引越しや譲渡、廃棄などで冷蔵庫を運ぶ際、1人や2人でも動かすことができます。
ただし階段の上り下りや冷蔵庫の重心に注意しないと、ケガや故障のリスクが高くなるため注意が必要です。
冷蔵庫を自分たちで正しく運ぶ方法について、事前の準備から必要な道具、1人以上で運ぶコツや、自家用車に載せる際の注意点を含めて解説します。
冷蔵庫を運ぶ前日までに必要な6つの準備
引越しや譲渡などを目的に自分たちで冷蔵庫を運ぶにあたり、作業日の2週間前から前日にかけて、以下の準備をします。
準備項目 | 期日 |
---|---|
冷蔵庫の運搬時に必要な道具を用意する | 作業日の1~2週間前まで |
冷蔵庫が通れる通路や幅があるか確認する | 作業日の1~2週間前まで |
冷蔵庫の中身をカラにする | 作業日の前日まで |
冷蔵庫の電源を切る | 作業日の前日まで |
冷蔵庫の霜取りや水抜きをする | 作業日の前日まで |
冷蔵庫内を掃除する | 作業日の前日まで |
1.冷蔵庫の運搬時に必要な道具を用意する
目的地まで冷蔵庫を運ぶ1〜2週間前までを目途に、運搬時に必要な下記の道具を用意しましょう。
作業用手袋
冷蔵庫を持ち運ぶ際に使用する手袋です。持っている最中にずれ落ちないようにグリップ力が優れているものを選ぶようにしましょう。
毛布
冷蔵庫を運ぶとき、床や壁を傷つけないように包むアイテムです。
引越し業者では専用のフィットカバーを使用しますが、自分たちで運ぶときは毛布を複数枚用意しましょう。冷蔵庫の梱包だけでなく、縦向きに引きずって運ぶ際にも利用できます。
キャリーベルト
1〜2人で冷蔵庫を運ぶとき、階段を上り下りする際にあると便利なアイテムです。冷蔵庫を背負ったり、2人で中型の冷蔵庫を腕に掛けて持ち運べたりできます。
ただし肩や腰に大きな負担がかかるので注意が必要です。持っていない場合は2人以上で冷蔵庫を運ぶか、プロの業者に依頼しましょう。
固定ベルト
軽自動車やトラックに冷蔵庫を載せて運ぶときに便利なアイテムです。購入したいと考えている人は、できる限り振動を与えないように耐久性のあるベルトを使用しましょう。
持っていないときは、毛布で包んだ冷蔵庫をテープでしっかり止めてから縦向きに乗せて運ぶか、プロの業者に運搬を依頼することをおすすめします。
移動用キャスター
毛布を引きずって冷蔵庫を運ぶのが大変な人にあると便利なアイテムです。冷蔵庫をキャスターの上に載せることで容易に移動できます。
ただし費用は2,700〜15,000円と高いので、持っていない人は専門のレンタル業者に台車を借りましょう。2日間で1,320〜2,750円でレンタルできます。
2.冷蔵庫が通れる通路や幅があるか確認する
目的地まで持っていく冷蔵庫のサイズを図った後、運べる通路や幅があるか確認しましょう。
特にアパートやマンションへ運び出すとき、階段や廊下、エレベーターの幅が狭いと自分たちで運ぶことが難しくなります。
場合によってはクレーン車で窓から搬出入するケースもあるため、その際はプロの業者に依頼しましょう。
3.冷蔵庫の中身をカラにする
目的地に移動する1〜2週間前になったら、冷蔵庫の中身を確認して計画的に使い切るようにしましょう。特に肉や魚、野菜といった生鮮食品や、冷凍食品などは常温で運ぶのは適しません。
移動当日までに「食べきれない」または「使いきれない」食品があれば、この段階で処分したり、保冷バッグかクーラーボックス、保冷剤を準備しましょう。
前日になったら、保冷バッグやクーラーボックスに食品を詰めて冷蔵庫の中身をカラの状態にします。
4.冷蔵庫の電源を切る
冷蔵庫の中身を空にしたら、冷蔵庫のコンセントを抜いて電源を切りましょう。運び出す直前に電源を切ると、運搬中に霜が溶けて水漏れが発生し、家財や床が濡れたり、冷蔵庫が故障したりする可能性があります。
冷蔵庫の電源を切ってから、庫内についた霜が溶けるまでには時間がかかります。霜ができていなくても、電源を切ったあとに温度差で結露が発生するため、冷蔵庫を運び出す15時間以上前に電源を切るようにしましょう。
