引っ掛けシーリングってどんなもの?
引っ掛けシーリングは天井側の「ソケット」と、照明側の「キャップ」とを接続して使います。基本的にはどの種類のソケットでも互換性があるので使えますが、商品によっては指定のソケット以外は使えない場合もあるので注意しましょう。
引っ掛けシーリングで取り付けられない照明は?
照明が「ダクトプラグ」にのみ対応している場合は、引っ掛けシーリングに取り付けることはできません。どうしても取り付けたい場合は、専用のアダプタを購入する必要があります。
引っ掛けシーリングとは?
「引っ掛けシーリング」とは、天井に取り付ける照明器具のための電気配線です。分かりやすく言うと天井にあるコンセントのようなものです。
天井の「電源ソケット」(引っ掛けシーリングボディ)と、照明器具側の「引っ掛けシーリングキャップ」とを合わせて「引っ掛けシーリング」と言います。
「電源ソケット」(引っ掛けシーリングボディ)という部品は天井についていて、そこへ電気が供給されています。
電源ソケットには穴が開いているので、そこに照明器具側の金属端子(引っ掛けシーリングキャップ)を差し込んで、カチッと音が鳴るまで決まった方向へひねるだけで接続可能です。
引っ掛けシーリングの種類
引っ掛けシーリング(シーリングボディ)の種類は主に以下の5つです。
|
それぞれに形状の違いはありますが、いずれも互換性があるので、シーリング用のライトであれば取り付け可能です。
ただし耐荷重などの違いから、商品によっては取り付け可能なシーリングの種類が限られていることもあります。照明器具を購入するとき、注意事項にはしっかりと目を通しておきましょう。
1.角型引っ掛けシーリング
角型引っ掛けシーリングボディはコンパクトさが特徴のタイプです。ブロックのような長方形であり、木材の近くに並べても違和感がないので和室ではおなじみのタイプ。
ペンダントライトを吊り下げるためのコンセント代わりとしても使用されることがあります。
ただし小柄な形状であるために、ライトの方が大きいと不安定さが生じることは、デメリットといえるかもしれません。
2.丸型引っ掛けシーリング
丸型引っ掛けシーリングは、円盤状の引っ掛けシーリングです。照明器具を設置する面積が広い分、安定感が高まるのが特徴。
角がないため、視野に入ったときに柔らかい印象を与えられる点も利点です。
和室の目透かし天井や、洋室、浴室の照明に使われていることが多いタイプ。ただし角型よりもサイズが大きいため、やや目立つ傾向があります。
3.丸型フル引っ掛けシーリング
丸型フル引っ掛けシーリングは、先端にハットのようなツバが備わっているタイプです。この段差の部分に特徴があります。
ツバに似た部分があることで、より安定性の高い照明器具の取り付けが可能です。
デメリットとしては、サイズが大きめである点です。ビジュアル面でのスマートさは、若干失われてしまいます。
4.フル引っ掛けローゼット
フル引掛シーリングは、耳のように金具(ハンガー)が付いているタイプ。5kgを超える重い照明器具を支えるために、ハンガーにチェーンなどをかけて使用できます。
丸型引掛シーリング同様、和室の目透かし天井や洋室で使用されることが多いです。
ネジで固定するタイプなので、重たい照明器具でも耐えることができるのも魅力の1つ。
5.埋め込みローゼット
埋め込みローゼットは、薄型なので天井から露出する面積が小さいのが特徴。
フル引っ掛けローゼットと同じくハンガーが付いているので、5kg以上の重い照明器具を取り付ける場合は、チェーンなどハンガーにかけて器具を支えることができます。
取り付けにはネジを使うので重い照明器具でも安定していて、シーリングをあまり目立たせたくない場合に向いています。
送り端子がついているタイプ
ここまで紹介してきた種類とは別視点になりますが、引っ掛けシーリングのなかには「送り端子」というものが付いていることがあります。
送り端子とは、1つの照明器具だけでなく別の照明器具にも電力を供給したい場合に使用する、送電用の端子のことです。
あくまで電気系統を分岐させたい場合に使用するので、1つの電源だけで点灯できるライトであれば必要ありません。
たとえばダクトレールで多灯吊りする場合や、1つの電源で連動できるシャンデリアタイプの照明には必要ないものです。
ローゼットやダクトプラグとの違いや、互換性は?
