引越し先でも固定電話を使う場合に必要な、移転の手続きを理解しておきましょう。早めに手続きをしておかなければ、電話が使えない期間が発生する恐れもあります。引越しに伴う固定電話の移転方法に加え、携帯電話の手続きについても解説します。
固定電話の引越しの予備知識
NTT固定電話の引越し手続きを行う際に、知っておきたい予備知識を紹介します。住所を管轄する会社の違いや、電話番号が変わらない条件を理解しましょう。
固定電話はNTT東日本・西日本が管理
NTT固定電話はNTT東日本とNTT西日本が、それぞれのサービス提供エリアで管理しています。NTT東日本・西日本が管轄する都道府県は以下の通りです。
NTT東日本:
- 北海道地方:北海道
- 東北地方:青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島
- 関東甲信越地方:茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨・長野・新潟
NTT西日本
- 北陸地方:富山・石川・福井
- 東海地方:岐阜・静岡・愛知・三重
- 関西地方:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山
- 中国地方:鳥取・島根・岡山・広島・山口
- 四国地方:徳島・香川・愛媛・高知
- 九州・沖縄地方:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄
管轄が変わるケースと変わらないケースで、固定電話の引越し手続きが異なります。まずは引越し前後の住所地が、どちらに属しているのかを確認しましょう。
同一市区町村なら基本的に番号はそのまま
同一市区町村内で引っ越す場合、NTT固定電話の番号は引っ越し後も変わりません。基本的には現在の番号を引き続き利用できます。
ただし収容局が違うエリアに引っ越すケースでは、同じ自治体の中で引っ越しても電話番号が変わります。
電話番号が変わるかどうか確認したい場合は、局番なしの116(NTT東日本・西日本共通)に問い合わせてみましょう。NTT以外の固定電話や携帯電話からは、以下のフリーダイヤルに電話をかけて確認できます。
- NTT東日本:0120-116-000
- NTT西日本:0800-2000116
固定電話の引越し手続きは3通り
NTT固定電話の引越しに関する手続き方法は3種類あります。引越し先により手続きが変わるため、事前に管轄エリアを確認しておきましょう。
- 同一市町村内の引越し
- 同一NTTエリア内の引越し
- NTT東日本・西日本をまたぐ引越し
同一市町村内の引越し
引越し後に電話番号が変わる場合は、NTT固定電話の移転手続きを行わなければなりません。同一市町村区内での引越しでは電話番号が変わらないため、移転手続きは不要です。
ただし電話番号の変更がなくても、住所が変わる場合は住所変更手続きをしなければいけません。NTTに連絡して住所変更の手続きをしておきましょう。
住所変更の手続きは、契約者の氏名・旧住所・新住所や利用中の電話番号を伝えれば、完了します。特別な書類を用意する必要はありません。
同一NTTエリア内での引越し
同一都道府県内の別市区町村へ引っ越す際は、電話番号が変更になる可能性があります。違う番号になる場合は、固定電話の移転手続きをしなければなりません。
またNTT東日本・西日本エリア内で別の都道府県へ引っ越す際は、電話番号が変わるため移転手続きが必要です。管轄のNTTに連絡し、手続きを行いましょう。
同一エリア内で引っ越す際は、電話回線の解約や新規契約は不要ですが、電話番号が変更になるため工事を行う必要があります。
NTT東日本・西日本をまたぐ引越し
NTT東日本とNTT西日本をまたいで引っ越す場合は、管轄エリアが変わります。旧住所の回線を解約し、引越し先を管轄するNTTで新規に契約を行わなければなりません。
電話回線の解約が自動で行われるわけではないので、旧住所で解約を忘れたまま引越し先で新規契約すると、両方から請求されてしまう点に、注意しましょう。
NTT東日本・西日本をまたぐ引越しの移転手続きは、NTT固定電話から116に電話をかけるのがおすすめです。解約と新規契約を一度に行えるため、両方のNTTに連絡する手間がなくなります。
固定電話の引越しのポイント
NTT固定電話の引越し手続きで、気を付けたいポイントを紹介します。特に工事費用や手続きのタイミングについて、理解を深めておきましょう。
問い合わせは電話かインターネットで
NTT固定電話の引越し手続きを行う場合は、局番なしの116に電話をかけましょう。NTT東日本とNTT西日本の両方に共通した番号です。
