雨漏りを放置すると、建物の構造部分にまで被害が拡大するため、早急な修理が必要です。
しかし、修理費用が高額にならないか、費用を抑える方法はないか、自分で修理できるかなど、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事ではこれから雨漏りを修理する方に向けて、修理方法や費用、安く抑えるコツから、業者を選ぶポイントまで、修理を進めるために必要な情報を網羅的に解説しています。
雨漏りはDIYで修理できる?
雨漏りをDIYで修理するのは、リスクがあり大変危険です。雨漏りの修理は専門業者に依頼することをおすすめします。
雨漏りの修理は一見簡単に見えるかもしれませんが、大変高度な作業です。雨水の浸入経路を見つけるのはプロでも難しく、建物の構造部分を補修する必要があるため、下手に手をつけると逆に被害が拡大してしまうこともあります。
また雨漏りは、被害が生じている箇所だけを補修すればよいのではなく、雨漏りによる間接的な被害状況を確認することも大切です。屋根の雨漏りが原因で、柱や内壁が腐食してしまうケースもよくあるためです。
業者への依頼は費用がかかってしまいますが、作業後の保証もあり、何かあったときのアフターフォローを受けることも可能です。
雨漏りの修理箇所・費用相場
雨漏りの修理に必要な費用は、修理する箇所や損傷の具合によって大きく異なります。以下の表に、修理箇所別の費用相場をまとめました。
修理箇所 | 工事内容 | 修理費用 |
---|---|---|
屋根 | 屋根材の修理 | 2〜6万円 |
屋根棟の交換 | 10〜20万円 | |
雨樋の交換 | 3〜10万円 | |
外壁 | ひび割れの修理 | 5〜10万円 |
コーキングの打ち替え | 2〜5万円 | |
換気口の設置 | 4〜7万円 | |
ベランダ/バルコニー | 排水口の掃除 | 0円(自身で掃除) |
ベランダの防水工事 | 10〜20万円 | |
屋上 | 防水シートの交換 | 10〜20万円 |
ドレンの修理 | 20万円〜 | |
窓枠・開口部 | サッシ周囲の補修 | 3~5万円 |
雨戸の修理 | 10〜20万円 |
修理箇所別の費用相場について、それぞれ解説します。
屋根の雨漏り修理の費用相場
工事内容 | 修理費用 | 修理内容 |
---|---|---|
屋根材の修理 | 2〜6万円 | 部分的な屋根材の差し替えやズレを元に戻す修理 |
屋根棟の交換 | 10〜20万円 | 屋根棟や板金の交換を行い、雨水の流れを改善する修理 |
雨樋の交換 | 3〜10万円 | 雨樋の部分または全体を交換し、排水機能を回復させる修理 |
屋根の雨漏り修理の方法は、上記の3つです。
屋根棟の交換は、屋根全体の雨水の流れを改善する工事になるため、修理費用が10〜20万円と比較的高額になります。
屋根材の修理と雨樋の交換に関しては、劣化の初期段階で修理することができると、修理費用も安く済みます。
外壁の雨漏り修理の費用相場
工事内容 | 修理費用 | 詳細 |
---|---|---|
ひび割れの修理 | 5〜10万円 | 外壁のひび割れを補修する修理 |
コーキングの打ち替え | 2〜5万円 | 新しいコーキング材を充填する修理 |
換気口の設置 | 4〜7万円 | 外壁の結露を防ぐため、換気口を取り付ける修理 |
外壁が原因となる雨漏りの修理費用は、いずれも10万円以下に抑えることができます。
ひび割れ修理やコーキングの打ち替えは、自分自身でも行えるものがありますが、道具を調達する手間やミスするリスクを踏まえると、業者に依頼した方が賢明です。
比較的安く修理することができるため、劣化が進行する前に業者に修理を依頼するようにしましょう。
ベランダ・バルコニーの雨漏り修理の費用相場
工事内容 | 修理費用 | 詳細 |
---|---|---|
排水口の掃除 | 0円(自身で掃除) | 排水口の詰まりを掃除し、雨漏りを防ぐ処置 |
ベランダの防水工事 | 10〜20万円 | 劣化した防水層を補修し、雨水の浸入を防ぐ修理 |