引っ掛けシーリングの種類などを調べていると、似ている形なのに「ローゼット」「ダクトプラグ」などと呼び分けられているものがあって、はてなマークが浮かんでしまう方も多いのでは。それぞれの違いや互換性について紹介します。
シーリングとローゼットの違いは?
各販売メーカーによってシーリングとローゼットとは区別されていて、「取り付け方」「耐荷重」に違いがあります。しかし他のシーリングとも互換性があるので、照明器具の取り付けには問題ありません。
シーリングでは電源ソケットの穴に照明器具のツメを引っ掛けて、カチッと音がするまで回転させるだけでよいのですが、ローゼットではネジで固定しなければならない場合があります。
また耐荷重はシーリングだと5kgまでですが、ローゼットでは10kgまで耐えられる製品が多いです。
しかしJIS(日本産業規格)においては、シーリングとローゼットは区別されていません。正確には「引掛シーリングローゼット」という名称で統一されています。
なんにせよ大切なポイントは、自宅の電源ソケットに適した照明器具を使うこと、または照明器具のシーリングキャップに対応しているソケットに交換することです。
ダクトプラグとの違いは?
「ダクトプラグ」とは、専用の配線ダクト(レール)に取り付ける照明器具の接続部のことです。こちらはシーリング用の照明器具と互換性がないので注意しましょう。
かつてはオフィスや劇場、商業施設などでダクトレールが使われるのが一般的でしたが、最近のオシャレな住宅では設置されていることも多いですよね。
複数の照明を吊るせるので「多灯分散」で雰囲気のある空間にすることが可能です。
とくにペンダントライトやスポットライトなどは、ダクトレールのみ対応の商品も多いので、購入する前にしっかり確認してください。
【レールが天井に直で設置されている場合】
レールが天井に直で取り付けられている場合は、レール内に電源が直接供給されているので、ダクトプラグ対応の照明器具を選ばなくてはいけません。
もしくは上画像のような、ダクトレール用の変換プラグを購入して取り付ければ互換できるので、引っ掛けシーリングキャップにも接続可能です。
【レールを引っ掛けシーリングに交換したい場合】
天井に設置されている配線ダクトを引っ掛けシーリングに交換したい場合は、こちらも電気工事士の資格が必要となるため、業者依頼となります。
もしくは上画像のような「簡易式ダクトレール」を使えば、引っ掛けシーリングとも互換性があるので、取り付け可能となります。
引っ掛けシーリングの選び方は、耐荷重に着目
引っ掛けシーリングには、種類ごとに耐荷重が違います。一般的には「シーリング」であれば5kgまで、「ローゼット」であれば10kgまでとされていますが、使用するための条件もあります。
基本的に「角型」「丸型」「丸型フル」の3種類のシーリングは、耐荷重5kgまでです。ただしパナソニックの仕様書等を参考にすると、補強ケーブルを使わない場合は3kgまでとなっています。
「フル引っ掛けローゼット」「埋め込みローゼット」の2種類は、耐荷重10kg未満までです。ただし金具(ハンガー)にチェーンをかけて照明器具を支えたり、ネジで天井にしっかり固定したりした場合の耐荷重なので注意しましょう。
吊り下げ器具と直付け器具でも耐荷重の注意点は違う
じつはシーリングに取り付ける照明器具が「吊り下げ」か「直付け」かによっても、耐荷重にかんする注意点は違います。
吊り下げ器具の場合は基本的に耐荷重3kgまで、補強コード使用時は5kgまで、ハンガーで器具を保持する場合は10kgまでという製品が多いです。
直付け器具の場合は、基本は耐荷重5kgまで、ハンガーで器具を保持する場合は10kgまでという製品が多いです。
このように照明器具やシーリングの種類によって注意事項は様々なので、しっかりと仕様書や取扱説明書を確認しながら取り付けるようにしましょう。
参考までに、上画像の東芝製のシーリングについての説明書をご覧ください。吊り下げ器具と直付け器具とで、注意点が分かれています。
5kg以上の照明を取り付けるなら「高荷重型」を選ぼう