5.冷蔵庫の霜取りや水抜きをする
冷蔵庫の電源を切った後、冷蔵庫の霜取りや水抜きをしましょう。最新の冷蔵庫は自動で霜を取る機能がついていますが、ないときは冷凍室や製氷ルームについた霜を取り除きます。
加えて、給水タンクや蒸発皿に溜まった水も取り除きましょう。水抜きをやらないと、冷蔵庫を運搬中に水が漏れ出し、床や壁を汚してしまいます。
6.冷蔵庫内を掃除する
冷蔵庫の中身を空にして水抜きをした後、冷蔵庫内を掃除しましょう。
棚やポケットといったパーツを取り外した後、中性洗剤(台所用洗剤)で洗ったり、水で濡らしたファイバークロスで冷蔵庫内を拭いたりすることできれいな状態で運べます。
冷蔵庫を目的地に運ぶ当日に必要な3つの作業
冷蔵庫を目的地まで運ぶ当日、下記3つの作業を行ってから運び出しましょう。
1.冷蔵庫を運ぶ前に床や壁を養生する
冷蔵庫を運び出す前に、床にカーペットやマットを敷いたり、壁やドアにダンボールを貼り付けましょう。運搬中に壁や床に傷や穴ができないようにするのが目的です。
プロの業者は専用のマットやプラスチック製の保護パネルを貼り付けたりする養生作業を行います。
2.冷蔵庫の内部やドアをテープで固定する
養生作業が終わったら、冷蔵庫のドアや棚が動いたり開いたりしないようにテープで固定しましょう。テープで固定しないと、棚が落下して破損したり、運搬中にケガするリスクが高まります。
あわせて電源コードも踏まないようにテープで束ねましょう。
3.毛布で冷蔵庫本体を保護する
運搬中に冷蔵庫本体やドア、壁などを傷つけないように毛布で包み、テープでしっかり固定してから運び出します。運び出す際、床や壁を傷つけないようにするのが目的です。
ただし危険を伴うため、保護するのが難しい場合は無理をせず、プロの業者に依頼しましょう。
冷蔵庫を1~2人以上で運ぶときのコツ
冷蔵庫を運ぶ人数はメーカーや容量などによって変わりますが、以下のとおりです。
冷蔵庫の種類 | 重さ | 運ぶのに最適な人数 |
---|---|---|
100~300リットル(2ドア) | 30〜60kg | 1~3人 |
300~400リットル(3ドア) | 60〜80kg | 2~4人 |
400リットル以上(4ドア以上) | 50〜100kg以上 | 3~4人以上 |
1人、または2人以上で冷蔵庫を運ぶときのコツについて、紹介します。
1人で運ぶときは毛布やマットを引きずりながら縦向きに運ぶ
1人で冷蔵庫を運ぶコツは、下記のとおりです。
- 毛布やマットを敷いて引きずりながら縦向きに運び出す
- 部屋のドアから車まで移動する際、移動用のキャスターや台車に載せて運ぶ
- 階段ではキャリーベルトを装着する
- 装着したらベルトと冷蔵庫の間に腕を通した後、肩に背負って運ぶ
冷蔵庫の下の裏側には冷却目的のコンプレッサーがあり、重心が偏っていることから冷蔵庫の裏側を持つと運びやすいです。
横向きにするとコンプレッサー内の液体が漏れて故障の原因になります。冷蔵庫を持つ位置をコンプレッサー側で少し斜めにしてから、下に毛布をはさむ感じに包んだ後、縦向きに運ぶイメージです。
移動用のキャスターや台車に載せて運ぶと、ケガのリスクが軽減できます。キャリーベルトを装着してベルトと冷蔵庫の間に腕を通した後、肩に背負って運ぶと腰を痛めるリスクも少なくなります。
2人以上で運ぶときは声をかけ合いながら慎重に運ぶ
2人以上で冷蔵庫を運ぶコツは、下記のとおりです。
- 毛布やマットを敷いて引きずりながら縦向きに運び出す
- キャリーベルトで冷蔵庫を結んだ後、声をかけ合いながら慎重に運ぶ
- 階段を上り下りするときは、3~4人以上で運ぶ
- 装着したらベルトと冷蔵庫の間に腕を通した後、肩に背負って運ぶ
特に階段を上り下りする際は、以下の点も注意しましょう。
- 階段上段にいる人は冷蔵庫上部の裏側にある取っ手や突起物を持つ
- 階段下側にいる人は冷蔵庫最下部にある取っ手や両足の金属部分を持つ
