ドアに空いた穴は自分で修理できる？DIYで補修する方法も紹介

適切な知識と道具、そしてプロが実践する技術さえ知れば、ドアの穴はご自身の力で修理することが可能です。一方で、DIYに自信がない方は、業者に依頼することが得策。DIYに挑戦して失敗する前に、業者に修理を依頼しましょう。

自分でドアを修理する方法から、修理を依頼する場合の費用まで解説します。

穴の大きさによってドアの修理方法は変わる

ドアに穴が開いてしまった時、「とりあえずパテで埋めればよい」と考えがちですが、穴の大きさに応じて、適切な修理方法を選択することが大切です。誤った方法で修理を行うと、せっかく補修してもすぐに再び凹んでしまう可能性があります。まずは下記のシミュレーターを利用しながら、穴の大きさに応じた修理方法を確認しましょう。

ドアの穴を自分で修理する方法～道具編～

修理の成功は適切な道具選びから始まります。工程ごとに必要な道具をまとめました。Amazonのおすすめ製品を記載していますので、気になる道具や材料がある方は、ぜひチェックしてください。

ドアの穴を自分で修理する方法

Step 1: 下準備

地味な作業ですが、この工程を丁寧に行うことが、美しい仕上がりへの近道です。

バリ（ささくれ）の除去

穴の周りには、衝撃でめくれた表面材の「ささくれ」が必ず生じています。これが残っていると、パテを塗っても表面が平滑になりません。カッターの刃を寝かせ、表面をそぐようにして慎重に切り取ります。力を入れすぎると健常な部分まで削ってしまうため、注意が必要です。

クリーニング

固く絞った布で、穴の周辺を丁寧に拭き上げます。特に皮脂や油分が残っていると、パテの密着性が低下する原因になります。薄めた中性洗剤で拭いた後、水拭き、最後に乾拭きをすると万全です。

Step 2: 下地作り

フラッシュ構造のドア穴修理において、最も重要といえる工程です。強度と手軽さから、2つの方法をご紹介します。

方法A：木片を使った本格的な下地（強度：優 / 手間：中）

1. 木片の準備
2. 木片の挿入
3. 固定と乾燥

1. 木片の準備
ベニヤ板を、穴よりも一回り大きいサイズにカットします。例えば穴の直径が5cmであれば、6〜7cm四方程度が目安です。厚さは3mm程度で十分な強度が得られます。

2. 木片の挿入
カットした木片の中央付近に木工用ボンドを適量塗り、穴からドアの内部へと滑り込ませます。針金や細い棒などを使い、木片がドアの裏側で横向きになるよう調整してください。

3. 固定と乾燥
木片をドアの内面にしっかりと押し付け、ボンドが硬化するまで数時間待ちます。ここで焦らず、十分に乾燥させることが成功の秘訣です。

方法B：メッシュシートを使った簡単な下地（強度：中 / 手間：易）

1. シートのカット
2. 貼り付け
3. どちらの方法を選ぶべきか

1. シートのカット
粘着剤付きのグラスファイバーメッシュを、穴よりも一回り大きくカットします。

2. 貼り付け
裏紙を剥がし、穴を覆うように貼り付けます。穴がシートの中央に来るよう位置を調整し、シワが寄らないよう、外側から内側に向けて空気を抜きながら圧着します。

Step 3: パテ埋め

この工程でよくある失敗が、パテの乾燥収縮による「パテ痩せ」です。一度に厚く塗ると、乾燥後に中央が凹んでしまうため、薄く塗り重ねるのが基本です。

1. 1回目の塗布
2. 乾燥時間は厳守してください
3. 2回目以降の塗布

1回目の塗布
パテをヘラでよく練り、下地の上に2〜3mm程度の厚さで薄く塗布します。ドアの表面よりわずかに盛り上がる程度で問題ありません。「少し薄いかもしれない」と感じるくらいが適切です。

乾燥時間は厳守してください
パテのパッケージに記載されている乾燥時間は必ず守りましょう。表面が乾いているように見えても、内部はまだ硬化していないことがあります。乾燥を急ぐと、後の工程で不具合の原因となります。

