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新聞図書費で経費にできる範囲と「軽減税率」での注意点を解説

最終更新日: 2023年03月10日

この記事では、スキルアップなどの書籍代金を集計する勘定科目「新聞図書費」について紹介します。この記事を読むことで「新聞図書費」について理解でき、スキルアップのための書籍等を積極的に購入するきっかけになるでしょう。

新聞図書費の基本知識

「スキルアップのために書籍を購入したいが経費にできるの?」

「従業員のために購入した書籍や新聞はどんな経費になるの?」

個人事業主として事業を拡大するために、知識を増やしてスキルアップすることは必要不可欠です。その際に発生する購入費用の中で、どのような内容が経費算入できるのか、どのような勘定科目にするのかわからないという疑問をお持ちではないでしょうか。

基本的な「新聞図書費」の概念を正しく理解して、スキルアップのための経費をきちんと節税できるようにしましょう。

新聞図書費とは

そもそも「新聞図書費」とは事業に関わる書籍、雑誌などを購入した経費を集計する勘定科目です。具体的には下記のような内容が該当します。

  • 従業員の教育のために購入した専門書などの書籍、教育DVDなど
  • 顧客の閲覧用に購入した新聞、雑誌
  • 事業運営の情報収集のために登録した有料サイトの会員料

上記のように、定期購読の新聞、雑誌などの経費だけでなく、事業活動に役立てるための資料やサイトの利用料なども「新聞図書費」に計上することができます。

基本的に「新聞図書費」は消費税の課税対象となります。しかし、定期購読の新聞(週2回以上発行)の場合は軽減税率(8%)が適用されるので注意が必要です。

新聞図書費になる書籍

事業運営に関わる書籍等の購入であれば「新聞図書費」に計上することができます。具体的には、納税のための経理の本や、業務を拡大するための専門書などが挙げられます。

また、接客業で顧客のために購入した雑誌や新聞なども「新聞図書費」に含めることができます。

私用での購入と明確に区別することが求められます。税務調査の際に回答できるように、書籍の購入目的が判別できるような書類を残しておきましょう。

新聞図書費にならない書籍

事業運営に関わらない書籍購入は経費にすることができないので、「新聞図書費」にすることはできません。事業と直接関係のない資格取得のための書籍などの購入代金も「新聞図書費」にできないので注意しましょう。

新聞図書費の仕訳例

会計処理での仕訳
仕訳項目について解説

「新聞図書費」の具体的な仕訳の内容を紹介していきます。会計年度に注意して、仕訳をするようにしましょう。

プログラマーが専門書籍を購入した場合

プログラマーがスキルアップのために専門書籍を購入した場合の仕訳例を確認してみましょう。

(具体例)

10/1にプログラミングのスキルアップのために専門書籍を3,000円で購入した。現金払いで支払った。

借方貸方
日付勘定科目金額勘定科目金額摘要(具体的な内容)
10/1新聞図書費3,000現金3,000専門書購入代金

美容室が客へのサービスとして雑誌を定期購読した場合

顧客のための新聞や雑誌の定期購読をした場合の仕訳例をご紹介します。複数年度にわたる定期購読費用を一括払いした場合は、年度が切り替わるタイミングで費用の振替が必要になるので注意が必要です。

(具体例)

10/1に顧客のための雑誌を定期購読で購入した。1年間の定期購読の代金48,000円を一括で支払った。弊社は3月決算の会計制度を採用している。

借方貸方
日付勘定科目金額勘定科目金額摘要(具体的な内容)
10/1新聞図書費48,000現金48,000定期購読
3/31前払費用24,000新聞図書費24,000定期購読(翌年度分)
4/1新聞図書費24,000前払費用24,000定期購読費用の振替

定期購読を開始したタイミングで全額「新聞図書費」に計上します。年度末に翌年度分の定期購読の金額の振替をおこないます。その際に勘定科目が「前払費用」となります。

今回の例では、6ヶ月分の定期購読料金が翌年度分となるので、年度末(3/31)に24,000円を翌年度へ振替えます。

新聞図書費に関する注意点

新聞図書費
新聞図書費の注意点

「新聞図書費」の間違いやすい仕訳や混同しやすい処理を紹介していきます。会計年度が複数年度にわたる場合は仕訳間違いが発生しやすいので気を付けましょう。

定期購読や年間契約の初年度

定期購読を開始した際に、購入費用として「新聞図書費」が発生します。購入期間が1年を超える場合は、サービスを受けた期間に合わせて経費を計上しなければならないので注意しましょう。

例えば、3月決算の企業が7月1日に1年の定期購読を開始した場合の仕訳の方法を紹介すると、購入時の年度に該当する7月~3月末までの9ヶ月分の費用のみが「新聞図書費」に計上できます。

残りの3ヶ月分は「前払費用」という資産科目に計上しておいて、翌年に「新聞図書費」に振替をおこないます。

サービス利用期間が複数年度にわたる場合は注意して仕訳をするようにしましょう。

電子書籍を購入した場合

事業運営のための情報収集として、電子書籍を購入した場合の経費も「新聞図書費」となります。

通信費」に仕訳してしまう場合が多いので注意しましょう。「通信費」は取引先との連絡のために発生した経費やネット関連の経費を計上する勘定科目です。混同しないように注意しましょう。

新聞に関する軽減税率について

理髪店や飲食店などのサービス業の店舗が新聞を定期購読する場合は、軽減税率(8%)が適用されます。

ただし軽減税率が適用されるのは定期購読の経費だけであるという点に注意しましょう。コンビニなどで臨時に購入した場合は通常の消費税率となります。

新聞図書費は事業に直接関わるかで判断

活用方法
新聞図書費をうまく活用しよう

「新聞図書費」について紹介してきましたが、ここまでの内容をまとめると以下のよう通りになります。

  • 新聞図書費」は事業運営に必要な書籍や雑誌などの購入の際に発生した経費を集計する勘定科目である。
  • 事業運営と直接関係のない書籍などの代金は経費計上できないので注意する必要がある。
  • 複数年度にわたり定期購読する際には会計年度と対応するように費用の振り分けをおこなうこと。翌年以降に費用の繰り越しをする場合は「前払費用」を使用する。

使用目的によって「新聞図書費」に計上できるかが決まるので、判断に迷った場合は、すぐに税理士に相談するようにしましょう。

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

新聞図書費は、今流行りのサブスクリプション(定期購読)契約や軽減税率など、処理の際に注意すべき内容が多い勘定科目となっています。取引の内容ごとに適切に処理するようにしましょう。

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この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP?) 1987年香川県生まれ 2008年公認会計士試験合格 2010年京都大学経済学部経営学科卒業。 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。