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【事業計画書の作り方】必ず記載すべき項目と説得力UPのポイント!

最終更新日: 2024年06月28日

新しいビジネスを始めようとするとき、重要なのは「いかに資金を集めるか」。そのために必要不可欠なのが「事業計画書」です。事業計画書にはどんな内容を記載すべきなのでしょうか。また、説得力のある計画書にするために抑えるべきポイント、参考にできる事業分野別のテンプレートもご紹介します。

この記事を監修した税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

事業計画書とは

事業計画書を資金の融資申請などで必要な書類です
事業計画書は資金の融資申請などで必要な書類です

そもそも事業計画書とは、どのようなものなのでしょうか。その目的や、必要な場面などを知っておくと、おのずと何を記載すべきか見えてきます。融資を得るだけではない、事業計画書作成のメリットも知っておきましょう。

事業計画書とは?その目的

事業計画書とは、これから行う事業に関する計画を書いた書類です。事業の内容、進め方、将来性、売上の見込みなどを、事業について知らない人にもわかるように、具体的に記載します。

事業計画書を作成する目的は大きく2つ。「資金調達」と「事業の客観的な分析」です。

資金調達の場面では、事業説明の際に金融機関や投資家に提示され、投資するべきか否かを判断するための材料の一つとして使われます。相手を納得させ「融資したい」「投資したい」と思わせる事業計画書になっていなければ、事業計画書を作る意味はありません。

また、創業時、思いついたアイデアをどのように成功させるかをシミュレーションするためにも、有効です。目に見えないアイデアを目に見える形にすることで、事業を客観的に見ることができるため、事業をビジネスとして進化させるツールになってくれます。

事業計画書が必要とされる場面

法律などで作成が義務付けられているわけではありませんが、事業計画書が必要とされる場面も多くあります。

具体的には、融資や投資を受ける場合です。どんな事業を行うにせよ、必要になるのが資金です。その資金を調達するための判断基準になるのが事業計画書。金融機関の融資やベンチャーキャピタルからの投資を受ける際には、必ず事業計画書の提出を求められます。

特に実績のない創業時でも融資が受けられる日本政策金融公庫での融資申請では、事業計画書は重要な判断要素。書き方一つで、融資が受けられるかどうかが決まってしまいます。

事業計画書を作成することのメリットは?

事業計画書には、事業内容だけでなく、どのように事業を進め、売上を見込むのかを記載しますが、そこにはきちんとした裏付けが必要です。

誰もが納得する事業計画書とするためには、事業の将来性だけでなく、市場や競合などの環境、戦略、リスクなどを調べ、シミュレーションした上で、進め方を明記しなければなりません。

今でこそ、資金調達時に作成するものと思われがちな事業企画書ですが、本来の目的は、その名前の通り、事業を成功させるためになにをするかの計画を記載した書類です。しっかりとこれからの事業を見つめ直していくことで、それまでは気づかなかった改善点が見つかることもあります。

特に、事業計画書の作成はスタートアップの企業が事業を成功させるための道筋を明確にするために必要不可欠な作業です。社内向けに作成すれば、会社の方向性や将来性を社員全員で共有することもできます。忙しくても、時間を惜しまず考え、作成していきましょう。

事業計画書のポイント

事業計画書を作成する際は5W2Hを意識します
事業計画書を作成する際は5W2Hを意識します

事業計画書の書き方にはいくつかのポイントがあります。それは、いわゆる「5W2H」をしっかり押さえておくこと。まずは、事業について簡単に5W2Hにあてはめ、その内容を深めるようにするのがおすすめです。よい事業計画書ができれば、資金調達の審査を通過する可能性が格段に高くなります。

Why? 事業のビジョンがストーリーとして描かれているか

まずは「Why?」。なぜ、その事業をやりたいと思ったのかを記載します。

ここで重要なのは「使命感や熱意が伝わるか」です。どうしてもその事業をやりたい気持ちを、その事業をやりたいと思ったきっかけや、目指す姿などをストーリーとして展開することで、強く印象づけるようにします。

Whom? 誰のためのサービスか?顧客のニーズが明確化されているか?

次に「Whom?」。事業の顧客です。

誰のために事業を行うのか、その事業はターゲットのニーズにあっているのか、を明確にします。

たとえターゲットが明確でも、ニーズに合わないサービスは成功しません。顧客になる人に求められているかどうかを、市場の動向やトレンドなどからニーズとして捉え、それらのデータを裏付けとして記載します。

Where? マーケット規模、競合企業のリサーチが落とし込まれているか?

