年末調整の季節が迫り、「今年は手作業では限界だ…でもコストはかけられない」と頭を悩ませていませんか。特に、従業員10名前後の企業で経理から労務まで1人で担うバックオフィス担当者にとって、この時期のプレッシャーは計り知れません。
膨大な書類、複雑な計算、そして何より「ミスは許されない」という重圧。コスト削減要求も、その悩みに拍車をかけていることでしょう。
この記事では「本当に無料で」年末調整を効率化するための現実的な選択肢と、具体的な進め方を徹底的に解説。今年の年末調整をミスなく乗り切っていきましょう。
無料で年末調整は可能!3つの現実的な選択肢とあなたの会社の最適解

従業員10名前後の企業でも年末調整を無料で乗り切ることは可能です。選択肢は主に3つ存在しており「①国税庁ソフトの活用」「②民間の無料年末調整ソフトの利用」「③給与計算ソフトの無料プラン活用」です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社が「何を最優先するか」を明確にしたうえで最適な方法を選択していくことが大切です。
- 【完全無料】国税庁「年調ソフト」+ 表計算ソフトで完結させる方法
コストを完全にゼロに抑える選択肢です。従業員には国税庁の無料ソフトで申告書データを作成してもらい、担当者はそのデータを集約して計算します。ただし、データ連携は手動のため、担当者の作業工数は最も多く残ります。 - 【一部無料】「申告書回収」に特化した無料ツールを活用する方法
年末調整で最も時間がかかる「申告書の回収・チェック」業務をピンポイントで効率化する方法です。ハーモス年末調整のように従業員数に制限なく無料で使えるツールがあり、担当者の負担を劇的に軽減できます。 - 【条件付き無料】「給与計算ソフト」の無料プランを活用する方法
給与計算から年末調整まで一気通貫で効率化できる最もパワフルな方法です。しかし、フリーウェイ給与計算のように、多くのソフトが「従業員5名まで無料」などの制限を設けており、10名規模の企業にとっては実質的に有料プランが前提となります。
【診断】あなたの会社に最適なのは? 目的別フローチャート
以下の簡単な質問に沿って進むだけで、あなたの会社に最適な選択肢がわかります。
【質問1】コストを1円もかけたくないですか?
- はい
- → 【あなたの最適解】選択肢1:国税庁ソフト + 表計算ソフト
- コストを完全にゼロにできますが、担当者の手作業が最も多く残る方法です。
- いいえ(少しでも楽になるなら、何らかのツールを使いたい)
- → 【質問2】へ進む
【質問2】年末調整業務の中で、最も効率化したいのはどの部分ですか?
- A. 紙の申告書の回収と、その内容チェック作業
- → 【あなたの最適解】選択肢2:申告書回収特化の無料ツール
- 最も時間と手間がかかる「回収・チェック」業務をピンポイントで解決できる、導入ハードルの低い方法です。
- B. 給与計算も含めた年末調整の業務全般
- → 【質問3】へ進む
【質問3】現在の従業員数は5名以下ですか?
- はい
- → 【あなたの最適解】選択肢3:給与計算ソフトの無料プラン
- 年末調整から給与計算までを一気通貫で効率化できる、最もパワフルな方法です。
- いいえ(6名以上)
- → 【あなたの最適解】「選択肢3(給与計算ソフト)の有料プランを検討する」か、「選択肢2:申告書回収特化の無料ツール」を導入するのが現実的な選択肢です。
- 多くの給与計算ソフトの無料プランは5名までなどの制限があるため、10名規模のあなたの会社は有料プランが前提となります。
【方法1:徹底解説】国税庁「年調ソフト」を企業で活用する具体的な4ステップ
国税庁が無料で提供する「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」は、コストをかけずに電子化を進める第一歩です。
しかし、多くの担当者が見落としがちなのが、このツールはあくまで「従業員が申告書データを作成するため」のものだという点。担当者がそのデータをどう活用するかが、成功の鍵を握ります。
ここでは、その具体的な業務フローを4つのステップで解説します。
ステップ1:従業員への案内方法(依頼メールのテンプレート付き)
従業員に混乱なく作業してもらうためには、明確な指示が不可欠です。何を、いつまでに、どうやって提出してほしいのかを具体的に伝えましょう。
【そのまま使える】依頼メールテンプレート
件名: 【重要】2025年分 年末調整手続きのご案内(提出締切:X月X日)
本文: 各位
2025年分の年末調整手続きを開始します。 今年から国税庁の「年調ソフト」を利用して、オンラインで申告書を作成・提出していただきます。
■ 提出物:
- 年末調整申告データ(XML形式)
- 申告内容確認用のPDF ※保険料控除証明書なども電子データでご準備ください。
■ 手順:
- 国税庁サイトより「年調ソフト」をダウンロード:[公式サイトのURL]
- ソフトを起動し、案内に沿って必要情報を入力
- 入力完了後、XMLデータとPDFをエクスポート
- 両方のファイルを本メールに返信する形で提出
■ 提出締切: 2025年X月X日(X)
ご不明な点があれば、管理部の鈴木までお問い合わせください。 何卒ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
