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【税理士監修】一般社団法人を設立したい!メリットや手続きは?

最終更新日: 2024年06月28日

「協会を作りたい!」そう考えている方には、一般社団法人の設立がおすすめです。

このページでは、一般社団法人の概要やメリット・デメリット、設立の方法や流れ、設立後の手続きや税務について詳しく解説します。法人化について知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

 

一般社団法人とは?

一般社団法人とは、非営利で活動する団体に法人格が与えられたもの
一般社団法人とは、非営利で活動する団体に法人格が与えられたものです

一般社団法人とは、利益配分できない「非営利型法人」のことを指します。ここでは、一般社団法人の概要や他の非営利型法人との比較、「非営利」という言葉の意味を見ていきましょう。

非営利型の法人

一般社団法人とは、非営利で活動する団体に法人格が与えられたものです。一般社団法人が行う事業に制限はなく、原則として行政庁の監督なしに自律的な法人運営を行うことができます。

非営利型の法人は5種類!他の法人との違いは?

非営利型の法人には、一般社団法人以外にもいくつか種類があります。それぞれ概要を見ていきましょう。

①一般社団法人 営利を目的としない人の集まりに法人格が与えられたもの。登記のみで設立できる。
②NPO法人 Non Profit Organizationの略で、ボランティア活動を始めとする民間の社会的活動を行う団体のこと。所轄庁の認証を経て「認定(特例認定)特定非営利活動法人」となる。
③財団法人 個人や法人から拠出された財産で設立され、その運用益を事業原資として運営する法人。一般財団法人・公益財団法人・特例民法法人などがある。
④公益社団法人 公益を目的とする事業のみを対象とした非営利型法人。人の集まりに対して法人格が与えられている。一般社団法人が公益社団法人になるには公益認定が必要。
⑤公益財団法人 公益を目的とする事業のみを対象とした非営利型法人。拠出されたお金のもとに集まり、運営される組織のこと。公益認定が必要。

ここで少しややこしく感じるのが、「公益社団法人」と「公益財団法人」のような「社団」と「財団」の違いだと思います。この言葉についても、区別を理解しておきましょう。

  • 社団:一定の目的のもとに集まった「人」から成り立つ組織のこと
  • 財団:一定の目的のものとに拠出された「財産(基金)」の集まりであり、管理運営されている組織のこと

一般社団法人とNPO法人では税制面の違いがありますが、それよりも大きな違いとしてNPO法人には一般社団法人よりも活動内容に制限があることが挙げられます。どちらも公的な価値を追求する点では共通していますが、一般社団法人にはNPO法人ほど強い制限はかかりません。逆に言えば、一般社団法人はNPO法人よりも幅広い活動が認められるということです。

一般社団法人と公益社団法人は、どちらも人の集まりに法人格が与えられたものですが、 活動内容の制限に大きな違いがあります。公益社団法人は公益目的事業を費用で計った時に50%以上の比率で実施する必要がありますが、一般社団法人にはこのような制限がありません。

その他の違いをまとめたものが、以下の表です。

参考:公益社団・財団法人と一般社団・財団法人の違い | 公益法人information

利益を出してもいい!

一般社団法人は非営利型法人ですが、事業や活動によって利益を出すことは問題ありません。株式会社のように利益を追求し、たくさん出してもいいのです。「非営利」という言葉は、「利益分配をしない」ことを意味します

株式会社であれば会社が利益を上げた場合、株主にその利益を分配することができます。しかし一般社団法人は利益分配をしないため、配当を出すことができません。ただし、一般社団法人の収益事業から生じた所得は法人税の課税対象となります。

参考:一般社団法人・一般財団法人と法人税 | 国税庁

一般社団法人のメリットは?

