窓用断熱シートの導入は窓の断熱性を高めるために有効なアプローチの1つです。冷房・暖房効率を上げる効果が期待できます。窓用断熱シートの選び方や貼り方を解説します。併せておすすめの商品も紹介するので、断熱シート選びの一助となるでしょう。
窓用断熱シートの選び方
窓用の断熱シートには、さまざまな種類があります。製品の選び方を間違えてしまうと、期待していた効果がほとんど得られないケースもあるため、十分注意が必要です。窓用断熱シートの選び方のポイントを4つ解説します。
季節に適した素材(夏・冬・兼用)
断熱シートを選ぶ際には、季節に合ったシート選びが大切です。
夏におすすめなのが、直射日光を反射して室内が暖まるのを防ぐミラータイプです。貼ると窓ガラスが鏡のようになるので、外からの視線を遮りたい人にも適しています。
冬におすすめなのが、空気をたっぷりと含んでくれる気泡緩衝材タイプです。窓の表面に空気の層を作ることで、冷たい空気が室内に伝わるのを防ぎます。
季節ごとに貼り替えるのが面倒な人には、オールシーズン用と謳われている商品がおすすめです。
貼り方のタイプ(水貼り・シール接着)
窓用の断熱シートは、どのように貼り付けるかで2タイプに分けられます。
窓に水を吹きかけて貼り付けるのが、水貼りタイプです。水貼りタイプは、失敗しても貼り直しや微調整ができるので、断熱シートの貼り付けに慣れていない人でも安心して貼れるでしょう。
シートにのりが付いているのが、シール接着タイプです。水貼りタイプよりも剥がれにくいものの、貼り直しができないのが最大の短所です。シール接着タイプを貼るときは、水貼りタイプ以上に慎重に作業を進める必要があります。
自宅の窓に合うサイズ
窓用の断熱シートを選ぶときは、窓の大きさに合ったサイズ選びも大切です。窓ガラスより小さいサイズのシートを選ぶと、貼ったときにつなぎ目ができ、断熱効果が低下してしまいます。
始めから大きいサイズを買っておけば、自宅の窓ガラスの大きさに合わせてシートをカットできます。おすすめは窓ガラスよりも少し大きなサイズのシートです。カットする部分を最小限に抑えられるので、高いコストパフォーマンスを実現できます。
サイズ合わせが面倒な人には、オーダーカットの断熱シートがおすすめです。
その他の機能
断熱シートを選ぶときは、断熱以外の機能にも注目しましょう。
断熱以外の機能として代表的なのが、UVカット機能です。室内での日焼けを防ぎたい人や、家具の日焼けを防止したい人におすすめです。
飛散防止機能は、万が一窓が割れてしまったとき、破片が飛び散らないようにしてくれます。台風や地震に備えたい人は、飛散防止機能付きの断熱シートを選びましょう。
外からの視線を遮りたい人には、マジックミラー機能がおすすめです。室内から外は通常通り見えるものの、外からは鏡のように見えます。カーテンを開けて日差しを入れたいけれど、外からの視線が気になるという人にぴったりです。
窓用断熱シートは効果がない?
