正しい手順で進めれば、ふすまを自力で張り替えるのは決して難しいことではありません。ただしふすまの状態やタイプによっては、業者に依頼したほうが効率的であるケースもあります。


この記事では、外枠を外さずにふすまを張り替える手順や費用相場を紹介していきます。
ふすまの種類
和ふすま(本ふすま)と戸ふすま(板ふすま)の2種類は、最もオーソドックスなふすまとして知られています。
上記2種類のふすまのほかにも近年は多様なふすまがあるので、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
和ふすま(本ふすま)
室町時代や江戸時代から使用されてきたのが「和ふすま(本ふすま)」です。外側の木枠を支えるように細い木枠(組子・骨子)が碁盤目状に張り巡らされています。骨組みだけ見れば障子のような見た目である点が大きな特徴です。
張った和紙が端から剥がれないよう、外枠に「ふすま縁」を被せ、さらに釘を打つことで固定している場合が多いでしょう。
<注意点>
「張り替え」といっても、古い紙の上にさらに和紙を張るのが基本です。しかし張られた和紙が増えるにつれ、徐々にふすまの見栄えは悪化します。気になってきたら一度すべて剥がして張り替えましょう。 |
戸ふすま(板ふすま)
「戸ふすま(板ふすま)」は近年普及してきたふすまです。洋室と和室の間仕切りとして使われるケースが多いでしょう。
部屋の仕切りとしての機能を高めるため、内側には骨組み構造ではなくベニヤ板が使われています。これにより室内の空気を外に逃がしにくく音が漏れにくいほか、和ふすまに比べてふすま紙が破れにくいのが特徴です。
ベニヤ板にふすま紙が張られているだけという構造のため、古い紙を剥がして新しい紙を張るだけで張り替え作業が完了する手軽さも魅力の一つでしょう。
<要チェック>
「自分の家のふすまが和ふすまか戸ふすまかわからない」という人もいると思います。 ふすま紙を軽く押してみて、場所によって沈み方が異なる場合は和ふすま、どの場所も同じ硬さなら戸ふすまの可能性が高いのでチェックしてみてください。 |
その他のふすま
ふすまには上記の2種類のほか「ダンボールふすま」や「チップボールふすま」があります。
種類 | 特徴 |
段ボールふすま | 組子の一部に三層から五層のダンボールが使われている。
安価&軽量だが耐久性は低め。 |
チップボールふすま | 組子を可能な限り簡素化し、その上から耐水に長けたボール紙を貼る構造。安価で手に入る。 |
ふすま紙の種類
ふすまの張り替えは、紙の種類によってやり方やポイントが異なります。まずはふすま紙の種類を正確に把握しましょう。
ここではふすま紙の主な種類を5つ紹介します。
- 和紙
- 織物
- アイロン接着紙
- 再湿のり紙
- シールふすま紙
和紙
和紙は古来からふすまに利用されてきた紙で、肌ざわりのなめらかさや光沢が大きな特徴です。
高級感が魅力な一方で、価格帯は高価なものからリーズナブルなものまでさまざま。予算に応じて幅広い選択肢から選べます。
織物
織物のふすま紙は、糸を織り込んだ生地ならではの高級感と独特の立体感が特徴です。和洋を問わず幅広いインテリアにマッチしつつ、空間をリッチな雰囲気にしてくれます。
耐久性が高く汚れや傷が目立ちにくいため、長期的に使用したい方におすすめです。光の加減で表情を変える織りの模様は、部屋に温かみを与えつつ上質な雰囲気を作り出す魅力があります。
アイロン接着紙
アイロン接着ふすま紙は、裏面に熱で溶ける樹脂が塗布されていて、家庭用アイロンさえあれば簡単に貼り付けられる点が最大のメリットです。
専用の糊や道具を用意する必要がなく、DIY初心者でも比較的きれいに仕上げられます。アイロンの熱でしっかり接着されるため、剥がれや浮きが少なく、長く美しさを保てます。
再湿のり紙
再湿のり紙は、裏面に乾いたのりがあらかじめ塗布されており、水で湿らせるだけで接着できる手軽さが魅力です。
余分なのりがはみ出しにくく扱いもシンプルなので、初めてふすまを張り替える人でも安心して作業できます。位置の微調整がしやすいので、ずれを防ぎながら綺麗に施工可能。乾燥すると強力に貼り付くため、仕上がりが長持ちし、頻繁なメンテナンスの負担も軽減できます。
シールふすま紙
シールふすま紙は、裏紙をはがして貼るだけという圧倒的な手軽さが最大の特徴です。
粘着剤が塗布済みなので、接着剤を準備したり塗布したりする手間を省け、短時間でふすまを張り替えられます。貼り直し可能タイプなら、汚れた部分だけ交換するなど、メンテナンス性にも優れています。
外枠を外さずにふすまを張り替える方法7ステップ
それではここから、外枠を外さずにふすまを張り替える方法を、以下の7ステップに分けて解説していきます。
- 道具を用意する
- 引手を外す
- 枠にマスキングテープを貼る
- カッターでふすま紙を切る
- ふすま紙にのりを塗る
- ふすま紙を貼りつける
- のりが乾いたら引手を取り付ける
ステップ1:道具を用意する
ふすまを張り替えるための道具として、以下のものを用意しましょう。
- マイナスドライバー
- マスキングテープ
- スチームアイロン
- カッターナイフ
- 定規
- ふすま紙
- ふすま用の糊
- ハケ
- 竹べら
上記に加えて釘抜きができる工具(インテリアバールやペンチなど)を所有していれば、外枠を外せるでしょう。
以下に紹介するのは既存のふすま紙の上に新しいふすま紙を張るやり方を応用した張り替え方法です。もし失敗の不安があるならば、予備のふすま紙も用意しておくとよいでしょう。
