びわは家庭でも育てやすく人気の高い果樹として知られます。おいしいびわの実を作るためには、生長しやすい環境作りや剪定のタイミングが重要になります。びわを上手に育てるために欠かせないポイントを徹底解説!
びわは種から育てると何年で実がなる?
種から育てると、実がなるまでに8~10年かかります。
びわの育て方のコツは?
びわを育てる際のコツは、すぐに大きくなるので適切な剪定を行うこと、気温が-3℃を下回ると落果してしまうので冬の寒さに注意することです。
びわってどんな植物?
びわは、ほんのりとしたオレンジ色で酸味が少なく食べやすい果物です。
家庭でも簡単に育てられるびわは、どのような特徴があるのか解説します。
無農薬で栽培できる家庭向きの果樹
びわは害虫の被害をあまり受けないので、無農薬で栽培できる家庭向きの果樹です。苗木や種はホームセンターで販売しており、食べ終わった種を再び植えられます。
12~2月に白い小さな花を咲かせ、その後、結実して6月に収穫期を迎えます。甘くてみずみずしい果実に虫が寄ってくるので、袋を被せる対策をしましょう。
もともと日本に自生していたびわは食用に向いていませんでしたが、江戸時代後期に果物としての栽培が開始されました。
独特の甘みと食べやすい大きさで、たくさんの人に親しまれている果実です。
樹高や葉が大きく育つのが特徴
びわは2~5mの高さに育ち、楕円形の肉厚な葉は20cmほどの大きさです。
びわには上へ伸びる品種と横に広がるタイプがあるので、植える場所に合わせて選ぶといいでしょう。
大きくしたくない場合は鉢植えにするか、地植えでは剪定で高さを調節するのが有効です。
寒冷地での栽培には向かない
びわはある程度の耐寒性はありますが、-2℃を下回るような地域は栽培に向きません。日本での栽培は千葉県より西の地域に限られています。
実が未熟な時期に-3℃以下まで気温が下がると、胚珠が死滅して落果するので収穫に影響が出ます。寒い地域で栽培する場合は、鉢植えにして部屋の中に取り込むか、耐寒性のある「田中」と「大房」という品種が適しているでしょう。
田中は開張性で釣り鐘型の大きな果実が特徴で、完熟すると甘みと酸味のバランスがいい品種です。大房は千葉県富浦町で多く栽培されており、大きな果実は酸味が少なく果汁が豊富な特徴があります。
びわは種から育てられる?
知人からもらったり、給食で出て持って帰ってきたりしたびわの種。鉢や庭に植えたら、実を収穫することができるのでしょうか?
びわは種から育てると、実がなるまでに8~10年かかります。
実を期待して育て始めるには、少し長すぎるのではないでしょうか。
しかし鉢植えや庭木として楽しむだけであれば、簡単な世話のみである程度放っておいても育ってくれます。
果実を収穫したいのであれば苗木から育てることをおすすめしますが、鑑賞用として楽しむならば種から育てることもできますよ。
びわを植える時期と方法
びわを植える時期は、苗木と種で違ってきます。
誤った時期に植えるとうまく育たないかもしれません。
それぞれに合った時期や方法を説明します。
小さく育てたいなら鉢植えがおすすめ
びわは成長が早く、庭や畑に植えると5m以上の大木に育ちます。
大きくなりすぎてしまうと、手入れも大変です。
コンパクトに楽しみたいなら、鉢植えで育てるのがおすすめです。
苗木の植え付けは2月下旬~4月
苗木は2月下旬~4月が植え付けの時期です。
<地植えの場合>
日当たりと水はけの良い場所を選びます。
多湿な場所に植え付けると、害虫の被害に遭う可能性が高くなるので注意が必要です。
深さと幅50cm四方の穴を掘り、苗木を植え、腐葉土を2~3割混ぜた土をやさしく戻します。植えた後はたっぷりと水を与えましょう。与えすぎると根腐れしてしまうので、土の表面が乾いたら水やりをします。
<鉢植えの場合>