ベランダやバルコニーからの雨漏りでは、排水機能を回復させることが重要です。
防水工事は、劣化した防水層を新調することになるので、雨漏りのリスクを長期間低減することができます。
防水工事は費用が高額になるため、まずは、排水口のチェックから初めてみてください。
屋上の雨漏り修理の費用相場
工事内容 | 修理費用 | 詳細 |
---|---|---|
防水シートの交換 | 10〜20万円 | 太陽光や鳥害などで劣化した防水シートを新しいものに交換する修理 |
ドレンの修理 | 20万円〜 | 排水能力を向上させ、雨水の排出がスムーズになるようにドレンを改修する修理 |
防水シートとは屋根の裏に設置するもので、屋根からの浸水を防ぐ役割を持っています。住宅は、屋根と防水シートと二層で雨水の侵入や雨漏りを防ぐ仕組みになっており、防水シートの経年劣化が原因で雨漏りが発生している場合は、シートの交換が必要です。
またドレンとは、屋上の雨水を雨樋を通して排水する金具のことです。土砂等が詰まったり、経年劣化が原因でドレン内部に亀裂が入ったりすると、雨水が排水口から漏れて雨漏りにつながってしまいます。
いずれも修理費用は高額ですが、放置をしていると住宅の構造部分にまで被害が広がるため、早めに処置することが重要です。
窓枠・開口部の雨漏り修理の費用相場
工事内容 | 修理費用 | 詳細 |
---|---|---|
サッシ周囲の補修 | 3万円~5万円 | サッシのパッキンや継ぎ目の隙間を埋める修理 |
雨戸の修理 | 10〜20万円 | 雨戸の交換またはシャッターに付け替える修理 |
サッシ周囲や、雨戸といった窓枠や開口部の劣化も雨漏りの原因となりやすい箇所です。
特に外壁とサッシの間は雨水が留まりやすく、境目を埋めるコーキングは経年劣化するため、適宜メンテナンスが必要になります。
自分自身でDIYすることもできますが、道具を調達する手間や修理に失敗するリスクも考え、業者に依頼して修理してもらうようにしましょう。
雨漏り修理で火災保険を適用する方法
雨漏りの修理費用を抑える方法として有効なのが、火災保険です。加入している保険内容次第ですが、場合によっては20万円以上の保険金を受け取ることができる可能性があります。
火災保険は下記の条件を満たす場合に利用できます。
- 雨漏りの原因が自然災害であること
- 雨漏りが生じてから3年以内に申請すること
- 修理費用が免責金額以上であること
雨漏りの原因が台風、暴風、豪雨などの自然災害であるという条件がポイントです。経年劣化が原因で生じた雨漏りは保険の対象外ですのでご注意ください。
また、火災保険は下記の手順で申請することができます。
- 被害状況を保険会社に連絡する
- 業者に現地調査・見積もりを依頼する
- 必要書類を用意・送付する
- 保険会社から被害状況の調査を受ける
- 調査結果を踏まえて保険金額が決まる
必要書類の中には、修理見積書や現地調査の報告書などが上げられます。
これらの書類は、すぐに作成してもらえるものではないため、火災保険の申請をお考えの方は、まずは業者とコンタクトを取るようにしてください。
雨漏りの修理業者を選ぶポイント
雨漏り修理の成否は、業者選びに大きく左右されます。技術のある業者を選べば、雨漏りの原因を的確に特定しながら修理をしてもらうことができます。
業者を選ぶポイントは、下記の通りです。
それぞれのポイントについて、簡単に解説します。
雨漏り診断士の資格を持っているか
どの分野でもそうですが、資格の有無を確認することで業者の技術力を評価することができます。雨漏りの場合は、雨漏りの専門性に特化した「雨漏り診断士」という資格があります。
ほとんどの場合、業者のHPには保有施策が記載されていますので、チェックするようにしてみてください。
雨漏りの原因の調査力があるか
雨漏りは、雨水の経路を特定することが難しいため、業者の調査力を評価することも重要です。調査力の高い業者であれば、目視だけでなく、散水調査や赤外線サーモグラフィー、内視鏡カメラなど、多様な手法を駆使しながら原因を突き止めることができます。
