ミツモアメディア

シュウメイギクで秋の庭を華やかに!栽培環境や育て方のポイント

最終更新日: 2024年06月28日

鮮やかな花が咲く夏が終わり、彩りが少なくなりがちな秋の庭に、シュウメイギクを植えてみませんか?

色鮮やかでかわいらしい見た目は、庭を明るい印象へと変えてくれることでしょう。初めてシュウメイギクを育てる方にも分かりやすく、適した栽培環境や育て方のポイントを紹介します。

シュウメイギクの育て方

薄紫のシュウメイギク

シュウメイギクは野生のイメージが強いですが、自宅で育てる方も多いです。シュウメイギクの栽培環境や苗の入手方法、育て方について紹介します。

シュウメイギクの栽培カレンダー
シュウメイギクの栽培カレンダー

半日陰を好み、乾燥を嫌う

耐寒性・耐陰性があるシュウメイギクは、日なたから明るい日陰まで幅広い環境に対応できるので、全国各地さまざまな場所で自生しています。

シュウメイギクは暑さに少し弱いので、一日中日光が当たる場所よりも午後から半日陰になる場所を選びましょう。鉢植えでも育ちますが、日陰に強いのでシェードガーデンにもおすすめです。

乾燥に弱いため、湿度が低すぎる場所は避けるとよいでしょう。

苗は通販サイトで買うのがおすすめ

シュウメイギクの苗は通販サイトやホームセンターで売られています。店頭だと苗の販売時期は2~3月に限られていることが多いですが、通販サイトだと季節問わず手に入れることができます。

また、通販サイトで売られている苗は非常に種類が豊富です。価格は1,500~3,000円です。

 植え付け方法

植え付けに適した時期は3~5月です。ただし開花株を購入した場合は、9~10月に植え付けて、冬までにしっかり根付くように水やりをしましょう。土の作り方は以下の通りです。

【地植えの場合】

シュウメイギクを庭植えする際は、用土に腐葉土を混ぜ込み、水はけのよい環境を作ります。元肥として、完熟堆肥などの有機肥料を混ぜ込んでおくと、栄養不足になるのを防げます。

【鉢植えの場合】

鉢植えにする際は、赤玉土・鹿沼土・腐葉土を4:3:3の比率で配合した土を使用しましょう。シュウメイギクは株が増えやすいので、大きめの鉢を使用するのがポイントです。

水やりと肥料

庭植えの場合は水やりをする必要はありません。長期間雨が降らず、土が乾いたときだけ水を与えます。

鉢植えの場合は庭植えよりも土が乾きやすいので、土が乾くたびに水やりをする必要があります。鉢底穴から水が滴るほど、たっぷりの水を与えるようにしましょう。

肥料は春と秋の年2回与えます。栄養分が不足すると花付きが悪くなるので、肥料切れには気を付けましょう。

ただし夏の高温シーズン中は庭植え・鉢植えともに肥料は与えてはいけません。高温期に肥料を与えると根が傷みやすいのです。

花が咲き終わったら剪定を

花が咲き終わった後は、花茎を切る必要があります。シュウメイギクは冬になると地上部は枯れますが、春になると残った根から新しく芽吹くため、思い切って刈り込んでください。

剪定を怠ると春にランナー(つるのような枝)が四方に伸び、見栄えが悪くなります。

次のシーズンもきれいに育つよう、地際から刈り込んで必要なもの以外は切り落としてくださいね。

種を収穫する場合は、剪定前に綿毛から種を採取しましょう。綿毛や種が風に飛ばされやすいので、袋を被せておくとよいです。

注意する病害虫

新芽やつぼみに「アブラムシ」が付く場合があります。また真夏には「ハダニ」が発生することもあるので、見つけたら早めに殺虫剤で防除しましょう。

葉の裏に群生するアブラムシ
アブラムシ
ハダニ
ハダニ

他にも、シュウメイギクは「うどんこ病」を発病しやすく、粉をまぶしたように葉が白っぽくなることがあります。被害が拡大すれば、葉は全体的に真っ白となり茎や花にも広がります。

株が混み合っている場合は、株分けをして風通しをよくしましょう。殺菌剤で防除しておくのもおすすめです。

うどんこ病
うどんこ病にかかった葉

切り花で楽しもう

シュウメイギクは切り花として楽しむのがおすすめです。花が咲き始めたら茎を切って花瓶に挿すだけです。

茎を切る際は水中で切りましょう。切り口が乾燥するのを防ぎ、より長持ちさせるためです。

水切りの方法を説明している図解

シュウメイギクの増やし方/増えすぎた場合の対処法

ピンクのシュウメイギク

「シュウメイギクを増やしたい」「増えすぎて困った」という方のために、シュウメイギクの増やし方や増やしすぎた場合の対処法について紹介します。

増やし方は株分け・根伏せ・種まき

シュウメイギクを増やすには「株分け」「根伏せ」「種まき」の3つの方法があります。

株分け

シュウメイギクの株が大きく成長したときにできる増やし方です。株分けしたいシュウメイギクを掘り上げて、土を落としてから3~5株に切り分けた子株を別の場所や鉢に植えます。

株分けの手順を説明している図解

根伏せ

根を長さ5cmほどに切り、用土を入れた育苗箱に寝かせて土を被せる方法です。

 種まき

種ができる品種に限られる増やし方です。花後に茎が枯れると、先端部分に綿毛状の種ができます。採取した種を育苗箱にばらまき、土は被せずに乾燥に気を付けながら管理します。

