「生命力の強い生き物」の代名詞にもなっているゴキブリ。なぜ劣悪な環境でも生き残れるのでしょうか?どんな状況下では生きられないのかもあわせて解説するので、ゴキブリ対策の参考にしてみてください。
ゴキブリの生命力が強いのはどうして?
ゴキブリは長い間何も食べなくても生きることができます。雑食性で、ホコリや髪の毛を食べてしまうのも生命力が強い理由の1つです。
ゴキブリの弱点は?
20~32℃以外の温度では、活動が鈍くなるため、気温の低い冬はゴキブリにとって弱点になります。その他の弱点についても記事本文で解説しています。
ゴキブリの生命力が強い理由!驚きの能力を紹介!
ゴキブリは「生きた化石」と呼ばれるほど生命力の強い生き物です。彼らは2億年以上前からほとんど姿を変えずに今日まで生きてきました。人類(猿人)が生まれたのが約500万年前なので、ゴキブリは人間よりも大先輩なのですね。
2億年以上進化せずに生き延びてきたということは、つまり最初からかなり完成されている優れた生き物だということ。ここからはそんなゴキブリの、驚きの能力の数々をご紹介していきます。
①繁殖力が異常に強い
ゴキブリは「1匹見つけたら100匹はいると思え」なんて昔から言われていますよね。それもそのはずゴキブリは一度に産む卵の数が非常に多く、また卵を産むサイクルもとてもスピーディなのです。
ゴキブリは直接卵を産まずに卵鞘(らんしょう)という卵が入ったさやを産み落とします。この卵鞘は非常に固い上に、1つの卵鞘だけでおよそ10~20個もの卵が入っています。チャバネゴキブリなどの小型のゴキブリであれば卵の数は更に増え、多い時には40個も入っている場合も。
1度の産卵で20匹以上の子どもが生まれるので繁殖力が強いのも納得ですね。しかし小型の生き物はたいてい一度の産卵でたくさん子どもを産むもの。ゴキブリが格別に繁殖力が強いと言われる所以は、卵を産むサイクルの早さにあります。
ゴキブリの産卵サイクルはおおよそ2週間から1カ月ほど。驚異の早さです。単純に考えても2週間に1回のペースで新しいゴキブリが産まれてくることになります。しかも種類によって差はあるものの、ゴキブリは生涯のうちに10~20回卵を産みます。そのため一気に数が増えるのです。
卵を持ったメスを狙って駆除したいところですが、メスはあまり巣から出ず動き回らないので見つけること自体が難しいでしょう。さらにワモンゴキブリなど、種類によってはメスだけで繁殖が可能なものも。また親が死の危機にさらされると、卵鞘を産み落として卵だけでも逃がすゴキブリもいるのです。
この繁殖力の強さのお陰で、例え駆除されて1匹や2匹個体数が減っても、群れ全体ではちっとも痛くないのです。ゴキブリを駆除するには繁殖力を上回るスピードで殺すか、群れ全体を一気にせん滅するのが大切だということが分かりますね。
家に潜むゴキブリをまとめて駆除する方法には、くん煙剤や毒エサなどの方法があります。状況に応じた駆除方法を以下の記事で解説しているので参考にしてください。
もし「家にゴキブリが大量発生して駆除しきれない」という状況になったら、ゴキブリ駆除のプロに頼むのがおすすめ。自分で行うよりも確実かつスピーディにゴキブリを全滅させてくれるでしょう。
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②学習能力が高い
意外かもしれませんが、ゴキブリは高い学習能力を持っています。
アメリカでは「(駆除の罠に使われる)ブドウ糖を嫌う性質を持つゴキブリが現れ始めている」という研究結果が報告されました。つまり学習によって、毒となるものを食べないように進化したゴキブリもいるということですね。進化の結果ゴキブリは、通常なら「甘い」と感じるところを「苦い」と感じるようになり、罠のエサを食べなくなってきたのです。
他にも「匂いを学習する」という研究結果もあります。ゴキブリは匂いの先に危険があることを学習するため、匂いでおびき寄せる(誘引性のある)罠を長期間使うと効果が薄れてしまうのです。
私たちが考えている以上にゴキブリは知能が発達しているのかもしれませんね。
③殺虫剤に耐性を持つこともある
味を覚えて毒餌を食べなくなったゴキブリが現れたように、殺虫剤に耐性を持ったゴキブリも出現してきました。耐性を持ったゴキブリは「スーパーゴキブリ」と呼ばれ、殺虫剤開発者や殺虫剤利用者を大いに悩ませています。
特にチャバネゴキブリはスーパーゴキブリ化するケースが多いのです。
チャバネゴキブリは工場や飲食店などで大量に発生するので、他のゴキブリと比べると殺虫剤を使って駆除される確率が高くなりがち。
しかし群れの大多数が死んでしまったとしても数%は生き残るものです。そうして生き残ったものは繁殖し、また殺虫剤を使って駆除をされる…。
これを繰り返していくと、徐々に殺虫剤への耐性を遺伝的に持ったゴキブリへと進化していきます。チャバネゴキブリは成長サイクルが早いので、世代交代で耐性を獲得するスピードも早いのです。
市販の殺虫剤や毒餌で対処できない場合は、素直にプロを頼った方が良いでしょう。
④何でも食べる・食べなくても餓死しづらい
ゴキブリは雑食性(肉食・草食の両方を兼ね備えている)で、食べられるものの種類がかなり多いという特徴があります。
新鮮な肉や植物はもちろんのこと、腐敗物を処理する分解者としての性質も持つので、腐ったものもへっちゃら。いざとなれば共食いもしてしまいます。
糞や人間が出した髪の毛、フケなども美味しく頂いてしまうので、よほどのことでは餌には困りません。ゴキブリは強じんな顎を持っているため、プラスチックなどの固いものもかじってしまいます。
またゴキブリはかなりの長期間食べ物がなくても生き永らえることが可能。体の中に脂肪体というエネルギーを蓄えているため、種類によっては飲まず食わずでも1カ月近くも生きられるのですよ。
⑤頭をとっても生きる?
