窓サッシは建造材の中でも長持ちしやすく、寿命は20~30年が目安です。しかし、メンテナンスを怠ると劣化が進むため、不具合を見つけたら早めに交換する必要があります。窓サッシを交換する目安や方法、メンテナンスについて解説します。

窓サッシにも寿命がある
住宅に使用されているパーツの中でも、窓サッシは比較的寿命が長い部材です。金属製や木製のサッシでも20~30年、樹脂サッシなら50年が寿命とされています。
ただし、メンテナンスや使い方・環境などにより、サッシの寿命は変化します。ゴムパッキンや戸車は長持ちしにくいため、小まめな手入れが必要です。
どれくらいが交換目安?
アルミサッシなどの金属製サッシや木製サッシは、20~30年が寿命です。建物の構造材の中でも、長持ちしやすい部類に属します。
近年注目を集めている樹脂サッシはさらに寿命が長く、素材である塩化ビニル樹脂の耐久年数は50年以上です。
ただし、建造物の状態次第で寿命は短くなります。例えば、外壁に亀裂があり、すき間から侵入する水分が触れる状態なら、サッシは徐々に腐食していくでしょう。
自然環境も寿命に影響を与えます。樹脂サッシは紫外線に弱いため、日差しが強い場所への設置は不向きです。
このように、寿命が比較的長いサッシも、メンテナンスや設置されている環境によっては、劣化が進むことを覚えておきましょう。
パッキンや戸車は早く劣化する
窓サッシにガラスを固定する「パッキン」の寿命は、約10年が目安です。パッキンはゴムでできているため、手入れを怠ると劣化が早まります。
水分やゴミが付着すると、ゴムにはカビが生えやすくなります。窓ガラスの結露を吸収したり、小さなゴミがたまったりすることで、パッキンはより早く傷むでしょう。
窓の開閉を滑らかにする戸車の寿命はさらに短く、3~4年が目安とされています。スムーズに開閉できなくなったり、開閉時に異音が聞こえ始めたりした時は、戸車の替え時です。
戸車やレールの清掃、動作を滑らかにするための給油、摩擦を減らすための高さ調節を定期的に行えば、戸車の寿命を延ばせるでしょう。
劣化を放置するとこんなトラブルも
サッシ・パッキン・戸車の劣化を放置すると、窓が開閉できなくなったり、遮音性や断熱性が下がったりする恐れがあります。ガラスや窓全体が脱落するリスクもあるため、早急な交換が必要です。
開閉できなくなる
経年劣化や気温の変化が原因で、窓サッシは変形することがあります。建物の歪みにより、窓に圧力がかかることも、サッシが変形する原因の一つです。
サッシが変形してしまうと、レールとの間に生じる摩擦が大きくなるため、窓をスムーズに開閉できなくなるでしょう。
戸車の変形も、窓のスムーズな開閉を妨げる原因です。サッシや戸車の劣化をいつまでも放置していると、窓が動かなくなったり、鍵が閉まらなくなったりする恐れもあります。
窓がスムーズに動かない状態は、室内の空気環境の調節がしにくくなることや、防犯面で不安を抱えることにもつながるでしょう。
遮音性や断熱性が低下
窓ガラスと建物の間に配される窓サッシは、遮音性や断熱性を高める役割も担っているパーツです。
サッシが変形してすき間ができると、部屋の保温性が損なわれるため、冬場に室内を暖めても十分な室温を確保しにくくなります。
遮音性が低くなることも、サッシの劣化を放置するデメリットです。すき間から音が出入りしやすくなると、室内の音は外に漏れやすくなり、室外の騒音はよりうるさくなります。
窓から出入りする音は、サッシのすき間から出入りしているものがほとんどです。遮音性の高いガラスを使っているにもかかわらず、騒音がうるさい場合は、サッシが変形している可能性があります。
ガラスや窓全体が脱落するリスク
劣化を放置してサッシが変形すると、ガラス自体が外れやすくなり危険です。窓全体が脱落してしまう恐れもあります。
パッキンの劣化にも注意が必要です。サッシと窓ガラスを密着させるパッキンは、窓の構成上欠かせないパーツであり、重要な役割を担っています。
カビなどが原因でパッキンが劣化すると、傷が付いたり破れたりなどのダメージを負い、柔軟性が失われガラスが脱落しやすくなるでしょう。
