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田舎の土地を売りたいけど本当に売れる?売る以外の7つの対処法も紹介!

最終更新日: 2024年08月02日

田舎の土地を売りたいと考えたときに真っ先に思い浮かぶのは、本当に売れるのかという不安ではありませんか?

確かに需要が低いなどの理由から、田舎の土地を売る難易度は高いです。しかしコツを掴めば売却もできますし、売る以外で手放す方法もあります。

田舎の土地を売りたいと思ったとき、知っておきたいことや売るコツ、売却できなかったときの対処法をご紹介します。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

田舎の土地が売りにくい理由は?

田舎の土地が売りにくい理由のうち最も大きいものは「需要が少ない」ことです。需要が少ない理由はさらに3つに分けられます。

なんとなく「需要が少ないから売れない」と思っていると、売却や譲渡の際に方針を誤る可能性があります。まずは「需要が少ない」理由を知りましょう。

住む場所としてのハードルが高い

リモートワークの推進やメディア、インフルエンサーの発信など様々な要因が複合的に作用した結果、近年は比較的若い世代も地方移住に関して肯定的なイメージを抱いています。

実際に地方移住する人もいるものの、そのような人でも山あいの土地や山間部の土地、周囲が田んぼであったり何もなかったりするような土地では「住んでからが大変そう」と考え、購入の候補にならないケースが多いです。

地目などと現況が一致しておらず再建築不可のケースがある

土地には地目と用途地域が定められており、開発ができるところや住宅を建てられるエリアが決まっています。

地域を問わず、地目や用途地域が定められる前に建設され、利用し続けてきた住宅は数多くあります。

新規で住宅を建てられないエリアであったとしても、改修・改築すれば利用し続けられる住宅は少なくありません。しかし住宅を解体して更地にしてしまうと新規で建築ができず、かえって売却の幅が狭まることがあります。

地目や用途地域と現況が適合していないことも多いので、田舎の土地の需要は低くなりがちです。

事業用であっても採算が取れるか不透明

田舎の土地は広いため、大規模商業施設などの設置には向いているように思えるかもしれません。しかし都会と比べて人口が少ないため利用者数を鑑みると採算が取れないと判断されるケースが多いです。

投資用物件も同様で、いくら安く土地が手に入って建物を建てられるとしても、収益が見込めないエリアに投資用物件を設置することはほぼありません。

田舎にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を設置するケースも増えていますが、立地や周辺環境にもよるため田舎の土地であればどこであっても需要があるかと言われると、やはりそうではないようです。

田舎の土地を売る前に確認すること

田舎の土地は売却に難航する傾向があります。少しでもスムーズに売却するためにも確認しておきたいことがあります。それは土地の種類である地目や用途地域を確認することです。

土地の種類(地目・用途地域)を確認する

土地にはそれぞれ地目が定められており、地目によっては住宅が建造できないことがあります。売却活動を始める前に地目を確認することで、仲介では売りにくい土地であれば不動産会社に買い取ってもらうなど、柔軟に売却活動を行えます

地目は登記簿に記載されています。法務局の窓口で受け取るほか、郵送、オンラインで請求できます。登記簿に記載されている地目は利用状況と一致していない点に注意してください。

現況の地目を知りたいのであれば、固定資産税納税通知書を確認しましょう。こちらはその年の1月1日時点での現況地目が記載されており、この地目をもとに課税されます。

以下に取引されることの多い地目と地目コードを抜粋して記載します。

地目コード 地目
1
2
3 宅地
7 山林
9 原野
21 雑種地

登記簿での地目が1「田」や2「畑」だった場合、建物を解体してしまうと宅地に転用するまで新規で建物を建てられなくなるので注意が必要です。該当する土地と建物があるのなら、たとえ古い家であったとしても解体には慎重になった方がよいです。

用途地域は都市計画法によって定められたエリアであり、用途地域の違いによって建てられる建物が変わります。

用途地域は全部で13種類ありますが、大きく3つに分けられます。

  • 住居系用途地域
  • 商業系用途地域
  • 工業系用途地域

用途地域を調べるには自治体の窓口やホームページで情報を調べるほか、売買の相談をするときに不動産会社に尋ねても良いです。

また用途地域マップというサイトでも確認可能です。

田舎の土地を売る4つ方法

田舎の土地を売る方法は大きく分けて4つあります。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、無理なく売却できるかなどを含めてどの方法であれば無理なく売却できるかも含めて検討しましょう。

