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ハイドランジアは品種改良されたアジサイの仲間!人気の品種や育て方を解説

最終更新日: 2024年04月24日

ハイドランジアは、ヨーロッパで品種改良されたアジサイの仲間です。品種改良により実現した、鮮やかな花色や花つきのよさが特徴で、ガーデニングの植栽や観葉植物として人気を集めています。

この記事では「どんな品種があるのか知りたい!」「実際に育ててみたい!」という方のために、ハイドランジアの特徴や人気品種、育て方を徹底解説。

いまや200種類以上にもおよぶハイドランジアの魅力を紹介します。

ハイドランジアは品種改良されたアジサイ

ハイドランジア

アジサイの原産地は日本ですが、ハイドランジアは「ガクアジサイ」がヨーロッパで品種改良されて誕生した品種です。アジサイよりもボリュームのある花をつけるハイドランジアは、ガーデニングでも高い人気を誇ります。

ハイドランジアの特徴

植物名 ハイドランジア
学名 Hydrangea macrophylla
科名 / 属名 アジサイ科 (ユキノシタ科) / アジサイ属
原産地 日本
開花期 6月~9月上旬
花の色 ピンク、青、白など
樹高 1~2m
特性 落葉性、日陰でも育つ

ハイドランジアの栽培カレンダー

ハイドランジア 栽培カレンダー

ハイドランジアは、日本原産のアジサイが園芸用に品種改良されて生まれたアジサイの仲間です。またヨーロッパで誕生したことから、別名「セイヨウアジサイ」とも呼ばれています。

ハイドランジアの開花時期は、6月~9月上旬の梅雨から夏にかけての季節です。

品種改良により花の色が豊富で、ピンクや白などかわいい花色を持つものもあります。またアジサイ同様に色変わりを楽しめる点も魅力的。色が移ろいでいく様子から、別名「七変化」とも呼ばれています。

ハイドランジアの葉は明るいグリーン色で、形は楕円形で先がとがっており、葉脈がはっきりと浮き出ているのが特徴です。

成長後の樹高は1~2mほどですが、存在感がある花なので鉢植えでも十分に華やいだ空間を演出できます。

花言葉は「愛」にまつわるものが多い

ハイドランジアには単独の花言葉は存在せず、基本的にアジサイと同義とされています。アジサイといえば花の色が変わる様子から、「移り気」「浮気」「冷酷」といった花言葉がつけられています。

また小さな花々が集まり、あたかもひとつの花のように見える様子から「家族団らん」という意味もあるようです。

さらに白いアジサイは「寛容」、緑色のアジサイは「ひたむきな愛」、そしてピンクは「元気な女性」「強い愛情」といったように、花色によっても異なる花言葉を持っています。

中でも特に有名なのが、青色の持つ「辛抱強い愛情」です。この花言葉はシーボルトが日本を去る際にアジサイの花を持ち帰り、その花に「オタクサ(彼の日本人妻であるお滝の意)」と名付けたというエピソードに由来するものです。

アジサイとの違い

ハイドランジアは品種改良された植物ですが、ベースとなるアジサイとは以下の点が異なります。

  • 花色が豊富
  • 花のボリュームがある
  • 花持ちが良い

ハイドランジアは新しい品種が次々と開発されています。例えば花色だと、緑と紫色のツートンカラーやライムグリーンなど、本家のアジサイには見られないような花色を持つ品種のものも。園芸品種として、鮮やかな彩りを庭に与えてくれるのが大きな特徴でしょう。

またハイドランジアはアジサイと比べて花のボリュームがあり、花持ちがよいのも特徴です。開花期が長いものだと、春~初秋ごろまで花を楽しめる品種も存在します。鮮やかな花を長期に渡って楽しめるのも、ハイドランジアならではの魅力です。

▽アジサイの育て方に関する記事はこちら

関連記事:アジサイ(紫陽花)の育て方の基本!植え替えや剪定、代表的な種類も解説|ミツモア

ハイドランジアの品種7選

白いハイドランジア

ハイドランジアは海外でも人気を集めており、毎年のように新品種が生まれています。また現在は日本でも品種開発が進んでいて、すでに200を超える品種があります。

花の色や花付きなど、それぞれ特徴が大きく異なるハイドランジア。お気に入りの品種を見つけてみてはいかがでしょうか。

マジカルハイドランジア

マジカルハイドランジア

マジカルハイドランジアは、てまり咲きに花房がまとまる人気の品種です。もこもことした花付きの良さが魅力的ですね。

また次第に花色が移り変わっていくのが特徴で、明るい黄緑色の花を咲かせた後は、花糸が青色やピンク色へと変化していきます。発色が良くなる時期でも最初のグリーンは残っており、鮮やかなグラデーションを楽しめるのもポイントです。