鉢植えにすると大きさをコンパクトに抑えられるため、寒い時期になると室内に取り込めるのが利点です。
7~8号を用意し水はけの良い土に植えます。地植え同様水の与えすぎは注意しましょう。
種の植え付けは5~6月
種まきは5~6月が適期です。
洗った種を2~3cmの深さの土に植えるのが簡単な植え付け方です。
他に脱脂綿やスポンジを使って発芽させる方法があります。種をよく洗い、種の周りの茶色い皮を剥きます。水に湿らせたスポンジを容器に入れ上に種を置き、種が半分漬かるくらい水を入れ発芽させるやり方です。
こまめに水を変えて発芽したらビニールポットに移し替えます。苗木が十分に育ったら鉢植えや地植えに植え替えましょう。
びわの正しい育て方
びわを正しく育てるにはいくつかのポイントを押さえなくてはなりません。
実がならない・小さい・味がしないびわにしないために、水やりや肥料を与える際の注意点を解説します。
【場所】日当たりの良い環境で育てる
日当たりは、びわを元気に育てるのに最重要と言っても過言ではありません。
庭やベランダの太陽光がよく当たる場所に植えるのがポイントです。
【用土】水はけのよい土
地植えでも鉢植えでも、水はけの良い土に植えると良いでしょう。
水はけの良い土とは、植物が吸収できない余分な水分を外へ出せる土のことです。余分な水分がいつまでもあると根腐れを起こし、びわが弱ったり枯れたりします。
<地植えの場合>
地植えの場合、掘り起こした土に腐葉土を2~3割混ぜます。
<鉢植えの場合>
赤玉土(小粒)7~8:腐葉土3~2の割合を混ぜた土か、市販の果樹用培養土を使用するのが最適です。
【水やり】鉢土の表面が乾いてから
<地植えの場合>
毎日水やりをしなくても大丈夫です。びわは乾燥に強いのでたまに降る雨水で十分に育ちます。夏の日照りが続いたときは水を多めに与えましょう。
<鉢植えの場合>
土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。
ここで注意したいのが夏の水やりです。夏の日中など炎天下の中で水を与えると、鉢中の水の温度が上がり根を痛めてしまうため、早朝と夕方に水やりをしましょう。
冬は夕方以降に水を与えるのは禁物です。気温が下がると凍る可能性があるため、日中に水やりをします。木や葉がみずみずしければ毎日水を与える必要はありません。
【肥料】年に3回
肥料は以下の表のように、年に3回与えましょう。
2~3月 | 即効性化学肥料 |
6月 | 即効性化学肥料 |
11~12月 | 有機質肥料や堆肥、骨粉、鶏ふん |
寒い時期に肥料を与える理由は暖かくなってきたときに生長を促すためです。
即効性化学肥料:効果がすぐに現れるが、が長続きしないタイプの肥料。無機質肥料とも呼ばれ、においが少なく清潔感がある。手軽に使いやすい肥料だが、多く与えすぎると過剰障害が出やすくなる。 |
有機質肥料:動物由来で発酵や分解してから徐々に植物に吸収されるタイプの肥料。一度に多く与えても、過剰障害が出にくい。独特のにおいがあり有機質を餌とする虫が集まってしまうことがある。 |
栽培している植物は肥料を栄養源とします。庭や鉢の土壌は自然界と違い、枝や枯れ葉、動物のふんや死骸といった分解物が少なく、栄養分がほとんどありません。その中で大きく育てる、大きな実を付けるためには肥料が必要不可欠です。
ただし使用する肥料に窒素分が多く含まれていると、枝葉ばかりが茂ってしまい花付きが悪くなるので、注意が必要です。
【植え替え】鉢植えの場合は2年に1度
びわを鉢植えで育てている場合は、2年に1度ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。コンパクトに育てるのなら同じ大きさの鉢でも構いません。植え替える時期は2~3月です。
- なぜ植え替えが必要なの?
