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勘定科目「通信費」には何が計上できる?混同しがちな科目もセットで解説

最終更新日: 2024年12月16日

個人事業主として独立して、仕事で使用したインターネットやスマートフォンの利用料金を経費として計上したいが、どのように処理してよいのかわからないというお悩みをお持ちではないでしょうか。

今回の記事では、通話料金やインターネット関連の経費を計上する「通信費」についてわかりやすく解説していきます。この記事を読むことで、どのような経費を「通信費」に計上するのかをすぐに判断できるようになります。

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勘定科目の「通信費」とは何か

勘定科目の「通信費」とは何か

「通信費」とは、事業で使った取引先との連絡に関する経費です。

近年では、通話料金だけでなくインターネット関連の費用も計上されるようになっています。「通信費」は基本的に消費税の課税対象ですが、国際電話、国際FAXなどを利用した場合は、消費税の課税対象外となります。

勘定科目として「通信費」に計上できる支出

通信費として計上できる経費には、主に以下の5種類があります。

  1. インターネット代
  2. プロバイダ料金
  3. 電話代
  4. テレビ料金
  5. 郵便や切手の料金

順番に詳しく解説していきます。

インターネット代

インターネットの利用にかかる費用はすべて通信費として経費計上できます。利用料に加えて入会金や設置にかかった工事費用も対象です。

またWebサイトのサーバー代やクラウドサービスの料金もインターネット代として通信費に計上できます。

プロバイダ料金

インターネットの利用とセットで契約するプロバイダ料金も、通信費として経費計上できます。

電話代

業務で使った電話料金は通信費として経費として計上できます。スマホだけでなく固定電話も経費計上が可能です。

仕事とプライベート両方で同じスマホを使っているなら、「家事按分」という考え方に基づいて、業務でかかっている電話料金の割合を算出します。家事按分については記事の後半で詳しく解説します。

テレビ料金

仕事場でテレビを流している場合、その受信料も通信費として計上できます。設置にかかった工事費用も計上可能なので、領収書をとってしっかりと記帳しておきましょう。

郵便や切手の料金

取引先へ何かを郵送する際にかかった切手や小包、ハガキの購入代金も「通信費」として経費計上できます。

一方で、宣伝を目的とした印紙やダイレクトメールにかかった費用は通信費にできないので注意しましょう。

また切手を買った際は「貯蔵品」として計上し、実際に使う際に「通信費」として計上します。

仕事とプライベートの両方にかかる通信費の場合はどうする?

個人事業主の場合、仕事とプライベートの両方に関わる支出が合算して請求されてしまう場合も多いでしょう。そのようなときには事業に関係する支出のみを経費にすることができます。

その際には「家事按分」という方法を用いて事業に用いた支出を算出します。

「家事按分」で各支出の割合を決めよう

「按分」とは特定の数量・単位を基準として比率を算出して、その比率をもとに費用金額を事業用とプライベート用に割り振ることです。具体的には、使用した日数や使用した量などを基準にして事業利用の割合を算出し、算出された金額を経費として計上します。

ただし、白色申告者の場合は、按分したときに事業割合が50%超でないと経費にできないので注意しましょう。

通信費の按分方法

インターネット料金、通話料金は仕事とプライベートの兼用になる場合が多いかと思います。このような費用を按分する基準としては、「使用日数」「使用時間」などがあります。

「使用日数」で按分する場合は、平日は仕事、休日はプライベートで使用すると考えることができます。

事業用比率(%)の計算方法

(平日の日数)/(その月の日数)×100 

上記のような計算方法で比率を計算できます。業態に合った適切な按分方法を検討してみてください。

「通信費」と混同しがちな勘定科目

「通信費」となる経費の具体例について説明しましたが、「通信費」と間違えやすいものも多くあります。ここでは「通信費」と混同しがちな勘定科目を紹介します。

荷造運賃として計上する経費

「荷造運賃」とは商品の発送や返送に関わる費用を計上する勘定科目です。商品を発送する際の梱包材料や配送業者への費用が該当します

「荷造運賃」と「通信費」を混同しやすいのは、商品と直接関係ないものを送る場合です。「荷造運賃」は商品の発送に関わる場合のみ計上されることに注意しましょう。

具体的に「通信費」と間違えやすい「荷造運賃」は以下のような例が挙げられます。

  • 商品を宅配で郵送する際に発生した費用
  • 商品の返品の際に発生した宅配の費用

次に「荷造運賃」と間違えやすい「通信費」の例も挙げてみます。

  • 商品カタログを郵送した際の費用
  • 商品の領収書を郵送する際の費用

「通信費」にするのは、売上と直接関係のない場合に限定されることに注意しましょう。

関連記事:勘定科目「荷造運賃」の仕訳例 宅配便送料、梱包材の経費処理の注意点

消耗品費として計上する経費

「消耗品費」についても、「通信費」と混同しやすいものがあります。郵送や連絡に関わる経費でも、用紙などの事務用品は「消耗品費」となります

具体的に「通信費」と混同しやすい「消耗品費」は以下のようなものがあります。

  • FAXを送信する際の用紙代
  • 封筒代

関連記事:消耗品費とは 雑費との違いや上限、仕訳方法を解説

目的によって異なる勘定科目を用いる経費

経費の使用目的によって計上方法が変化する場合もあります。「荷造運賃」が商品の配送に関わるかどうかで「通信費」と区別するように、使用目的に応じて勘定科目を検討する必要があります。