マジカルハイドランジアは「秋色アジサイ」の名でも知られており、栽培環境によっては秋頃まで開花することもあります。

ディープパープル

ハイドランジア・ディープパープル

ディープパープルはスウェーデンのスクロール社が開発したハイドランジアです。その名の通り深い紫色の花をつけ、マットな質感が特徴です。

また他の品種と比べて分岐もよく、ひとつの株にたくさんの花を密につけます。濃い紫色の花が密につく様子は、ディープパープルならではの魅力といえるでしょう。

またディープパープルも、環境によっては秋まで花を楽しむことができる品種です。ヴィンテージカラーのくすんだ緑色へと変化していく色移りは、空間に洗練された印象をもたらします。

コットンキャンディ

コットンキャンディ

まるで綿菓子のようなふわふわとした花つきが魅力のコットンキャンディ。てまり咲きで、もこもことした丸い形にきれいに整う花が特徴です。

また花びらの縁にはギザギザとした細かな切れ込みが入っており、密な花つきでも柔らかな印象に仕上がります。

咲き始めのクリームホワイトの花色から次第に薄いピンクへと変化していき、そのままビビッドな濃いピンクへと色が移ろいでいきます。キュートなハイドランジアを楽しみたい方におすすめの品種です。

アナベル

白いアナベル

アナベルは純白の花が印象的なハイドランジアです。装飾花が多く、非常に大きな花房をつけるのが特徴で、その大きさはなんと直径30cmにまで及びます。他のハイドランジア以上にインパクトのある姿を楽しめるでしょう。

アナベルは花芽の付き方も従来の品種と異なります。多くのハイドランジアが前年の夏に花芽をつけるのに対し、アナベルは春に花芽をつけたあと、その年の夏に開花します。そのため開花を楽しんだ後に、冬でも剪定が可能です。

てまりてまり

てまりてまり

てまりてまりは可愛らしい名前が印象的な、加茂花菖蒲園で開発された品種。名前の通り、花房はてまり型にまとまっていて小さく、名前負けしない可愛らしいサイズ感が特徴です。

花色は土の酸性度によって変化し、酸性度が高ければ青、アルカリ性度が高ければピンク色になります。花色が土の酸性度で変わるので、色を安定させるためにも鉢植えでの栽培がおすすめの品種です。

色別の肥料や培養土も販売されているため、希望する花色によって使い分けるとよいでしょう。

ごきげんよう

ごきげんようは「てまりてまり」と同じく、加茂花菖蒲園で開発されたハイドランジアです。てまりてまりの特徴を引き継いでおり、細い花びらと、より豪華な印象を与える八重咲きの花が印象的です。

花が毎年咲きやすいように品種改良がなされているため、ガーデニング初心者の方でも安心して育てることができるでしょう。

万華鏡

万華鏡

ジャパンフラワーセレクションで最優秀賞受賞の経歴もある万華鏡。「島根県アジサイ研究会」によって開発されたハイドランジアで、2012年から流通するようになりました。

6月~7月ごろになると淡い色合いの花を咲かせ、八重咲きのきらびやかな花はまるで万華鏡のようです。

かつては生産量が少ないことから希少性が高く、関西のみで流通していましたが、現在では全国で入手できる人気品種のひとつです。

ハイドランジアの栽培環境

スコップで土をすくう

手入れが簡単で初心者でも育てやすいとされるハイドランジアは、どのような環境で育てるのが適しているのでしょうか?ここでは、ハイドランジアの栽培環境について紹介していきます。

育て方のポイントを抑えて、ハイドランジアの栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。

日当たりのよい場所に置く

ハイドランジアは日当たりがよく、風通しのよい環境を好む植物です。耐陰性もありますが、日当たりが悪い場所に植えると成長が遅く、さらに花芽がつきにくいため花が咲かないこともあります。