電気関連の法令のなかに「内線規程」というものがあり、「接続する器具の重さが5㎏を超えるものは、電気的接続部に荷重が加わらないようにする」という施工が義務付けられています。
そのため5kg以上の照明器具を取り付けるなら、ハンガー付きのシーリング(ローゼット)でなくてはいけません。
メーカーや製品によっても商品名が違うので探しにくいかもしれませんが、「高荷重型」と言えば伝わるでしょう。
また上記の規定によって、住宅内での引っ掛けシーリングには「耐熱型」が推奨されています。火災などの事故を防ぐためにも大切なので、あわせてチェックしてみてください。
引っ掛けシーリング取り付け工事の手順と費用相場
引っ掛けシーリングの設置には専門の資格が必要です。ここでは業者に依頼した時の費用や工事の流れ、業者を選ぶときのポイントを紹介します。
引っ掛けシーリング取り付け・交換にかかる費用相場
コストは設置する場所やシーリングのタイプ、お住いの場所など諸条件の違いで異なります。平均的な費用としては、次の通りです。
引っ掛けシーリングの部材費 | 1,500~3,000円 |
取り付け作業料 | 2,000~5,000円 |
出張料(無料の場合もあり) | 2,000~5,000円 |
合計:5,500~13,000円 |
ただし以下のようなケースでは追加料金が発生する可能性もあるので注意しましょう。あとでトラブルにならないよう、事前に見積もりをもらうのがオススメです。
【追加料金が発生するケース】
|
和室に多い竿縁天井(等間隔に細い木材のフチが取り付けられている天井)や、最上階に多い傾斜天井(斜めになっている天井)などは、専用のアダプタを取り付ける必要があるので、そのぶんの部材費が追加となる可能性があります。
また2mを超える高い天井などの場合は、高所作業費用が約5,000~6,000円ほどかかることも。天井自体の補強が必要となる場合もおなじく追加費用が発生します。
どんな業者に依頼すればいいの?
引っ掛けシーリングボディを天井に取り付けるには、電気工事士の資格が必要です。具体的な依頼先としては、電気屋、資格保有者のいる工務店などがあります。
家電量販店でも有資格者を派遣してくれる場合があります。自宅の近くにあるお店や企業を探してみるとよいでしょう。
なお引っ掛けローゼットの設置や照明の直付けにも配線工事が必要なので、設置や交換には資格を有する業者を選びましょう。
設置工事の大まかな流れ
引っ掛けシーリングの設置工事は、おおまかに以下のような流れで進んでいきます。
|
有資格者であれば自分で施工することも可能なので、手順を参考にしてみてください。
1.ブレーカーを落とし、既存の照明器具を外す
引っ掛けシーリングを取り付ける部屋に対応するブレーカーを落とし、感電などを防ぎます。そのうえで既存の照明器具を取り外して、天井のスペースを確保。
2.天井から出ている電線の被膜をニッパーなどで剥く
既存の照明器具につながっていた電線は、絶縁用の被膜でおおわれています。被膜を剥かないと電気が通りません。シーリングボディに記載されている目安線を見ながら、長さが合うように絶縁被膜を剥きます。
3.引っ掛けシーリングに電線を剥いた部分を挿入する
絶縁被膜を剥くと電線が露出するので、この部分をシーリングボディの穴に差し込みます。間違ってはいけないのが、白い方の電線は必ず「接地側」と書かれたほうの穴に差すこと。
もし間違った穴に差してしまった場合、「電源外し穴」にマイナスドライバーを押し込みながらケーブルを引っこ抜くことができます。
4.引っ掛けシーリングを天井に固定する
引っ掛けシーリングボディを、天井に固定しましょう。付属品のネジやビスを使って、天井の下地部材にしっかりと埋め込みます。
5.照明器具を取り付ける
ここまでで引っ掛けシーリングの取り付けは完了したので、あとは照明器具を取り付けてブレーカーを上げ、動作確認するだけです。
引っ掛けシーリングへの取り付けは、シーリングキャップを差し込んでひねるだけなので簡単です。
シーリングライトの場合は、照明カバーを取り外した状態で設置して、あとから照明カバーをかぶせます。
引っ掛けシーリングの取り付けは自分でできる?