2回目以降の塗布
1回目のパテが完全に乾燥すると、肉痩せによって少し凹んでいるはずです。その上から、再び薄くパテを塗り重ねます。この作業を2〜3回繰り返し、最終的にドアの表面より1mm程度高くなるように仕上げます。

Step 4: 研磨

パテが完全に硬化したら、サンドペーパーで削って平らにします。この工程の丁寧さが、仕上がりの美しさに直結します。

1. 荒研磨（180番ペーパー）
2. 仕上げ研磨（400番ペーパー）
3. 研磨のコツ

荒研磨（180番ペーパー）
サンディングブロックに180番のペーパーを巻き、盛り上がったパテを削ります。円を描くように動かすのではなく、一定の方向に動かすと均一に削れます。ドアの表面と同じ高さになるまで研磨してください。

仕上げ研磨（400番ペーパー）
次に400番の細かいペーパーに替え、表面を滑らかに整えます。指で触れてみて、段差が感じられなくなるまで丁寧に行います。最後に、削り粉を乾いた布で完全に拭き取ります。

研磨のコツ
研磨作業には必ずサンディングブロックを使用してください。手で直接作業すると圧力が不均一になり、面が波打つ原因となります。平らなブロックを使うことで、プロのような平滑な面に仕上げることができます。

Step 5: 仕上げ

初心者の方におすすめ：木目調シートで全面リニューアル

この方法の最大のメリットは、補修跡が完全に分からなくなる点です。ドア全体の印象も一新され、リフォームしたような満足感が得られます。

貼り付けの際は、石鹸水を惜しまず使用することが成功の鍵です。もし乾燥後に気泡が残ってしまった場合でも、細い針で穴を開けて空気を抜けば目立たなくなります。

1. プライマー処理
2. 石鹸水の準備
3. 水貼り技法でシートを貼る

プライマー処理
シートの密着性を高めるため、貼り付け前にドアの端、角、ドアノブ周りなどにプライマーを薄く塗布します。この一手間により、後々のシートの剥がれを大幅に防ぐことができます。筆で薄く塗り、指定された時間乾燥させます。

石鹸水の準備
これは専門家も使用するテクニックです。霧吹きに水500mlと食器用洗剤を2〜3滴入れ、「石鹸水」を作ります。石鹸の界面活性剤が水の表面張力を弱め、シートの位置調整を容易にします。

水貼り技法でシートを貼る

1. ドアの表面とシートの粘着面の両方に、準備した石鹸水をたっぷりとスプレーします。
2. シートをそっとドアに貼り付けます。この段階ではまだ滑るため、位置の微調整が可能です。
3. 正しい位置が決まったら、スキージーを使い、中心から外側に向けて空気と水分を押し出します。
4. 最後に、ドアノブの穴や余分な部分をカッターで丁寧に切り取ります。

上級者向け：塗装で木目を再現し完璧に仕上げる

この方法は難易度が高いですが、成功すればどこを修理したか全く分からないレベルの仕上がりが期待できます。

塗装のポイントは、まずは試し塗りをすることです。目立たない場所で試し塗りをしてから本作業に入ってください。塗料は乾燥すると色味が変化することが多いため、事前の確認が重要です。木目描きも、何度か練習してから行うことをお勧めします。

1. 色作り（調色）
2. ベース塗装
3. 木目描き

色作り（調色）
補修マーカーセットの中から、ドアの色に最も近いベース色を選びます。そこに他の色を少しずつ混ぜ合わせ、実際の色に近づけていきます。特に黒は色が強く出やすいため、爪楊枝の先にごく少量を取るなど、慎重に混ぜてください。

ベース塗装
調色した色を、補修したパテの部分に薄く塗ります。一度で仕上げようとせず、薄く塗り重ねていくのがきれいに仕上げるコツです。

木目描き
ベース色より少し濃い色を細筆に取り、周囲の木目に馴染むように線を描き加えます。途切れたり、太さが変化したりする自然な線を意識します。描いた直後に、乾いた筆で軽くぼかすと、より本物に近い質感になります。