ガラスや窓全体が脱落すると、落ちた衝撃でガラスが割れる可能性も高いため、劣化したサッシやパッキンの早急な交換が求められます。
自力で交換する手順
正しい手順を理解しておけば、窓サッシは自分で交換できます。以下に挙げるポイントに気を付けながら、サッシの交換にチャレンジしてみましょう。
外れ止めを解除する
サッシの上部には、窓の脱落を防止するための「外れ止め」が付いています。窓サッシを外すためには、まずはこの外れ止めを解除しなければなりません。
外れ止めが備え付けられている場所は、上部のレールの内側や、窓サッシの上部の隅です。見つけにくい場所に設置されている場合もあるため、くまなく探しましょう。
外れ止めを解除する方法も、外れ止めのタイプによりさまざまです。一般的なタイプでは、ドライバーでネジをゆるめ、外れ止めを下げれば解除できます。
外れ止めを解除できたら、通常の引き戸のように、窓を少し持ち上げて手前にずらせば外せます。
外側から順番に外す
窓サッシは外側から順番に外すのが基本です。一番外側に網戸がある場合は、網戸から外しましょう。網戸を外す際も、外れ止めを解除する必要があります。
外した窓は、作業しやすいように、安全な場所へ立て掛けましょう。サッシを分解するためには、縦枠にあるサッシ固定ネジを外さなければなりません。
ネジを外し終えたら、1辺ずつサッシを外していきます。サッシとパッキンを一緒にガラスから外しましょう。その後、逆の手順で新しいサッシと交換すれば完了です。
パッキンが古くなっている場合は、サッシと一緒にパッキンも新品に取り換えましょう。
軽微な修繕で対応できる場合も
ゴムパッキンや戸車が劣化した場合は、軽微な修繕で対応可能です。それぞれの交換方法について解説します。
ゴムパッキンの交換
サッシのゴムパッキンを交換する場合も、サッシの交換と同様に、窓サッシをガラスから外します。サッシを外す方法は、前項で解説した通りです。
ガラスから窓サッシと古いゴムパッキンを取り外したら、新しいゴムパッキンをガラスに取り付けます。
そのまま取り付けただけでは、サッシを取り付ける際にゴムパッキンを固定できません。養生テープでゴムパッキンをガラスに仮止めしておけば、組み立てる時に外れにくくなります。
ガラスにゴムパッキンを取り付けた後、窓サッシを取り付ければ完了です。サッシがはまりにくい場合は、金槌などで叩きながら入れ込んでいきましょう。
戸車の交換
パッキンの交換と違い、戸車の交換ではガラスからサッシを外す必要がありません。外れ止めを解除して窓を外せば、そのまま戸車を交換できます。
最初に、戸車を固定しているネジを探しましょう。通常は戸車の近くにあります。サッシ固定ネジの近くに設置されている場合もあるため、間違えないようにしましょう。
ネジをゆるめ、古い戸車を取り外したら、新しい戸車を取り付ければ完了です。窓が斜めになっていないか、スムーズに動くかを、交換後にチェックしましょう。
思うように動かない場合は、戸車の高さを調整しなければなりません。戸車に付いている調整ネジを回しながら、スムーズに動くまで調整しましょう。
DIYが不安な場合は業者に相談
窓サッシを「自分で交換できるか」「できないか」を判別にするには、どうしたらよいのでしょうか。見極めるポイントや、業者に依頼した場合にかかる費用の相場を解説します。
DIYと業者依頼の見極めポイント
窓サッシは数年ごとにモデルチェンジしています。古いサッシに使える部品を、素人が見極めるのは困難です。
部品が分かったとしても、古い部品は入手ルートが限られているため、取り寄せは難しいでしょう。古いサッシを交換する場合は、業者に依頼するのがおすすめです。
また、窓に取り付けられている部品の調整や交換は、専門的な知識や経験を必要とすることがあります。サッシは複雑な構造をしているため、窓の取り外し自体も苦労するでしょう。
DIYに自信がない人や、窓の構造を見て調整や交換ができそうにないと感じる人は、最初から業者へ依頼するのが無難です。
業者に依頼する場合の費用
壁の工事を必要とせず、窓サッシのみ交換する場合は、約3~5万円が施工費の相場です。工事は1~2日で完了します。
サッシのすき間を埋めるために、外壁を工事して新たにサッシを付け直す場合は、30~50万円程度の施工費がかかってしまいます。