使用目的を考えて勘定科目を決める必要がある具体例を挙げると以下のようなものがあります。

  • 宣伝目的で使用したテレホンカードは「広告宣伝費」
  • テレホンカードを取引先への贈答品として購入した場合は「接待交際費」

「通信費」に限らず経費の勘定科目を決定する際には、使用目的がどのようなものであるかを意識するようにしましょう。

収入印紙

契約書等に貼付する収入印紙ですが、「通信費」ではなく「租税公課」を使用します。郵便局で購入することが多いので、間違われる方が多いです。

祝電、お悔やみなどの電報

祝電やお悔やみなどの電報に関する費用も「通信費」以外の勘定科目を使用します。外部に対して使用する場合は「接待交際費」となります。

電話加入権

電話加入権とは、電話回線を契約するための権利のことです。この権利を取得するために支出する代金は費用勘定の「通信費」ではなく、資産勘定の「電話加入権」を使用します。

通信費の具体的な仕訳例

通信費 勘定科目 仕訳
通信費の具体的な仕訳例

それでは「通信費」が発生する具体的な仕訳例を確認してみましょう。按分の場合は、私用の金額が、「事業主貸」という科目になることに注意しましょう。なお、税込経理方式であることを前提とします。

電話料金が預金口座から引き落とされた場合

まずは、事業用の電話料金が発生した場合について確認してみましょう。

(具体例)

9月に事業で使用した電話料金43,200円(税込)が発生した。普通預金口座から同月末に引き落としがなされた。

借方 貸方
日付 勘定科目 補助科目 金額 勘定科目 補助科目 金額 摘要(具体的な内容)
9/30 通信費 43,200 普通預金 43,200 電話料金

借方に費用勘定の「通信費」を計上して、資産勘定の「普通預金」を貸方に計上します。

切手を現金から購入した場合

次に、連絡目的で切手を現金で購入し、すぐに使用した場合についても確認してみましょう。

(具体例)

9/1に書類の郵送のために切手10,800円(税込)を購入して、現金で支払った。なお、購入した切手はすぐに使用した。

借方 貸方
日付 勘定科目 補助科目 金額 勘定科目 補助科目 金額 摘要(具体的な内容)
9/1 通信費 10,800 現金 10,800 切手代

借方に費用勘定の「通信費」を計上して、貸方に資産勘定の現金を計上します。

インターネットの利用料金を按分した場合

インターネットの利用料金が私的利用と合算されて請求されている場合に按分して計上する方法を確認してみましょう。

(具体例)

9月に使用したインターネット使用料5,400円(税込)が同月末に事業用の預金口座から引き落とされた。ただし、事業利用と私的利用が合算して請求がなされている。事業用比率を70%として按分することとする。

  • 通信費の計算式
    インターネット料金×事業利用の割合= 5,400円×70%=3,780円
借方 貸方
日付 勘定科目 補助科目 金額 勘定科目 補助科目 金額 摘要(具体的な内容)
9/30 通信費 3,780 現金 5,400 事業用インターネット料金
事業主貸 1,620 私用インターネット料金

プロバイダ料金が引き落とされた場合

プロバイダ料金が引き落とされた際の事例を確認しましょう。

(具体例)

9月にオフィスで使用したプロバイダ料金が2,000円引き落とされた。

借方 貸方
日付 勘定科目 補助科目 金額 勘定科目 補助科目 金額 摘要(具体的な内容)
9/1 通信費 2,000 普通預金 2,000 事業用インターネット料金

テレビの料金が引き落とされた場合

テレビの受信料が引き落とされたケースを見てみましょう。

(具体例)

9月にオフィスで使っているテレビのNHK受信料2,000円が引き落とされた。

借方 貸方
日付 勘定科目 補助科目 金額 勘定科目 補助科目 金額 摘要(具体的な内容)
9/30 通信費 2,000 普通預金 2,000 9月分NHK受信料

勘定科目「通信費」についてよくある質問

最後に、通信費についてよくある質問に回答していきます。

通信費の計上タイミングは?

通信費は、費用が発生したその月に計上します。これは費用の発生と記帳のタイミングを合わせる「発生主義」という考え方に基づいています。

通信費の領収書がないけど記帳しても大丈夫?

インターネット上の取引により領収書が発行されない場合は、日付や金額のかかれた画面をスクリーンショットしてプリントしておきましょう

個人事業主の通信費の平均費用は?

「2021年家計調査結果」総務省統計局の調査によると、一人暮らしの通信費にかかる平均費用は7,153円です。

個人事業主についてのデータはありませんが、事業として通信費がかかる場合はもう少し高い金額になることが予測されます。

通信費を正しく経費にして節税しよう

ここまで、「通信費」を正しく計上する方法を紹介してきました。

重要なポイントをまとめると以下のようになります。

  • 「通信費」は事業に用いられる取引先との連絡にかかる費用が計上される
  • 商品の郵送は「荷造運賃」、販売促進物にかかる費用は「広告宣伝費」となるなど、使用目的によって費用の勘定科目が変化するので注意する
  • 青色申告で、「通信費」が事業利用と私的利用が合算されている場合には、「使用日数」や「使用量」などのできるだけ客観的なデータを用いて按分する必要がある

「通信費」を適切に計上することで節税をすることができます。按分などの具体的な方法で迷った場合は、税理士に相談するのもおすすめです。

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