春になるとスギの花粉症に悩まされる人が多くなりますが、花粉症の原因になるのはスギだけではありません。さまざまな植物の花粉が花粉症を引き起こすことが知られており、ブタクサもそのひとつです。ブタクサ花粉症の症状や対策を紹介します。
ブタクサ花粉とは
花粉症の原因となるブタクサ花粉とは、どのようなものでしょうか?ブタクサの特徴や、花粉が飛散する時期について解説します。
ブタクサとは
ブタクサ | |
科目・属目 | キク科ブタクサ属 |
種類 | 一年草 |
分布 | 日本全国 (北海道は少ない) |
生息環境 | 道ばた、畑、河川敷 |
開花時期 | 7月 (花粉は8~10月に飛散) |
ブタクサはキク科・ブタクサ属の一年草です。日本国内に広く分布しており、道ばたや畑、河川敷などに生息しています。成長すると100cm前後になるものもあり、野生の植物としては大きめです。200cmを越えるオオブタクサという種類もあります。
細かい切れ込みが入った葉はヨモギの葉に似ており、素人では見分けがつかないかもしれません。2~3mmほどの大きさの黄色い花が、ブドウの房のように密集して咲くのが特徴です。英名は「hogweed」で、これを訳すとブタクサになります。
ブタクサ花粉が飛散する時期
ブタクサは7月頃に花を咲かせ、8~10月にかけての秋口に花粉が飛散するのが一般的です。ただし地域によって、花粉が飛ぶ時期には多少のずれがあります。
地域 | 飛散時期 |
北海道 | 飛散しにくい (7月~8月) |
東北地方 | 7月~9月 |
関東地方 | 8月中旬~10月中旬 |
東海・北陸地方 | 8月中旬~9月 |
近畿地方 | 7月中旬~9月 |
中国・四国地方 | 7月~10月中旬 |
九州地方 | 9月~10月 |
ブタクサ花粉症がある場合は、花粉対策を効果的に行うためにも、その地域の飛散時期を把握しておきましょう。
ブタクサ花粉の症状
ブタクサによって花粉症を発症した場合、どのような症状が出るのでしょうか?ブタクサ花粉症の主な症状をみていきましょう。
<症状>
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くしゃみや咳
花粉症はくしゃみが出ることが多いですが、ブタクサの症状にもくしゃみがあります。連続してくしゃみが出たり、一日中止まらなかったりする人もいるでしょう。
また、くしゃみだけでなく咳も出やすいのが、ブタクサ花粉症の特徴のひとつです。ブタクサ花粉は粒子の大きさが18~20μmと非常に小さく、スギ花粉(30~40μm)に比べて約半分の大きさになります。
花粉のサイズが小さいということは、体の奥まで入りやすいということです。気管支や肺などにも入り込み、咳を引き起こす可能性もあるようです。ひどくなると、ぜんそくになるケースもあるため、注意が必要でしょう。
目のかゆみ
花粉症の症状にはくしゃみや鼻水などがあり、風邪と似ています。花粉症なのか風邪なのか、見分けるのが難しいケースもあるでしょう。花粉症を見分ける方法のひとつが、目のかゆみがあるかどうかです。
花粉症の人は、アレルギーの元となる物質が目の粘膜に付くことによって、アレルギー反応が起こります。ブタクサ花粉症でも同じように、目の粘膜にブタクサ花粉が付くことで、目のかゆみや目がゴロゴロする異物感のような症状が出るのです。
人によっては目が充血して腫れぼったくなったり、涙が出たりすることもあります。
鼻水や鼻づまり
鼻水や鼻づまりも、花粉症で起こりやすい症状です。ブタクサ花粉症の場合も同様で、鼻がむずむずしてくしゃみが出るとともに、鼻水が止まらなくなる人もいます。
花粉症の鼻水は風邪の鼻水と異なり粘り気がなく、透明でさらさらとしているのが特徴です。
鼻づまりがひどくなると、においが分からなくなる場合もあります。鼻づまりで睡眠が阻害され、体が休まらないケースもあるでしょう。
ブタクサ花粉症の対処法
夏から秋にかけてくしゃみや目のかゆみがあるなど、ブタクサ花粉症が疑われる症状が出た場合、どうすればよいのでしょうか?症状が出たときにまずやっておきたい、対処法を紹介します。
まずはアレルギー検査をしよう
花粉症の場合、さまざまな要因が考えられます。ブタクサ以外にも花粉症を引き起こす植物はたくさんあるため、まずはアレルギー検査をして、アレルゲンを特定しましょう。
アレルギー検査は、内科や耳鼻科などで行えます。血液検査によって行われ、結果が出るまでには少し時間がかかるのが一般的です。アレルギーと思われる症状がある場合、検査費用には保険が適用されます。
ブタクサの他、スギ・ヒノキ・ハウスダスト・ネコ・イヌなど、さまざまなアレルゲンに対する検査が可能です。
薬の服用は医師と相談
どのような薬を服用するかや、服用する時期は、医師と相談して決めましょう。
花粉症に対する薬は、抗アレルギー薬や点鼻薬、点眼薬などがあります。市販薬もありますが、症状によって効果的な薬は異なるため、医師に相談して適切な薬を処方してもらうのがおすすめです。
また、症状が出てからではなく、花粉のシーズンが始まる前から飲み始めることで、症状が出る時期を遅らせたり、症状を和らげたりできるケースがあります。早めに受診して薬を飲んでおけば、そのシーズンの症状が楽になるかもしれません。
外出時のブタクサ花粉症対策とは
ブタクサは道端に自生しているため、思わぬところでブタクサ花粉に遭遇してしまうかもしれません。外出時に症状を抑えたい場合、どのような対策を取ればよいのでしょうか?