1.田舎の土地も売却できる不動産会社に依頼する

オーソドックスな方法は、不動産会社に売却の相談をすることです。この場合、仲介と買取の2種類の方法で売却できます。

仲介では不動産業者に買主を見つけてもらって売買の交渉をします。売買契約が成立すると不動産業者に仲介手数料を支払うのが特徴です。

買取では不動産業者に売却するので仲介手数料が不要です。しかし売却金額は仲介での売却相場の7割ほどになってしまう点に注意してください。

売却方法 メリット デメリット
仲介
  • 売却相場に近い金額で売却できる
  • 買手が現れないこともある
  • 仲介手数料を不動産業者に支払う必要がある
買取
  • 素早く現金化できる
  • 確実に売却できる
  • 売却金額は相場の7割程度

2.各自治体の空き家バンクに登録する

土地と一緒にまだ住める建物があるのなら、各自治体が提供する空き家バンクに登録しても良いでしょう。

空き家バンクに登録した場合、買主との交渉や契約手続きは当事者同士で行います。双方が不動産売買に関する知識があるのなら不動産業者に仲介を依頼する必要はありませんが、そうでないならトラブル防止のために不動産業者に仲介してもらうことをおすすめします。

空き家バンクへの登録条件や運用については各自治体によって異なります。そもそも空き家バンク制度があるのか、利用方法や手順を良くチェックして利用しましょう。

3.隣地の人に売る

所有している土地と境界線を接している隣地の人に売却するのもひとつの方法です。地目が農地の場合はこの方法で売却することも多いです。

農地であれば、隣人からすると土地が広くなり耕作量を増やすことができます。

それ以外の場合も周辺で商売をしている人がいれば駐車場や倉庫用の土地を探していることもあります。隣地の人に限らず周辺の人に声をかけても良いでしょう。

4.国・自治体に売却または寄附する

一定の要件を満たす土地であれば国や自治体に売却または寄附できます。とはいえ、国や自治体が売却を受け付けている土地には厳格な要件があり、住宅用地などでその要件を満たすことは困難です。そのため寄附の方が実現可能性が高いと言えます。

自治体によって寄付を受け付ける土地の要件は異なります。ここでは例として新潟市の要件を紹介します。

  1. 法定等に違反しないもの
  2. 行政の中立性、公平性等が確保できるもの
  3. 宗教的又は政治的団体からの寄附でないもの
  4. 将来に紛争や苦情が発生する恐れがないもの
  5. 将来に多額の維持管理費を要す恐れがないもの
  6. 市で管理することが不適当でないもの
  7. 新潟市公有財産規則第13条に規定する、取得前の措置が済んでいるもの
  8. 行政活用価値又は換価価値が見込まれるもの
  9. 農地にあっては、宅地への転用許可が受けられるもの

土地を寄付するにあたってネックになるのが8番目の要件「行政活用価値又は換価価値が見込まれるもの」です

この要件は、寄付される土地が行政の仕事に関係する価値や資産的価値を持つことを求めています。

行政の仕事に関する価値としてもっとも分かりやすいのが、公共施設を設置できるかどうかです。公園や公民館、公立小学校等が設置できるような広さやアクセスの良さがあれば、公益性のある土地として寄付を受け付けてもらえます。

しかしそのような例はとても特殊なため、一般的なケースとは言えません。個人が活用方法を見いだせない田舎の土地の多くは、自治体にとっても寄附を受けて取得する価値がないと見なされる可能性が高いです。

田舎の土地が売れない場合の7つの対処法

田舎の土地がどうしても売れなかったときの対処法は7つあります。

それぞれの方法のメリット・デメリットや手順、注意点を確認して、利用できる方法がないかを確認しましょう。

固定資産税が安い場合:所有し続ける

年間の固定資産税が低額であるのなら、わざわざ売却や譲渡をせず所有し続けるのもひとつの手段です。

確かに所持し続けると管理の手間などもかかりますが、売却や譲渡をする場合も準備や買主との交渉などの手間が発生します。

売却の見込みがない土地であれば所持し続けることも検討して良いでしょう。

農地の場合:近隣の農家に譲渡する

農地を宅地に転用するには農地転用許可を得る必要があります。農業委員会に申請後、都道府県知事が許可・不許可を決定します。農地転用が認められるのは限られた条件の農地です。