もし鉢植えで育てる場合には、夏場は半日陰で、冬場の寒さが特に厳しい時期なら室内で育てると安心です。

ただし、ある程度の寒さに当てることは花芽のつき方をよくするので、初冬や冬の終わりには外で育てるようにします。

土は水はけがよく保湿性のあるものを使う

ハイドランジアは乾燥した土壌が苦手で、水はけがよく保水性の高い土壌を好みます。

肥沃な土壌が適しているので、庭に植栽する際には市販の草花用培養土を利用するか、小粒の赤玉土にピートモスや腐葉土を混ぜたものを準備しましょう。

またハイドランジアの花の色は、植物に含まれるアントシアニンという色素と、土壌に含まれるpHが作用することで決まります。

  • 青色の花を咲かせたいとき:酸性土壌
  • ピンク色の花を咲かせたいとき:アルカリ性土壌

青色の花を咲かせたいときは酸性土壌に、ピンク色にしたい場合には土壌をアルカリ性にしましょう。

基本的に日本の土壌は酸性なので、アルカリ性に変える場合には土に腐葉土や苦土石灰を混ぜます。もしアルカリ性に近い土壌の場合には、ピートモスという用土を混ぜ合わせてpH値を調整するとよいです。

ハイドランジアの育て方

植物に水をあげる

ここではハイドランジアの育て方を紹介します。美しい花つきを楽しむためにも、植え付け・水やり・飼料の与え方の3つのポイントを抑えておきましょう。

植え付け方法

ハイドランジアは鉢植えでも、地植えでも育てることが可能です。花色をきちんとコントロールしたいときは、気候や日当たりなどに合わせて自由に場所を変えられる鉢植えが適しています。

鉢植えにする場合には、苗ポットよりも一回り以上大きいサイズの鉢を準備し、鉢の底に軽石や鉢底石を敷きます。次に鉢の半分くらいまで土を入れ、軽く根をほぐしながら苗を植えて土をかぶせ、たっぷりと水やりをしましょう。

一方で地植えの場合は、できれば1カ月前までには土作りを済ませておきましょう。苗よりも一回り大きな穴を掘り、そこに苗を植え、周囲の土を軽く固めて株を安定させます。

植栽の時期は、鉢植えの場合も地植えの場合も落葉期間の12月~3月が適しています。

水やりはこまめに行う

ハイドランジアは乾燥に弱い植物なので、水やりは基本的に毎日行いましょう。水切れを起こしてしまわないように注意が必要です。特に鉢植えの場合は土壌をよく観察し、冬でも乾燥していたら随時水やりをしてくださいね。

地植えの場合は雨により水分が吸収できるため、鉢植えの場合ほど神経質になる必要はありません。ただし、雨がしばらく降っていなかったり、真夏や冬に晴天が続いたりする場合にはやはり土壌が乾燥するので、しっかり水やりをしましょう。

肥料の与え方

ハイドランジアは丈夫な植物のため、肥料がなくても元気よく育ちます。花つきをよくするのであれば、花が終わった後に緩効性肥料を与えるようにしましょう。なお12月~2月ごろの冬の間に緩効性肥料を与えると、よりよく育ちます。

またハイドランジアは花色によって、与えるべき肥料の種類が異なります。専用の色別肥料を与えるのがおすすめです。

青系・水色のハイドランジア用

赤系 ・ピンク色のハイドランジア用

それぞれで肥料の性質が酸性とアルカリ性で異なります。ハイドランジアの花色にあわせた肥料を使用すれば、発色の良い理想の花色を実現できるでしょう。

ハイドランジアの手入れ方法

ハイドランジア

地植えのハイドランジアの場合は、それほど神経質に剪定を行う必要はありません。一方で鉢植えの場合は、樹形や高さを調節する必要があるので、定期的な剪定が必要です。

ハイドランジアの剪定を行う場合、1回目は花が咲き終わった後、2回目は冬の休眠時期に行います。

剪定の仕方

ハイドランジアの剪定の方法は、1回目と2回目で少し異なります。

夏剪定の方法

夏場の剪定では、枯れた花を摘み取る「花柄摘み」と同時に剪定を行います。枝の長さの約1/3を残した位置から切り落としましょう。

冬剪定の方法

これに対して冬季の剪定は、株全体の風通しをよくする目的で行うため、枯れた株や枝を切り落とします。さらに枝が混み合った部分では、枝を根元からで切り取る程度で十分です。