「Where?」はどこで事業を展開するか、です。実施する事業のターゲットとなる顧客がどこにどのくらいいるのか、また、競合する企業にはどんなところがあって、その企業との違いは何か、どのように差別化するか、などを記載します。

マーケットの規模がわからなければ、売上予測はできません。また、似たような事業を行っている競合がすでに大きなシェアを占めているのであれば、事業の成長はかなり難しいでしょう。

しっかりとリサーチをして対策を練っておくことが、事業の成功につながります。

What? 何をどう売る?ビジネスモデルはできているか?

「What?」では、何をどのように提供するのかというビジネスモデルを記載します。

ビジネスモデルを決める際は、継続して売っていけるか、独自性があるかなど、事業として成り立つかどうかを考えておく必要があります。

When? いつ、どのくらいのスピード感を持って事業を成長させるのか?

「When?」は事業展開のスケジュールです。いつから事業を始めるのか、いつごろまでに軌道に乗せたいと考えているのか、などを明確にします。

早すぎても現実味が薄くなるし、ゆっくりしすぎると、融資した資金の回収が見込めないと判断されることにもなりかねません。

実現性の高いスピード感を想定しておくことが重要です。

How much? 資金計画とその裏付けは説明できるか?

「How much?」は重要な資金面についてです。どのくらいの資金が必要なのか、また、どのくらいの売上が見込めるか、を記載します。

事業を開始するための資金については、必要な資材や人件費などをきちんと積み上げて提示します。

売上予測は、顧客層や市場規模のほか、同業他社の事例などのデータをもとに、誰もが納得する裏付けに基づいた実現可能な数字にすることが重要です。いつ頃から利益がでて、どのくらい返済ができるかなども記載しておくと融資の判断材料になります。

How to? どうやる?リスクと解決策が示されているか?

「How to?」では、どのように事業を展開していくかの戦略を記載します。どんな技術を使うのか、自社ならではのノウハウは何かなどの優位性だけでなく、予想されるリスクとその解決策が考えられているかもポイントです。

事業は、常に順調に進んでいくわけではありません。競合他社の状況だけでなく、社会情勢の変化などから想定されるリスクを複数あげた上で、自社の優位性や特徴を生かしてどのように対応していくのかを示しましょう。

【絶対に外せない】事業計画書の必須項目12

事業計画書には12の必須項目を記載します
事業計画書には12の必須項目を記載します

事業計画書には決まったフォーマットがあるわけではありません。金融機関などでは、必要情報を不足なく記載してもらえるようフォーマットを提示される場合もありますが、前述したポイントが抑えられていれば、欄を増やしたりしても問題はありません。

それでも、事業計画書に記載したほうがいい項目があるのも確か。ポイントを抑えつつ、必須項目を盛り込むようにしましょう。

創業者(企業)のプロフィール

まずは、事業を行う企業や、自分について記載します。学歴や職歴などの経歴のほか、行う事業に関連する保有資格を書いておきましょう。

ポイントは、書かれた履歴や資格が、事業を成功させる裏付けになっていること。関連がないことは記載しないようにします。

事業概要

事業について書く項目です。誰に、どんなサービスや商品を提供するのかを明記します。

その際は、サービスや商品にどんな特徴があるのか、そのサービスを知らない人にもわかりやすく書くのが重要です。写真やイラストなどを使って、具体的なイメージを見せるのもおすすめです。

事業の目的、目標

事業を行うことで、何を達成したいのか、目的と目標を記載します。その事業を思いついたきっかけや問題意識も絡めながら、なんとしても、事業を成功させたい、という思いを強く感じさせるように心がけましょう。

具体的な目的を立てるのもポイントの一つです。対象となる顧客や地域の課題解決など、事業に関連するものにしておくとイメージしやすくなります。

商品・サービスの内容・ビジネスモデル

具体的な商品やサービスの内容を詳細に記載します。その際、どのように販売し、収益を得るのか、ビジネスモデルも明示しておきましょう。新しいビジネスモデルを展開する場合は、相手がイメージしにくい場合も多いので、図式化して見せるとわかりやすくなります。

市場規模

顧客はどのくらいいて、どのくらい売れそうなのかが予測できる、市場規模を提示します。市場規模を計算する場合は、既存のマーケティングデータなどを裏付けとしてつけるようにすると、内容に現実味が増します。

競合分析

ライバルとなる企業や商品を分析し、自社商品との比較をします。どこで差別化しているのか、優位性はどこなのかを記載し、競合に勝てる事業であることが伝わるようにしましょう。