根詰まりを防ぎ、通気をよくするために行います。根詰まりすると鉢の中が根でいっぱいになり、土の栄養分がなくなり、老廃物と有害な微生物が溜まっていきます。新しい土に入れ替えてびわが元気に育つお手伝いをしましょう。
- 植え替えるときのポイント
植え替えるときのポイントは、傷んだ根や古い土、カチカチになった土を取り除くことです。根を切ってしまうと細菌が侵入し病気になる可能性があります。土は全て取るのではなく、軽く手でほぐして取れる程度でOKです。
- 植え替えの手順
手順は苗木を植えるときと同じですが、根と根の間に土が入るように軽く鉢を揺すったり、棒を使いながら隙間に入れていったりするといいでしょう。
びわの剪定方法
びわをすくすくと育てるのに剪定は欠かせません。
びわに適した剪定方法や適切な時期、手順について解説します。
びわの剪定時期は樹齢によって違う
びわは木の育ち具合によって剪定の時期が変わってきます。剪定のタイミングを間違えると、うまく実や芽が付かなくなるので注意が必要です。
<びわの実がまだなっていない段階>
まだ実のならない若木ときは、2月頃に剪定を行うのが良いでしょう。この時期は花が咲いているので、間違って切らないよう花の近くを避けて剪定します。
<実がつき始めてからの剪定>
実が付き始めた木の剪定は、8月下旬~9月頃にするのが最適です。実が増えすぎると栄養が分散して味の劣化につながるので、果実の量をコントロールするのが主な目的になります。
3月以降になったら、太い枝を切るなどの強剪定は避けてください。びわの生長が悪くなり、実のなりに悪影響を及ぼします。
びわは間引き剪定と切り戻し剪定が基本
剪定の方法はいろいろありますが、びわに向いているのは「間引き剪定」と「切り戻し剪定」です。
-
間引き剪定とは?
間引き剪定とは、図のように枝を根元の部分から切り落とす手法です。密集しすぎた枝や病害虫のある枝など、不要な部分を取り除きます。
間引き剪定をすると日当たりや風通しが改善され、びわの生長が良くなります。
-
切り戻し剪定とは?
切り戻し剪定とは、伸びた枝を途中で切り形を整える方法です。主な目的は樹形や大きさのコントロールになります。
庭のびわが大きくなりすぎて隣家にはみ出している、といった場合に切り戻し剪定は有効です。
-
切り口には癒合剤を塗ろう
剪定したときの切り口は傷みやすく、そこから病気にかかってしまうこともあります。切り口を保護するために、剪定した後はきちんと癒合剤を塗るようにしましょう。
びわを小さくしたい場合は切り戻し剪定と誘引
大きくなりすぎてしまったびわを小さくしたいときは、3年ほどかけて剪定しながら樹高を低くしていきます。
一度にバッサリ太い枝を切ってしまうと、株に大きなストレスがかかり、実がならなくなったり枯れてしまったりする恐れがあるからです。
<1年目>
残す主枝を選び、そのすぐ上の枝を切り戻す。
<2年目>
前年に切った枝の上にある枝と、さらにその上にある枝を切り落とす。
図のように、紐などを使って主枝が地面と水平になるように誘引する。
<3年目>
主幹を、主枝のすぐ上のところで切る。
これで希望の樹高まで小さくすることができる。
摘蕾と摘果も必要
果実がたくさん付いている木は見た目はいいですが、じつは果実の味は期待できません。実の数が多すぎて、栄養が分散するのが原因です。
美味しい果実を収穫するためには、蕾の段階で適度に残して摘んだり(摘蕾)、実っている果実をいくつかもいだり(摘果)することが大切です。
摘蕾の段階で全体量を1/3~1/2まで減らしましょう。4~5個ほどの蕾でひとかたまりになるくらいが理想です。
摘蕾も摘果も、おいしいびわを作るには欠かせない作業なので、生長具合をよく観察しつつ適切な時期に行うようにしましょう。
美味しいびわを育てるためには?
