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【税理士監修】経営者必読!法人税の減価償却を用いた節税を解説

最終更新日: 2024年06月28日

最近売上は上がってきたが、思うように利益に繋がっていないことを懸念されている経営者の方もいらっしゃることでしょう。また、節税対策として、これまで真剣に向き合ってこなかった減価償却を見直したいと考えている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、減価償却は、仕組みが複雑でわかりにくいのが現状です。

そこで今回の記事では、減価償却の仕組みを理解し、法人税の節税に大きく活かすためのノウハウをお伝えします。

この記事を監修した税理士

EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木

東京港区で、11年目を迎えた会計事務所です。公認会計士2名・税理士2名が所属しています。個人、法人問わず、税務顧問を始め、確定申告、 経理アウトソーシング、会社設立、相続、など会計事務所を主軸に会計・税務のみに留まらないサービスをお客様にお届けしております。海外財産、海外不動産、仮想通貨など、複雑な申告もお任せください。

減価償却を簡単に解説!

減価償却について簡単に解説!
減価償却について理解しよう!

事業を行う中で購入した、車や設備などは経費として損金算入することが可能です。

しかし購入した年に全額損金算入するわけではなく、減価償却のルールに従い複数年に分けて経費計上します。

車や設備などの固定資産は金額が大きく、法人税の節税のために大きなポイントとなります。

以下で減価償却について、しっかり理解していきましょう。

減価償却とは

固定資産の多くは当期のみ使用するわけではなく、数年にわたり継続して使用していく場合がほとんどです。

そこで固定資産を取得した段階で全額経費計上せず、法定耐用年数に応じて「減価償却費」として分割し経費計上させていきます。

この方法を減価償却といい、上手く活用することで数年に渡って法人税の節税を行うことが可能になります。

減価償却の計算方法

減価償却には「定額法」と「定率法」のいずれかの計算方法を採用する企業が多いです。

それぞれについて見ていきましょう。

定額法

定額法とは、毎年同じ金額を費用として計上する方法です。

毎年同じ金額を計上していくので、計算がしやすく計画が立てやすいのが特徴です。

例)事業年度の最初の月に、2,000,000円の設備を購入した場合(耐用年数:10年)

期首の残高 減価償却費 期末の残高
1年目 2,000,000 200,000 1,800,000
2年目 1,800,000 200,000 1,600,000
3年目 1,600,000 200,000 1,400,000

定率法

定率法は、残りの資産価値に対し一定の割合で減価償却する方法です。

残りの資産価値は最初の年の方が大きいため、購入直後は減価償却費が大きくなり、時間が経つほど減少していきます。

ただし定率法を行うためには、個人の場合、その年の3月15日まで、法人の場合で設立初年度の場合、設立第1期の確定申告書の提出期限まで、その後は、各事業年度の確定申告書の提出期限までに、税務署に届け出が必要となります。

例)事業年度の最初の月に、2,000,000円の設備を購入した場合(耐用年数:10年、償却率:0.2)

期首の残高 減価償却費 期末の残高
1年目 2,000,000 400,000 1,600,000
2年目 1,600,000 320,000 1,280,000
3年目 1,280,000 256,000 1,024,000

参考:国税庁

減価償却の対象

固定資産が減価償却の対象となることはお伝えしましたが、具体的にどのような資産が対象となるのでしょうか?

主だった償却性資産について、国税局が定める耐用年数表(対象資産と耐用年数の一覧)を以下にまとめます。

資産種類 対象資産 耐用年数
有形固定資産 ・建物

・構築物(ドック、橋など)

・機械、搬送設備など

・船舶

・航空機

・車両及び運搬具

・工具、器具及び備品

・11年~50年

・5年~17年

・3年~17年

・4年~15年

・5年~10年

・2年~6年

・2年~20年

無形固定資産 ・漁業権

・水利権

・特許権

・実用新案権

・意匠権

・商標権

・ソフトウェア(購入/製作)

・営業権

・水道施設利用権

・10年

・20年

・8年

・5年

・7年

・10年

・5年

・5年

・15年

生物 ・牛、馬、豚、羊、やぎ

・かんきつ樹、リンゴ樹、ふどう樹

・茶樹、オリーブ樹、みつまたなど

・3年~8年

・12年~30年

・5年~34年

このように資産の種類によって耐用年数は細かく決められています。

固定資産は、営業権や商標権なども無形固定資産も含まれるため、どの様なものが固定資産に該当するのか再度確認しておく必要があります。

参考:国税庁

減価償却のメリットと注意点

減価償却のメリット
減価償却をメリットを活用してしっかり節税!

減価償却のメリット

減価償却のメリットは以下の2つです。

  1. 毎年費用として経費計上が可能
  2. 減価償却によって取得した資産の帳簿価格が減少し、当該資産の売却時に利益を得ることができる

1.毎年費用として経費計上が可能

前述したとおり、固定資産は取得した段階で全額経費計上せず、耐用年数内で毎年減価償却費として計上し、利益を減らし法人税を抑えることが可能になります。

固定資産の耐用年数を意識しながら、減価償却を上手く組み合わせていけば毎年節税に繋げていくこともできます。

2.減価償却の実施で、資産売却時に利益を得ることができる

減価償却を行う固定資産の売却時の計算は以下のようになります。

例)10年前に1,000万円で購入した設備を700万円で売却し、売却時の減価償却累計額は500万円だった。

  • 1,000万円(取得金額)-500万円(減価償却累計額)=500万円(帳簿上の価格)
  • 700万円(売却金額)-500万円(帳簿上の価格)=200万円(固定資産売却益)

このように減価償却を行い、売却金額が帳簿上の価格を上回れば利益を得ることができます。

ただし利益を得ると、所得税が課税されることに注意してください。

減価償却の注意点

それでは減価償却を活用することで法人税の節税に繋がるため、積極的に固定資産を購入していけばよいのでしょうか?