どのような調査を実施してもらえるか、事前にチェックするようにしましょう。
潜在的な雨漏り対策まで行えるか
雨漏りの修理では、現在発生している被害だけでなく、潜在的な問題に対処することが重要です。前述の通り、雨漏りが一度発生すると住宅の躯体にダメージが及んでいる可能性が高く、こうした構造部分に被害が及ぶと住宅の耐震性が低下するため大変危険です。
被害を受けている雨漏りのみならず、将来的な雨漏りのリスクにも対策してもらえる業者に依頼するようにしましょう。
リスク対策に関する実績はすべての業者がHPでアピールしているわけではないため、口コミや評判を通じて、実際の対応を確認してみるとよいでしょう。
雨漏り原因調査の方法・費用相場
雨漏りの原因を正確に特定するためには、適切な調査方法を選ぶことが重要です。
以下の表に、代表的な調査方法とその費用をまとめました。
調査方法 | 費用相場 |
---|---|
目視調査 | 無料 |
散水調査 | 3〜10万円 |
赤外線サーモグラフィー調査 | 10〜30万円 |
内視鏡カメラ調査 | 3〜6万円 |
それぞれの調査手法と費用を紹介します。
目視調査
目視調査は、最もよく実施される調査です。直接屋根や外壁、窓枠を観察し、目に見える破損部や水の痕跡を確認します。
屋根や外壁内部の異常までは把握しきれないため、目視調査で問題が発見できなかった場合は、別の調査を実施することになります。
散水調査
散水調査は、建物の外部に実際に水をかけて雨漏りを再現する手法です。浸水状況を実際に確認することができ、費用は3万円から5万円と比較的安価です。
目視では確認できない微細な亀裂や隙間がある場合に効果的で、目視調査で異常を確認できなかった場合によく実施される調査になります。
赤外線サーモグラフィー調査
赤外線サーモグラフィー調査は、温度差を利用して建物内部の結露や湿気を視覚化する調査です。
赤外線サーモグラフィーを用いることで、肉眼では確認できない湿気の広がりを確認することができます。
特に隠れた漏水の発見に適しているのですが、費用は10万円から30万円と高額です。
雨漏りの原因が広範囲にわたる可能性がある場合や、建築物の構造が複雑な場合に実施されます。
内視鏡カメラ調査
内視鏡カメラ調査は、小型カメラを建物内部に入れて、狭い空間や配管周りの映像から雨漏りの原因を特定する調査です。費用は3万円から6万円程度となり、建物内部のごくわずかな亀裂などの劣化が原因で生じる雨漏りを発見する際に適しています。
雨漏りの原因に心当たりがない方は、様々な調査に対応する業者に依頼するようにしましょう。
雨漏りを修理する前の応急処置
雨漏りの原因がわかっている方とわからない方で適切な応急処置の方法は異なります。
また火災保険の申請を予定している方は、証拠写真と動画撮影をしておくとスムーズに火災保険の手続きを行うことができます。
応急処置の方法について、それぞれ解説します。
雨漏りの原因がわからない方:屋根にビニールシートをかける
雨漏りの原因がわからない方は、屋根にビニールシートをかけておきましょう。雨が降り注ぐ屋根にカバーをかけることで、雨水の侵入を広範囲に防ぐことができます。
ただし、屋根の上での作業は危険なため、屋根の修理業者にシートの設置を依頼するようにしてください。
雨漏りの原因がわかる方:劣化箇所を防水テープで止める
防水テープを、雨漏りの原因と考えられる亀裂や隙間に張り付けましょう。防水テープは、粘着力が強力かつ浸水を防ぐことができるので、雨漏りが発生した時の応急処置にはもってこいです。
特に外壁や窓枠の接合部が原因の雨漏りの処置に適しています。それでも雨漏りの再発が心配な方は、屋根にビニールシートをかけるとよいでしょう。
証拠写真と動画撮影を行う
雨漏りが発生したら、火災保険の申請に備えて被害状況を記録しておくことも重要です。火災保険申請の際には、被災状況がわかる証拠写真の提出を求められます。