マーケティング分析の際よく使われる、SWOT分析(※)を活用するのもおすすめです。

※SWOT分析:強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportuniy)、脅威(Threat)の頭文字をつなげたマーケティングのフレームワーク。自社の内部環境と外部環境の分析を行い、自社の市場機会や課題を見出すために使われる。

マーケティング戦略

良いものであれば売れる、というわけではありません。売れるようにするためには、どのように情報発信し、どこで売っていくのかを明確にしておく必要があります。

顧客の動きや情報源も踏まえたマーケティング戦略を練っておきましょう。

収支計画

事業開始後、どのくらいの売上があり、どのくらいの支出が発生するのかを予測します。見込み客数などをもとに、楽観的な予想ではなく、実現可能な収支計画にすることがポイントです。

売上、売上原価、経費などの項目に分けて表にしておくなど、一定期間の収支の流れが見えるように記載します。

金融機関のホームページでは、収支計画書のテンプレートも配布されています。活用してみると、実際の数字が予測しやすくなります。

【参考】月別収支計画書記入例 | 日本政策金融公庫

 調達計画

事業を行うにあたっては、元となる商品や資源を仕入れる必要があります。必要なものをどのくらい、どのように調達していくのか、仕入れ先や量の計画などを記載します。

さらに、事業に必要な資金とその調達方法についても明記しておきましょう。必要な資金と調達方法が比較できるよう、貸借対照表のような表にまとめると分かりやくなります。

人員計画

事業を行うのに必要なのは商品だけではありません。スタッフをどのように雇用し、配置するか、人員計画も重要になります。当初どのくらいの人員ではじめ、事業の成長に伴いどのくらいの雇用を見込むのか、計画しておきましょう。

事業開発スケジュール

これからサービスや商品を新規開発する場合は、どのようなスケジュールで開発を進めるのかを記載します。いくら有望な商品やサービスだったとしても、開発に時間がかかりすぎるようでは、市場ニーズも変わってしまい、優位性も失われます。

実現可能なスケジュールで、適切な時期に販売が始められるようなスケジュールを組み立てましょう。

取引先の情報

商品開発や生産を支援してくれる取引先だけでなく、商品を購入してくれる販売先が決まっているということは、市場が商品の魅力を感じているという証拠になります。

事業開始後すぐに売上が立つ可能性が高いので、融資審査に通りやすい条件の一つにもなります。

事業計画書のテンプレート・フォーマット

事業計画書はテンプレートを使うと効率的に作成できます
事業計画書はテンプレートを使うと効率的に作成できます

必要な事項や記載のポイントは明らかになったとはいえ、書いたことがない計画書を一から作成するのはなかなか難しいものです。そんなとき活用したいのが事業計画書のテンプレートやフォーマットを活用すること。記入例やサンプルもあるので、参考にもできます。自分の事業分野に近いものを探して、見本にしてみるといいでしょう。

一般的な事業計画書

さまざまな業種の方が活用できる事業計画書は、パワーポイントやエクセル形式のテンプレートが多く配布されています。使いやすいファイル形式のものから、必要な項目を選んで作成すると便利です。

■日本政策金融公庫
銀行などの金融機関では融資が通りにくい、起業する人に事業資金を融資してくれるのが日本政策金融公庫です。融資申し込みの際に必要な書類のダウンロードページに「創業計画書」として事業計画書が配布されています。業種別の実例がPDFでダウンロードできるようにしてあり、どんな内容を記入するとよいか参考にできます。

【参考】借入申込書等ダウンロード | 日本政策金融公庫

■事業計画書雛形
実際に資金調達に成功した事業計画書テンプレートのパワーポイント版です。マーケティングのフレームワークもいくつか入っているので、事業分析にも活用できます。

【参考】事業計画書雛形 | bizocean

※無料テンプレートをダウンロードするためにはbizocean(ビズオーシャン)への会員登録(無料)とログインが必要です。

■事業計画書テンプレート
企画書などの書類を書き慣れていない人は、ページ数の多い事業計画書の作成はかなりハードルが高いかもしれません。こちらのテンプレートは、パワーポイントで7枚とコンパクトにまとめられています。融資の審査ポイントを抑えた項目のみが入っているので、伝えたいことを簡潔に伝えられます。

