蛍光灯には寿命があるため、使用しているといつかは使えなくなってしまいます。新しい物に取り替える際、安全に作業するにはどんなことに気を付ければよいのでしょうか?蛍光灯の種類別に、正しい取り外し方を紹介します。
蛍光灯がつかないのはなぜ?
考える原因は主に「蛍光灯の寿命」か「照明器具の故障」の2つです。蛍光灯を交換しても蛍光灯がつかない場合は、電気工事業者に修理依頼をする必要があります。
蛍光灯の外し方は?
蛍光灯の外し方は「90度回転させて外す」「左右どちらかに蛍光灯をスライドさせる」「蛍光灯の左右に付いているカバーをスライドする」の3パターンに分かれます。詳しくは記事内で解説しています。
蛍光灯の安全な外し方をタイプ別に紹介
蛍光灯にはいくつかの種類があり、種類ごとに取り外し方も異なります。
真っ直ぐな棒状の蛍光灯は「直管型蛍光灯」。長さや取り付け部分の仕様もさまざまな種類があり、オフィスを中心に幅広く使用されています。
サークルタイプの「丸型蛍光灯」もあります。家庭、特に和室によく使われるタイプで、大小ふたつの蛍光灯がセットになったものも。
「電球型蛍光灯」は電球用のソケットにはめることができるタイプで、電球の中にぐるぐるとした蛍光灯が収まっています。白熱電球よりも省エネなのがメリットですが、LED電球の登場により減少傾向です。
直管型蛍光灯の外し方
直管型蛍光灯の外し方は3種類あります。
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カバーが付いているものは見た目で分かりやすいですが、それ以外のふたつは見分けが付きにくいかもしれません。まず90度回転させてみて、それで外れなければ、左右どちらかにスライドさせてみましょう。
力任せに外さないことが大切
蛍光灯がうまく外れないことがあっても、力任せに外さないことが大切です。
不必要に力を入れると、蛍光灯が破損したり、落としてしまったりする可能性があります。割れてしまうと危険なため、慎重に取り扱いましょう。
照明器具の取り扱い説明書があるようなら、事前に確認しておくのがおすすめです。
丸型蛍光灯の外し方
丸型蛍光灯を外す手順は2つです。
手順①:カバーを外す
丸型蛍光灯を使った照明器具にはカバーがあるタイプが多いので、カバーを外すことから始めます。カバーも熱を持つので、必ずスイッチをオフにしてから作業しましょう。
丸型シーリングの場合はカバーの両端を持って回せばOKです。カバーの端に外し方が記載されていることが多いので確認してみてください。
キッチンの蛍光灯などによくあるカバーキックばね式は、縁を下に引っ張るとカバーが外れます。カバー全体を軽く下に引き下げたあと、固定している金具をひとつずつ外していきましょう。
手順②:ソケット端子を抜き金具から外す
丸型蛍光灯は照明器具と線でつながっていますが、まずこの線と蛍光灯の接続部分であるソケット端子を抜きましょう。コンセントを抜くようなイメージで作業すれば、簡単に抜くことができます。
ソケット端子が抜けたら、丸型蛍光灯を固定している金具を外していきます。ひとつにつき3カ所程度止められているため、落とさないように気を付けながら、順に外していきましょう。
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電球型蛍光灯の外し方
電球型蛍光灯は通常の電球と同様に、回転させるだけで外せます。電気が通ると電球が熱くなるので、電源をオフにして熱が冷めるのを待ってから外しましょう。
蛍光灯からLEDに交換する場合の注意点
従来の蛍光灯から、寿命の長いLEDに交換したいというケースも多いでしょう。自力でできるかどうかは蛍光灯の種類によって異なります。
直管型蛍光灯をLEDに交換するには工事が必要
直管型蛍光灯をLEDに交換するときは、従来の配線器具(安定器)を取り外す工事が必要です。安定器は電流を直管型蛍光灯に合わせて制御するための器具で、そのままLED照明を取り付けると正常に点灯しなかったり、故障の原因になったりします。
安定器の取り外しには電気工事士の資格が必要なので、直管型蛍光灯をLEDに交換する際は業者に依頼しましょう。
電球型・丸型蛍光灯をLEDに交換するのは自力でできる
電球型蛍光灯
アダプタなどを使わずにそのまま交換することができます。
丸型蛍光灯
丸型蛍光灯は従来の照明器具にLED用のアダプタを取り付け、そこにLED照明を設置することで自力でかんたんにLEDに切り替えることができます。手順は以下の通りです。
丸型蛍光灯をLEDに交換する手順 |
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動画でも確認してみてください。
ワットとルーメンの関係
蛍光灯の明るさはワット(W)で表されることが多い一方、LEDはルーメン(lm)で表されることが多いです。ワットとルーメンの対応関係は以下のようになっています。
蛍光灯 | LED |
20W | 170lm以上 |
30W | 325lm以上 |
40W | 485lm以上 |
50W | 640lm以上 |
60W | 810lm以上 |
蛍光灯を安全に取り外すための注意点
蛍光灯は割れやすいため、取り扱いには注意する必要があります。蛍光灯を取り外すときには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか?