増えすぎたら間引きを

シュウメイギクが増えすぎた場合は、間引くとよいでしょう。増えすぎた状態を放置すると、通気性や日当たりが悪くなり、シュウメイギクの生長を阻害してしまいます。

茎や葉だけでなく根からも増殖するため、根から間引くことがポイントです。間引くことで、生長のスピードを上手くコントロールできますよ。

シュウメイギクのよくあるトラブル【咲かない/枯れる】

シュウメイギクを育てると、花が咲かなかったり、花や葉が枯れたりするトラブルに遭う可能性があります。トラブルの原因や対処法を見てきましょう。

花が咲かない

花が咲かない主な原因は2つあります。

原因①:日照不足

花が咲かない原因の1つに日照不足が考えられます。あまりにも日光が当たらないと、花芽がつかなくなってしまいます。花芽がつかないと花は咲きません。

シュウメイギクは半日陰を好むため、常に日光を当てる必要はありませんが、日照不足に陥らないようにきちんと管理しましょう。

原因②:肥料不足

肥料不足も花が咲かなくなる原因です。特に鉢植えで育てている方は、肥料不足になりやすいので気をつけてください。

栄養を補うために、春と秋になったら必ず肥料を与えましょう。

 花や葉が枯れる

花や葉が枯れる原因として水不足が考えられます。鉢植えで育てている方は、土の表面が乾いたら、水を多めに与えましょう。

地植えの方は、植え付けてから葉が生えるまでは水やりをしてください。葉が生えた後は、基本的に水やりは必要ありません。

秋の庭を彩る「シュウメイギク」とは?

白のシュウメイギク

そもそもシュウメイギクとはどのような植物なのでしょうか。一緒に特徴を見ていきましょう。

シュウメイギクの基本情報

植物名 シュウメイギク
和名 秋明菊
学名 Anemone hupehensis
科名 / 属名 キンポウゲ科 / イチリンソウ属(アネモネ属)
原産地 中国、台湾
開花期 8~11月
花の色 白、ピンク
草丈 30~150cm
特性 宿根草、半日陰を好む、耐寒性

シュウメイギクは夏の終わりから秋にかけて花を咲かせます。

宿根草であるシュウメイギクは、冬になって地上部分が枯れても根は枯れず、春を迎えるとまた成長を始める、というサイクルを繰り返します。

「キク」という名がついていますが、キク科ではなくアネモネの仲間です。英語では「ジャパニーズ・アネモネ」と呼ばれていますが、中国が原産地です。

古い時代に日本に伝わり、現代では日本各地で自生しています。気温の低い北海道だけは、野生として生えていません。苗からであれば、北海道でもシュウメイギクを問題なく育てることが可能です。

あまり手のかからない植物で、しっかり根付くと地下茎を伸ばして成長します。

花は「八重咲き」「一重咲き」の2パターン

シュウメイギクの花には、主に「八重咲き」と「一重咲き」の2パターンの咲き方があります。

もともと半八重咲きのシュウメイギクが雑木林に生えていました。交配を繰り返し、八重咲きや一重咲きの品種が生まれ、現在の主流となったのです。

あまり流通していませんが、最近では八重咲きよりもボリュームのある「ボタン咲き」という咲き方をする品種も出回っています。

ちなみに、白色やピンク色の花に見える部分は実は萼片(がくへん)で、花びらはありません。

シュウメイギクの八重咲き
シュウメイギクの八重咲き
シュウメイギクの一重咲き
シュウメイギクの一重咲き

根元から生える葉が特徴

シュウメイギクの葉が根元から生える「根出葉(こんしゅつよう)」である点も特徴です。

根出葉は、地下茎から葉が生えてる形態のことをいい、地面から直接葉が出ているように見えます。

シュウメイギクには毒性がある

シュウメイギクにはプロトアネモニンという毒が含まれています。シュウメイギクだけでなく、多くのキンポウゲ科の植物には毒性があります。

特に汁液に強い毒が含まれているので、取り扱いには十分注意してください。下痢や嘔吐などの胃腸障害を引き起こしてしまいます。

シュウメイギクを加熱したり乾燥させたりすると、毒性がなくなります。

シュウメイギクの種類

近年では品種改良や交配種が盛んで、園芸種が豊富にあります。代表的な種類を紹介します。

チャボシュウメイギク

チャボシュウメイギク

「チャボシュウメイギク」はヨーロッパで交配されました。草丈は20~40cmと短めです。花は一重咲きで、色は白や桃、紅などカラーバリエーションも豊富にそろっています。

貴船菊(キブネギク)

シュウメイギク(貴船菊)

「貴船菊(キブネギク)」は、中国から渡来した種が京都・貴船で野生化した品種で、シュウメイギクの元と言われている種類です。

花は紅紫色で内側がうっすら白くなる八重咲きで、草丈は約80cmと高いのが特徴です。

ダイアナ

シュウメイギク(ダイアナ)

「ダイアナ」は濃いピンク色の一重咲きです。存在感があるので庭のアクセントに人気の品種です。

他にも、草丈を20~40cmと低く改良したものや、萼(ガク)を八重咲き以上に多数重ねて花にボリュームを出した「ボタン咲き」のものなど、さまざまあります。

他の花との相性や好みによって選べるところも、シュウメイギクの魅力です。

秋の庭を彩るシュウメイギクを植えてみよう

シュウメイギクが咲く庭

寒くなってきた秋にも色鮮やかな花を咲かせるシュウメイギクは、秋の庭を彩るのにぴったりです。

毎年花を咲かせる宿根草であり、あまり育てるのに手がかからないところも魅力です。

シュウメイギクは種類によって花色や草丈の大きさなどが異なり、同じ品種でも少しずつ見た目に違いがあります。お気に入りのシュウメイギクを見つけて、彩りが少なくなりがちな秋の庭を美しく色付けてみましょう。

関連記事:毎年花咲く宿根草を庭や花壇で楽しもう!おすすめ品種や育て方の3つのコツも紹介|ミツモア