た植物です。まずはムラサキカタバミの特徴について、葉や花の形などについて解説します。
白やピンクの花を付ける多年草
ムラサキカタバミとは、カタバミ科カタバミ属に分類されている多年草です。日本では関東から西日本エリアに広く生息し、日当たりの良い肥沃な土地を好みます。
春にハート型の葉を茂らせ、初夏にかけて白やピンクの花を付けるのが特徴です。見た目は可憐なのですが、繁殖力が強すぎるので、駆除がやっかいな雑草ともいえるでしょう。
一方で、観賞用としても人気のある品種もあり、可憐な見た目の花は人気があります。
複数の種があるカタバミの一種
カタバミは南アフリカや中南米を原産とし、世界に広く分布している植物です。約850種類あるといわれ、日本には6種が自生しています。
種類によって花の色や葉の枚数が異なり、開花時期も春から夏のタイプと秋から冬に咲くものとに分かれます。
クローバーとの見分け方
カタバミとよく間違われるのが、クローバーです。カタバミはカタバミ科、クローバーはマメ科と植物上の分類が異なる上、花の違いも一目瞭然ですが、どちらも三つ葉や四つ葉で這うように茂るので、見分け方を知らない場合には間違えてしまうかもしれません。
カタバミとクローバーは、葉の形と模様の有無で見分けられます。カタバミが「葉がハート型・模様なし」、クローバーが「葉が楕円形にV字型・白い模様あり」です。
クローバーの葉には模様が入らないこともあるため、形状を見るのが一番確実な方法といえるでしょう。
カタバミの名前の由来
ムラサキカタバミは、やっかいな雑草ではありますが、「カタバミ」にはたくさんの種類があり古くから家紋に用いられるなど、日本でも親しまれていました。音からは想像しづらい漢字の表記や、花言葉なども紹介します。
漢字での書き方と意味
カタバミの漢字表記は「片喰」「酢漿草」など多様です。「片喰」という表記の由来は、葉っぱの片方が夜になると閉じてしまい、葉の半分が食べられたように見えることだといわれています。
一方で「酢漿草」とは、カタバミの葉や茎にシュウ酸が含まれており、食べると酸っぱい味がすることに由来します。カタバミの属名の英語表記である「Oxalis(オキザリス)」にも「酸っぱい」という意味のギリシア語が含まれており、カタバミ属全般に共通する性質です。
中国ではよりわかりやすく「酸味草」と書かれます。いずれの漢字表記にも、カタバミの特徴が示されているのです。
家紋などにも用いられる
カタバミは、鎌倉時代から家紋として用いられていました。一度根付くと除去が困難であるほどの強い繁殖力が「子孫繁栄」を想起させることから縁起の良い植物とされ、武家を中心に家紋として用いられたようです。
中には剣をカタバミと一緒にあしらい、武家らしさを強調した図案もありました。また、見た目が可憐なことから、家紋に限らず文様としても好まれ、古くから人々に親しまれた植物でもあったようです。
花言葉は「心の輝き」
カタバミの花言葉には「心の輝き」「喜び」などがあります。「心の輝き」はカタバミが仏具や真鍮の鏡などを磨くために用いられ、「鏡草」とも呼ばれたことに由来しています。
またスペインやフランスで、カタバミは「ハレルヤ」と呼ばれているため、そこから「喜び」という花言葉が生まれたそうです。
これはキリスト教の復活祭に当たる春分の頃に、ちょうどカタバミが咲き始めることに由来するといわれています。
ムラサキカタバミは外来種
ムラサキカタバミは雑草として日本全国に生息していますが、元々は江戸時代に伝来した外来種でした。
今や在来種を駆逐する勢いの繁殖力に、生態系への悪影響も懸念されています。
江戸時代末期に日本へ伝わる
カタバミの中には在来種もありますが、ムラサキカタバミは江戸時代末期に日本に伝わった外来種です。
現在は雑草として日本各地に自生しているものの、元々は観賞用に持ち込まれた植物でした。
昭和の中期までは、観賞用の珍しい植物として栽培されていましたが、現在では、その繁殖力の強さゆえに、日本各地で雑草化してしまうほどに増えてしまいました。
生態系への悪影響が懸念される
ムラサキカタバミは、環境省に「要注意外来生物」と指定されています。繁殖力が強いため、生態系を壊す恐れがあるとされているのです。
鱗茎と呼ばれる地下茎を生やし、そこから更に小鱗茎をたくさん伸ばします。
この小鱗茎が地中の栄養を効率よく吸収するため、ムラサキカタバミの繁殖力を強めているのです。
カタバミはやっかいな雑草
一度生えてしまうと、ムラサキカタバミの駆除をするのは大変です。では、どのように対策をすればいいのでしょうか。
ムラサキカタバミの性質を押さえた上での、具体的な駆除方法を紹介します。
繁殖力が強く除草が困難
ムラサキカタバミは、コンクリートの道路の間からでも生えてくるほど、生命力の強い植物です。庭や芝生にも生えやすい上、繁殖力が強いので一度生えると除草は困難でしょう。
除草のためにムラサキカタバミを根こそぎ抜いても、小鱗茎はとても抜けやすいため、地中に残ってしまってしまいます。そして、残ってしまった小鱗茎からは、やがてまた芽が出るのです。
このように、駆除したと思ってもまた同じ場所から生えてくるというサイクルの繰り返しが起きてしまいます。
除草剤や防草シートで駆除
ムラサキカタバミは普通に抜くだけでは駆除が難しいため、除草剤と防草シートが有効です。除草剤を使うと、薬が葉と茎から入り、根まで完全に枯らすことができます。
ただし、このまま安心して放置してしまうと、既に地面に落ちている種から発芽してしまうことがあります。この場合は、防草シートも使うと効果的です。
また、防草シートを敷いておくと風で運ばれた種が発芽するのも防ぐことができるので、庭を使わない季節の雑草予防にも役立ちます。
ガーデニングをするなら要注意
ムラサキカタバミは、花壇にも生えやすい植物なので、ガーデニングをしたい場合は注意したい雑草です。クローバーと間違えないように、葉の形をしっかりと確認しましょう。
「葉の形がハート型で模様がない」のであれば、ムラサキカタバミです。花が咲けば、違いは一目瞭然ですが、花が咲く前の段階でできるだけ早めに気付くためにも、葉の特徴をしっかりと押さえておくと良いでしょう。
ムラサキカタバミは一度生えてしまうと普通に抜くだけでは駆除が難しいため、除草剤や防草シートの使用を検討するのをおすすめします。
除草剤や防草シートを上手に取り入れて、ムラサキカタバミに邪魔をされることなく、ガーデニングを楽しみましょう。