南国のフルーツであるマンゴーは、家庭でも栽培が可能です。マンゴーの栽培方法や手入れの時期、起きやすい病気や注意すべき害虫についてチェックしてみましょう。収穫したての新鮮なマンゴーをおいしく食べる方法も、あわせて紹介します。
まずはマンゴーについて知ろう
マンゴーは独特の風味と甘くみずみずしい味わいが人気のトロピカルフルーツです。どのような特徴を持つ植物なのか、まずはマンゴーについて基本的な情報を見ていきましょう。
マンゴーは熱帯原産の常緑高木
マンゴーと聞くと南国リゾートの景色を思い浮かべる人もいるでしょう。マンゴーはイメージのとおり、インドやマレーシアなど熱帯地域が原産のフルーツです。
1年を通して緑の葉をつけ樹高が高い植物のことを「常緑高木」と呼びます。常緑高木であるマンゴーは、原産地では40mもの高さに育つ大きな植物です。
耐寒性がやや低く耐暑性が高いという性質があり、暖かい気候の地域で栽培されています。日本ではハウス栽培が中心ですが、温暖な沖縄県や九州南部といった地域では露地栽培もさかんです。
甘くて色鮮やかな果実が魅力
果物の王様としても知られるほど、香り高い風味と甘さがマンゴーの大きな魅力です。果肉は色鮮やかな黄色やオレンジ色で、濃厚な味わいを楽しめます。
マンゴーには数千種類の品種があり、宮崎県や鹿児島県、沖縄県など日本でポピュラーな種類が「アーウィン」です。アーウィンは熟してくると皮が赤くなり「アップルマンゴー」とも呼ばれています。
ビタミンCやカリウム、βカロテンなどの栄養素が多く含まれていて、おいしく栄養を摂取できるところもマンゴーの魅力といえるでしょう。
マンゴーの栽培は環境づくりから
家庭でもマンゴーを栽培してみたいと考える人は少なくありません。観葉植物としてだけではなく、果実も楽しめるマンゴーはとても魅力的な植物です。
食用として果実を収穫できるように育てるには、温度管理や用土の選定が重要なポイントといえるでしょう。庭やベランダなどでマンゴーを栽培するとき、どのような環境で育てればよいのか詳しく解説します。
マンゴーの栽培に適した場所と温度
日本での栽培はハウス栽培が中心ということもあり、マンゴーを育てるのは室内のほうが一般的です。栽培に適している温度は25~30℃、丈夫に育てるためには最低15℃以上が必要ともいわれています。
寒い場所を苦手とする植物のため、冬場などは霜がつかないように注意しなくてはいけません。暖かい場所と日光を好むので、冬以外の季節は屋外の風通しが良い場所でたっぷり日光を浴びさせるとよいでしょう。
日陰での栽培は生育不良を引き起こし、枯れてしまう恐れがあるため避けてください。日当たりの良い暖かい場所で管理し、冬場は室内に入れて最低でも7~8℃を保てるように気をつけましょう。
用土は水はけの良いものを準備
マンゴーの栽培には水はけの良い培養土を使用します。赤玉土の小粒が7に対して、腐葉土が3の割合になるように配合した用土が適しているでしょう。
ほかにも鹿沼土やパーライトが混ざった用土もおすすめです。栄養分の入った清潔な土を用意することが、おいしい果実をつけるためのポイントといえるでしょう。
マンゴーの栽培方法
マンゴーは南国のフルーツだけあって耐暑性がある植物ですが、寒さには弱いため栽培するときは注意が必要です。種まきや苗を植える時期、水やりや肥料の頻度などをしっかりと確認してから育てましょう。
丈夫なマンゴーに育てるための正しい栽培方法を紹介します。どのように育てればよいのか分からないという人は、ぜひ参考にしてください。
種まきする時期と方法
苗木のイメージが強いマンゴーですが、自分で1からじっくりと育てていきたい場合は種を植えても栽培できます。自分が食べたマンゴーから食べた当日中に種を取り出す方法もあるため、慎重に取り出してみましょう。
種まきは発芽の適温である気温20℃以上を目安にして、6~7月に行います。実をつけるほどに成長するには6~7年ほどかかるため、種まきでの栽培は時間をかけて育ててみたい人に適している方法です。
種まきは鉢植えに用土を準備して行い、種を土の半分ほどの場所に植えてたっぷり水を与えます。カビ防止処理を行っていないマンゴーの種の場合は、上手くいけば1週間ほどで発芽するでしょう。