せっかくびわを育てるなら、美味しい果実を収穫したいですよね。
ここでは、甘くて大きな実のなるびわを育てるためのコツを紹介します。
冬の寒さに気をつける
びわは、まだ実が小さい状態のまま冬を越す植物のため、寒さに弱いです。
気温が-3℃を下回ると果実が落ちてしまうので、冬には鉢植えを室内の日の当たる場所に置くなど、温かい環境に移すようにしましょう。
実が成長する前に間引く
びわは1つの果房にたくさんの実をつけますが、そのままにしておくと1つの実に十分な栄養が行き届かず、小さい果実になってしまいます。
そのため3~4月の間に、1つの果房に実が1~3個になるよう間引くことが大切です。
実の大きな品種を選ぶ
これからびわの苗を買うという場合には、大きな果実をつける品種を選ぶとよいでしょう。
「瑞穂」「福原早生」「大房」などがおすすめです。
びわの注意すべき病害虫
病気や害虫が比較的少ないびわですが、無策は禁物です。ここではびわによく見られる病気や害虫について解説します。
【病気】がん腫病と灰斑病に注意
びわでよく見られる病気は「がん腫病」と「灰斑病」です。
-
がん腫病
がん腫病は細菌性の病気で、びわの実や葉、幹などあらゆる部分に発症します。葉に褐色の斑点が現れたり、幹にこぶができたりするのが特徴です。
-
灰斑病
灰斑病は名前のとおり、灰色の斑が葉に発生する病気です。発症時期は春~秋に多く、症状がひどくなると葉が落ちて樹木を弱らせる原因になります。病気になってしまった部分は自然に回復しないため、切り落とすのが対処法です。人間と同じですが早期発見が大切なので、病変がないかこまめに確認しましょう。
【害虫】モモチョッキリゾウムシに注意
びわを蝕む害虫で知られるのはモモチョッキリゾウムシです。成虫で1cmほどの黒くて小さな虫ですが、びわの実をかじってしまうため、被害に遭った実は食べられなくなります。
果実を傷付けながら産卵するやっかいな習性もあり、モモチョッキリゾウムシが大量に発生すると結実がほとんどなくなる場合も見られます。
対策としては、果実に袋掛けをして侵入を防ぐのが有効です。薬剤も効果的ですが、商品や含まれる成分などをよく確認し、住んでいる地域の防除暦や病害虫防除所の指導に従って使うようにしましょう。
「びわを庭に植えてはいけない」と言われる理由
古くから「びわを庭に植えると病人が絶えない」と言われ、びわの木は縁起の悪いものとされていました。びわの木を凶木とする風水師も多く、ネガティブな言い伝えがちらほら見られます。
しかしこれは「びわは大木に成長するため家の中に陽射しが入らず、病気の原因となる湿気やカビが発生しやすくなるから」という理由に基づく迷信です。
それどころかびわは栄養価が高く、葉は漢方薬にも使用され、咳止めやがん予防に効果があるとされています。
びわを育てて果実を楽しもう
育てるのが比較的簡単なびわは、家庭菜園にもぴったりです。日当たりや水はけの良い場所に植え、水やりと肥料を正しく行うのが大切です。
良質な実を育てるには、剪定も欠かせません。生長過程で適切な時期に、間引き剪定や切り戻し剪定を施します。合わせて摘蕾と摘果も行い、しっかりと実に栄養を行き渡らせます。
種類は少ないものの病害虫にも注意が必要です。がん腫病と灰斑病、モモチョッキリゾウムシが発生しないよう対策し、おいしく育ったびわを楽しみましょう。
庭の手入れのプロ探しはミツモアがおすすめ
地域のプロを探す際はミツモアの一括無料見積もりをご利用いただくと手間なくご自身の希望通りの業者を見つけることが可能です。
ぜひミツモアを利用してみてはいかがでしょうか。
ミツモアで簡単な質問に答えて見積依頼
ミツモアならサイト上で予算、スケジュールなどの簡単な質問に答えるだけで見積もりを依頼できます。複数の業者に電話を掛ける手間がなくなります。
最大5件の見積もりが届く
無料で最大5件の見積もりを比較することが可能です。レビューや実績も確認して、自分に合った業者を選ぶことができますよ。
チャットで見積内容の相談ができる
気になった業者とはチャットで相談することができます。チャットなら時間や場所を気にせずに相談ができるので忙しい人にもぴったりです。