植え替えの仕方

地植えの場合には不要ですが、鉢植えの場合には植え替えが必要です。

植え替えの時期は、開花のピークが過ぎた9~11月頃です。ハイドランジアは根をしっかりと張る植物なので、根詰まりを防ぐことが肝心となります。そのため植え替えのときには、いままで使用していたものより一回り大きな鉢を準備しましょう。

新しく準備した鉢に土を入れるときは腐葉土を混ぜておき、植え替え後はしっかりと水やりをします。ハイドランジアは成長が早い植物なので、1年に1度程度は植え替えを行いましょう。

ハイドランジアの注意すべき病害虫

ハイドランジア

病害虫をそのまま放置すると枯れる原因となるので、定期的に観察して、しっかりとケアする必要があります。

ハイドランジアがかかりやすい病気

ハイドランジアがかかりやすい代表的な病気が、「うどんこ病」「黒点病」です。

うどんこ病

ハイドランジアがうどんこ病にかかりやすいのは、春から梅雨にかけての湿気の多い時期です。葉や花、茎にまるで白い粉のような病斑部が広がり始めたら、うどんこ病の疑いがあります。

うどんこ病はそのまま放置しておくと光合成ができずに枯れてしまうので、酢を薄めた重曹水を吹き付けたり、病斑部を切り取ったりなどして対処しましょう。

黒点病

黒点病は葉に薄灰色や褐色の斑点が出るのが特徴で、そのまま放置しておくと徐々に大きくなり、色も濃くなります。

黒点病の場合もうどんこ病と同じく、見つけたらすぐに病斑部を切り取りましょう。

その他に注意するべき病気

そのほかに注意すべき病気は、モザイク病・斑点病・炭そ病などがあります。

ハイドランジアにつく害虫

ハイドランジアにつく代表的害虫が「ハダニ」です。ハダニは開花時期に発生することが多く、発生すると葉がだんだんと白っぽくなってきます。

症状に気付いたら、葉の裏を確認しましょう。葉の裏に集団で寄生しているので、初期であればセロハンテープやガムテープなどを使って取り除きます。

また牛乳と水を1:1で割ったものを、晴れた日に吹きかけて窒息死させ、その後水できれいに洗い流す方法もあります。

重症になると薬剤を散布しますが、薬剤耐性がつきやすいので定期的に薬剤の種類を変えるようにしましょう。

そのほかに注意すべき害虫には、オオミノガ・カイガラムシ・アブラムシなどがあり、いずれも春から夏にかけて発生しやすくなります。

ハイドランジアの増やし方

苗を植える

ハイドランジアを増やす方法には「挿し木」「株分け」の2つの方法があります。ここではそれぞれのやり方を、詳しく紹介します。

挿し木で増やす方法

ハイドランジアの挿し木を行う時期は、花が終わった7月頃です。

挿し木用の茎は、花芽のついていない部分の茎を15~20cm切り取り、切り口を水に半日程度浸けておきます。

その後、鉢植えの植栽のときと同様に鉢と土を準備します。土に枝が刺さるくらいの穴をあけ挿し木をし、土をかぶせてたっぷりと水やりをしましょう。

挿し木をした鉢は、半日陰に置くのが最適です。1カ月程度経過し初根を確認したら、鉢植えの場合は一回り大きい鉢に植え替えをし、地植えにする場合には水はけがよい土地に植えます。

株分けで増やす方法

ハイドランジアを増やしたい場合、挿し木よりも手軽に行えるのが「株分け」です。

株分けとは、切り取った根や茎から新しい株をつくる方法です。ハイドランジアの株分けは、植え替えと同じ時期に行いましょう。

株にある花がすべて咲き終わったら、株を土から取り出します。手で株を分け、植栽と同じ要領で植えて、最後にたっぷりと水やりをしましょう。

ハイドランジアを育てて花を咲かせよう

ハイドランジア

ハイドランジアは品種開発により多くの種類が開発された植物です。あまり手入れの手間がかからないハイドランジアですが、外観を整えたり、風通しをよくしたりして病害虫を防ぐためにはやはり剪定が必要です。

また、たくさんのハイドランジアを育てたいときは、挿し木や株分けで増やしてみるとよいでしょう。

水やりや肥料の与え方など、正しくお手入れをしてあげることで、美しいハイドランジアを長く楽しむことができます。