以下で例を用いて考えてみます。

パターン①:減価償却を活用しない場合

  • 手元のキャッシュ:500万円
  • 当期の利益:500万円
  • 固定資産購入金額:0円
  • 税金:200万円

500万円(手元のキャッシュ)+500万円(当期の利益)-200万円(税金)=800万円(期末のお金)

パターン②:減価償却を活用した場合

  • 手元のキャッシュ:500万円
  • 当期の利益500万円
  • 固定資産購入金額:200万円
  • 税金:100万円

500万円(手元のキャッシュ)+500万円(当期の利益)-200万円(固定資産購入金額)-100万円(税金)=700万円(期末のお金)

当期末に残った金額を見てみると、減価償却を活用した場合の方が、期末に残るお金が少なくなりました。

減価償却は次期以降も実施されますが、不必要に支出を増やすとかえって手元のお金が減ってしまうことがあります。

会社の目的は利益を上げることで、節税は二次的な目的であることを忘れないようにしてください。

減価償却での節税法4選

減価償却での節税法4選
減価償却を賢く使いしっかり節税!

減価償却は当期だけではなく、耐用年数に応じて毎年費用として計上できるため、有効な節税方法の一つです。

ただし前述した通り、不必要に減価償却費を増やすため固定資産の購入を行うと、手元のお金が減ってしまいます。

それでは減価償却で賢く法人税を節税する方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

以下で詳しく見ていきます。

節税の目的

会社経営の一番の目的は利益の最大化であって、節税を行うことではありません。

節税を行うのは、売上が立って利益が想像以上に伸び、できるだけ有利な処理方法を選択し、税金の支払いを少なくするためではないでしょうか?

節税の目的をはっきりさせ、節税を検討していきましょう。

会社が黒字の時は減価償却費を増やす

会社が黒字の時は積極的に減価償却を増やしてもいいでしょう。

もちろん、不必要な固定資産の購入ではなく、今使わなくても将来的に使用することがわかっている固定資産の購入を、黒字の時に実施していきましょう。

会社が黒字の時は少しでも支払う税金を抑えるために、減価償却費をしっかり計上し、将来も継続して節税できるよう土壌を整えていくのが得策です。

使用年数と法定耐用年数から考える

固定資産を購入する場合、使用する年数がどれくらいか、法定耐用年数がどれくらいかを把握しておくといいでしょう。

近年は技術の進歩も著しく、法定耐用年数が10年であっても5年で売却し、生産性を上げるため新たに固定資産を購入した方がいい場合もあります。

この場合、早めに売却する方が合理的といえるでしょう。

また来期以降は黒字が想定される場合は、耐用年数を踏まえた上で設備投資で固定資産を購入し、減価償却を行っていきましょう。

その際、固定資産の購入金額や償却金額によって、定額法か定率法のどちらが節税効果が高いかしっかり検討してみましょう。

中古を購入する

中古の固定資産を購入することで節税に繋げることができます。

以下の2つの例でシミュレーションしてみましょう。

パターン①:事業年度の最初の月に、新車700万円を購入した場合

  • 耐用年数:6年
  • 償却率:0.333

700万円×0.333=2,331,000円

新車を購入し、1年目は2,331,000円が減価償却でき、経費として計上できます。

パターン②:事業年度の最初の月に、4年落ちの中古車を400万円で購入した場合

ここでの注意点は中古車の耐用年数の計算方法が少し特殊なことです。

  • 中古車の耐用年数の計算方法:(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)

今回のパターンは4年落ちのため、

(6年-4年)+(4年×20%)=2.8年 ⇒1年未満は切り捨てで、耐用年数は2年

耐用年数2年の車の減価償却の償却率は、1.0であるため、実際は、車の購入金額の全額がその事業年度に減価償却費として計上できます。

車の場合、新車よりも中古車を購入することで大幅に節税効果を得られます。

参考:国税庁 

少額減価償却資産の一括経費算入

青色申告者の方(法人など)の場合、少額の固定資産のうち1個あたり30万円未満であれば、購入した年に一括経費計上することが可能です。

これを少額減価償却資産の特例といいます。

しかし、このような少額の固定資産は必ずしも一括計上しなければならないわけではありません。

つまり利益が多い年は少額減価償却資産の特例の活用し、利益が少ない年は固定資産として法定耐用年数で減価償却することが可能です。

ただし、少額減価償却資産の特例には、年間の限度額が規定されています。 少額減価償却資産の特例を適用できるのは、1年間(12ヶ月)で、取得価額の合計300万円までとされており、それを超える分については適用できません。

決算の状況で使い分けていきましょう。

監修税理士のコメント

EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木

減価償却費は、地味な経費で節税効果も限られていますが、そもそも節税はバントヒットです。 少額減価償却資産になるのか、定額法がいいのか、定率法が良いのかを、こまめに考えていくと良いでしょう。 その習慣が、帳簿に対する意識を高めて、財務に対する意識を変えていきます。 地味だからといって軽視せずに、着実に進めることが大切です。

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