ステップ2:引手を外す
まずはふすまの引手を外します。引手に錆が出ているようなら、交換用の引手を用意しておくとよいでしょう。
素手で引手を外そうとすると爪が割れてしまう可能性があるため、マイナスドライバーを引手の縁に差し込み、テコの原理で引き上げるようにするのがおすすめです。
くぎで固定されている場合は、バールで引手を持ち上げてから、ペンチでくぎを引き抜きましょう。
ステップ3:枠にマスキングテープを貼る
引手を取り外したら外枠にマスキングテープを貼ります。外枠がのりで汚れないようにするためです。
ステップ4:カッターでふすま紙を切る
次に新しいふすま紙をカッターナイフでカットします。外枠まで覆える程度のサイズに切って貼り、後から外枠に沿って再度切ればピッタリのサイズになります。
ステップ5:ふすま紙にのりを塗る
ふすま用の糊は水で薄めて使用するのが通常です。糊のパッケージなどに記載された使用方法を確認しておきましょう。このタイミングで糊の準備をします。
ふすま本体の外枠に沿うように、ハケを使用して糊を塗布しましょう。ふすま紙の裏面にも、ハケを使って全体に薄く糊を塗ります。
ステップ6:ふすま紙を貼りつける
のりを塗り終わったら新しいふすま紙を慎重に貼り付けていきましょう。ズレたり傾いたりしないよう意識し、慎重に作業を進めます。
ステップ7:のりが乾いたら引手を取り付ける
ふすまを張り終わったら30~45分程度乾かし、外枠にはみ出ている部分をカッターナイフでカットします。竹べらか定規をガイドにして、ふすまの外枠にカッターの刃を当てながらカットすれば、古いふすま紙に傷もつかないでしょう。
ふすまの張り替えタイミング
ふすまには明確な寿命が存在しません。使用環境や開け閉めの頻度により、寿命は変化していきます。
自分で張り替え時期を見分けるコツを知って、自宅のふすまを確認してみましょう。
破れ汚れが目立つとき
ふすまは手で触れる機会が多いため汚れやすいものです。ペットを飼っている場合には爪で引っ掻いたり噛んだりして、ふすま紙が破れることもあるでしょう。そういった破れや汚れが目立つようになったら張り替えのタイミングです。
水で濡らした布で拭いて、汚れを取るという人もいるかもしれません。しかしふすま紙は脆いため、汚れを取るために濡らした部分に痕が残ったり、場合によっては傷んでしまったりする可能性もあります。
無理に汚れを取るのではなく張り替えたほうが、見栄えのよさを取り戻せるでしょう。
湿度の高い時期
張り替え作業をする時期は、湿度が高い梅雨から初夏にかけてが適しています。
気温20~30℃程度で湿度が60%を超える場所は、カビが繁殖しやすいとされています。ふすま紙で覆われているふすまの内部には湿気を含んだ空気がこもりやすいことに加え、ふすまの内側は見えないのでカビの発生に気づけないことが多いでしょう。
そのためカビが広がる前のタイミングで張り替えることをおすすめします。
ふすまを張り替える時の注意点3つ
ふすまの張り替えを行う際には注意点がいくつかあります。作業後にトラブルが発生する場合もあるため、以下の3点については最低限押さえておきましょう。
賃貸の場合は事前確認が必要
賃貸物件に住んでいる場合には、管理会社や大家に必ず確認を取りましょう。事前に確認を取らないと、退去時に賠償トラブルに発展する可能性があります。
国土交通省住宅局が発行する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、「賃貸物件を契約する人は、退去時に設備や家財の一部を入居時と同じ状態に復旧させる必要がある」という旨が記載されています。
<注意点>
ガイドラインに違反した場合、管理会社や大家は借主に修復費を請求する権利を得るため、高額の費用を請求される可能性があります。事前に管理会社や大家に連絡して、ふすまの張り替えを行っても問題ないか確認しておきましょう。 |
枠がゆがんでいる場合は本体を交換
ふすまの外枠にゆがみが生じている場合は、丸ごと交換する必要があります。ふすま本体の木枠は経年劣化によって紙の張力に耐えられなくなります。組子や外枠がゆがむのです。
経年劣化によってゆがんだことが認められれば、管理会社や大家の負担でふすま本体の交換を行える可能性があります。
完全に破損してからでは借主負担になってしまう可能性が高いため、ふすま本体の形状が変わっているように感じたら、早めに相談しておくようにしましょう。
不安なときは業者に依頼
自分でふすまを張り替えるのは不安だという場合には、専門の業者に依頼するのも一つの方法です。
ふすまの張り替え業者の探し方を知らなくても、「ミツモア」を利用すれば、居住地域周辺でふすまの張り替えをしている業者をピンポイントで探せます。
また最大5社への見積もり依頼を無料で行えるほか、メッセージ機能を使ってスピーディーかつ丁寧に対応してくれる業者を見つけ出せるでしょう。
ふすまの張り替えを業者に依頼した経験がなく、業者に頼むとき何をすればよいのかわからない人は、「ミツモア」で業者を探してみましょう。
ふすまを張り替えて気持ちよく過ごそう
ふすまを日々使っていると、汚れが付着したり破れてしまったりして、見栄えが非常に悪くなってしまいます。さらに湿気の影響で内側にカビが繁殖すると、肌荒れやぜんそくなどのアレルギー症状が出る可能性もあるでしょう。
ふすまの見た目が気になり始めたら、できる限り早めに新しいふすま紙を張り替えて、気持ちよく過ごせる環境を整えましょう。
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