驚いたことにゴキブリは、例え頭が無くなっても即死することはありません。
人間の場合は脳から体中に神経を張り巡らせて体を動かしています。そのため頭が切り離されてしまうと、命令が送れないので体を動かせません。
それに対してゴキブリは、腹部に「食道下神経節」という足や内臓を動かす第二の脳とも呼ぶべき器官があるのです。頭にある脳と食道下神経節はそれぞれ独立しているので、頭がなくても体だけで動き回れるのです。
体が動かせるからといって頭が無くても大丈夫という訳ではありません。頭部が無ければ動くことしか出来ず餌を食べても栄養を取れないので、遅かれ早かれ最後に待っているのは餓死。また体液が流出しすぎた場合は餓死する前に死んでしまいます。
ちなみにカブトムシやアリなども同じような体の作りで、頭をとってもすぐには死にません。しかしゴキブリには先述した通り、脂肪体による絶食耐性があるので他の虫よりも長く生き延びられるのです。
⑥卓越した身体能力と高い防御力
その他にもゴキブリには以下のような特徴があります。
- 1秒間に体長の50倍の距離を走れる(秒速約2m)
- 飛べる(滑空する)
- 高い耐久性を備えている
- 放射能への耐性も高く、被爆してもある程度は生きられる
ゴキブリが飛べるのをご存じの方も多いでしょう。しかしゴキブリの羽は飛ぶのに適しておらず、蝶や蜂などのように空中を長時間飛び回ることは出来ません。基本的には高いところから低いところへ移る際に飛びます。
ゴキブリをハエ叩きなどを使って全力で叩いても、一撃で殺せなかった経験はありませんか?ゴキブリの体は硬い外骨格に覆われており、物理的な衝撃にも耐えられる高い耐久性を備えているのです。
⑦まだまだあるゴキブリの特殊能力
ハエと並んで不衛生を象徴するようなイメージのあるゴキブリですが、実は体から殺菌作用のある成分を分泌する衛生的な生き物。細菌に対する耐性が高く、この能力のお陰で不衛生な環境でも生きていけるのです。
体中に感覚毛という細かい毛を無数に持つゴキブリは、空気の振動にとても敏感。この毛で他の生物が発する空気の動きをキャッチして、素早く危険を回避するのです。
またゴキブリのふんには仲間を呼び寄せるフェロモンが含まれています。ふんをそのままにしておくと別のゴキブリを呼び集めてしまうので、見つけたら迅速に処理するようにしましょう。
逆にゴキブリの弱点は?どんな環境だと生きられないのか
驚異の生命力を備えており、一見弱点が無いようにも見えるゴキブリ。けれども安心してください、ゴキブリにもしっかりと弱点は存在しています。
気温が低く、水やエサのない環境
まずは環境。ゴキブリは20℃~32℃以外の温度では活動が弱まる傾向にあります。また水がない極端な乾燥地域では生きていけません。日本の冬が比較的条件に当てはまりますね。北海道などの北国ではゴキブリをあまり見かけませんが、それはこのような理由があるからです。
では本州などにいるゴキブリはどのように冬を越しているのでしょうか。ゴキブリの中でも寒さに強いクロゴキブリなどの種類は、卵や幼虫の状態で休眠状態となって越冬します。そして春が来て暖かくなったら成虫になって活動するのです。
寒さに弱いチャバネゴキブリなどは、常に暖かい場所に移動して生き延びようとします。冬でも暖かい場所、つまり私たち人間の住み家ですね。元々ゴキブリが人間の住み家に入ってくる理由は、寒い時期でも比較的暖かい快適な環境であるから。工場や飲食店などは、冬場は特にゴキブリたちにとって格好の避難場所なのです。
アルコールや洗剤
そして度数の高いアルコールや洗剤もゴキブリの弱点です。アルコールや洗剤をかけられたゴキブリは窒息死してしまうのですね。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ゴキブリを食べる生き物
またゴキブリは意外と天敵が多い生き物。蜘蛛やゲジゲジなど上位捕食者の脅威に常にさらされて生きているのです。以下の記事ではゴキブリを食べる生き物を紹介しています。
ゴキブリの寿命は意外と短い!
家に現れるゴキブリは何年も生きているように思いますが、人間と比べると寿命はかなり短め。休眠状態で冬を越せるかによっても変わりますが、基本的には1~2年程度です。そのうち成虫の状態でいられるのは数カ月から半年程度。成長サイクルの早いチャバネゴキブリの成虫に至っては、長くても2カ月ほどしか生きられないのです。
だからといってしばらくしたら寿命で死ぬと思っていてはいけません。ゴキブリたちはその一生の間に卵を産んで増殖します。家の中でゴキブリを見つけたら決して放置せず、駆除を行うようにしましょう。
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