工法によっても費用は大きく異なります。古いサッシの上から新しくサッシをかぶせる「カバー工法」なら、180cm×170cmの窓で約10~20万円が施工費の目安です。
一方、古いサッシを外して新しいサッシに付け替える「はつり工法」の場合は、同じサイズの窓でも約30~50万円かかるでしょう。
交換の参考にしたい、サッシの選び方
サッシの種類は、使われている素材により、アルミ・木製・樹脂・複合に分けられます。選ぶ際は、それぞれの特徴をよく理解し、色にこだわることも重要です。
サッシの種類と特徴
軽量で開閉が楽なアルミは、耐久性・耐候性・防火性に優れています。腐食しにくくサビにも強いことが特徴ですが、断熱性の低さがデメリットです。
デザイン性を求めるなら、質感や風合いのよさが魅力的な木製がおすすめです。腐食・摩耗しやすいデメリットを補うような製品が、数多く販売されています。
樹脂製のサッシは、断熱性と気密性に優れた塩化ビニル樹脂が主な素材です。同じく断熱性に優れた複層ガラスと組み合わせて、寒い地方で多く使われています。
複合サッシは、上記の異なる素材を組み合わせて作られたサッシです。それぞれの特徴を生かし、さまざまな機能を併せ持っていることがメリットです。
色選びも重要
サッシの色を選ぶ際は、内側と外側で色の見せ方が違うことを意識しましょう。外側の色には、外壁と似た色か、外壁と相性のよい色を選ぶのがポイントです。内側の色には、部屋のインテリアに合う色を選びましょう。
アルミや木製のサッシは、内側と外側の色を別にできません。どちらの色を重視するか考慮して選ぶ必要があります。
一方、樹脂や複合サッシなら、外側と内側の色を別にできます。見せ方の違いにこだわりたい場合は、樹脂や複合サッシを選ぶとよいでしょう。
窓サッシを長持ちさせるコツ
窓を長く使い続けていると、サッシの耐久性や機能は低下していきます。サッシをより長持ちさせるためには、交換時に劣化しにくい種類を選ぶことや、日常的に清掃することが重要です。約10年を目安に、業者の定期点検も受けてみましょう。
劣化しにくい種類を選ぶ
サッシの中で最も劣化しにくい種類は、腐食が起こりにくい樹脂サッシです。主な素材として使われている塩化ビニル樹脂の耐久年数は50年以上とされています。
木製サッシやアルミサッシは、耐久性の面で樹脂サッシに劣り、寿命は樹脂サッシの約半分である20~30年です。
ただし、サッシの劣化は素材だけでなく、天候・気温・結露によっても大きく影響されます。
より長持ちさせられるサッシとしては、複合サッシもおすすめです。内側には断熱性の高い樹脂や木製を使い、外側には耐久性・耐候性・防サビ性の高いアルミを使った複合サッシなら、素材の利点を生かして寿命を延ばせるでしょう。
日常的に清掃する
窓サッシの汚れやゴミは、日常的な清掃を心掛けましょう。開閉時のスムーズな動きを保ちやすくなり、サッシのトラブル防止にもつながります。
サッシを掃除する際は、最初に掃除機などを使ってホコリを除去します。すき間の取りにくいゴミは、つまようじや歯ブラシで取り除きましょう。
ホコリが取れたら、中性洗剤を薄めた水を使い、スポンジでこすります。洗い流した後は、乾いた雑巾で拭き取りましょう。
10年をメドに定期点検を受ける
窓サッシの修理や交換に対応している業者の中には、窓サッシの定期点検を実施している業者があります。
日常的な清掃や自分なりの点検をしながら、約10年を目安に定期点検を受けてみるのもおすすめです。
点検により不具合がなければ、しばらくは安心して過ごせるでしょう。修理や交換にかかる費用に比べ、点検費用の方が安くつくケースがほとんどです。
窓サッシを新調して暮らしを快適に
窓サッシの寿命は比較的長いものの、さまざまな要因により劣化していきます。劣化を放置すると大きなトラブルに発展する恐れもあるため、早めの対応が重要です。
できるだけ長持ちさせるためのメンテナンスを心掛けながら、交換のタイミングを見極めて早めに新調しましょう。
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