感電しないように電気のスイッチを切ってから作業する
感電・やけどを防ぐために、蛍光灯を取り外す際は必ずスイッチをオフにしてから作業しましょう。
蛍光灯に電気が通じたまま作業をすると、感電する恐れがあります。蛍光灯が切れてしまっていると、電源が入っているかどうかが分かりづらいため、慎重に確認しましょう。
また、通電している状態の蛍光灯は熱くなっています。触るとやけどをする場合もあるため、作業前にはスイッチをオフにしてから少し待ち、熱を持っていないことを確認してから交換するようにしましょう。
安定した足場で作業を行う
照明器具は高い位置にあるため、足場を使う必要があります。家庭では脚立や椅子などを足場にするケースが多いですが、安定しているかをしっかり確認しましょう。
足場が安定していないと、蛍光灯を取り替えている最中に倒れてしまうかもしれません。倒れたときに蛍光灯が割れると大変危険です。足場が崩れやすくなっていないか、ぐらついていないかをチェックしておきましょう。
また足場を置く場所は、段差がないところを選ぶようにすることも大切です。たとえ少しの段差でも、バランスを崩して転倒してしまう可能性があるため、なるべく平らな場所を選びましょう。
交換作業をするときには、ほかの人に足場を支えてもらうのがおすすめです。
力ずくで無理やり外そうとしない
蛍光灯の多くはガラスでできています。接続部分が外れないからといって思い切り力を入れて外そうとすると、ガラス管が割れて手や顔に破片が刺さったり、勢いよく外れたはずみでバランスを崩して転倒したりして危険です。
やさしく丁寧に作業をすることを心がけましょう。
ほこりに気を付ける
蛍光灯を外す機会はあまりないので、意外とほこりが積もっていることがあります。外す際は蛍光灯の周りに汚れてはいけないものがないかどうかを確認し、雑巾や手袋、外した蛍光灯をすぐに入れられる袋を用意しておくとよいかもしれません。
切れかかった蛍光灯のリスクと交換のタイミング
切れかかった蛍光灯は、通電がスムーズにいかず電気代が3倍近くかかるともいわれます。また、点滅した蛍光灯の下で作業をするのは目にも悪いです。
もったいないからといって切れかかった蛍光灯を使い続けるのは、電気代の無駄になったり、視力の低下につながったりもするのでやめましょう。
蛍光灯は寿命が近づくと見た目にも明らかに異常が生じるので、交換するタイミングがわかりやすいです。おさらいしておきましょう。
蛍光灯の寿命サイン
もうすぐ切れる蛍光灯には、いくつかの前兆が見られます。①の状態からだんだん進行することが多いですが、いずれかの兆候があったら早めに取り外して交換するのがおすすめです。
①色が暗くなる
残り点灯時間が短くなった蛍光灯は、白い光が暗くなったり、紫っぽい色になったりといった変化が見られます。端の方が黒ずんだように見えることもあります。
②チカチカと点滅する
さらに寿命が近づくと、チカチカと光が点滅するようになります。この状態になると勉強や仕事の邪魔になってしまうので、早めに交換したほうがよいでしょう。
③スイッチを入れても一瞬点いて消える
切れる寸前になると、照明のスイッチを入れても一瞬点いたあとにすぐ消えてしまい、いずれ完全に点かないようになります。
④他の照明機器でもつかない
蛍光灯がつかなくなったら、他の照明機器で試してみましょう。他の照明機器でもつかなかったら蛍光灯の寿命が来ているので、蛍光灯を交換しましょう。
他の照明機器ならつくという場合は、他の要因が考えられます。「蛍光灯を交換しても電気が付かないときは?」を参考にして要因を特定しましょう。
蛍光灯を交換しても電気が付かないときは?