ステップ2:従業員が作成した申告書データの回収と管理
従業員から提出されたXMLデータとPDFファイルを適切に管理することが、後の作業の効率を左右します。
提出されたファイルは、個別の従業員名でフォルダを作成し、「XML」と「PDF」のサブフォルダに分けて格納するルールを徹底してください。これにより、誰のどのファイルか一目でわかり、確認作業がスムーズになります。
ステップ3:データのチェックと既存の給与計算ソフトへの反映
ここが最も重要な工程です。国税庁のワークフローでは、XMLデータを給与計算システムにインポートすることが前提ですが、対応していないソフトの場合は手動での反映が必要です。
従業員から提出されたPDFを開き、内容に不備がないかを目視でチェックします。特に、2025年の税制改正で新設された「特定親族特別控除」や変更された各種所得要件は、重点的に確認すべきポイントです。
チェック完了後、その内容を現在使用している給与計算ソフトやExcelの管理表に正確に転記してください。この二重入力こそが、この方法の最大の課題点です。
この方法のメリットと、担当者が覚悟すべきデメリット
メリットは、言うまでもなく「完全無料」であることと、国税庁提供という「公式の安心感」です。
一方で、デメリットも明確に認識すべきです。最大の課題は、結局「データ集計と給与計算ソフトへの転記作業が手動で残る」点。
従業員のデータを一つずつ転記するのは相当な手間であり、入力ミスのリスクも伴います。また、この方法では電子申告(e-Tax)には直接対応できないため、別途手続きが必要です。
【方法2&3:比較解説】民間企業の無料ソフト|10名規模で使えるツールの見極め方

国税庁ソフトの限界を超えるのが、民間企業が提供する無料ソフトです。しかし、「無料」という言葉には注意が必要です。あなたの会社にとって本当に価値あるツールを見極めるための知識と視点を解説します。
前提知識:「完全無料」と「無料プラン」の決定的な違いとは?
まず、「完全無料」と「無料プラン」は全くの別物です。
完全無料ソフトは、ハーモス年末調整のように、従業員数などの制限なく、主要な機能を永年無料で提供します。一方、無料プランは、フリーウェイ給与計算のように、「従業員5名まで」といった厳しい人数制限があり、それを超えると有料プランへの移行が必須となるモデルです。
「申告書回収特化型」無料ソフトは、ひとりバックオフィスの救世主
従業員10名規模の企業にとって、最も現実的で効果的な選択肢が、この「申告書回収特化型」の完全無料ソフトです。
なぜなら、年末調整業務で最も煩雑で時間を要するのは、従業員への書類配布、回収、記入漏れや添付書類不備のチェック、修正依頼といった一連のコミュニケーションだからです。ハーモス年末調整のようなツールは、このプロセスを完全にオンライン化します。従業員はスマホで簡単に入力でき、担当者は進捗を一元管理できます。
このタイプのツールは、既存の給与計算フローを大きく変えることなく、最大のボトルネックだけを解消する「外科手術」のようなもの。導入のハードルが極めて低く、即効性が高いのが最大の魅力です。
「給与計算ソフトの無料プラン」5人以上の企業が選ぶ際の注意点
多くの競合記事が「無料ソフト」として紹介する給与計算ソフトですが、従業員10名規模の会社にとっては、「無料」の選択肢にはなりません。 フリーウェイ給与計算を例にとると、無料プランの上限は5名まで。6名以上で利用するには月額1,980円(税抜)の費用が発生します。
この事実を明確に認識することが、失敗しないツール選びの第一歩です。もし給与計算も含めた一気通貫の効率化を目指すのであれば、それは「無料」ではなく「有料ソフト導入」の検討として進めるべきです。
【2025年10月時点】主要な無料プラン付き年末調整ソフト比較表
| ソフトウェア名 | 利用可能人数(無料) | 無料でできることの範囲 | 有料プラン価格(目安) | 10名規模での推奨度 |
| ハーモス年末調整 | 人数制限なし | 申告書作成・回収・チェック・催促、CSV出力 | なし(完全無料) | ◎ 最も推奨 |
| 国税庁 年調ソフト | 人数制限なし | 申告書データ作成(従業員向け) | なし(完全無料) | ○(担当者作業多) |
| フリーウェイ給与計算 | 5名まで | 給与計算、年末調整、Web給与明細 | 月額1,980円〜 | ×(無料では不可) |
| マネーフォワード クラウド年末調整 | 要問い合わせ(通常有料) | 給与計算、年末調整、労務管理全般 | 月額3,980円〜 | ×(無料では不可) |
| freee人事労務 | 要問い合わせ(通常有料) | 給与計算、年末調整、労務管理全般 | 月額2,600円〜 | ×(無料では不可) |
※料金やプラン内容は2025年10月調査時点のものです。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。
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無料ソフト選びで絶対に失敗しないための5つのチェックポイント
どの無料ソフトを選ぶにせよ、導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、以下の5つの視点で必ず確認してください。
1. あなたの会社の従業員数で、本当に無料で使い続けられるか?