ブタクサに近づかない
ブタクサ花粉症の対策として最も効果的なのは、ブタクサに近づかないようにすることです。ブタクサ花粉の飛散距離は、数十~数百m程度といわれており、スギ花粉のように遠方から飛散してくることは、ほとんどありません。
飛散距離が限定されるため、ブタクサの生えている場所に近づかなければ、ブタクサ花粉に出合う確率も少なくなります。日常的に生活するエリアにブタクサが生育している場所があるなら、なるべくそこを避けるようにしましょう。
ブタクサは河川敷などに多く生息しているため、花粉が飛散する夏から秋にかけては、通らないようにするのが無難でしょう。
目と鼻、口をガードする
予防のためにはブタクサに近づかないのが一番ですが、どうしても近くを通らなければならないケースもあります。そういったときには、目・鼻・口をしっかりガードし、花粉を吸い込まないようにするのがポイントです。
目は花粉症用メガネ、鼻と口はマスクでガードしましょう。しかし、ブタクサ花粉は粒子が小さく、マスクをすり抜けてしまうかもしれません。PM2.5に対応したマスクを使用したり、マスクの内側にガーゼを当てたりすると効果的です。
気付かないうちにブタクサが生えている場所を通ってしまう可能性もあるため、花粉が飛散する時期はマスクとメガネで対策して外出しましょう。
室内でできるブタクサの花粉対策
アレルギー反応を抑えるには、室内の花粉対策も重要です。室内でできる、花粉対策の方法を紹介します。
窓を開けない
室内での花粉対策としては、まず花粉を家に入れないことが大切です。ブタクサ花粉が飛んでいる時期は、なるべく窓を開けないようにしましょう。
窓を開けると、そこから風に乗って、花粉が部屋の中に入り込む可能性があります。網戸を閉めていても、粒子が小さいブタクサ花粉はすり抜けてしまいます。完全に防ぐことはできないため、窓を開けないことが重要です。
しかし、ずっと部屋を閉め切ったままにしているのも、よくありません。湿気がたまったり、空気が悪くなったりするのを防ぐには、時々換気する必要があります。
部屋の換気をする際には、花粉の飛散が少ない時間帯を選びましょう。花粉は気温が高い時間に飛びやすいため、昼~夕方は避けた方が無難です。早朝など涼しい時間を狙って、部屋の空気を入れ換えましょう。
こまめに掃除をする
花粉が入らないように気を付けているつもりでも、窓から入ってきたり服に付いたりして、外から花粉が持ち込まれる可能性があります。こまめに部屋を掃除して、部屋を清潔に保ち、部屋から花粉を取り除きましょう。
掃除する際、いきなり掃除機をかけると、掃除機から出る風で花粉が舞い上がってしまうかもしれません。掃除機の設定は弱にして、風が強くなりすぎないように気を付けましょう。
フローリングワイパーのようなものがあれば、掃除機の代わりに使うのがおすすめです。また、こまめに拭き掃除をすれば、花粉対策として効果が高くなるでしょう。
日頃から注意すべきこと
花粉症の症状がひどくならないようにするには、普段の行動にも気を付けておきたいポイントがあります。日頃の生活習慣としては、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
帰宅したらうがい、手洗いを徹底しよう
外出先から帰宅したら、玄関先で花粉を払い落とし、その後すぐにうがい、手洗いをしましょう。自分では気付かないうちに、手に花粉が付着したり、のどの奥に入り込んだりしている可能性があります。
顔にも付いている場合があるため、顔も洗っておきましょう。目にかゆみを感じる人は、目の粘膜など、目の周辺をしっかり洗っておくのがおすすめです。
可能であれば手洗い・うがいだけでなく、シャワーをするとよいでしょう。髪の毛や体に付着している花粉を洗い流せば、部屋に持ち込む花粉の量が格段に少なくなります。
食生活に気をつけよう
花粉症など、アレルギーに悩まされない体を作るには、食生活に気を付けることも大切です。暴飲暴食は胃腸に負担がかかってしまい、体によくありません。お菓子やジャンクフードの食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎなどにも注意しましょう。
規則正しく、栄養バランスのよい食事を摂ることは、健康的な生活の基本ともいえます。魚や肉、野菜などのバランスを考え、偏った食事にならないようにしましょう。
花粉対策を講じて快適に過ごそう
花粉症の症状は人によってはかなりひどくなるケースもあり、症状が続くと、日常生活に支障が出てくる可能性もあります。そのような事態を避けるためには、日頃からしっかりと花粉対策を講じておくことが重要です。
生活する範囲でブタクサが自生しているところを避け、花粉を取り込まないように気を付けましょう。うがいや手洗いを習慣にし、食生活に気を付けることで、花粉症を予防する意識が大切です。
必要に応じて病院を受診し、薬などを上手に使いながら、快適な生活を送りましょう。