注意！DIYの限界とよくある失敗事例5選

実際の失敗談から、成功のためのポイントを学びましょう。

失敗パターン1：構造を理解せずにパテだけで修理してしまう

「とりあえずパテで埋めればよいと思って修理したが、すぐに再び凹んでしまった」

失敗パターン2：補修箇所の色が浮いてしまう

「近い色のマーカーを購入したが、塗ってみると明らかに色が違って見えた」

失敗パターン3：パテが凹んだり、ひび割れたりする

「パテを厚く盛ったのに、乾燥したら凹んでしまった」「数日後に補修箇所にひびが入った」

失敗パターン4：仕上げのシートが剥がれてくる

「貼り付け直後はきれいだったが、数日経つと角から浮いてきた」

失敗パターン5：下地が弱く、再び凹んでしまう

「きれいに直ったと思ったのに、少し物をぶつけたらまた凹んだ」

ドアの穴の修理を業者に依頼したときの費用相場

ドアに空いた穴をDIYで修理するのは難しいため、業者に依頼するのがおすすめです。最も一般的な1箇所あたりの補修費用相場を都道府県別にまとめました。

業者に修理を依頼した場合、一般的には2万～4万円程度の費用がかかります。化粧フィルム・塗装のどちらで仕上げるのかで、料金に大きな差が出る傾向にあり、また、遠方の業者に修理を依頼すると、出張費用がかかることがある点にも注意が必要です。

修理費用を抑えたい場合は、複数の業者から相見積もりを取りましょう。金額を比較するだけでなく、費用の内訳もしっかりとチェックすることが重要です。どのような作業を行うのか、作業時間はどのくらいかかるかなども確認しましょう。

ドア修理の見積もりを依頼する

ドアの穴のDIYと業者へ修理した場合のコスパを比較

ドアの穴を修理するには、自分で挑戦する「DIY」と「プロに依頼する」という2つの選択肢があります。

費用面ではDIYが魅力的に見えます。しかし、仕上がりの美しさ、修理にかかる時間、そして何より失敗のリスクがないという安心感まで含めたトータルな費用対効果を考えると、プロへの依頼が優位になるケースが少なくありません。特に、賃貸物件の退去時や、来客の目に触れる場所のドアであれば、確実な仕上がりが期待できるプロに任せるのが賢明な判断と言えるでしょう。

DIYが向いているケース・プロに頼むべきケース

どちらを選ぶべきか、具体的な判断基準を以下に示します。

DIYが向いているケース

• 穴の大きさが5cm未満と小さい
• クローゼットの中など、人目につかない場所のドア
• 持ち家で、仕上がりの多少の粗は気にしない
• ものづくりが好きで、時間をかけて作業することを楽しめる

プロに頼むべきケース

• 賃貸物件のドア
• 穴の大きさが5cm以上ある
• リビングや玄関など、人目に付く場所のドア
• きれいに、確実に、早く直したい
• DIYに自信がなく、失敗したくない

結論として、賃貸物件にお住まいの場合や、少しでも仕上がりに不安を感じる場合は、迷わずプロに相談することをおすすめします。一時の費用を惜しんだ結果、退去時に高額な交換費用を請求されたり、見るたびに気になる修理跡が残ったりしては、元も子もありません。

お住いの地域でドアの修理ができる業者を下記のページで紹介していますので、こちらも合わせてご参考にしてください。

ミツモアでドアの穴を修理した料金・口コミ事例

ドアの修理には火災保険が適用できることもある

ドアの穴の修理費用を抑えたいなら、火災保険が適用できるか確認しましょう。不測かつ突発的な事故により穴が空いた場合、火災保険の補償を受けられる場合もあります。

• 火災保険の「破損・汚損」補償で修理できるケースとは
• 注意！保険が適用されないケース（経年劣化・故意など）
• 保険申請の3ステップと必要な書類

「修理費用が少しでも安くなれば…」そう考えるのは当然のことです。実は、ドアの穴の修理に、あなたが加入している火災保険が使えるケースがあります。全てのケースで適用されるわけではありませんが、知っていると知らないとでは大違い。ここでは、火災保険を賢く活用するための知識を解説します。