最も重要な確認項目です。「5名まで無料」のような人数制限に注意し、自社の従業員数で永年無料で利用できるかを最初に確認してください。将来的な人員増加も見越して検討することが賢明です。
2. 今使っている給与計算・会計ソフトと連携できるか?
特に申告書回収特化型ツールを選ぶ場合、出力されるデータ形式(CSVなど)が、現在利用中の給与計算ソフトにインポート可能かを確認すべきです。連携がスムーズでないと、結局は手作業での転記が発生し、効率化の効果が半減してしまいます。
3. 導入時の初期設定は、専門知識がなくても一人でできそうか?
「ひとりバックオフィス」にとって、導入の容易さは死活問題です。マニュアルやサポート体制が充実しており、ITの専門家でなくても直感的に設定できるかどうかを、公式サイトのデモ画面や導入事例で確認しましょう。実際のユーザーレビューで「初心者でも簡単だった」という声があるかは、重要な判断材料になります。
4. 年末調整以外の機能(給与計算・労務管理)は必要か?
今回の目的は年末調整の効率化ですが、これを機に給与計算や勤怠管理など、他の業務の非効率性にも目を向ける良い機会です。ただし、多機能なソフトは設定が複雑になりがちです。まずは年末調整という課題を確実に解決することを最優先し、機能の多さに惑わされないようにしましょう。
5. 将来的に有料プランへ移行する場合、コストと機能は見合っているか?
現在は無料で十分でも、事業規模の拡大に伴い有料プランが必要になる可能性があります。その際に、自社の成長フェーズに見合った機能が、妥当な価格で提供されているかを確認しておくことは、長期的な視点で見た重要なリスク管理です。
【一歩先の視点】無料の限界と、有料ソフトを検討すべき3つのタイミング
無料ソフトは素晴らしい第一歩ですが、その限界も理解しておくべきです。経営陣に将来的な投資の必要性を説明するためにも、有料ソフトへの移行を検討すべき明確なタイミングを知っておきましょう。
タイミング1:従業員が20名を超え、手動でのデータ連携が限界になったとき
従業員が20名を超えると、申告書データをCSVで出力し、給与計算ソフトに手動でインポートする作業の負担とミス発生リスクが急激に高まります。この規模になったら、データが自動で連携される有料の一気通貫型ソフトへの移行を強く推奨します。
タイミング2:電子申告(e-Tax/eLTAX)まで一気通貫で終わらせたくなったとき
年末調整後の源泉徴収票等の法定調書合計表の提出や、給与支払報告書の提出を電子申告(e-Tax/eLTAX)で行う場合、多くの無料ソフトでは対応できません。行政手続きまで含めてDX化し、完全ペーパーレスを目指すなら、電子申告機能を持つ有料ソフトが必須となります。
タイミング3:年末調整だけでなく、人事労務全体のDXを進めたくなったとき
年末調整の成功体験をきっかけに、入退社手続き、勤怠管理、給与計算といった人事労務全体の非効率を解消したくなった時が、本格的な投資のタイミングです。バラバラのツールで管理するよりも、統合された人事労務ソフトを導入する方が、長期的にはコストと工数を削減できます。
有料ソフト検討時における「費用対効果」の示し方
有料ソフト導入を提案する際は、感情論ではなく、具体的な数字で費用対効果を示すことが不可欠です。ポイントは「工数削減(人件費換算)」と「リスク回避」の2つです。
例えば、「フリーウェイ給与計算の導入事例では、月6時間かかっていた業務が1.5時間に短縮(75%削減)された実績があります。この月4.5時間の工数削減は、年間54時間に相当し、これを担当者の時給で換算すると〇〇円のコスト削減効果が見込めます」と説明します。
さらに、「2025年の複雑な税制改正を手計算で対応した場合の計算ミスや申告漏れのリスクは、企業の信用問題に直結します。システム投資は、この経営リスクを回避するための保険です」と付け加えれば、説得力は格段に増すでしょう。
まとめ:最初の一歩は「今年の業務をどこまで効率化したいか」の明確化から

従業員10名規模の企業が無料で年末調整を乗り切るための選択肢は、確かに存在します。しかし、最も重要なのは、ソフトの機能を比較する前に、自社が「どこまでの効率化を」「どの業務を優先して」実現したいのかを明確にすることです。
- コストを1円もかけたくないなら、国税庁ソフトと手作業の組み合わせ。
- 申告書の回収・チェックという最大の苦痛から解放されたいなら、ハーモス年末調整のような申告書回収特化型の無料ツールが最適解です。
- 給与計算まで含めて効率化したいのであれば、それは「無料」の範囲を超えた投資判断として、有料ソフトの導入を検討すべきです。
多くのバックオフィス担当者が「特定の人しか業務がわからない」という属人化に悩んでいます。無料の年末調整ソフトの導入は、単なる効率化ツールではありません。それは、あなた一人が抱え込んできた業務を標準化し、会社全体の資産へと変えるための、DXの第一歩なのです。
まずは、今年の年末調整を乗り切るための、最も現実的な一歩を踏み出してみてください。この記事が、あなたのその一歩を力強く後押しできれば幸いです。
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