窓に貼る断熱シートについてインターネットで調べていると、「断熱シートなんて貼り付けてもさほどの断熱効果は期待できない」という論説を見つけることがあるでしょう。窓用断熱シートの効果について解説します。
複層ガラスなどに比べると効果が弱い
リフォームで取り付ける複層ガラスや真空ガラスなどの断熱ガラスと比べると、断熱シートの効果は限定的といわざるを得ません。真夏の暑さ・真冬の寒さを完全にシャットアウトすることは不可能です。
断熱性能の差は、断熱ガラスと断熱シートの価格差にも現れています。断熱ガラスは工事費用込みで設置に5万~10万円かかるのに対し、断熱シートは自分で貼り付けるなら窓1枚につき1,000~2,000円、業者に頼むなら1万5,000円程度で貼り付けられます。
費用と効果を天秤にかけて、どちらを設置するのか決めることが大切です。
効果を高めるには他の断熱対策との併用がおすすめ
断熱シートを導入するなら、断熱シートを単体で使用するのでなく、他の断熱対策と組み合わせると効果的です。
相乗効果を狙える断熱対策の代表例が、カーテンやロールスクリーンを取り付ける方法です。厚手のものや断熱機能付きの商品を選べば、窓から入ってくる暖気や冷気を効率的にシャットアウトできます。
プラスチック製の段ボールを窓に貼り付けるのも、有力な断熱対策の1つです。厚みのある段ボールが空気層を作ってくれるので、外の冷気が室内に伝わってきづらくなります。
窓用断熱シートを自分で貼る方法
窓用断熱シートを貼る手順を解説します。今回は、断熱シートとして最も一般的な水貼りタイプを例に手順を紹介します。貼り付けに必要な道具も紹介するので、しっかりと準備して隙のない作業を実現させましょう。
用意するもの
断熱シートを自分で貼るときに必要なものは、以下の通りです。
- ハサミ・カッター
- 定規
- 霧吹き
- 油性ペン
- 中性洗剤
- 軍手
- 雑巾
- 新聞紙
- ゴムベラ
まず必要なのは、ハサミやカッターです。断熱シートを窓ガラスのサイズに合わせてカットするために使います。カッターを使用する際は、床を傷つけないようにカッターマットも用意しましょう。
定規も必須アイテムの1つです。断熱シートのサイズ合わせを行う際に使用します。断熱シートを貼り付けるときは、霧吹きも必要です。窓ガラスに水を吹きかける際に使用します。
その他にも、油性ペン・中性洗剤・軍手・雑巾・新聞紙・ゴムベラなどがあると便利です。
断熱シートを貼る手順
断熱シートを貼る手順は、以下の通りです。
- 窓ガラスを掃除する
- 窓ガラスを採寸する
- 断熱シートをサイズに合わせてカットする
- 窓ガラスに霧吹きで水を吹きかける
- 断熱シートを貼り付け、よく乾燥させる
断熱シートを貼る前に、まず窓ガラスを掃除しましょう。汚れが付着したままシートを貼ると、シートが窓ガラスに密着せず、剥がれてきてしまうことがあります。
次に窓ガラスのサイズを測り、サイズに合わせて断熱シートをカットします。隙間ができないよう、ぴったりのサイズに切り出すようにしましょう。
断熱シートの準備が終わったら、霧吹きに水を入れて窓ガラスに吹きかけていきます。水がたれてくるくらい、たっぷりと吹きかけるのがコツです。
その後は、断熱シートを窓ガラスに貼り付けて密着させます。このとき、シートの裏表を間違えないように注意しましょう。最後に、密着面を完全に乾燥させたら作業は終了です。
窓用断熱シートを貼るときの注意点
窓用の断熱シートを貼るときに気を付けたい、注意点を解説します。注意点を把握しないままに貼り付け作業を進めてしまうと、「失敗してしまったな」程度の後悔では済まされないトラブルに見舞われる可能性もあるため、注意が必要です。
シートと相性の悪い窓がある
窓ガラスの種類によっては、断熱シートの貼り付けが難しいものがあります。注意すべき窓ガラスの代表例が、凹凸のあるガラスです。
表面が凹凸しているガラスは水貼りタイプと相性が悪く、どれだけ水を吹きかけて接着してもうまく密着しません。凹凸のあるガラスに断熱シートを貼りたいときは、シール接着タイプや、凹凸があるガラスに対応した製品を選びましょう。
