「領収書はいつまで保管すればいいの?」「領収書を捨ててもいい条件は?」などの悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
領収書の保管期間は原則として、個人事業主・法人を問わず7年が基本です。ただし確定申告の種別や、繰越欠損金の控除適用などに応じて保管期間が異なるケースもあります。
個人事業主と法人それぞれの各パターン別に領収書の保管期間を解説します。
この記事を監修した税理士
安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通
領収書の保管期間|個人事業主【7年が基本】
個人事業主における領収書の保管期間は、青色申告者が「7年」白色申告者が「5年」と所得税法によって定められています。領収書は所得の額にかかわらず保管しなければなりません。保管期間の起算点はいずれも確定申告の期日です。
青色申告の場合は7年
青色申告の場合は領収書の保管期間は「7年」です。このとき領収書は「現金預金取引等関係書類」に該当します。
ただし例外として、2年前の所得が300万円以下であれば保管期間は「5年」になります。
白色申告の場合は5年
白色申告の場合、領収書の保管期間は「5年」と定められています。
しかし、可能であれば「7年」保存しておくとよいでしょう。これは仕訳帳や総勘定元帳など、帳簿書類の保存期間が「7年」と定められているためです。もしも帳簿の内容に不備があった場合、領収書を元にして照合することとなることからも、保存しておいたほうが安心といえるでしょう。
保管期間の起算点は確定申告の期日
個人事業主における領収書保管期間の起算点は、青色申告・白色申告関係なく「確定申告の期日」になります。領収書の発行日が起算点ではないので注意しておきましょう。
【保管期間の具体例】
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領収書の保管期間|法人【税法上は7年が基本・10年で安心】
法人における領収書は「帳簿書類」に該当し、保管期間は法人税法で「7年」と定められています。大法人や中小法人といった種別にかかわらず、すべての法人で7年間にわたって保存しなければなりません。保管期間の起算点は法人税の申告期限日です。
保管期間の起算点は法人税申告期限日
法人における領収書の保管期間は「法人税申告期限日」を起算点とします。個人事業主と同様、領収書の発行日が起算点ではないので注意してください。
【保管期間の具体例】
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法人は決算月で法人税申告の提出期限が変わること(基本的に決算日から2ヶ月以内に提出)も、留意しておきましょう。
繰越控除を適用する場合は10年
赤字を次年度移行に繰り越す「欠損金の繰越控除」を適用する場合、領収書の保管期間は「10年」になります。
これは欠損金の繰越控除を行なえる期間が「10年間」となっているためです。また会社法でも「会計帳簿及びその事業に関する重要な書類」と「計算書類及びその附属明細書」の保管義務が「10年間」と定められています。
法人の場合は決算書や総勘定元帳などの帳簿も含め、領収書を10年保管しておくとよいでしょう。
医療法人も法人に含まれる
医療法人も法人に含まれるため、領収書の保存期間は法人と同じ「7年」です。また欠損金の繰越控除を利用している場合は「10年」になります。
注意点として、個人事業の医療機関の場合は個人事業主と同じ基準になります。つまり確定申告期限の翌日である3月16日から7年間保存しなければならない点に、留意しておきましょう。
医療法人も個人事業も7年保存に変わりなく、あくまで起算点が異なるだけです。
仕入れ税額控除を行なっている場合は7年保管する必要がある
仕入れ税額控除を行なっている場合は、領収書を7年間保存する必要があります。仕入税額控除とは、仕入にかかった消費税を支払うべき消費税から控除できる制度のこと。領収書の保管期間は消費税法によって定められています。
【仕入税額控除の具体例】
1. 家具を11,000円で仕入れた(消費税は1,000円) |
2. 家具を14,300円で販売した(消費税は1,300円) |
3. 納める消費税は1,300円(仮受消費税)-1,000円(仮払消費税)=300円 |
上記の例をもとに考えると、仕入税額控除を利用しない場合は1,300円の消費税を納めなければなりません。領収書の保管がない場合は、仕入税額控除が認められない可能性が考えられます。
なお領収書の金額が税込30,000円未満の場合※や、やむを得ず請求書を受領できなかった場合には保存義務がありません。
※インボイス制度(2023年10月1日に開始)においては、金額にかかわらず全ての領収書を7年間保管する必要があります。
領収書の保管方法
領収書は紙での保管が基本ですが、電子化して保管する方法もあります。電子化して保存するには事前の準備・手続きが欠かせません。
領収書は紙で保存するのが原則
領収書は受け取った原本を原則、紙で保管しなければなりません。効率的に紙として保存するには、A4用紙の紙に領収書・レシートを貼り付けてサイズを揃え、ファイリングすることをおすすめします。
領収書・レシートのサイズは統一されていないので、バラバラのままだと保管しにくいです。大きさを統一することで保管しやすくなり、見返す際も目当ての領収書を探しやすくなるでしょう。
領収書を電子化して保管するには?
電子帳簿保存法により、要件を満たせば領収書を電子化して保存することも可能です。電子帳簿保存法を適用するためには「真実性の確保」と「可視性の確保」の準備をしなければなりません。
簡潔に説明すると、下記の準備を行なえば電子化に移行できます。
【電子保存への移行手順】
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なお従来は承認申請書を所轄の税務署長に提出する必要がありましたが、2022年1月に施行された電子帳簿保存法改正により、事前承認の届け出自体が廃止されました。
保管期間を過ぎた領収書の処理方法
保管期間を過ぎた領収書の処理方法は紙・電子データで異なります。いずれも確実に破棄するのがポイントです。
【保管期間を過ぎた「紙」の領収書の処理方法】
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【保管期間を過ぎた「電子データ」の領収書の処理方法】
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領収書や帳簿書類は、保管期間を超えたら必ず処理しないといけない訳ではありません。たとえば決算書などの重要書類は税法上の保存期間が過ぎても残しておくのが望ましいでしょう。
あくまで保存期間までキチンと管理・保管しておくことが大切で、その後に処分するかどうかの判断は自由です。
領収書の保管期間|家庭【5年が基本】
保管書類 | ||
5年保存 | 公共料金(水道・ガス・電気)の領収書 | 医療費の領収書 |
すぐ処分~1週間 | スーパーのレシート | キャッシュカードの明細など |
家庭の領収書の保管期間においては5年が基本になります。5年保存が目安の公共料金における起算点は、支払った月の領収書分からです。つまり支払い月分の領収書において、5年は保管しておくと良いでしょう。
医療費においては、医療費控除の申告期間が5年なので、5年間の保存を目安としましょう。スーパーのレシートは家計簿へ内容を記入したり、スキャンしてアプリで管理したりすれば、破棄して構いません。
ただ返品や交換の必要がないとハッキリ認識したうえで、破棄しましょう。スーパーやコンビニのレシートは溜まる一方なので、定期的に破棄していくことが大切です。
なお家電の領収書など保証期間が定められているものは、保証期間が過ぎるまではとっておきましょう。
監修税理士からのコメント
安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通
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安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通