苗を植える時期と方法
果実を早く収穫して食べたい場合は、園芸店などで売られている苗木を購入しましょう。苗を植えるのは気温が上昇してきた3~5月頃に行い、株よりも1~2まわり大きな10号以上の鉢に根を埋めるようにして植え付けます。
マンゴーの株元に土を盛るようにして植え、木が倒れないように支柱を立てておきましょう。植えたらたっぷり水を与えて、風通しが良く暖かい日向で管理します。
基本的には鉢での栽培がおすすめですが、冬場に霜がつかない暖かい地方であれば地植えも可能です。地植えで露地栽培を行えるのは、冬場の気温が5℃未満にならない九州以南や四国であれば可能でしょう。
水やりは土が乾燥しているときのみ
マンゴーは乾燥気味の環境を好む植物です。地植えで露地栽培をしている場合は、雨水だけで水やりはほとんど行わなくても大丈夫でしょう。
鉢植えで栽培している場合も同様で、土が乾燥しているときのみ水やりを行います。マンゴーは3~10月にかけて成長していきますが、11~2月の期間は土が乾燥してから2、3日後に水やりを行うとよいでしょう。
水やりはマンゴーの生育に合わせて調整し、乾燥気味に育てることが重要なポイントです。
肥料は年に3回
マンゴーは肥料を与えるタイミングも大切です。主に追肥として肥料を与える回数は年に3回で、花の芽が出る3月と、果実の摘果を行う5月、果実の収穫を終えた後の8月に行います。
栄養成分がゆっくりと行きわたる緩効性化成肥料や、肥料の効果が長持ちする固形化成肥料を与えましょう。株元に与えることで肥料の成分が木に行きわたります。
特に果実の収穫後は「お礼肥」を与えることで木が生き生きと育ち、翌年以降の成長につながるでしょう。
マンゴーの栽培で大切な手入れと収穫
マンゴーを育てるうえで特に楽しみなのが果実の収穫です。おいしい実をつけるためにどのような手入れを行うとよいのか、正しいマンゴーの手入れや収穫について解説します。
剪定の時期や実をつけるための受粉、間引くときのポイントや落果の防ぎ方などを、チェックしておきましょう。
剪定は8~9月に行う
マンゴーの栽培に欠かせない作業が、木の幹の剪定です。剪定を行うことで栄養や水分が全体に行き届きやすくなり、立派な果実がつくように育てられます。
剪定は8~9月頃に行いましょう。そのまま成長させるだけでは枝が分かれていかないため、ピラミッド型に剪定を行う「主幹形仕立て」の形にします。
まずは中心の主幹を40~50cmの高さで水平に切りましょう。切った部分から枝分かれして生えてくる「主枝」を育てていき、主枝が育ったら20~30cmに切ります。
切った主枝から分岐した枝である「亜主枝」が発生したら、翌年以降は風通しが良くなるように密接した部分を剪定していきましょう。
確実に実をつけるために人工授粉を
せっかくマンゴーを育てているのに、実がつかなければ楽しさは半減してしまいます。確実に果実を実らせるためには、人工授粉を行うのも必要でしょう。
人工授粉のやり方は簡単で、花が咲いたら花粉を筆を使って柱頭につけるだけです。穂の部分を筆で優しくなぞったり、穂をゆすって花粉を飛ばしたりするのもよいでしょう。
人工授粉に使用する筆は必ず清潔なものを使用するのもポイントです。
果実を間引く摘果も必要
人工授粉を行えば果実は実りますが、あまりにも多くの実をつけてしまうとおいしい果実に育ちません。実った数の分だけ栄養が分散されてしまい、甘みや旨みの少ない果実になってしまいます。
おいしいマンゴーに育てるためには、果実を間引く摘果という作業も必要でしょう。摘果は10号の大きさの鉢につき、3~5個の実になるように適切な数に減らしていくだけで大丈夫です。
成長の悪い実を切り取り間引くことで、栄養や水分が行きわたり、おいしい果実をつけるように育ちます。
収穫は果実が木から落ちる前に
花が終わって3~4カ月経つと、マンゴーの果実を収穫できます。緑だった皮の色が赤や黄色に変色してきたら、収穫のタイミングだと考えてよいでしょう。