グローランプの消耗
「グロースターター式」の蛍光灯の場合、「グローランプ」という小さな電球のような点灯管がついています。グローランプが消耗していると、新しい蛍光灯に取り替えても電気が点灯しません。
現在ではグロースターター式の蛍光灯は少なくなってきましたが、古いタイプの蛍光灯の場合はグローランプの交換も忘れないようにしましょう。グロー管が寿命を迎えて黒ずんできたら交換のタイミングです。
照明器具本体の故障
定期的に交換する蛍光灯ではなく、照明機器の本体側が故障しているケースがあります。
照明器具は10年前後が寿命といわれています。実際にはそれ以上使用できることも多いですが、確実に経年劣化はあり、永続的に使えるものではありません。
新しい蛍光灯にしたのに電気がつかない場合は、照明機器の設置場所を変えてみてください。それでもつかない場合は照明機器本体が故障しているので、交換しましょう。作業内容によっては電気工事士の資格が必要なので、電気工事業者に依頼すると良いです。
接触不良
照明器具と蛍光灯がうまく接続されていないと点灯しません。蛍光灯を一度外して、しっかりと付け直しましょう。
また照明機器とシーリング・ローゼットの間で接続不良が起こっていることもあるので、確認してください。
取り外した蛍光灯の処分方法
外したあとの蛍光灯は再利用できないので、何らかの方法で処分しなければなりません。主な処分方法を2つ紹介します。
自治体のごみ回収に出す
家庭で出た蛍光灯のごみは、たいていの場合自治体で回収してもらえます。ただし、オフィスや店舗で使った蛍光灯は事業ごみになるので、自治体の一般回収に出してはいけません。
自治体によってルールが異なるので、ホームページや貼り紙で確認しましょう。
品川区 | 買ったときの箱か筒または新聞紙等に包んで資源ステーションに出す |
千代田区 | 月2回の「燃やさないごみ」「蛍光管等」の日に、空き箱か新聞紙に包み「キケン」と書いて出す |
台東区 | 買ったときの箱などに入れて区内の回収拠点に設置されたボックスに出す(※割れている蛍光灯は「燃やさないごみ」として紙に包んで出す) |
電器店・家電量販店で回収してもらう
電器店や家電量販店には、蛍光灯の回収ボックスが設置されていることがあります。近くの店舗が対応している場合は引き取ってもらうとよいでしょう。
自治体の回収だと日にちが限られている場合もありますが、電器店であれば店舗の開いている時間帯ならいつでも回収してもらえます。
割れないように箱や紙に包んで持っていきましょう。
安全に配慮して蛍光灯を取り外そう
蛍光灯は薄いガラス管でできているため壊れやすく、取り扱いには気を付けなければいけません。また、電気を使用するものですから、感電などへの注意も必要です。
手順自体はそれほど難しくないため、形状によるやり方の違いをしっかり確認しておけば、誰でも取り外しできます。安全面には十分配慮した上で、手順を守って蛍光灯の取り外しを行いましょう。
不安な場合は業者に依頼しましょう。