前述のように、「引っ掛けシーリング」は電源ソケットとシーリングキャップの2つを接続したものです。
すでに天井に設置されている電源ソケットに、照明器具を取り付けるのは自分でもできます。金具をはめ込んでカチッと鳴るまで回すだけなので、比較的カンタンです。
ただし電源ソケット自体を取り付け・交換するには、「電気工事士」という資格が必要となります。一般家庭でも、無資格での取り付けはできないので注意してください。
無資格でのソケット取り付け工事は法律違反になるだけでなく、火災や感電・漏電などの事故にもつながりかねないので注意が必要です。
「天井に電源ソケットを取り付けたい」「照明器具のシーリングキャップに合ったソケットに交換したい」という場合は、専門業者に依頼しましょう。
取り付け工事の費用相場は、部材費や出張費などもろもろ込みで5,000~10,000円ほどが目安です。
引っ掛けシーリングでない場合、照明器具の取り付けはどうする?
天井に引っ掛けシーリングがない住宅では、「直付け」という方法で照明器具が取り付けられているのが一般的です。
直付け照明では、天井や壁から伸びている電源に直接接続して電気を供給します。引っ掛けシーリングと違って重量制限がないのがメリットです。
しかし引っ掛けシーリングであれば自分で照明器具を取り付けられますが、直付けの場合は照明器具を取り付け・取り外しするたびに電気工事業者に取り付けてもらわなくてはいけないのがデメリット。
インテリアにこだわりたい方にとって、自分で照明を取り換えることができないのは大きなストレスではないでしょうか。
新しい照明器具を購入したときに業者にいちいち依頼するのが面倒であれば、シーリング用の電源ソケットを取り付けてもらうのがオススメです。
引っ掛けシーリングに適した照明は?
天井に備え付けた引っ掛けシーリングにマッチするライトとは、どのようなものでしょうか。
シーリングライト
シーリングライトは部屋全体を明るくしたい場合にぴったりです。天井に取り付けた1つのシーリングライトが、部屋全体をカバーしてくれるので、数多くの住宅でメインの照明として採用されています。
使用するライトは、以前は蛍光灯がほとんどでした。しかし現在ではLEDが主流となり、電気代も抑えられています。
ペンダントライト
ペンダントライトは天井から吊り下げて周囲を照らすライトを指します。スタイリッシュな雰囲気を醸し出せることから、おしゃれなカフェやバーで目にする機会も多いタイプです。
豊富な種類がそろっているため、部屋のイメージを壊すことなく、ベストなライトを選択できます。インテリアとしても効果を発揮し、吊るされたペンダントライトが灯す光は演出効果も抜群です。
シャンデリア
シャンデリアは部屋の雰囲気を豪華にしつつ、部屋全体の明るさを保ちたい時におすすめです。
最近は派手過ぎないシャンデリアも販売されているので、部屋の雰囲気に合ったものを選ぶと良いでしょう。
照明・シーリング取り付け工事の無料見積もりができます
この記事では引っ掛けシーリングがどんなものなのか、種類や取り付け費用まで詳しく紹介してきました。
もし引っ掛けシーリングの取り付け・交換や、直付け照明器具の設置を考えているなら、複数の電気工事業者から見積もりをもらって比較してみましょう。
料金やサービス内容を比較することができます。
とはいえ自分でいくつも業者を探すのは大変です。その場合、ぜひミツモアで無料の一括見積もり(最大5件比較できる)を利用してみてはいかがでしょうか。
ミツモアなら質問に答えていくだけでカンタンに見積もりが届き、しかも料金だけでなく利用者の口コミも見ることができます。ぜひ一度お試しください。