- 冷蔵庫の重量がかからないように階段下側にある人数を2人以上にする
- 冷蔵庫の背面を下にして斜めに倒したうえで1段1段ゆっくり運び出す
- 冷蔵庫の引き出しドアや庫内の棚をすべて取り出した状態で運ぶ
冷蔵庫を車に載せて運ぶときの注意点
冷蔵庫を運び出したら、自家用車やトラックに乗せて目的地まで移動します。車に冷蔵庫を乗せる際、注意すべきポイントは以下のとおりです。
1.できる限り横にした状態で車に乗せない
冷蔵庫を車に乗せるとき、できる限り横に寝かさず、立てた状態で目的地まで移動しましょう。冷蔵庫内のコンプレッサーに液体が入っており、横に寝かした状態で運び出すと液体が冷蔵庫の配管に流れ込んでしまい、故障のリスクが高くなるからです。
車の荷台にスペースがなく、どうしても横に寝かさないと運べないときは、目的地に冷蔵庫を設置した後、1時間ほど経過してから電源を入れるようにしましょう。
2.自家用車で運ぶときは車高のある車を使用する
自家用車やレンタカーで冷蔵庫を運ぶときは、ある程度車高のある車で運ぶのがおすすめです。助手席か車の荷台に立てた状態に乗せて、ベルトやロープでしっかり固定します。
ただし冷蔵庫に重量があると車に傷やへこみができるため、1〜2ドアタイプの冷蔵庫のみ乗せるようにしましょう。
3.軽トラックの荷台を載せるときはベルトで固定する
軽トラックを借りて冷蔵庫を乗せる場合、立てた状態で荷台に乗せた後、必ずベルトを固定してから目的地まで移動しましょう。軽トラックの荷台なら、3ドアから300リットル以上の大型冷蔵庫を乗せて運べます。
ただしトラックの荷台は高いため、2人以上で冷蔵庫を乗せるようにしましょう。あわせて雨や雪などで濡れないようにビニールシートをかけたり、荷台の下に毛布を敷いておくと振動を軽減できます。
目的地到着後に冷蔵庫を設置する4つの手順
引越し先や譲渡先に到着した後、自分たちで冷蔵庫を設置する手順は、以下のとおりです。
1.冷蔵庫の設置前に搬入経路と開閉方向を確認する
冷蔵庫を運び入れる前に玄関からドア、設置場所までの搬入経路を確認しましょう。ドアノブや手すりといった障害になる箇所を確認し、養生した後に冷蔵庫を搬入します。
冷蔵庫を設置するにあたって、扉を開く方向を確認しましょう。台所で作業する位置から中身が見えるように扉を開けるのがおすすめです。
2.壁や天井にスペースを空けて設置する
冷蔵庫は稼働時に放熱するため、周りに熱を逃がすスペースを作る必要があります。天井・背面の壁・左右との間を数センチ離して設置しましょう。
壁と冷蔵庫の距離は各メーカーで示している場合があり、取扱説明書やホームページなどで確認することをおすすめします。
ただし日当たりが良い場所やコンロの真横など、温度が高くなりやすい場所は極力避けて配置しましょう。内部を冷やすために電力消費量が増えてしまう可能性があります。
3.冷蔵庫設置後10分~1時間経ったら冷蔵庫の電源を入れる
メーカーや製品によって変わりますが、現在販売されている製品の場合、設置後すぐにコンセントを差して電源を入れても問題ありません。
ただしコンプレッサーへの負荷を防ぐため、10分〜1時間経過してからコンセントを差し込んで電源を入れるのがおすすめです。
特に冷蔵庫を横に寝かせて運んだ場合、設置してすぐに電源を入れるとコンプレッサー内の液体が漏れ出してショートを起こし、故障する可能性が高まります。1時間ほど経過すると、バッテリー内が安定した状態に戻るのでそのタイミングで電源を入れましょう。
4.2~10時間冷やした後に中身を入れる
冷蔵庫の電源を入れた後、生鮮食品や冷凍食品を入れるのは、冷蔵庫内が十分冷える2〜10時間後にしましょう。冷えない状態で食材を入れてしまうと、傷んでしまう可能性があるからです。
なお夏場は暑いため、完全に冷えるまで24時間かかることもあるので、食品を保管しているクーラーボックスに保冷剤を補充するなど、十分注意が必要です。
自力で冷蔵庫が運べないときに依頼できる3つの業者