【参考】事業計画書テンプレート | bizocean

※無料テンプレートをダウンロードするためにはbizocean(ビズオーシャン)への会員登録(無料)とログインが必要です。

■事業計画書作成支援シート
事業計画書自体のテンプレートではありませんが、自己分析や事業コンセプト、市場調査など、事業計画書を作成する前に活用できる各種シートが揃っています。必要なシートで自分の考えや方針、売上計画をあらかじめたてておけば、事業計画書作成がスムーズにすすみます。

【参考】起業創業に役立つ各種書式 | J-Net21

最近では、事業計画書をアプリで作成できるものもありますが、じっくりと考えることが重要なので、テンプレートを活用しながら、自社ならではの事業計画書を作成するのがおすすめです。

■飲食店用の事業計画書
飲食店用の事業計画書には、お店のコンセプトや店舗イメージのほか、原価率や提供予定のメニューなどについても記載します。必要な計算式があらかじめ入っているエクセル形式のテンプレートを使えば、収支計画や売上根拠などを入力するだけで、必要な計画書が出来上がります。

【参考】飲食店事業計画書テンプレート | bizocean

※無料テンプレートをダウンロードするためにはbizocean(ビズオーシャン)への会員登録(無料)とログインが必要です。

理美容室・サロン用の事業計画書

サロン開業の方が使いやすい事業計画書です。pdf形式になっており、出力して、記入するようになっています。経歴や経験年数のほか、店舗のコンセプト、ターゲットなど、開業したい理美容室・サロンのイメージをしっかり固めるのにも役立ちます。

【参考】サロン開業支援テンプレート 事業計画書 | サロン開業支援

不動産事業用の事業計画書

エクセル形式で、あらかじめ必要な計算式が入っている事業計画書のテンプレートです。記載されている内容を埋めていくだけで、必要事項が漏れなく入った事業計画書を作成することができます。

【参考】不動産業用事業計画書テンプレート | bizocean

※無料テンプレートをダウンロードするためにはbizocean(ビズオーシャン)への会員登録(無料)とログインが必要です。

作成時のチェックポイント3つ

分かりやすく、具体的な計画を記載するのが重要なポイントです
分かりやすく、具体的な計画を記載するのが重要なポイントです

今はまだない事業に対して融資する側は、お金がきちんと返済されるかを判断する必要があります。返済義務がない投資であっても、将来成長する可能性が高い事業であることを伝えるためには、分かりやすく、具体的な事業計画書にすることが重要です。投資したいと思ってもらうための、大切なポイントを押さえておきましょう。

ポイント1.端的にわかりやすく

事業への想いが強ければ強いだけ、多くの言葉を連ねてしまいがちですが、長い文章を続けても、相手には伝わりません。

伝わる事業計画書を作成するためには、自社の強みや優位点、事業の特徴など、ポイントを絞って端的に記載することが重要です。

箇条書きにしたり、重要なことを大きくするなど、ひと目で伝えたいことがわかるようにしましょう。表にしたり、図にしたりするのも、分かりやすくなるポイントです。

作成した後は、誰かに見てもらい、先を読み進めたいか、分かりやすいか、確認してもらいましょう。また、しっかりした事業計画書を作成した後、1枚のテンプレートにまとめたものを作成するのもおすすめです。一番伝えたいこと、伝えるべきことがより明確になります。

ポイント2.具体的な行動計画

開発計画や事業展開計画など、どのように事業を行っていくのかを記載した行動計画は、できるだけ具体的に書くようにします。いつ、誰が、どのように、何をするのか、が明記されていれば、事業計画書を見る人にとって、具体的な動きをイメージしやすくなります。

ポイント3.自社の課題の明確化

事業は常にスムーズに成長していくわけではありません。事前に自社の課題を明確にしておくことで、経営課題を乗り越えるための準備もできます。

ここで役立つのが競合分析。競合と比較することで自社の課題を明確にできれば、事業を継続するための対策も見えてきます。

課題が明確になっている事業は、客観的な視点で事業運営ができているとみなされ、融資審査でも有利になります。

この記事を監修した税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

宮澤明宏(みやざわあきひろ)公認会計士・税理士・相続診断士 1976年 愛知県丹羽郡出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。 2018年11月税理士登録。 税理士登録後、ミツモアを通じて半年間で20件以上の確定申告業務を受託。デザイナー、一人親方、小売、ITエンジニア、不動産業等、多様な業種のお客様に対して丁寧なサービスを提供している。また、相続診断士として活動しており、エンディングノートの書き方セミナーを通じて「生前から相続へ備えることの大切さ」を多くの人に広める活動を行っている。

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