雨漏りが発生しているうちに、被災状況がわかる記録を取っておくことで、申請をスムーズに進めることができます。
雨漏り予防に効果的なメンテナンス
雨漏りを未然に防ぐには、定期的なメンテナンスが大切です。
雨漏りの原因になりやすい屋根や外壁、サッシの経年劣化を点検しながら適切にメンテナンスを行いましょう。
ここでは、雨漏りを予防するためのメンテナンス方法を住宅の各部位別に詳しく解説します。
屋根のメンテナンス
屋根は雨漏りの原因となりやすい部分です。瓦やスレートのズレ、ひび割れや、棟板金の釘浮きをチェックしましょう。
自分自身でメンテナンスができるに越したことはありませんが、屋根の作業は危険であるため、業者による定期点検を5年程度に一度受けることをおすすめします。
屋根の劣化状態は自分自身で確認がしづらいので、適切な状態を保つためには、近隣で信頼できる屋根修理業者との関係性を持つことが重要になります。
外壁のメンテナンス
外壁も雨水に直接さらされる部分であり、定期的なメンテナンスが重要です。特に、コーキング材や外壁のひび割れは雨漏りの原因になりやすい劣化症状となります。
ひび割れを未然に防ぐ外壁塗装と、コーキング材の打ち替えは10年に1度行うことが理想です。外壁材がモルタルの住宅はひび割れが、窯業系サイディングの住宅はコーキング材の劣化が起こりやすく、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
ただし外壁塗装の費用相場は80~120万円と高額です。ひび割れを発見したものの、外壁塗装の費用を捻出することが難しい場合は、程度が軽いうちに部分的な補修を行うことをおすすめします。
ベランダ・バルコニーのメンテナンス
ベランダやバルコニーのメンテナンスで重要なのは、排水口の掃除です。排水口の詰まりは天井からの雨漏りの主原因となります。
一度雨漏りが発生すると住宅の構造部分にまでダメージが及びます。そうならないためにも、排水口の掃除は定期的に行うようにしましょう。
また、ベランダを物置として利用している方は、排水口が物で塞がれていないかしっかりチェックするようにしてください。物で塞がれている場合は、排水口に圧力がかかってしまい、排水管の結合部分から漏れが発生し、雨漏りの原因になります。
屋上のメンテナンス
屋上は日光、雨風に最も晒される部分です。ベランダ・バルコニーのメンテナンスと同様に、定期的に掃除を行いながら、排水の妨げになるゴミや落ち葉が溜まらないようにすることが重要です。
屋上の防水層は経年劣化により劣化してしまいます。防水層の状態を定期的に確認し、必要に応じて塗装を行うようにしましょう。
防水塗装には様々な種類がありますが、ウレタン防水は塗布が簡単で、特別な道具がなくても塗装をすることができます。一方で、その手軽さゆえに、施工方法を誤ると防水性能が発揮されないことになります。
DIYを行う場合は入念に手順を確認する、自信がない方は迷わず業者に依頼するようにしてください。
窓枠・開口部のメンテナンス
窓枠や開口部のメンテナンスでは、定期的にコーキングを打ち替えることが重要です。コーキングが劣化していると、窓枠に隙間が生じて雨漏りの原因となります。
外壁と窓枠やサッシといった開口部は完全にくっつけることができず、必ず隙間が生まれます。この隙間を埋めるためにコーキング材を充填するのですが、コーキング材は紫外線により劣化するため定期的なメンテナンスが必要です。
窓枠・開口部は以外にも、雨漏りの原因になりやすい部位です。コーキング材の状態を確認しながら、定期的にメンテナンスを行うようにしてください。
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雨漏りの修理について、修理箇所別の費用相場や調査方法、火災保険を使って安くする方法についてご紹介しました。
雨漏りは原因を特定することが難しく、修理にも専門性が求められるため、慎重に業者を選定することが重要です。
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