搬出入経路や重量などを原因に自力で冷蔵庫を運べないときは、下記の業者に依頼しましょう。
1.引越し業者
冷蔵庫だけでなく、ほかの荷物をまとめて新居まで運んでもらえる業者です。専門の作業スタッフが冷蔵庫に専用のフィットカバーを被せたり、養生作業を行ったりして、壁や傷をつけないように動かします。
業者の中には、冷蔵庫を含む家電や家具のみを運ぶサービスを提供しているところもあるので、サービス内容を確認したうえで依頼しましょう。
2.宅配業者
急な引越しや譲渡したいときに依頼しやすい業者です。冷蔵庫を含む家電・家具を1個単位で運んでもらえます。
ただし冷蔵庫の重量や大きさによっては、引越し業者よりも料金が高くなる可能性もあるため、サービス内容や料金を確認しましょう。
3.便利屋
冷蔵庫の運搬や設置だけでなく、使わずに処分したいときに依頼できます。地域密着で展開しているところが多いため、エリア内でお得な料金で運びたい人におすすめです。
ただし地域によって料金相場が異なるため、複数の業者から見積もりを取りましょう。
冷蔵庫を処分する4つの方法と費用目安
引越しや譲渡を機に冷蔵庫を買い替えて、古い冷蔵庫を処分する場合、下記の方法で処分してもらうようにしましょう。
冷蔵庫の処分方法 | 費用の目安 |
家電量販店に引き取ってもらう | 4,290~14,329円(家電リサイクル料含む) |
引っ越し業者に引き取ってもらう | 要見積もり |
リサイクルショップで買い取ってもらう | 無料(状態次第で引き取り費用がかかる場合あり) |
不用品回収業者へ依頼する | 6,000~15,000円 |
1.家電量販店に引き取ってもらう
家電量販店などの店舗で、新品の冷蔵庫を買い替えたときに引き取ってもらうのが最も一般的な方法です。
買い替えとあわせて回収できるため手間がかからない一方で、3,740~4,730円のリサイクル料と、550〜8,240円の収集・運搬料金がかかるため、注意が必要です。
2.引っ越し業者に引き取ってもらう
引っ越し業者によっては、冷蔵庫を含む大型家電・家具の買取や回収サービスを提供しているところがあります。引っ越し当日に古い冷蔵庫を回収してもらうことができ、別途スケジュールを立てることなく、荷造りができます。
ただし回収費用は家電量販店より高くなる可能性があるため、見積もり時に確認しましょう。
3.リサイクルショップで買い取ってもらう
リサイクルショップで不要な冷蔵庫を買い取ってもらうのも選択肢のひとつです。容量や製造年、付属品の有無などによっては、処分費用がかからず、高い価格で買い取ってもらえるケースがあります。
その一方で製造年数が経っているものや部品が揃っていないものなどは、買い取ってもらえないほか、かえって引き取り費用を請求されるところもあるので注意しましょう。
買取相場の目安は3,000〜50,000円です。
4.不用品回収業者へ依頼する
リサイクルショップで買い取ってもらえないときは、不用品回収業者に冷蔵庫の引き取りを依頼しましょう。冷蔵庫は家電リサイクル法の対象商品のため、自治体の粗大ごみ回収に出すことはできません。
不用品回収業者に依頼すれば、自宅を訪問して回収してもらえます。運搬の手間がかからない一方で、家電量販店よりも処分費用が高くなる可能性があるため、見積もりを取ってから判断しましょう。
回収費用の目安は6,000〜15,000円です。
冷蔵庫を丁寧に運んでくれる引越し業者を選ぶ
自分たちで冷蔵庫を運ぶとき、必要な道具を用意したり、向きに注意しながら運ばないと故障する可能性があります。ただし引越し先によっては、冷蔵庫の搬出入経路が狭い場合があるので、自分たちで運ぶのが難しいと判断した段階で引越し業者に依頼しましょう。
ミツモアなら、冷蔵庫を含めた家電の数や引越し先の住所など、簡単な質問に答えるだけで最大5つの業者から見積もりが届きます。料金やサービス内容を比較したうえで選べるほか、チャットで冷蔵庫の運び方を含めて相談できるので安心です。