パソコンのスペックを確認する際に「SSD」や「HDD」といったキーワードが目に入ることも多いでしょう。特にSSDは壊れやすいと言われることもあるため、不安を持つ人もいるかもしれません。今回はそんなSSDの特徴やメリットを紹介します。
SSDとは何か
SSDとは「Solid State Drive」の略で、パソコンなどを中心に活用される記憶装置の一種です。このSSDにはどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
パソコンの起動装置
SSDの比較対象となることが多いHDD(Hard Disk Drive)は、磁気を利用して回転する円盤でデータの記録・呼び出しをしています。それに対しSSDは内蔵されているメモリーチップで、データの記録・呼び出しをするのが特徴です。
SSDには半導体素子を使用した「NAND型フラッシュメモリ」が採用されており、細かく分けられた「セル」という領域で、データを記録したり呼び出したりします。HDDのように物理的に稼働するパーツが搭載されているわけではありません。
フラッシュメモリを使用し起動が速い
SSDには「フラッシュメモリ」というストレージ技術が採用されています。フラッシュメモリとは電源が切れてもデータが保存される仕組みを持った、半導体メモリのことです。
そのフラッシュメモリの中でも特に代表的な存在として挙げられるのが「NAND型フラッシュメモリ」で、読み書きを高速で行えるという特徴を持っています。現在利用されているSSDの多くは、この「NAND型フラッシュメモリ」を使用したものです。
SSDが壊れやすいとされる理由
「SSDは壊れやすい」といった噂や口コミを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。なぜこういった声を聞くことが多いのか、その理由について見ていきましょう。
書き込み容量によって使えなくなる
現在販売されているSSDの大半は、「TLC」という書き込み方式を採用しています。TLCはメモリセル一つに3ビットの情報を書き込むことが可能です。そして一つのメモリセルに約1,000回は情報の書き込みを行えます。
ただし情報を書き込む回数が増えるにつれて、機器の劣化が進んでしまうのも特徴の一つです。常にSSDを使用するような環境下では、機器の寿命を縮めてしまうケースが多くなります。
熱を加えると壊れることがある
SSDの魅力の一つに、HDDよりもデータ転送が速いという点が挙げられます。ただしその分「制御LSI」というパーツの温度も高くなりやすいのです。
その熱によって制御LSIが壊れ、SSDの故障原因となる場合があります。制御LSIは熱に弱いため、できるだけ高温にならないように注意しながら使用する必要があります。
そのためパソコンに搭載されているSSDの場合であれば、しっかりと内部の熱を排出できるように工夫しながら使用することが大切です。
システム不具合が起きやすい
SSDが故障する原因としては、システムの不具合が多いといわれています。システムの不具合とは、ファームウェアやマッピングテーブルの故障のことです。
ファームウェアはSSDを制御するソフトウェアであり、非常に重要な役割を担っています。そのため性能を向上させるためのアップデートが行われることも多いのですが、アップデートに失敗してSSD自体が壊れてしまうというケースもあるのです。
SSDには強みもある
SSDは決してデメリットばかりが目立つわけではありません。多くのメリットがあるからこそ、さまざまな機器で活用されています。具体的にどのような強みがあるのか、詳しく見ていきましょう。
衝撃に強い
SSDはHDDとは違い磁気ディスクを使っているわけではありません。そのため衝撃に強いという特徴を持っています。ただしHDDと比べて衝撃に強いというだけであり、乱暴に扱っても壊れないというわけではありません。
そのため落下などの衝撃に注意しながら使用していれば、故障のリスクを抑えられるでしょう。また衝撃に強いという特徴は、持ち運ぶ機会が多いノートパソコンにも最適です。
故障率はHDDより低いと言われる
オンラインバックアップサービスを提供している「Backblaze」が発表した情報によると、同社が使用する数千台のハードディスクドライブとSSDの故障率は、SSDが0.79%、HDDが1.54%だったそうです。
このデータを踏まえるとSSDとHDDでは、故障率に約2倍の開きがあるということになります。もちろん今後SSDの故障率が高まる可能性もあるため、一概にSSDが安全というわけではありません。
しかし落下などの衝撃に注意しながら使用すれば故障のリスクを抑えられるという点を踏まえれば、メリットと捉えられるデータと考えられるでしょう。
信頼性の高いメーカーを選ぶのが大切
SSDはさまざまなメーカーが製造しています。そのためメーカーによって価格や保証内容が大きく異なるものです。万が一の事態に備えて、長期間の保証が設けられている製品を選択するのも有効な手段でしょう。
古いパソコンの場合には旧規格のSSDやHDDが使用されているケースも少なくありません。旧規格のSSDは最新のSSDよりも故障のリスクが高くなるため、データの取り扱いには注意が必要です。
SSDが壊れたときに発生しやすい症状
もし使用しているSSDが壊れてしまった場合、どのような症状が現れるのでしょうか。想定される症状を把握した上で、冷静に対処しましょう。
速度が遅くなる
特に顕著な症状として現れやすいのが、速度の低下です。「以前よりも明らかにデータの読み込み・書き込みが遅くなった」と感じる場合には、SSDが故障している可能性があります。
SSDはデータの書き込み(保存)を行う際、何もデータが書き込まれていない領域に書き込みを行います。そのため上書き保存であっても新規領域への保存が行われているのです。
毎回新規領域への書き込みが行われることになるため、いずれ空き領域はなくなります。空き領域がなくなると使われていないデータを削除して書き込みを行うという仕組みです。
この作業が繰り返されることで、SSDのフラッシュメモリは劣化していきます。速度の低下を感じるときは、SSDのフラッシュメモリが劣化している合図かもしれません。
画面がフリーズする
SSDが故障していたり劣化していたりすると、画面がフリーズするケースが多くなります。ただしSSDが適切なSATAポートに接続されていなかったり、ACHIモードが有効化されていなかったりすることで、フリーズしてしまうケースも少なくありません。
その場合はSSD自体が故障しているわけではないので、改めて接続や設定を確かめてみましょう。パソコンが高温になることでフリーズするケースも多いので、冷却する空気の出入り口がふさがれていないかチェックすることも大切です。
ファイルが開けなくなる
フォルダやファイルを開けない場合も、SSDの故障を疑う必要があります。SSDのファイルシステムが故障していると、フォルダやファイルの読み込みを行えません。
だからといって電源のオン・オフを繰り返すと、システムの不具合を悪化させてしまう危険性もあるため注意が必要です。最悪の場合データが失われてしまうこともあるので、データ復旧業者に修理を依頼することをおすすめします。
SSDの故障は発生しにくくなっている
現在はさまざまなメーカーからSSDが販売されており、最新の技術が盛り込まれたSSDに進化を続けています。そのため少しずつSSDの不具合は減っていくことが期待できるでしょう。
しかし扱い方次第ではSSDが故障するリスクはあるので、扱い方を見直すのは有効でしょう。また速度の低下・画面のフリーズ・ファイルが開かないといった点でSSDの不具合に気づいても、電源のオン・オフを繰り返すのは危険です。
データが失われてしまう恐れもあるため、データ復旧業者に修理依頼を検討しましょう。
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