火災保険の「破損・汚損」補償で修理できるケースとは

火災保険と聞くと、火事や自然災害の時しか使えないと思いがちですが、多くの場合「不測かつ突発的な事故による破損・汚損」という補償が含まれています。ドアの穴の修理は、この補償の対象となる可能性があります。

適用される可能性が高いケースの例

• 子どもが遊んでいてオモチャをぶつけてしまった
• 掃除中に掃除機をぶつけてしまった
• 家具を移動させている際にぶつけてしまった

ポイントは、予測できず、かつ意図的ではない、偶然の事故によって生じた損傷であることです。心当たりがある場合は、ご自身の保険契約内容を確認してみる価値は十分にあります。

注意！保険が適用されないケース（経年劣化・故意など）

一方で、以下のようなケースでは保険の適用対象外となるのが一般的です。

• 経年劣化による損傷
• 故意に壊した場合（夫婦喧嘩など）
• DIYの失敗による損傷
• ペットによる引っかき傷や破損（対象外の場合が多い）
• 免責金額以下の損害（例：免責金額3万円の場合、修理費2万円では保険金は支払われない）

特に、自分で修理しようとして失敗した場合は、本来なら補償されたはずの事故が対象外になってしまうリスクがあるため、注意が必要です。また、多くの保険契約には「免責金額」が設定されており、損害額がその金額を超えなければ保険金は支払われません。

保険申請の3ステップと必要な書類

もし保険が使えそうであれば、以下の手順で申請を進めます。

1. 【STEP1】保険会社へ連絡: まずは契約している保険会社の事故受付窓口に連絡し、ドアの穴の修理に保険が使えるかを確認します。
2. 【STEP2】必要書類の準備: 保険会社から案内された必要書類を準備します。一般的には以下の書類が求められます。
   • 保険金請求書（保険会社から送付）
   • 被害状況がわかる写真
   • 修理業者が作成した見積書
   • （場合によって）事故状況報告書
3. 【STEP3】保険金の受け取り: 書類を提出し、保険会社の審査を経て、問題がなければ保険金が支払われます。

この中で、特に重要なのが修理業者が作成する「見積書」です。保険申請に慣れている業者であれば、スムーズな書類作成に協力してくれるでしょう。

火災保険の申請は自分でもできますが、業者のサポートを受けた方が無難です。保険申請の経験が豊富な業者を選べば、申請作業をスムーズに行えるほか、審査にも通りやすくなるでしょう。

ドア修理の業者を探す

賃貸物件のドア修理はまず大家さん・管理会社に相談を

もしお住まいが賃貸物件なのであれば、修理を手配する前に、必ず管理会社か大家さんに連絡してください。これは、賃貸借契約における善管注意義務（借りたものを善良に管理する義務）に関わる重要事項です。無断で修理を進めてしまうと、契約違反と見なされたり、退去時に思わぬ請求を受けたりするリスクがあります。

連絡する際は、「うっかりドアに穴を開けてしまったのですが、どのように対応すればよいでしょうか」と正直に状況を報告し、指示を仰ぎましょう。管理会社が指定する修理業者がある場合や、保険適用の手続きについて案内がある場合もあります。まずは一本連絡を入れることが、結果的にあなた自身を守り、問題をスムーズに解決する最短ルートになります。

ドアに空いた穴の修理は業者に依頼しよう

室内の一般的なドアは穴が空いてしまうと自分で修理するのが難しいため、業者に依頼するのがおすすめです。複数の業者から相見積もりを取り、金額や内訳を比較して業者を選びましょう。

優良なドア修理の業者を探すなら、ミツモアを利用するのがおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、最大5件の見積もりを無料で一括取得できます。

見積もりの内容を比較して、希望の条件に合った業者を手軽に見つけましょう。

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