NTT以外の固定電話や携帯電話なら、フリーダイヤルでの問い合わせが可能です。前述の通りNTT東日本は0120-116-000、NTT西日本は0800-2000116が問い合わせ先の番号となっています。
116とフリーダイヤルのいずれも、受付時間は9:00~17:00です。12月29日~1月3日を除き、土日祝日も受け付けています。
移転手続きはインターネットでも行うことが可能です。電話をかける時間がない人は、24時間受け付けているインターネット手続きを利用しましょう。
工事が必要な場合は費用が発生する
電話番号が変わる引越しの場合は、移転工事が必要です。工事には費用が発生し、作業員が自宅に来るかどうかで金額が大きく異なります。
工事費用の目安は、作業員が自宅に来ないケースで2,200円、自宅に来る場合は11,330円です。機器工事費や屋内配線工事費などの有無も関係するため、実際の金額は状況により異なります。
工事費用はその場で支払うのではなく、電話代に含めて後日請求されます。工事にいくらかかるのか事前に知りたい場合は、電話で問い合わせてみましょう。
移転手続きは2週間前を目安に
NTT固定電話の移転手続きには、特に期限は定められていません。しかし移転手続きには時間がかかりやすいため、引越し予定日の2週間前までを目安に行いましょう。
インターネットサービスも利用しているなら、さらに時間がかかる恐れがあります。引越し予定日の3週間前までを目安にするのが、おすすめです。
移転手続きのタイミングが遅くなると、引越し先で固定電話が使えない期間が生じかねません。NTTへの問い合わせ電話も回線が混雑しやすいため、できるだけ早めに行動しましょう。
手続きの際は必要な情報を準備
NTT固定電話の移転手続きを行う際は、以下の情報を伝える必要があります。
- 契約者の氏名
- 契約者の旧住所と新住所
- 現在利用中の電話番号
- 工事希望日
- 電話料金の支払い方法
電話で手続きを行う場合は、上記の情報がすぐに分かる書類を準備しておけば、スムーズに情報を伝えられるでしょう。
工事日は予約制のため、予約が埋まっている日は工事を行ってもらえません。あらかじめいくつかの候補を考えておくのがおすすめです。
固定電話の引越しで便利なサービス
固定電話の引越しで役立つサービスを知っておけば、スムーズに移転できるでしょう。利用を検討したい便利なサービスを紹介します。
着信の転送
NTTでは「ボイスワープ」という有料のサービスを提供しています。特定の番号にかかってきた電話を、事前に設定しておいた電話番号に転送できるサービスです。
移転前の電話番号にかかってきた電話を、移転後の電話番号に転送するようにしておけば、親戚や知り合いに新しい電話番号をわざわざ知らせる必要がありません。
ボイスワープは月額550円(税込)で利用でき、利用するにあたり工事は不要です。解約しなければいつまでも月額料金がかかるため、新しい電話番号が知れ渡った時点で解約しましょう。
新しい電話番号のアナウンス
前の番号にかかってきた電話に対し、新しい電話番号をアナウンスしてくれる無料のサービスもあります。
着信の転送と違い、新しい電話番号を音声ガイダンスで伝えるのみですが、無料で使える点が大きなメリットです。コストを抑えたい場合は、転送サービスではなく、こちらのサービスを利用するとよいでしょう。
番号アナウンスサービスの利用を希望する場合、電話やインターネットで申し込めば簡単に手続きできます。利用できる期間は3カ月です。
新旧両方の番号を7日間使える
電話番号の変更を伴う移転では、7日以内なら、移転先と移転元の両方で電話番号を利用することが可能です。移転工事を申し込む際に、このサービスも同時に申し込めます。
ただし移転元での電話の取り外し日と、移転先の利用開始日との間に日があく場合は、取り外し日から1カ月以内の希望日を指定しなければなりません。
また移転先によっては、このサービスを利用できない場合もあります。利用可能かどうか知りたい場合は、NTTに問い合わせてみましょう。
固定電話が不要になった場合の手続き
引越し後に固定電話が不要になるケースもあるでしょう。固定電話を使わない場合に選択できる3種類の方法について解説します。
- 利用休止
- 一時中断
- 解約
利用休止
固定電話の利用休止は、電話の権利をNTTに預かってもらえる手続きです。10年間連絡しなければ自動解約となりますが、途中で連絡すれば利用休止期間を延長できます。
「すぐに固定電話を使う予定はないが、いずれ使う可能性がある」という人は、利用休止にするのがおすすめです。再度利用したいという場合に、初期費用を支払う必要がありません。
ただし固定電話を再開する際は、電話番号が変わる点に注意が必要です。電話停止時と電話再開時には、それぞれ費用が発生します。
一時中断