一般社団法人の主なメリットは、以下の通りです。

①契約の時に法人名が使える

一般社団法人も法人として活動することができます。法人名義の銀行口座を開設したり、法人名義で契約書を作成したりできるので、任意団体や個人事業主と比べると対外的に信用を得やすいです。

②他の法人より設立が簡単

社員が最低2名いれば設立できるうえ、手続きも法務局へ登記申請するだけで済むので、他の法人と比較して設立が簡単です。

③事業内容に制限がない

適法であれば、事業内容に制限がありません。

④行政等による監督が少ない

監督庁がないため行政から活動を制約されることもなく、報告義務もありません。同じ非営利型法人であっても、たとえばNPO法人は所轄庁による監督制度があり、事業内容の報告義務も課せられます。

一般社団法人のデメリットは?

一般社団法人の主なデメリットは、以下の通りです。

①社員が増えると合意を得るのが大変

原則として、各社員は1個の議決権を有するため、社員が増えると社員総会などで合意を得るのが難しくなることがあります。なお、議決権数は定款の定めにより一人の社員に複数の議決権を持たせることも可能です。

②法人税などの課税対象に

一般社団法人が行った収益事業は、法人税の課税対象となります。

③会計管理が個人事業に比べて大変

個人事業主や任意団体と比べると、法律で定められている事務作業が多く、わずらわしく感じるかもしれません。

④株式が発行できない

一般社団法人は利益の分配ができず、株式を発行できません。事業拡大などのために資金が必要な場合は、本業で利益を出すか、もしくは基金制度を利用することになります。

一般社団法人を設立するには?

期間・費用・設立要件などを確認しましょう
期間・費用・設立要件などを確認しましょう

一般社団法人を設立する際にかかる期間や費用、内部構造、要件について見ていきましょう。設立の流れについては、次の「一般社団法人の設立の流れ」で解説します。

期間はどのくらいかかる?

一般社団法人を設立するには、法務局へ設立登記が必要です。法務局による登記期間がありますので、登記簿謄本や印鑑証明書が取得できるまでの期間としては「1〜2週間程度」が目安となります。

一般社団法人の内部構造はどんな感じ?

一般社団法人の内部には、以下に挙げる5つの機関があります。◎印のついている社員総会と理事は、必ず置かなければなりません

  1. 社員総会◎
  2. 理事◎
  3. 監事
  4. 理事会
  5. 会計監査人

理事会は置いても置かなくても構いませんが、理事会を置く場合は3人以上の理事と1人以上の監事が必要です。また、理事会と監査会計人を設置する場合は、監事を必ず置かなければなりません。

さらに、賃借対照表の負債の合計額が200億円以上の「大規模一般社団法人」は、会計監査人を必ず置かなければなりません。

ここまで説明した内容をまとめると、一般社団法人の内部機関のパターンは以下の5通りになります。

  1. 社員総会+理事
  2. 社員総会+理事+監事
  3. 社員総会+理事+監事+会計監査人
  4. 社員総会+理事+理事会+監事
  5. 社員総会+理事+理事会+監事+会計監査人

一般社団法人を設立するときの要件は?

一般社団法人を設立するときの要件を見ていきましょう。

要件①社員2名以上、理事1人以上が必要

一般社団法人設立時には、2名以上の社員と1名以上の理事の選任が必要です。法人も法律的には人なので社員になれますが、理事にはなれません。

要件②「非営利型一般社団法人」になるには理事が3名以上必要!

非営利性が徹底された「非営利型一般社団法人」になるには、定款で剰余金の分配を行わないことを定め、理事が3名以上必要になります。

これは理事とその理事の親族などの合計数が、理事の総数の3分の1以下である必要があるためです。仮に設立後に理事の数が増えても、理事全体に占める親族などの割合が3分の1を超えることはできません。

一般社団法人を設立する時にかかる費用は?

一般社団法人を設立するときにかかる法定費用は「約12万円」で、内訳は以下のとおりになります。

  • 定款認証代や登録免許税などの「法定費用」:約11万円
  • 社団法人用印鑑作成代や印鑑証明書取得代などの費用:約1万円

上記は自分で設立した場合にかかる最低費用の目安ですが、専門家や業者にサポートしてもらった場合は別途費用がかかります。委託先の料金プランによって費用は異なりますが、すべて丸投げした場合、別途7〜10万円ほどかかるケースもあります。