無理に農地転用をして宅地にしたとしても、田舎の土地は需要が低いので買手がつくとは限りません。しかし農地のままであれば近隣の農家に譲渡できます。

田舎の農地を所持しているのであれば、まずは近隣の農家に譲渡の打診をし、譲渡先が見つからなければ宅地への転用手続きをしながら売却活動をすると良いでしょう。

マイナスの遺産が多い場合:相続放棄をする

相続する遺産に他にも管理に困る不動産が多数ある、借金などマイナスの遺産も多い場合などは相続放棄をしても良いでしょう。

相続放棄をする場合、一部の遺産のみを放棄することはできず、自分が相続できるすべての遺産を放棄することになります。

相続放棄の手続きは家庭裁判所に申し立てます。相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きをする必要があるので、相続を知ったらすぐに手続きを始める必要があります。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続によって取得した土地であれば、相続土地国庫帰属制度を利用して手放すこともできます。この制度は2023(令和5)年4月27日から開始された、まだ新しい制度です。

公式サイトには引き取ることができない土地の概要について記載されています。

申請ができないケース

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地
  • 所有権の存否や範囲について争いがある土地

承認を受けられないケース

  • 一定の勾配・高さの崖があり管理に過分な費用・労力がかかる土地
  • 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  • 土地の管理・処分のために除去しなければならない有体物が地下にある土地
  • 隣接する土地の所有者等の争訟によらなければ管理・処分ができない土地
  • その他通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

相続土地国庫帰属制度は審査手数料として土地一筆あたり14,000円を納付します。納付したら申請を取り下げた場合や審査が却下・不承認となった場合も返還されません。

厳正な審査のもと承認・不承認を決定するもので、承認率は決して高くない点に注意してください。

市民農園や太陽光パネルの設置など活用方法を見つける

所有している土地にある程度の広さがあるのなら、市民農園を開設したり太陽光パネルを設置したりなどの活用方法が考えられます。

市民農園の設置は農林水産省も奨励しており、市民農園の整備が可能な交付金もあります。日帰り型農園のほか、滞在型市民農園など様々な事例があるので設備の参考にしてみると良いかもしれません。

もし広い農地を所有しているのであれば太陽光パネルの設置もおすすめです。

従来は地面に近い場所にパネルを設置することが多く、その場合農地としての利用が完全にできなくなるのがデメリットでした。しかし近年は支柱を立ててパネルを高いところに設置し、パネルの下で耕作をする「営農型太陽光発電」が増えてきています

支柱の基礎部分について一時転用許可が必要で、年に1回報告をしなければならないといった手間もかかるものの、売電による収入と農作物による収入が得られるというメリットがあります。

借地として貸し出す

土地活用の方法のひとつに借地として貸し出すことが挙げられます。借主が現れれば一定の金額を収入として得られます。

借地権は大きく分けると2つあります。普通借地権と定期借地権です。定期借地権はさらに3つの種類に分けられ、いずれも公正証書を用いて契約することが一般的です。

借地契約を結ぶと30年以上の長期間にわたって契約が続くので、1度借主が見つかればその後の手間は比較的少ないです。

NPO法人など公益法人に譲渡する

個人が法人に土地を寄附した場合は通常所得税が課税されます。ただし学校やNPO法人などの公益法人に寄付し、一定の要件を満たすのであれば所得税が非課税になる制度があります

一般特例と承認特例の2つの制度があり、それぞれ対象となる法人の種類や承認要件が異なるので注意してください。

学校法人やNPO法人はどちらの制度の対象ですが、一般特例の場合は自動承認がないため自分がどの特例に申請したかを忘れないようにしましょう。

田舎の土地を手放すなら不動産会社への相談が大切

田舎の土地を売却するのは難易度が高いです。絶対的な需要の少なさや再開発・再建築に対するハードルの高さなどが理由に挙げられます。

そのため無理に売却をするのではなく、所有し続けて活用方法を見つけるのも検討してみましょう。

田舎の土地を売却するにせよ、土地の活用方法を見つけるにせよ、信頼できる不動産会社に相談することが大切です。まずは複数業者から簡易査定を受け、契約先を見つけたら売却や活用方法について相談してみましょう。

ミツモアでは簡単な質問に答えるだけで、地域密着型も含め最大5社から簡易査定が受けられます。

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