「しばらく固定電話を使う予定はないが、同じ電話番号をキープしておきたい」という人には、固定電話の一時中断の手続きを行っておくのが、おすすめです。
再開後に番号が変わってしまう利用休止と異なり、一時中断では再開後も引き続き同じ番号を使えます。継続期間は無制限です。
一時中断では同じ電話番号をキープし続けることになるため、毎月の回線使用料が発生します。回線使用料の金額は契約内容を見れば確認できます。利用休止と同様、電話停止時と電話再開時にも費用がかかるので、注意しましょう。
解約
引越し後に固定電話を使う予定がまったくない場合は、解約の手続きを行うことも可能です。解約すると一切の権利を失うことになります。解約後に再び固定電話を使いたくなった場合、再度初期費用を支払わなければなりません。再開後の電話番号も変わります。
利用休止と一時中断の手続きでは電話停止の工事費用がかかるのに対し、解約においては電話を止める工事費がかかりません。
将来的に再び固定電話が必要になる可能性が少しでもある場合は、解約ではなく利用休止にするのがおすすめです。電話の加入権を手放さずに済みます。
ひかり電話の引越しについて
NTTのひかり電話とはインターネット回線を用いたIP電話の一種です。ひかり電話の引越し手続きについて、解説します。
移転なら場所を問わず番号を継続利用できる
ひかり電話はインターネット回線を使っているため、移転する場合は引越し先に関係なく、同じ電話番号を継続して利用できます。
ただしフレッツ光提供エリアでなければ、ひかり電話は使えません。引越し先がフレッツ光提供エリアであるかどうかは、以下のリンクから確認できます。
ひかり電話の移転手続きは、固定電話と同様、電話やインターネットから行うことが可能です。
解約する場合は工事費の残高や解約金に注意
引越しを機にNTTのひかり電話を解約したい場合、電話やインターネットによる手続きで解約できます。
ひかり電話の解約では、工事費の残高に注意しましょう。初期工事費を分割払いにしている場合、工事費の残高があるなら、解約時に一括で支払わなければなりません。
「にねん割」を利用しているケースでも、更新月以外の解約なら中途解約金が発生します。固定電話の解約と違い、ひかり電話の解約には費用がかかる可能性があることを、覚えておきましょう。
忘れずに済ませておきたいその他の手続き
引越し後は郵送物の転送手続きと、ネット回線の住所変更も行っておきましょう。それぞれの具体的な方法について解説します。
- 携帯電話の住所変更
- 郵便物の転送
- ネット回線の住所変更
携帯電話の住所変更
引越しをする際は固定電話だけでなく、携帯電話も住所変更の手続きを行っておきましょう。住所変更をしない場合、個人情報の漏えいにつながるリスクがあります。携帯電話に関する書類を郵送で受け取る設定にしていると、書類が旧住所に送付されてしまうためです。
また請求書が新住所に届かないことで、携帯電話料金の支払いができなくなると、利用停止になる恐れもあります。引越しをしたら早めに手続きをしましょう。
携帯電話の住所変更は、インターネット・電話・携帯ショップで行うことが可能です。手数料は無料で、代理人による手続きもできます。住所変更手続きを行う際は、申し込み時の契約書を用意しておきましょう。ショップの手続きには、新住所が分かる本人確認書類も必要です。
郵便物の転送
郵便局の転居・転送サービスを利用すれば、旧住所に届いた郵便物を、新住所に無料で転送してもらえます。転送期間は届出日から1年間です。
ただし転送不要と記載された郵便物は転送されません。電話会社・銀行・自治体からの郵便物は、転送不要となっているケースが多いため、早めに住所変更を行っておきましょう。
郵便局の転居・転送サービスは、郵送またはインターネットで申し込めます。インターネットでの手続きは、以下のリンクから行いましょう。
ネット回線の住所変更
引越し先でもインターネットサービスを引き続き使いたい場合は、住所変更の手続きをしておきましょう。早めに手続きを済ませておかなければ、引越し後にインターネットを使えない期間が生じる可能性があります。
引越し先で同じ回線業者やプロバイダーが、対応しているとは限りません。別の回線を新規で契約しなければならない場合は、開通工事も必要です。
引越しが多い時期には工事の予約が取りにくいため、ネット回線の住所変更は余裕を持って手続きを進めることが大切です。
固定電話の引越し手続きは早めに済まそう
固定電話の番号が変わる引越しの場合は、工事を伴う移転手続きが必要です。工事の予約が取りにくい時期もあるため、手続きは早めに済ませておきましょう。
引越しの前後は色々な手続きが立て込み、忙しくなります。以下の記事では引越し時にやらなければならないことをまとめているので、効率よく準備を進める参考にしてみてください。