マンゴーの収穫の注意点としては、熟してきた実が落ちてしまう「落果」です。落果を避けるためには、熟す前のタイミングで果実にネットなどを被せて、落下するのを防ぐ必要があります。
皮につやっとした光沢が出て、触ったときに柔らかくなっていたら果実が熟している状態です。早めに収穫して食べることをおすすめします。
マンゴー栽培で注意すべき病害虫
マンゴーについた害虫や発生した病気は、すぐに対処しないと栄養を吸い取られたり、枯れたりする原因になってしまいます。かかりやすい病気やつきやすい害虫についてあらかじめ知っておくことで、素早く対処できるでしょう。
自宅でマンゴーを栽培するときに注意すべき病害虫を紹介します。
マンゴーがかかりやすい病気
マンゴーがかかりやすい病気として知られているのが、炭疽病(たんそびょう)です。葉の先の部分に黒や灰色がかった病斑ができてしまい、葉や果実に悪影響を与えます。
カビが原因で起こる病気で、炭疽病になった葉をそのまま放置してしまうと、全体に広がる恐れがあるでしょう。病斑の出た葉を見つけたらすぐに切り取り、薬剤などを散布して病気を防ぐことが大切です。
早期に発見することが大切なため、栽培しているマンゴーの葉をよく観察するようにしましょう。
マンゴーにつく害虫
マンゴーにつく害虫で有名なのが、カイガラムシやハダニです。カイガラムシは茎や葉の部分にくっついて、栄養を吸い取ってしまう害虫として知られています。
カイガラムシは幼虫の場合は薬剤で駆除できますが、成虫になると貝殻のように硬くなる害虫です。薬剤が浸透しにくくなるため、清潔な硬めの歯ブラシやヘラ、つまようじなどで取り除きましょう。
ハダニの場合は気温の高いところや乾燥しているところに注意が必要です。ハダニが発生すると葉から栄養が吸い取られ、光合成ができず育ちが悪くなったり、枯れてしまったりする恐れがあります。
マンゴーのおいしい食べ方
自宅で栽培をすれば収穫してすぐの新鮮なマンゴーが食べられるというのは、大きなメリットです。マンゴーをおいしく食べるためにも、簡単できれいな切り方をマスターしてみましょう。
また収穫したマンゴーが余ってしまった場合は、冷蔵庫や冷凍庫で保存するのがおすすめです。せっかくのマンゴーを無駄にしないためにも、保存方法について知っておくとよいでしょう。
マンゴーの切り方
マンゴーをそのまま食べるときには、食べやすく見た目も美しい切り方に挑戦してみてはいかがでしょうか。マンゴーの切り方でおすすめなのが「花咲カット」と呼ばれる切り方です。
カフェやレストランでマンゴーを出すときに使われている方法で、サイの目状にカットして皮を開いた切り方のことを指します。やり方は簡単でまずは中央の種を避けて、水平にマンゴーをカットします。
種のまわりの部分をカットし、左右を切り分けていきましょう。左右の2つに切り分けたものにサイの目状の切れ込みを入れ、裏側から皮を押し上げるようにして反り返らせれば完成です。
マンゴーの保存方法
マンゴーは収穫から7日、完熟後3日を目安に食べるようにしましょう。完全に熟していない場合は2~3日ほど常温で保存して追熟させ、食べる直前に冷やすとおいしく食べられます。
食べきれなかったマンゴーは、完熟したものを冷蔵庫か冷凍庫で保存しましょう。冷蔵庫で保存する場合は、乾燥を避けるために水で湿らせた新聞紙などで丸ごと包み、ビニール袋に入れて保存します。
冷凍庫で保存する場合は果肉をカットして密封容器に入れ、1カ月を目安に食べきりましょう。冷凍保存したマンゴーは触感などが変化するため、ジュースや半解凍でシャーベットのように食べるのがおすすめです。
なお一度カットしてしまったマンゴーは、ラップに包んでから密閉容器に入れ、冷蔵庫か冷凍庫で保存しましょう。
マンゴーを育てて果実を楽しもう
マンゴーはそのまま食べるのはもちろん、アイスクリームやシャーベット、ケーキなどでも楽しめます。栽培・収穫をしたマンゴーをふるまえば、家族や客人にも喜んでもらえるでしょう。
自宅のベランダや庭で栽培できるため、栽培の仕方や手入れのコツを確認して、おいしいマンゴーを収穫してみてはいかがでしょうか。
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