網入りガラスも注意が必要な窓ガラスの1つです。網入りガラスに断熱シートを貼り付けると、窓ガラスに熱がこもってしまい、窓が割れてしまう危険性があります。
定期的な貼り替えが必要
断熱シートの恩恵を受けるには、定期的な貼り替えが不可欠です。断熱シート貼り替えの目安は半年~1年といわれています。
たとえ断熱性能は保たれていたとしても、貼り付けてから半年~1年が過ぎたシートは粘着力が低下してきます。断熱シートとしての役目を果たさなくなってくるため、貼り替え目安を過ぎたら交換を検討しましょう。
また、目安期間を過ぎるとシートの変色も気になってくるはずです。見栄えの面から見ても、定期的な貼り替えは必須といえます。
おすすめの窓用断熱シート5選
おすすめの窓用断熱シートを5点紹介します。スタンダードな冬用の断熱シートを筆頭に、キャラクターがデザインされたかわいい商品や、一風変わったネット状の商品まで多彩な製品を選びました。きっとお気に入りが見つかるはずです。
ニトムズ 窓ガラス断熱シート キューブタイプ E1176
厚さ約2mmの3層シートがしっかりと空気の層を作り、冷たい空気が室内に伝わるのを防いでくれます。
結露を抑制する効果があるのもポイントです。結露しやすい窓に貼れば、結露水を拭き取る手間を最小限に抑えられます。
アストロ リサとガスパール 断熱・結露防止シート 900-50
アストロの断熱シートは、気泡緩衝材をフィルムで挟んだ3層構造です。窓とシートの間にできた空気層が冷たい空気をシャットアウトしてくれます。
また、外の光を遮らず、部屋が暗くならないのも特徴の1つです。部屋の明るさを保ったまま断熱できます。
セキスイ 遮熱クールアップ
ポリエステル生地にステンレスコーティングを施した、ネットタイプの夏用断熱シートです。
取り付けは室外から面ファスナーで行うので、水貼りタイプやシール接着タイプのように貼り付けに苦労することはありません。一度断熱シートに挑戦したけれど、うまく貼れなかった人にぴったりです。
複層ガラスや網入りガラスなど、一般的な断熱シートを貼れない窓に貼れるのも大きな特徴です。自宅に設置してあるのが特殊なガラスで、断熱シートの貼り付けを諦めていた人にもおすすめの1枚です。
ニトムズ 窓ガラス断熱シート フォーム10M
水貼りタイプの冬用断熱シートで、厚さ約3.5mmの3層極厚シートがしっかりと空気を保持します。シートの作り上げた空気層が冷たい空気をシャットアウトしてくれるので、部屋の中に外気の冷たさが伝わりにくくなります。
シートが透明なので、窓ガラスに貼っても室内が暗くなりません。外光を適度に取り入れられるので、ぽかぽかとした窓辺を演出できるでしょう。
約10mの大判タイプなので、家中の窓に断熱シートを貼りたい人におすすめです。大判タイプが必要ない人には、1枚入りや2枚入りも販売されています。
リンテックコマース 遮熱シート (凸凹ガラス用) HGAL01M
凸凹ガラスに貼り付けられる断熱シートで、のりを使っていないので剥がすときに苦労しません。賃貸物件でも、のりの跡を気にせずに断熱シートを導入できます。
日差しを反射・吸収し、強い日差しで室内が温まるのを防ぐため、冷房効率がアップするのが特徴です。
日差しをカットする断熱シートでありながら、熱を吸収しない素材で作られているため、網入りガラスや複層ガラスにも貼付できます。熱割れを気にする必要はありません。
窓の断熱性を高めたいなら断熱シートを貼ろう
窓の断熱性を高めたいと考えたとき、まず検討すべきは窓のリフォームです。しかし、窓のリフォームにはまとまったお金が必要です。「窓の断熱性を高めて電気代を節約したい」と考えている人にとっては、本末転倒なアプローチといわざるを得ません。
窓の断熱性を高めたいときには、断熱シートの貼り付けも有力な選択肢の1つです。機能性ガラスの導入と比べれば効果は薄いですが、自分で安価に貼り付けられるのは大きな魅力といえます。断熱シートを導入して、窓の断熱性能をワンランクアップさせましょう。