一般社団法人の設立の流れ

作成した定款は公証人の認証が必要です
作成した定款は公証人の認証が必要です

一般社団法人の設立の主な流れは、以下の通りです。

  1. 2名以上の社員を確保、1名以上の理事を専任
  2. 定款作成
  3. 定款認証
  4. 登録書類の作成
  5. 登記申請

各項目について詳しく見ていきましょう。

手順1:2名以上の社員を確保、1名以上の理事を専任

一般社団法人設立に必要な2名以上の社員(発起人)を確保、1名以上の理事を選任します。

設立後に社員が1名になってもその一般社団法人は解散しませんが、社員が0となった場合は解散となります。

手順2:定款作成

一般社団法人の定款には、以下に挙げる7つの項目を必ず記載します。

(1)目的
(2)名称
(3)主たる事務所の所在地
(4)設立時社員の氏名又は名称及び住所
(5)社員の資格の得喪に関する規定
(6)公告方法
(7)事業年度

なお、以下に挙げる3つの項目については、定款に記載していても無効となります。

(1)一般社団法人の社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め
(2)法の規定により社員総会の決議を必要とする事項について,理事,理事会その他の社員総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定め
(3)社員総会において決議をする事項の全部につき社員が議決権を行使することができない旨の定款の定め
参考:一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A | 法務局

手順3:定款認証

登記申請するには、認証を受けた定款が必要です。定款の認証を受けるには、公証役場へ行き、公証人に定款認証の手続きを行なってもらいます。 定款認証を受ける方法としては3つあります。

  1. 設立時社員全員で認証を受ける
  2. 設立時社員のうち一部が代理で認証を受ける(定款認証委任状が必要)
  3. 第三者に委任して認証を受ける(定款認証委任状が必要)

定款認証の手数料は、政令で5万円と定められています。その他に付随する手数料が、数千円程度発生します。

参考:公証事務 | 日本公証人連合会

手順4:登録書類の作成

定款が認証されたら法務局へに設立登記しに行くため、登録書類の作成に取り掛かります。

  • 「設立登記申請書」
  • 「設立時決議書」
  • 「設立時役員選定書」
  • 「就任承諾書」
  • 「別紙」
  • 「印鑑届書」

各書類のフォーマットは、法務局のホームページからダウンロードできます。

参考:商業・法人登記の申請書様式 | 法務局

また、申請書を簡単に作成したいならオンライン申請システムが便利です。このシステムを利用する際は、申請用総合ソフトをダウンロードしましょう。詳しくは下記のリンク先から確認できます。

参考:登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出について | 法務省

手順5:登記申請

必要書類が揃ったら、法務局へ登記申請に行きます。なお、申請を行った日が一般社団法人が設立日となります。設立登記を申請した日から手続きが完了するまでの期間は、概ね1〜2週間程度かかると見ておきましょう。

一般社団法人を設立した後の手続き・税務

設立後は税金や雇用関係の手続きを進めます
設立後は税金や雇用関係の手続きを進めます

ここまで一般社団法人の概要と設立の流れを見てきました。ここからは設立した後の手続きや税務を確認していきましょう。

税金関係の手続き

税務署に法人設立届出書など、必要書類を提出します。それぞれの書類について提出期限がありますので、期限内に忘れず提出できるよう準備しましょう。

このほか青色申告を予定している場合、青色申告の承認申請が必要です。また収益事業を行う場合は、都道府県税事務所と市町村役所に「法人設立届出書」を提出します。

雇用関係の手続き

公共職業安定所・労働基準監督署・税務署に対して、以下の雇用関係書類を提出します。

社会保険関係の手続き

社会保険関係の下記の書類を年金事務所へ提出します。

監修税理士からのコメント

進藤崇 - 東京都中野区新井

一般社団法人の設立は株式会社と比べて難しいということはありません。起業をする際にはまず株式会社、合同会社を検討することから始まりますが、選択肢の一つとして一般社団法人も検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

2017年10月に独立・開業いたしました。会社の税務顧問・記帳代行はもちろんのこと、個人の確定申告、相続税の相談申告を承っています。 また、ファイナンシャル・プランナーの資格もありますので、個人のライフプランニングについてもご相談ください。